悪魔と天使の暇潰し
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#187 [匿名]
「おい!お前だな!」
ターゲットが俺とプリンを睨み、俺が笑っていると、後ろから図太い声が聞こえた。
二人同時に振り返り、つけてきていた連中を見ると、黒いスーツを着た見事に柄の悪い男達だった。
一番前にいるのは30代前半くらいのスーツ男。その後ろに20代であろうスーツ男達が10人ほど立っている。
どう見ても健全なサラリーマンには見えない。
「お前だよな?俺の女に手出した奴はよ!」
ターゲットはそう言ったスーツ男を、目を細めながら見た。
:11/07/16 00:10 :F06B :k3oDghFM
#188 [匿名]
「何の事だか全然わからねーな。人違いじゃねーのか?」
嘘をついている様には見えない。
「とぼけんじゃねーぞ!」
後ろにいる男が言った。
「防犯カメラにもお前がしっかり写ってんだ!」
一人の男が俺達に近づき、ポケットから紙を取り出した。
なんだか警察みたいだな。
見てみると、今言っていた防犯カメラの映像のコピーだった。
その防犯カメラがある店の中に入ろうとしている男女がいて、よーく見ると男の方がターゲットそっくりだった。
:11/07/16 00:13 :F06B :k3oDghFM
#189 [匿名]
「お前にそっくりだなー」
俺が紙の中の男を指差す。
「ああ。これは俺だな」
ターゲットは頷いた。
「あ!思い出した!あの時の子だ!いやー!まさかあんたみたいなおっかない彼氏がいたとはなー。分かってたら誘ってなかったよ」
ターゲットはこんな状況なのに、ヘラヘラと笑った。
「この女を誘ってどこに行ったんだ?」
素朴な疑問を口にしただけなのに、スーツの男達から殺気を感じた。
「どこって、女を誘う理由なんて一つしかねぇだろ?ホテルだよ、ホテル」
:11/07/16 19:37 :F06B :k3oDghFM
#190 [匿名]
ターゲットが答えると、スーツ男達の殺気は強くなった。怖い怖い。
「お前最低だな」
「しょーがなかったんだって。一仕事終えた後だったんだけど、ちょっとしたミスがあって、そこに泊まらなきゃいけなくなったんだよ」
「一人で泊まれば良かったんじゃねーのか?」
「男一人で泊まるなんて怪しすぎるだろ!ただでさえ治安の悪い場所だったんだ」
「でもやる事やったんだろ」
「やらねーよ」
「嘘つけ!」
俺達の会話にスーツ男が入ってきた。かなり興奮している。
:11/07/16 19:39 :F06B :k3oDghFM
#191 [匿名]
「俺の女は、気が付いたら寝ちゃってたみたいで、起きたら裸だったの。って泣きながら言ってきたんだぞ!!」
スーツ男は今にも殴りかかってきそうな勢いだ。
「は?お前の女が勝手に服脱いだんだぞ?裸で俺にまとわりついてきて、うぜぇから眠らせたんだ。何で俺が無理矢理〜みたいになってんだよ!」
「本当かー?」
腕を組み、探るようにターゲットを見た。
「当たり前だろ!誰があんなブスと!…あ、やべ」
口が滑った。とターゲットが下を出す。
:11/07/16 19:41 :F06B :k3oDghFM
#192 [匿名]
失言を誤魔化す様に、ターゲットは手を振りながらヘラヘラと笑っている。
そんなターゲットを見て、スーツ男は真っ赤な顔をして怒った。目は血走っている。
「殺せ!」
スーツ男が命令をすると、前から、そして後ろから、男達が足早に近寄ってきた。
「こんな所で俺達を殺したら、すぐに捕まるぞ?ここは住宅街だ」
ターゲットの言う通りだ。物音がすれば、住人が窓から外の様子を窺うだろう。
物騒な雰囲気を察したら、被害が及ばないように警察を呼ぶに違いない。
:11/07/19 19:46 :F06B :hKY5.7Lg
#193 [匿名]
「連れてけ!」
スーツ男は叫んだ。
そんなに大声で叫ぶなんて自ら警察を呼んでくれ!と言ってる様なものだ。
この集団はきっと、馬鹿の集まりだ。
同情すら感じた俺は、素直にこのスーツ男達の言う事を聞いて車に乗り込んだ。
ターゲットも呆れた顔で、周りのスーツ男達を眺めている。
「拷問かなー?俺痛いの嫌いなんだよな」
ターゲットはずっとこの調子だ。
:11/07/19 19:48 :F06B :hKY5.7Lg
#194 [匿名]
しばらくして車が止まった。外を見ると古いビルが建っている。
ガラスは所々割れて、看板のような物がいくつか落ちていた。
もう何年も使われず、取り壊す事もされなかったビルだ。
周りは工場がいくつかあるくらいで、人の気配は感じなかった。
スーツ男達と雰囲気がぴったりで、何故か笑えた。きっとあからさますぎて現実ではなく、ドラマでも見ているような気分になったからだろう。
これで綺麗な部屋に連れて来られても、それもそれだが。
:11/07/19 19:51 :F06B :hKY5.7Lg
#195 [匿名]
俺達は前後左右囲まれながら無理矢理ビルの中に入れられた。
中はそこらじゅうが土や砂で汚れている。
机や棚などは何もなく、ただ広いだけの空間だった。
「ここで俺達は殺されるのか。周りには何もないし、ちょっと叫んでも誰も助けには来てくれなさそうだな」
殺される気なんて無いくせに、ターゲットはわざとらしくそう言った。
「ああ、そうだ。若いのに残念だったなー」
ターゲットの演技にも気が付かず、スーツ男は意気揚々と笑っている。
:11/07/20 14:54 :F06B :Vta.hKMw
#196 [匿名]
スーツ男を筆頭に、こいつらは正真正銘の馬鹿だ。ただ強面なだけで、頭の悪い連中だ。
こんな奴に殺されるなんて屈辱を味わったら、死んでも死にきれない。
「さあ、殺せ!好きなだけ痛め付けていいぞ!」
スーツ男は両手を広げ、高らかに笑った。
それが合図だったかのように、スーツ男達がナイフやバットを持ち、俺達にゆっくり歩み寄って来る。
拳銃を持っている様子がないのが、唯一の救いかもしれない。
:11/07/20 14:58 :F06B :Vta.hKMw
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