悪魔と天使の暇潰し
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#224 [匿名]
上へ上がるとすぐにあいつに会った。

「お、おう!ターゲットについて調べたか?」

何も言われていないのに、あいつの顔を見て居心地が悪くなり、目を反らした。

「何を焦っているんだ?」

あいつの冷たい口調が聞こえた。

「は?な、なにがだよ!」

「何故僕の顔を見ない?やましい事でもあったのか?」

「ね、ねーよ!んなもん!」

「そうか」

「おう」

危ない。ばれるところだった。

「てっきり人間を沢山殺しちゃった事が、後ろめたいと思っているのかと思ったよ」

「…てめぇ」

くそ、ばれてたのか。

⏰:11/08/03 08:49 📱:F06B 🆔:tsVl/s/o


#225 [匿名]
「まあ、君が殺していなかったら、ターゲットは殺されていたかもしれないから、今回は責めたりしないよ」

淡々と話すものだから、それが本心なのかすら分からない。

「ああ、そりゃどうも」

「その服も君に似合うよ」

あいつは俺の作業着を指差した。

「これか?たまたまあったんだよ。血まみれだったから助かったぜ」

「たまたま?それは僕が用意しておいたんだ。普通に考えてみて、あの場所にその服だけが置いてあるわけないだろ?」

腹立たしい。
そう言われればそうじゃないか。ターゲットも薄々、何かに感ずいていたのかもしれない。

⏰:11/08/03 08:50 📱:F06B 🆔:tsVl/s/o


#226 [匿名]
「別にこれがなくても俺は逃げられたけどな!」

ムキになり舌打ちをした。

「ああ、そうだね」

また馬鹿にされた。

「それより、ターゲットの事いろいろ調べたよ」

「おう。何が分かった?」

「殺し屋になった理由だよ。まぁまだ憶測にすぎないんだけど、確実ではあると思う。ターゲットは――」

あいつが調べた情報を聞いて、ターゲットの純粋な心が見えた気がした。
少年のような真っ直ぐな正義は、どうして歪んでしまったのだろう。

⏰:11/08/03 08:52 📱:F06B 🆔:tsVl/s/o


#227 [匿名]
四日目



あいつが、調べた事が正しいかターゲットに確認しに行くと言うから、俺も一緒に行く事にした。

俺がいない間にターゲットの犯罪を正当化されたら困るからな。


ターゲットの部屋に女が訪れたのは21時だった。

「依頼に来たわ」


部屋のドアの前で携帯電話を取りだし、女がそう電話をしだした。

すると少し経って、中からターゲットが出てきた。

「またあんたかよ」

眉間に皺を寄せ、明らかに機嫌の悪い顔をしながらも、ターゲットは女を中に入れた。

⏰:11/08/09 15:21 📱:F06B 🆔:GMHiLOkQ


#228 [匿名]
その様子を見て、すぐに下へ向かった俺に、あいつは呆れた顔でついて来た。

ターゲットの部屋のインターホンを鳴らす。すぐにターゲットは出てきた。さっき女に見せた顔よりも、明らかに嫌な顔をしている。


近くで顔を見ると昨日の生々しい傷が所々にあった。だが思ったより傷はひどくなく、あまりスーツ男達にやられていなかったんだなと思えた。


「入れろよ」

「嫌だね」

「美人がいるからか?」

「…見てたのか?」

「ああ。お前が女を連れ込む様子をな」

⏰:11/08/09 15:24 📱:F06B 🆔:GMHiLOkQ


#229 [匿名]
女はサングラスをかけ、つばの広い帽子を被っていたので顔は見えなかったが、ぴっちりとした黒いジャケットに、ぴっちりとした黒いミニスカート姿、高いヒールに真っ赤な口紅。

スーツのようだったが胸元がばっくり開いていた。こんな大胆な格好は自分に自信が無くては出来ないだろう。

と、さっきあいつが言っていた。


こんな暗い夜にサングラスをかけているのは、顔を見られたくないから。きっとターゲットと同じ、非合法的な仕事でもしているのだろう。

と、これもまたあいつが言っていた。

⏰:11/08/09 15:26 📱:F06B 🆔:GMHiLOkQ


#230 [匿名]
「…そう。一発ヤっちゃおうと思ってんだよ。同じ男なら分かんだろ?邪魔しねーで帰ってくれ」

ターゲットはシッシッと猫を追い払う様な仕草をした。

「嘘つけ」

ドアが閉まる前に、あいつが言った。

「その眉間の皺、僕達を見てからついたものではなくて、あの女性を見た時にはもうついていたものだ。今から楽しみのある人間が、眉間に皺なんて作らないよ」

お前は探偵か!

だがその探偵のような言葉にターゲットは促されたのか何なのか、何も言わずに中へ入って行った。鍵をかけずに。

⏰:11/08/09 15:37 📱:F06B 🆔:GMHiLOkQ


#231 [匿名]
部屋に入ると女はソファーに座っていた。

帽子を被り、サングラスもかけたままで姿勢良く座り、入って来た俺達を探るように見てくる。

「あら、可愛い子達ね。あなたのお仲間かしら?」

女は無駄に色っぽい。

「俺の客だ。仲間でも何でもねーよ」

「そうそう、こいつに依頼してんだ」

ターゲットが正直に答えるので、俺も嘘を付かずにターゲットに合わせた。

⏰:11/08/13 20:38 📱:F06B 🆔:Td4DB/mo


#232 [匿名]
「あら、彼らの依頼は受けて私の依頼は受けてくれないなんて、酷いじゃない」

女はわざとらしく腕を組む。


「いや、まだ受けてくれるか分からねぇんだ。明日にならねぇとなー」

腕を組みターゲットを見た。俺の視線に気が付き、ターゲットも俺を睨む。


「だから!面倒くせぇ仕事はしたくねぇんだよ!」

俺とあいつ、そして女を見ながらターゲットは怒鳴った。

それを見て、隣にいたあいつは笑っている。

⏰:11/08/13 20:43 📱:F06B 🆔:Td4DB/mo


#233 [匿名]
「君もあなたも、もう諦めた方がいい」

あいつが俺と女に向けて言った。

「彼には最初から二人の依頼を受けるつもりはないんだよ?他にも殺し屋は沢山いる。彼に執着する意味はないんじゃないかな?」

それは遠回しに、暇潰しのゲームで自分が勝つと俺に言っているのか?


「残念だわ。確実で腕の良い殺し屋だと聞いたから、熱心にお願いしたのだけど、思い過ごしだったのかしら」

女が立ち上がる。

「人を殺す事に躊躇してるなら、もうこの仕事は辞めた方がいいんじゃない?まぁ辞めても、平穏な人生は送れないだろうけど」

嫌な女。

⏰:11/08/13 20:47 📱:F06B 🆔:Td4DB/mo


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