悪魔と天使の暇潰し
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#237 [匿名]
そして、ターゲットが依頼を受ける人と受けない人の区別をする物が何なのか。

この間、ターゲットは悪い事をした奴を殺すと言っていたが、あれは多分嘘だ。

お金の為というのも嘘。
殺しを成功させたら一千万という大仕事を、ターゲットは蹴っていた。

でもその理由は、依頼を受けた人を調べる事で、すぐに分かった。

それは依頼人の殺して欲しい理由にあるからだ。

⏰:11/08/14 18:05 📱:F06B 🆔:slI3DMwQ


#238 [匿名]
依頼を受けた人に共通している事は、恨みがある事。

ただの恨みではない。動物、子供が傷付けられた事による恨み限定だ。

会社を倒産させられた。恋人を奪われた。母親を殺された。騙された。大金を奪われた。情報を盗まれた。

そういう理由の場合は、どんなに金回りが良くても断っている。

普通の殺し屋なら断るはずがないのに。

⏰:11/08/14 18:11 📱:F06B 🆔:slI3DMwQ


#239 [匿名]
しかし、ペットや子供、動物などが傷つけられたり、殺されたりした場合は依頼を受けている。

今思い返すと、あのチンピラ野郎を殺した理由も、動物関連だった。

その時のターゲットの態度を考えると、殺された動物の為に!という思いが強かったんだなと理解出来る。

まるで弱い者を守るヒーローの様だ。



「僕の勝手な解釈だけど、合っているよね?」

全てを話した後、天使のあいつはそう問い掛けた。

⏰:11/08/14 18:18 📱:F06B 🆔:slI3DMwQ


#240 [匿名]
あいつが話している間、ずっと黙って聞いていたターゲットは、最後の自分に対する問いを聞いて、自傷ぎみに笑った。

「殺った本人すら覚えていない依頼人数も調べられたなんて、あんた何者?」

「え?うん、まあね」

あいつが言葉を濁す。
なんだかわざとらしい。

「確信を得る為に、全ての依頼人を調べたから時間がかかったけどね。でも君が根っからの悪者ではないと知れたから」

あいつの見透かすような笑顔を、ターゲットは苦々しい顔で見た。

⏰:11/08/15 15:52 📱:F06B 🆔:HH5XgpYM


#241 [匿名]
「…俺は」

ターゲットは下を向いた。

「…ただ」

下を向きながらターゲットは呟いている。

「ヒーローにでもなりたかったのか?」

ターゲットが俺を見上げるので気が付いた。いつの間にか俺は、ターゲットの目の前に立ち、見下ろしながらそう言っていた。

その後も勢い。

「この世にな、人殺して金稼いでるヒーローなんかいねーんだよ!それはな、どんな理由があろうとただの犯罪者だ!」

⏰:11/08/15 15:56 📱:F06B 🆔:HH5XgpYM


#242 [匿名]
ターゲットは何も応えない。ただ下から真っ直ぐ俺を睨んでいる。

「お前じゃ誰も救えない。何も変えられねーよ!間違ってんだよ。お前が今までやってきた事は全部!何を夢見てんだか知らねーが、正当化はされねぇぞ!」


勢いのまま怒鳴った。俺はこんな事を考えていたのかと、言葉に出して初めて知った。

「そんなんじゃねぇ」

ターゲットが言う。

「そんなガキみたいに、ヒーローになりたいなんて、思ってねーよ!」

ターゲットも怒鳴った。

立ち上がり、奥の部屋に行ってしまった。

行動が幼稚で、言葉とのギャップのせいで妙な気持ちになる。

⏰:11/08/15 16:00 📱:F06B 🆔:HH5XgpYM


#243 [匿名]
バタン!と大きな音をたてて閉まったドアの向こう側には歯を食い縛るターゲットがいた。

必死に涙を我慢しているのだろう。

俺に全てを否定されたターゲットは、母親に裏切られた子供同然。

あの態度を見ると、俺の言った事を真に受けている。誰かの言葉に左右され、嘘だ!と思いたいが思えない子供だ。

全てが悪い方へと向かっていく様な不安にかられて、死にたくなる。はず。

⏰:11/08/15 16:02 📱:F06B 🆔:HH5XgpYM


#244 [匿名]
この状況に俺は満足して、上の世界に帰る事にした。


あいつはまだ残り、ターゲットに優しい言葉をかけるみたいだ。

もやもやと雲がかかった様な自分の心を、わざと見ない様にした。雲がかかっちゃ見えねーから諦めよう!そう思い込んだ。

だけど本当は雲なんて薄くしかかかっていなくて、自分の動揺している心が丸見えだった。


「お前は悪くない!」
悪魔の俺には似合わない言葉が、頭から離れない。

⏰:11/08/15 16:04 📱:F06B 🆔:HH5XgpYM


#245 [匿名]
五日目



19時半を過ぎ、辺りが暗くなった。ターゲットに動きはない。

待ちきれない。何かが起こってから行動するのは性に合わない。

そんな事を言うと、あいつに馬鹿にされるから俺は一人で下の世界に行こうとした。

行こうとしたのだが、気が付いたら隣にはあいつがいた。

「昨日の状況で、君に一人で行かせるわけないだろう?」

まただ。何でもお見通しだって顔で俺を見ている。

⏰:11/08/17 16:44 📱:F06B 🆔:vUQ050R2


#246 [匿名]
「うっぜぇなー」

「君だって僕が一人でターゲットへ助言しに行ったら怒るだろう?」

「そりゃそうだろ!」

「なら僕も一緒だ」

くそ!
返す言葉が見付からず、さらに苛立ちが増す。
こいつと一緒に居たら俺はストレスで早死にするんじゃないかと不安になる。

死なないけど。

⏰:11/08/17 16:46 📱:F06B 🆔:vUQ050R2


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