悪魔と天使の暇潰し
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#332 [匿名]
ふと気が付くと朝だった。目の前には実家の天井が広がっている。
今日もまた守の夢を見た。昨日までの辛い夢だけではなく、キラキラと輝いたままの思い出が夢に出てきた。
懐かしく、微笑ましいプロポーズの思い出だ。あの日と一つも変わらない言葉で、守はもう一度プロポーズをしてくれた。
あんなに大切な一日だったのに、守がいなくなってから一度も思い出す事がなかったんだと、夢を見て気付き、悲しくなった。
:11/09/12 21:25 :F06B :EvVP.lUg
#333 [匿名]
私から守が見えなくなっても、守っていてくれる。
守がプロポーズをしてくれた日、私はその言葉に救われた。私に何が起ころうとも守がいてくれる、そう思うだけで怖いものはなくなった。
「守、見てる?」
カーテンを開け空を見上げてみるけど、返事は返って来ない。
ぼやける視界をどうにかしたくて目をこすった。そして涙が出ていた事に気が付く。
「見守っていてくれてる?私守がいなきゃ……生きてけないんだよ?」
改めて思いを言葉にした途端、涙がポロポロと流れた。
:11/09/12 21:29 :F06B :EvVP.lUg
#334 [匿名]
言葉にするとそれはもう誤魔化しが効かなくなり、私は崩れ落ちる様に膝を着き泣いた。
生きていけない。それと、生きている意味が無い。
「守に会いに行っていいかな?」
もう一度空を見上げる。あの雲の先に守がいるなら、こんな私に何て言うかな?
もういいよ、おいで。って手を差し出してくれるかな?
これ以上生きていても、心の底から笑える日なんて来るのかな?生きていて良かったなんて、もう二度と思えないよ。
守がいなきゃ、何も感じない。
:11/09/12 21:36 :F06B :EvVP.lUg
#335 [匿名]
「さっちゃーん起きてる?」
一階にある台所から二階の私の部屋まで届く大きな声で、母が私を呼んだ。朝御飯が出来たのだろう。
私は咄嗟にベッドに入り込み寝たふりをした。母が二階に上がって来る様子は無い。
ごめんなさい。何の期待にも答えられなくて、ただ心配ばかりをかけて。もう私の事で悩まなくてもいいようになるから。
目を瞑り布団を頭まで被ると、自然と睡魔が襲って来た。
:11/09/12 21:38 :F06B :EvVP.lUg
#336 [ぴろみ(・ω・)]
はい〜
終了〜(・ω・。)
19/♀/Eカップ/彼氏無
:11/09/13 00:15 :SH904i :mzwm3c5E
#337 [匿名]
―――
気が付くと目覚まし時計は十二時を示していた。あのまま私は寝てしまったんだ。一度起きてから三時間が過ぎている。
夢は見なかった。いや、見たのかもしれないが何も覚えていない。
起きて鏡を見る。
目の腫れた私がそこには写っていた。寝過ぎたと言えば、何も疑われないかもしれない。
重い脚と気持ちを必死に動かし、一階へと降り顔を洗いに行く。
:11/09/13 21:59 :F06B :IrBsaxh.
#338 [匿名]
冷たい水のお陰で目が覚めた。腫れた目がほんの少し元に戻った気がする。
居間へと向かうと、父と母が真面目な顔で何かを話していた。小さな声だったため、何を話しているのかは分からなかったが、溜め息混じりなのは分かる。
もしかしたら今話題の熟年離婚か?と不安になる。
もしそうだとしたら何とかして止めたい。私は二人が不器用な事を知っている。それが原因なら私が間に入れば、止められる気がした。
「どうしたの?」
二人は私が居間に入ろうとしていた事に気が付いていなかったらしく、声をかけると酷く驚いた。
:11/09/13 22:02 :F06B :IrBsaxh.
#339 [匿名]
「あ!さっちゃん、やっと起きたの?」
母が無理矢理笑顔を作ってそう言った。目は笑っていないし、口元はひきつっている。
「何か食べる?お味噌汁とか残ってるけど」
母は私を見ずに台所へと向かって行った。
「うん」
私は母の背中に向かって返事をした。聞こえているのかいないのか、母は何も答えず冷蔵庫から卵を取りだし、何かを作ろうとしている。
:11/09/13 22:05 :F06B :IrBsaxh.
#340 [匿名]
居間のソファーに座っている父は下を向いたまま、おはよう、と私に言った。
「おはよう。二人共喧嘩でもした?お母さん頑固だから、いつも通りお父さんから誤りなよ?」
私は笑顔を作り、父にだけ聞こえる様に言った。
「そんなんじゃないよ」
お父さんの口調は優しく、私の勘違いを否定する為に言った事実だと、すぐに分かった。
そして疑問が沸く。
どうして二人はこんなによそよそしいのだろう。
昨日の母はいつもの母だった。私が帰るなり父の愚痴が永遠に語られたほどだ。
:11/09/13 22:09 :F06B :IrBsaxh.
#341 [匿名]
だけど最終的には、のろけとも取れる父との話題になり、私は呆れた。
父も昨日は普通だった。普通にゴルフを終えて夜に帰って来たし、普通に自慢話が始まったし、普通にご飯を食べお風呂に入り、普通に寝た。はずだった。
私が寝ている間に何かが起きたのかもしれない。そう考えるのが妥当だ。
二人が深刻に悩む事を私は考えてみる事にした。
生活費が足りない。
いや、その可能性は低い。昨日は平気で今日いきなりお金が足りなくなるなんてまず起きない。
父の会社が倒産。
それもないだろう。小さな会社ではないし、それなりに世間に貢献している会社だ。
:11/09/16 00:29 :F06B :6HbZaJDc
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