悪魔と天使の暇潰し
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#103 [匿名]
「そういえば、最後に奥さんに何て耳打ちしたんだ?」
あいつが俺に質問をしてきた。
「ああ。旦那さんは奥さんに感謝してますよーって。旅行とか、プレゼントをあげたいって呟いていたので、奥さんからさりげなく何が欲しいかヒントをあげてください!」
「なるほど。それはいい。」
あいつが笑う。天使のくせに悪い笑顔で。
:11/05/23 11:45 :F06B :3LX4MsVg
#104 [匿名]
1つ目の暇潰し終わり。
:11/05/23 11:45 :F06B :3LX4MsVg
#105 [匿名]
2
一日目
「良いターゲット候補を見つけた。」
珍しく、あいつから暇潰しをしようと声をかけてきた。
いつになくご機嫌な様子だ。きっととんでもなく、ターゲットに相応しい人間が見付かったのだろう。
期待しながら下の世界を覗いた。
:11/05/30 15:24 :F06B :41UHEYEQ
#106 [匿名]
黒い細身のスーツを着た若い男だ。
スラッした体型に、柔らかそうな髪の毛。太陽の光で少し茶色く見えるが、黒髪だ。
顔は整っている。誰がどう見たって、綺麗な顔立ちだと認めるだろう。
それなのに、暗い影が見えた。普通の若者のはずなのに、普通ではない空気が、その男の周りには漂っている。
:11/05/30 15:40 :F06B :41UHEYEQ
#107 [匿名]
「あの男、君に似ていると思わないか?」
「俺に?」
あいつにそんな事を言われ、改めて男を見た。
「あの人間悪魔みたいだ。そう思わないか?」
確かに。
俺と似ている。だけど、
「俺の方がかっこいいだろ!」
:11/05/30 15:49 :F06B :41UHEYEQ
#108 [匿名]
「まあ、あの人でいいよね?次のターゲット。」
俺の主張は軽く流され、そしてターゲットが決まった。
人間の歳で言ったら、俺達とターゲットは同じくらいの年代。楽しみだ。
「じゃあ早速!」
誰に言った訳でもない。ただの自分の気持ちと行動の確認だ。
:11/05/30 21:13 :F06B :41UHEYEQ
#109 [匿名]
下に降りると、そこは人混み。
ここは渋谷という所らしい。派手な格好をした若者がうようよといる。
「人混みは嫌いだ。」
俺の隣から聞き慣れた声。あいつもついてきていた。
「何で一緒なんだよ。」
「今回は一緒の方がいいと思ってね。」
表情を変えずに、人を上手く避けながら歩くあいつが、何だかむかつく。
:11/06/01 14:51 :F06B :FrXz0ia2
#110 [匿名]
こいつに構っていたら、ターゲットを見失ってしまう。それほどの人混みだったから、すぐに目線を前方に戻した。
人間5人分程先を歩くターゲットは、この人混みに慣れている様だ。
事件は突然だった。
きっと周りの人間は驚いただろう。
俺達の前にいた小太りなサラリーマンが倒れた。
:11/06/01 14:53 :F06B :FrXz0ia2
#111 [匿名]
落ちているゴミにつまずいたのではない。脂肪のついた腹が邪魔で、脚が絡まったわけでもない。
刺されたのだ。
綺麗に心臓を刺されている。もう死んだだろう。
ターゲットは人が刺されたというのに興味も示さず、さっきと変わらないペースで歩いて行く。
:11/06/01 14:54 :F06B :FrXz0ia2
#112 [匿名]
「あいつ何者だ?」
「さぁ?とりあえず追い掛けよう。」
ターゲットは駅に向かっていた。
さっき倒れた男の周りには、人が円を作って見ていた。交差点内だっていうのに、人はそこから退こうとしない。
何が起こっているのか分からない車の運転手は、何度もクラクションを鳴らしている。
騒がしい。
:11/06/01 14:56 :F06B :FrXz0ia2
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