悪魔と天使の暇潰し
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#198 [匿名]
「おい、俺にも何か武器くれよ!」
いくらなんでも死ぬまで人間を殴ったりはしたくない。そんな悪趣味は俺にはない。
「しょーがねーな。」
ほらっとターゲットがナイフを放り投げた。仕事がないのに二本も隠し持っているとは、殺し屋は大変だ。
「やるぞ!」
スーツ男達が武器を見て立ち止まり戸惑っている今、こっちから仕掛けた方が有利になる。
とりあえず刺されないようにしよう。俺は刺されても死なないんだから、こんな所でターゲットに、その点を怪しまれたくはない。
:11/07/20 15:08 :F06B :Vta.hKMw
#199 [匿名]
俺がそんな心配をしていると、ターゲットは地面を蹴り、スーツ男達目掛けて走った。
まずは一人目。
一番ターゲットの近くに居た男。いきなり自分に向かって勢いよく走り寄ってきたターゲットの速さに、ついていけていない。
あっという間に首を切られ倒れた。
血が噴き出し、周りのスーツ男達に飛び散る。
その後ろに立っていた男が二人目。前の男が呆気なく倒れ、ターゲットと目が合う。
咄嗟に鉄パイプを大きく振り上げターゲットの頭を狙った。
それがいけなかった。ターゲットはまた地面を蹴り、一歩でその男の懐に入り、左胸を刺した。
そして引く抜く。男は後ろに倒れた。
:11/07/21 15:51 :F06B :7xgv.6LI
#200 [匿名]
ターゲットが、ただのナンパ野郎だと思っていたスーツ男達は怯んだ。
そりゃそうだ。
ターゲットは普通の若者にしか見えない。ちょっと顔がいいからって女を弄ぶ男そのものだ。
それが蓋を開けてみたら、この有り様だ。
一般人を殺すと脅し、痛め付けるだけ痛め付けて、もう俺の女に近づくな!とでも言いたかったのだろう。
やっぱり同情してしまう。可哀想なスーツ男達。
:11/07/21 15:52 :F06B :7xgv.6LI
#201 [匿名]
ターゲットの様子を見ていた俺を、スーツ男達が十人程囲んでいた。
「よそ見してていいのか?」
「こうなったら殺すしかない!」
などと口々に話している。やっぱり殺すつもりは元々なかったみたいだ。
ナイフを持っている者がたったの三人で、他は鉄パイプやバットを持っている。
先にその危ない三人を殺そう。ちょうどナイフを持った三人は俺の目の前に並んでいた。これは一気に殺すのに最適だ。
今ターゲットが一人目を殺したやり方をマネしてみた。
:11/07/22 22:33 :F06B :f4Qhwrxk
#202 [匿名]
地面を蹴り、真ん中の男に突っ込む。ターゲットよりもスピードは早い自信があった。
その結果、男は抵抗する事も出来ない内に、俺に首を切られ倒れた。
血が少し顔にかかった。
最悪。
「この野郎!」
右の男が俺の腹を刺そうとナイフを下の方に構えた。左の男も同じ様にナイフを下の方で構え、俺にぶつかろうとしている。
そんな二人の間にいる俺は、右の男を殺そうと向きを変えていたので、前後を挟まれている形となった。
:11/07/22 22:38 :F06B :f4Qhwrxk
#203 [匿名]
このままだと腹と背中を同時に刺されてしまう。
だが、タイミングを逃さなければ、楽に二人は死んでくれる。
前後にあるナイフが皮膚に当たるか当たらないかの際どい瞬間を、俺は狙っていた。
着ている洋服にナイフが触れた瞬間、俺は体を横にずらした。ギリギリだったため、転んだように手を地面についたが、その瞬間苦しそうな声が二つ聞こえた。
俺を刺そうとした男二人は、俺がいきなりいなくなるもんだから、勢いを抑えきれずお互いを刺してしまった。
:11/07/22 22:47 :F06B :f4Qhwrxk
#204 [匿名]
「うっ…」
苦しそうに倒れる二人はまだ息をしている。
「ごめんなー。苦しい思いさせて。すぐ楽にしてやるから」
これは俺の本心だ。
膝をつき、ブスッと一発心臓を刺してやった。
また血が飛び散る。こんな経験は初めてだ。
立ち上がりながら、右の頬についた血を左手の甲で拭う。血が拭えるどころか、伸びているのが見なくても分かった。
:11/07/22 22:52 :F06B :f4Qhwrxk
#205 [匿名]
俺が立ち上がるとすぐに、ナイフ男三人の穴はまた新たな円陣を組む事によって埋められた。
七人の輪の中に俺がいる。
「もう許さねーぞ!」
誰も許してなんて言ってない。
「本気出してやる!」
出した所で状況は変わらないのに。
「お前らは本気で俺達を怒らせたみたいだな!」
俺は自分の身を守っただけだ。
「なめられたもんだぜ!」
それはお前らが馬鹿すぎるのが悪い。
:11/07/25 19:36 :F06B :MpkiitL6
#206 [匿名]
一通り心な中で受け答えをしてから、ターゲットの様子を見た。
無我夢中でスーツ男達を切りつけている姿があり、倒れて動いていないスーツ男が明らかに増えていた。
心配はないだろう。
「お友達の心配してる暇があんなら、自分の心配しろよな!」
叫び声が背後から聞こえ、振り返るとすぐ側にスーツ男が一人立っていた。
両手で持ったバットが高らかに上げられ、今まさに降り下ろした瞬間だった。
:11/07/25 19:40 :F06B :MpkiitL6
#207 [匿名]
きっと普通の人間だったら、避けきれずに殴られ死ぬだろう。
だが、何度でも言うが、俺は悪魔だ。その降り下ろす速度も、遅くて遅くて待ちきれないくらいだ。
教えてやりたい。
俺は人間ではない。悪魔なんだよ、と。
だからそんなに頑張って殺そうとしても、無駄だ、と。
避けようかどうしようか悩み、避けるのはつまらないと結論が出た。
:11/07/25 19:43 :F06B :MpkiitL6
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