悪魔と天使の暇潰し
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#200 [匿名]
ターゲットが、ただのナンパ野郎だと思っていたスーツ男達は怯んだ。
そりゃそうだ。
ターゲットは普通の若者にしか見えない。ちょっと顔がいいからって女を弄ぶ男そのものだ。
それが蓋を開けてみたら、この有り様だ。
一般人を殺すと脅し、痛め付けるだけ痛め付けて、もう俺の女に近づくな!とでも言いたかったのだろう。
やっぱり同情してしまう。可哀想なスーツ男達。
:11/07/21 15:52 :F06B :7xgv.6LI
#201 [匿名]
ターゲットの様子を見ていた俺を、スーツ男達が十人程囲んでいた。
「よそ見してていいのか?」
「こうなったら殺すしかない!」
などと口々に話している。やっぱり殺すつもりは元々なかったみたいだ。
ナイフを持っている者がたったの三人で、他は鉄パイプやバットを持っている。
先にその危ない三人を殺そう。ちょうどナイフを持った三人は俺の目の前に並んでいた。これは一気に殺すのに最適だ。
今ターゲットが一人目を殺したやり方をマネしてみた。
:11/07/22 22:33 :F06B :f4Qhwrxk
#202 [匿名]
地面を蹴り、真ん中の男に突っ込む。ターゲットよりもスピードは早い自信があった。
その結果、男は抵抗する事も出来ない内に、俺に首を切られ倒れた。
血が少し顔にかかった。
最悪。
「この野郎!」
右の男が俺の腹を刺そうとナイフを下の方に構えた。左の男も同じ様にナイフを下の方で構え、俺にぶつかろうとしている。
そんな二人の間にいる俺は、右の男を殺そうと向きを変えていたので、前後を挟まれている形となった。
:11/07/22 22:38 :F06B :f4Qhwrxk
#203 [匿名]
このままだと腹と背中を同時に刺されてしまう。
だが、タイミングを逃さなければ、楽に二人は死んでくれる。
前後にあるナイフが皮膚に当たるか当たらないかの際どい瞬間を、俺は狙っていた。
着ている洋服にナイフが触れた瞬間、俺は体を横にずらした。ギリギリだったため、転んだように手を地面についたが、その瞬間苦しそうな声が二つ聞こえた。
俺を刺そうとした男二人は、俺がいきなりいなくなるもんだから、勢いを抑えきれずお互いを刺してしまった。
:11/07/22 22:47 :F06B :f4Qhwrxk
#204 [匿名]
「うっ…」
苦しそうに倒れる二人はまだ息をしている。
「ごめんなー。苦しい思いさせて。すぐ楽にしてやるから」
これは俺の本心だ。
膝をつき、ブスッと一発心臓を刺してやった。
また血が飛び散る。こんな経験は初めてだ。
立ち上がりながら、右の頬についた血を左手の甲で拭う。血が拭えるどころか、伸びているのが見なくても分かった。
:11/07/22 22:52 :F06B :f4Qhwrxk
#205 [匿名]
俺が立ち上がるとすぐに、ナイフ男三人の穴はまた新たな円陣を組む事によって埋められた。
七人の輪の中に俺がいる。
「もう許さねーぞ!」
誰も許してなんて言ってない。
「本気出してやる!」
出した所で状況は変わらないのに。
「お前らは本気で俺達を怒らせたみたいだな!」
俺は自分の身を守っただけだ。
「なめられたもんだぜ!」
それはお前らが馬鹿すぎるのが悪い。
:11/07/25 19:36 :F06B :MpkiitL6
#206 [匿名]
一通り心な中で受け答えをしてから、ターゲットの様子を見た。
無我夢中でスーツ男達を切りつけている姿があり、倒れて動いていないスーツ男が明らかに増えていた。
心配はないだろう。
「お友達の心配してる暇があんなら、自分の心配しろよな!」
叫び声が背後から聞こえ、振り返るとすぐ側にスーツ男が一人立っていた。
両手で持ったバットが高らかに上げられ、今まさに降り下ろした瞬間だった。
:11/07/25 19:40 :F06B :MpkiitL6
#207 [匿名]
きっと普通の人間だったら、避けきれずに殴られ死ぬだろう。
だが、何度でも言うが、俺は悪魔だ。その降り下ろす速度も、遅くて遅くて待ちきれないくらいだ。
教えてやりたい。
俺は人間ではない。悪魔なんだよ、と。
だからそんなに頑張って殺そうとしても、無駄だ、と。
避けようかどうしようか悩み、避けるのはつまらないと結論が出た。
:11/07/25 19:43 :F06B :MpkiitL6
#208 [匿名]
見上げると、バットが俺の頭を真っ直ぐに狙っている。
あと20センチでぶつかる。俺は右手を頭の上で構えて、バットが手に当たるのを待った。
音は鳴らなかった。
俺の掌にバットが当たり、それを握る。
「こんなんで俺が殺せるとでも思ったのか?」
俺がそう言うと、スーツ男の顔が青ざめていった。
笑みすら浮かんでいた表情が、パッと強張った。
「なめられたもんだぜ」
このセリフは俺にこそ相応しい。スーツ男達が言ったところで、ただの勘違いだ。
:11/07/25 19:46 :F06B :MpkiitL6
#209 [匿名]
バットをスーツ男から奪った。驚くほど簡単に、バットを手放すものだから拍子抜けしてしまう。
武器が二つになった。
右手で奪ったバットを左手に持ち替え、ナイフを右手に持つ。
「どっからでもかかってこいよ!」
勇者にでもなった気分だ。
血の気の引いたスーツ男達が束になって攻撃をしてきた。
一人では勇気が出なくても、大勢になれば気が大きくなる人間そのもの。ださくてこっちが恥ずかしくなる。
:11/07/25 20:00 :F06B :MpkiitL6
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