悪魔と天使の暇潰し
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#316 [匿名]
「その人の事、もしかして知っているんですか?」
私にはそう感じた。相手にしなければ何の問題も無いと分かっている様な。
「え…知らない、ですよ?今あなたに初めて聞いて知りました」
「そうですか」
とだけ返事をしたが、もやもやした物が心に残った。この天使さんがあの悪魔さんとぐるだったら、私は人を信じられなくなりそう。
「でも本当に、気にしない方がいいですよ。くだらない悪戯だと思いますから」
天使さんが微笑む。
:11/08/30 23:23 :F06B :2sQh1hF.
#317 [匿名]
「ありがとうございます」
私はお礼をした。すると天使さんは少し堅い表情になった。
「…やっぱり、死にたいと思いますか?」
「死にたいか?」
「はい」
天使さんの問いに私は答えられなかった。たとえ死にたいと言っても、天使さんはそれを許してはくれないだろう。
きっと優しい言葉で、私の暗い気持ちをうやむやにしてくれる。
だけど、いつか私は気が付く。どうしてあの時死ななかったんだろう、と。
:11/08/30 23:25 :F06B :2sQh1hF.
#318 [匿名]
そんな事を考えてしまうなんて、本気で私は、死にたいと思っているのかもしれない。
今は何の為に生きているのか分からない。
守が居た頃は、雨が止むだけで嬉しかった。朝食の目玉焼きが綺麗に焼けるだけで、今日一日絶対良い事が起こる!そう思えた。
守が側で笑っているだけで無敵だって思えたし、優しく、そして強くなる事が出来た。
:11/08/30 23:30 :F06B :2sQh1hF.
#319 [匿名]
それなのに今は――
「守さんの声、僕が変わりに聞いてきます!」
黙って下を向いてしまった私に、天使さんは力強く言った。
「聞く?」
「はい!それからでも遅くないと思いますから、だから、その…死ぬなんて今は考えないでください!…明後日!明後日に伝えに来ますから!」
「はい」
天使さんの必死さに圧倒されてしまった。
:11/08/30 23:32 :F06B :2sQh1hF.
#320 [匿名]
「またすぐ意味わかんねぇ話信じて!ちょっと考えれば怪しいって思うだろうが、普通!」
そう怒鳴る守が頭に浮かぶ。
そう言われる度にシュンとして、そうだよね。と落ち込むのが私だったけれど、何故か今回は、でも!と反論出来る気がする。
私は信じる準備をしていた。
守の言葉を、私はすぐに守だと確信出来る。
守じゃない他の誰かの言葉なら、すぐに見抜く自信がある。
私は、守をただ信じて生きてきた。
:11/08/30 23:34 :F06B :2sQh1hF.
#321 [匿名]
気が付くと、天使さんは居なくなっていた。きっと仕事に向かったのだろう。
そして天使さんの変わりに、悪魔さんが居た。
「あいつに騙されんなー」
そう言ってきた。
「やっぱ、知り合いなんですか?」
「…いや、知らねぇけど」
「そうですか」
「おう。ただ俺はあいつが嫌いだな!」
「何でですか?」
:11/09/01 21:31 :F06B :.omrXM3k
#322 [匿名]
「なんか、なんかむかつく!」
悪魔さんの顔が、サッカーボールを取り上げられて、ふてくされた子供みたいになるので、私は思わず笑ってしまった。
「てめぇ何笑ってんだよ!」
「いえ、すみません」
私が謝ると、悪魔さんは見下す様に私を見た。
「とにかく、あいつの言葉に騙されんな!あいつは天使の仮面を被った冷血な天使みたいなもんだからな!」
「結局天使じゃないですか」
「…………」
:11/09/01 21:33 :F06B :.omrXM3k
#323 [匿名]
ハッとした悪魔さんの反応がまたしても可笑しくて、私は笑うのを堪えきれなかった。
「てめぇ覚えとけよ!」
そう言って悪魔さんは去って行った。
どうやら天使さんと悪魔さんは、ぐるで何かを企んでいるわけではなさそうだ。
何だか最近、この不思議な二人に会ってから、自分の中の何かが少しずつ変化していっている気がする。
それが何なのか、本当に変化しているのか、自分でもよく分からないけれど。
:11/09/01 21:34 :F06B :.omrXM3k
#324 [匿名]
でも確実に言える事は、私が今日笑えたという事。
天使さんの柔らかい笑顔を見た時と、悪魔さんの子供のような顔を見た時。
どうしてだろう?と悩みながら実家に向かったが、着く頃にも答えは全く出なかった。
「ただいまー」
鍵の閉まっていないドアを開け、誰の了承も無く玄関へと侵入した。実家の懐かしい香りを思いっきり吸い込み、いろいろと考える事を止めにしようと思った。
:11/09/01 21:38 :F06B :.omrXM3k
#325 [隆平]
まってます!
:11/09/07 10:41 :F09C :☆☆☆
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