2年A組
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#6 [我輩は匿名である]
次の日の放課後。
「…ねぇ、昨日の話聞いた?」
野球部の練習をベンチで見ながら、高校2年生の塩見彩は、同じ野球部マネージャーの青山美穂にぼそっと尋ねる。
「聞いたよ〜…怖いよねぇ」
「あの、女子高生が殺されてたってやつ?」
ボールを籠いっぱいに拾ってきた永井皐も、地面に籠を置いて話に入ってきた。
「そうそう。あの殺された子、私たち知ってるんだよね」
彩は浮かない顔で話す。
:11/07/20 17:55
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#7 [我輩は匿名である]
「私と彩ちゃん、中学2年の時、その子と同じクラスだったんだ」
彩に代わって、美穂が皐に言った。
「マジで?そりゃ気になるわな」
昨日の夜22時ごろ、細い路地裏で女子高生が殺害される事件があった。その女子高生は他校の生徒だが、現場からそう遠くもないこの高校でも今朝、各担任から注意を促された。
「な〜にサボってんだよ、お前ら」
話している間に休憩に入ったらしく、部員の菊池龍也が割って入ってきた。
「別にサボってないっつーの!」
:11/07/20 17:55
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#8 [我輩は匿名である]
「どう見てもサボってただろ!」
「…で、何喋ってたの?かなり暗い顔してたけど」
スポーツドリンクが入ったペットボトルを片手に、同じクラスの部員、内村誠も話に入ってきた。
「ほら、あの話だよ。小松さんが昨日…」
「あぁ、殺されてたってやつ?」
表情1つ変えずに、誠は地面に腰を下ろす。
「何、お前ら知り合いなの?」
龍也もしゃがみこんで尋ねる。
:11/07/20 17:56
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#9 [我輩は匿名である]
「うん。私と美穂とうっちー、中学の時クラス一緒だったんだよ。その子と」
「だからうっちーって呼ぶな」
彩と幼馴染の誠は、いつも通り嫌そうな顔で言い返してくる。彩は訂正する気はないのだが、わざわざ毎日ご丁寧に言い返すのだ。
「じゃあ“うっちゃん”にする?」
「…それも嫌だ」
「でも、何で死んじゃったんだろうね、小松さん」
「その子、何か恨まれるようなことしてたわけ?」
皐の問いに、彩と美穂と誠は顔を合わせる。
:11/07/20 17:56
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#10 [我輩は匿名である]
「まぁ…思い当たる事はあるな」
真っ先に口を開いたのは誠だった。
「何?」
出身中学校が異なるため事情を知らない皐と龍也は、そろって首をかしげる。
「いじめっ子だったんだよ。なんか、ちょっとでも気に入らない奴は無視したりするような。ギャルっぽいし、元々生理的に受け付けなかったけど、あれは特にやばかった」
誠はうんざりした顔で説明する。
「じゃあそのいじめられてた奴が犯人なんじゃねぇの?」
あまり物事を深く考えない性格の龍也は、誇らしげに言い張る。
:11/07/20 17:57
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#11 [我輩は匿名である]
「あんたホント単純だよね」
「うっせぇなぁ。だってそれが1番当たってそうじゃん!」
「おまけに…」
今度は彩が話す。
「そのいじめられてた子…うちのクラスの子なんだ」
彩と同じクラスの皐はきょとんとする。
「えっ誰!?」
「…言っちゃっていいのかなぁ?」
:11/07/20 17:57
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#12 [我輩は匿名である]
「あー、そいつあれだろ?小山かなんかって名前の」
ためらっている彩をよそに、龍也が先に声を上げた。
「言っちゃったし…」
「凛ちゃん!?あの子いじめられてたの?全然そんな感じには見えないけど」
皐はぽんと手をたたき、彩たちに尋ねる。
「いじめられてたって、何されたんだよ?」
:11/07/20 17:58
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#13 [我輩は匿名である]
「ん〜、ある日机が廊下に出てたり…」
「…あぁ…よくある話だね…」
「提出物がゴミ箱に入ってたり…」
「……ひでぇ…」
「何回も足ひっかけられてこけそうになったり…」
内容を聞いているうちに、皐と龍也の表情も曇ってきた。
話に出てきた小山凛は、現在彩、皐と同じクラスで、昼食を一緒に食べるほどの仲だ。至って普通の子で、容姿も成績も並み。
明るくて素直で、そこまで嫌われるような子ではない。
:11/07/20 17:58
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#14 [我輩は匿名である]
「でも、何で凛ちゃんがいじめられてたの?」
「それが…」
事情を話そうとすると、ちょうど休憩終了の笛が鳴った。
「ちっ、いいとこだったのに!誠、お前も知ってんだろ?続き教えて」
「はいはい後でな」
2人は立ち上がり、練習に戻っていった。
「…次なんだっけ?」
「ノックだよ。私たちも行かないと。後でまた続き話そ」
3人もぶつぶつ言いながら、ノックの球出しに向かった。
:11/07/20 18:00
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#15 [我輩は匿名である]
打者にボールを出しながら、彩はぼーっと考えていた。
誰が彼女を殺したのか。どうしてそんな事になったのか。
単純に考えれば、龍也の言う通り凛が犯人そうではある。しかし昨日、彼女はピアノのレッスンがあると言っていた。
ピアノのレッスン先も凛の家も、事件現場とは正反対の場所にある。レッスンに行かなかったとなれば話は別だが…。
今日、担任の口から当然凛も今回の事件の事を聞いたわけだが、他のクラスメイトと同じような反応を見せただけで、特に変わったようなことはなかった。
「(凛が犯人ってのは…ないと思うんだよなぁ…)」
「大丈夫か?」
頭上から声が降ってきた。顔を上げると、ノックの手を止めて誠がこちらを見下ろしている。
:11/07/21 20:54
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