2年A組
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#206 [我輩は匿名である]
「そんなに忙しそうにしてたの?刑事さん。何かわかったのかなぁ?」

「さぁ?でも、犯人かもしれない奴がわかったから、探してるって」

「マジで!?じゃあやっと終わんの!?やったー!」

皐がガッツポーズをする。

土谷が言っているのは、1週間前に誠が南里に言った葛城の事だろうか。まぁどちらにしろ、やっと警察が力を入れて動き出したのを聞いて、彩もようやく期待が持てる気がした。

⏰:11/11/26 21:07 📱:PC/0 🆔:RTHns4Yw


#207 [我輩は匿名である]
その日は予定通り、午前中で授業が終わった。

彩はいつも通り誠と一緒に家へと帰り、皐もぶらぶらと寄り道をして帰ろうとしていた。

美穂も1人、家への道を歩く。まだ外も明るいため、特に怖いとは思わない。

それでも、やっぱり早く帰った方がいいというのは頭の中に残っていたため、近道しようと、近所の公園を横切ろうと決めた。

公園に1歩踏み入った瞬間。誰かがぽんと、美穂の肩をたたいた。

完全に気を抜いていたため、美穂の背筋が一気に凍りつく。

⏰:11/11/26 21:07 📱:PC/0 🆔:RTHns4Yw


#208 [我輩は匿名である]
「青山?」

名前を呼ぶその声に、美穂は思わず振り返る。そこにいたのは、同じく学校帰りの龍也だった。

「寺田くんかぁ…」

美穂はこれ以上ない安堵のため息をつく。

「びっくりした…」

「え!?ごめん!全くそんなつもりなかったけど!」

龍也は慌てて謝る。

「塩見と内村が、危ないからって一緒に帰ってたからさ、…よかったら、近くまで送っていこうかなぁ、と、思って」

龍也は相当照れながら、途切れ途切れに美穂に言う。

⏰:11/11/26 21:08 📱:PC/0 🆔:RTHns4Yw


#209 [我輩は匿名である]
それを聞いて、美穂の表情がパッと明るくなった。

「本当!?ありがとう!!」

美穂の嬉しそうな笑顔に、龍也も笑って、2人並んで公園に入った。

「でも、寺田くんの家ってこっちだっけ?」

「え?いや、正反対だけど」

「良かったの?なんかごめんね、ついて来てもらっちゃって」

「え!?いいよいいよ!俺が勝手について来てるだけだし!」

「…ありがとう。寺田くん、パッと見怖いけど、優しいね」

⏰:11/11/26 21:08 📱:PC/0 🆔:RTHns4Yw


#210 [我輩は匿名である]
「(…パッと見は怖いのか、俺…)」

美穂の何気ない一言に、龍也は少し肩を落とす。

そんな事に気づかず、美穂は公園内を見渡す。いつもなら親子が遊んだり、主婦同士が楽しそうに話しているはずの公園だが、事件のせいかほとんど人影がない。

「…やっぱり、寺田くんに送ってもらってて良かった」

「何で?」

「この公園、本当はもっと人がいるの。でも、事件が起こってからは、ほとんど誰もいなくて…」

「そうなんだ。言われてみたら誰もいないな」

美穂に言われ、龍也も周りを見まわす。

「…あのさぁ、これから…何日か送っていってもいい?」

⏰:11/11/26 21:09 📱:PC/0 🆔:RTHns4Yw


#211 [我輩は匿名である]
龍也が緊張した面持ちで美穂に尋ねる。美穂はきょとんとした表情で龍也を見上げる。

「…どうして?」

「どうしてって……やっぱり、心配だから…さ」

珍しく、龍也が真面目な顔で言う。それを見た美穂も、少しドキッとして視線を落とす。

「…でも…危なくない…?」

「大丈夫だよ!俺狙われてないしさ!もし出て来やがったら、俺がとっつかまえてやるよ!」

龍也が力強く宣言する姿に、美穂は笑う。

「…じゃあ…お願いしてもいい?」

「おう!まかせとけ!」

⏰:11/11/26 21:10 📱:PC/0 🆔:RTHns4Yw


#212 [我輩は匿名である]
張り切ったように、龍也が言った直後。2人の背後からパチパチと拍手が聞こえた。

2人は同時に振り返る。そこにいたのは、1人の知らない男性。

黒い短髪で、笑顔で立っている。

「いやぁ〜頼もしいなぁ。かっこいいね、お兄さん」

「え、そう…かなぁ?」

「うんうん。じゃあ」

男性はポケットに手を入れ、何かを取り出す。それを見た瞬間、2人は動きを止めた。

⏰:11/11/28 21:54 📱:PC/0 🆔:gxp/Dz5.


#213 [我輩は匿名である]
彼が手に持っているのは、折り畳みの小型ナイフ。

「僕の事“とっつかまえて”見せてよ」

男性はにっこり笑った後、それを構えて2人に向かって来た。

「青山、ごめん!」

龍也はとっさに、美穂を強く突き飛ばした。

美穂は受け身をとる暇もなく、少し離れた地面に倒れ込む。

起き上がると同時に、今度は龍也の携帯電話が飛んできた。

「それで『土谷』って刑事に電話して!さっさと逮捕しに来いって!!」

⏰:11/11/28 21:54 📱:PC/0 🆔:gxp/Dz5.


#214 [我輩は匿名である]
「でも…!」

「早く!!」

龍也は言いながら、肩にかけていた鞄を手に持つ。

美穂は戸惑いながらも、言われたとおりに震える手で電話を掛ける。

「これは面白い」

男性は笑う。まるで、この時間を楽しんでいるかのように。

あの様子では、きっと自分も殺される。そう直感した龍也は、自分から飛び込んでいく。

「何だ?今忙しいんだが」

「刑事さん!?助けて!!私も寺田くんも殺されちゃう!!」

「…何?」

⏰:11/11/28 21:56 📱:PC/0 🆔:gxp/Dz5.


#215 [我輩は匿名である]
「この野郎!!」

男性のナイフに向かって、龍也が鞄を振り回す。

男性はそのすぐ手前で足を止め、当たらないように後ずさる。

「残念だったね!バット持ってたら勝てたかもしれないのに!」

「うるせえ!誰が負けたなんて言った!?」

言い返しながら、龍也は追い払うように鞄を振り回す。

これではナイフを出せないと思ったのか、男性はしばらく鞄を目で追う。

⏰:11/11/28 21:56 📱:PC/0 🆔:gxp/Dz5.


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