2年A組
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#41 [我輩は匿名である]
少しずつ、あの事件の事など忘れかけていた。
3日後の夜。
ある男子高校生3人が部活を終え、家路についていた。
背後から忍び寄る男の影にも気づかずに。
周りに人の気配はない。その上3人が大いに騒いでいるのを良い事に、男はニヤニヤした顔で、足音を立てずに男子高校生に近づいていく。
トントン。
誰かに後ろから肩をたたかれ、男子高校生の1人が振り返った。
:11/10/23 14:03
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:sgkwcQ9o
#42 [我輩は匿名である]
次の日の早朝。
その場所には、朝早いにもかかわらず、多くの警察と野次馬とマスコミが集まっていた。
胸部を刃物で1突きされた、3人の男子高校生の遺体が発見されたのだ。
土谷もその中に埋もれ、いかにも「面倒だ」と言わんばかりの顔で頭をかく。
またもや高校生。前の女子高生と関係があるのかはまだ不明だが、土谷にはなぜか、関係しているようにしか思えなかった。
「…何が起こってんだ…?」
:11/10/23 14:25
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#43 [我輩は匿名である]
彩たちの高校では、この事件の報告を受け、全校集会が開かれた。内容は思った通り、登下校時や外出時には不審者に注意するとか、夜は人通りの多い道を歩けとか、そんな話だ。
「そんな事言うんなら学校閉鎖とかしてくれたらいいのに」
「俺たちの学校で起きたんじゃねぇしなぁ」
クラスが隣同士で、たまたま列も隣になった皐と龍也が小声で愚痴りあう。
その傍では彩と美穂が浮かない顔で黙り込んでいる。
今回殺された3人もまた、中学2年の時の同級生だった。
明らかに自分たちが…中学時代の2年A組が標的にされている。彩はそう確信した。
徐々にうつむいてきた顔を上げ、少し前で誰とも話さずにじっと話を聞いている誠の背中を見つめる。
ただの単発事件だと思っていたようだった誠は、今はどう考えるのだろう。これでもまだ、「考えすぎだ」というのだろうか。
どうしてかわからないが、それが気になった。
:11/10/23 14:26
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#44 [我輩は匿名である]
「え〜!?」
ボーっとしていた彩は、急に周りが騒がしくなったのに気付いて我に返った。
「何だよそれ〜ありえね〜!」
斜め後ろの方から、龍也の野次る声が聞こえてくる。
彩はちょんちょんと、前に立っている凛の肩をたたく。
「凛ちゃん、校長先生何て言ったの?」
「“夜遅く帰宅するのを避けるため、すべての部活動を当分見合わせます”だって」
龍也が野次る理由がすぐにわかった。
:11/10/23 20:00
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#45 [我輩は匿名である]
しかし、彩としてはそっちの方がありがたかった。野球部はそこまで遅くはならなくても、帰るのが夜7〜8時になることもある。
本当に2年A組の生徒が狙われているのだとすれば、外にすら出たくない。
「彩ちゃん」
凛がこちらを向く。
「今日から一緒に帰っていい?…なんか、私怖くて」
「私も…怖い。しばらくは一緒に帰ろ」
彩は力なく笑い返す。
:11/10/23 20:00
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#46 [我輩は匿名である]
その際、さっきまで黙って前を向いていた誠が、少しだけ振り返ってこちらにを向けているのに気が付いた。
「?」
彩は「どうしたんだろう?」と視線を返すと、誠はそのまままた前を向いた。
たまに何を考えているのかわからない誠に、彩は首をかしげた。
:11/10/23 20:00
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#47 [我輩は匿名である]
その日の放課後。
彩は凛とともに帰路についていた。授業が終わってすぐの帰り道のため、まだ外は明るく、人通りも車の通りも多い。
「凛ちゃん…あの事件、どう思う?」
歩きながら、彩は静かに凛に尋ねた。
「どう…って?」
質問の内容が読めず、凛は聞き返す。
「なんか、うまく言えないけど…、私たちも狙われるんじゃないか…とか、思っちゃって」
:11/10/23 20:01
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#48 [我輩は匿名である]
彩は自分でも「ばかげている」と思いながらも、自分の不安を口にする。
凛はそれを聞いてしばし黙る。
おかしなことを言ったな。彩は少し後悔する。
「…私だけじゃなかったんだ。そう思ってるの」
凛は安心したように笑った。
「私もね、同じこと考えてたんだ。被害にあってるの、みんな中学の時の同級生じゃない?…一体何なんだろうって」
:11/10/23 20:01
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#49 [我輩は匿名である]
「(やっぱり、こう思う子もいるんだ)」
凛の言葉を聞いて、彩もほっとした。
男子3人が集団で殺されているのを考えると、女子2人で一緒に帰っていても大して安全ではないのだが、それでも同じ気持ちでいる友人が一緒なら、どこか心強い。
「じゃあ、私あっちだから」
凛は立ち止まり、自分の家がある方向を指さした。
「あっ、そうだったね。じゃあ、また明日」
彩と凛は手を振りあい、それぞれ自分の家へと向かって歩き出す。
:11/10/23 20:02
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#50 [我輩は匿名である]
話し相手がいなくなり、寂しさを感じながら歩いていると、彩はふと、誠と1人の男子高校生が話しているのを見つけた。
「(うっちーだ)」
誠は背中を向けているが、鞄についている熊のキーホルダーですぐにわかった。
あれは少し前に、彩が誕生日プレゼントで誠にあげたものだった。
見たところ、冗談を言い合っているような様子ではない。深刻そうな顔で、まじめな話をしているようだ。
よく見てみると、話し相手の男子高校生は彩も知っている人物だ。同じ中学の同級生だった、梶浦司だ。
思い返せば中学の時、誠と司は仲が良かった。司は別の高校に進学したが、今もちょくちょく会っているのは、彩も知っている。
彩は誠を盾にして司から見えないような位置から、足音を立てないようにそっと近づく。
:11/10/23 20:02
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