2年A組
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#155 [我輩は匿名である]
母親は少し考えた末、「すぐ帰ってくるのよ?絶対人通りが多いところだけを通りなさい」と了承してくれた。
「ありがとう!行ってきます!」
春香は大喜びし、鞄を持って家を飛び出す。
幸い、ここからCDショップまではそう遠くなく、大通りを通るので安全だ。
春香は久しぶりの外出に、なんとなく心躍らせながら歩く。
ただの買い物でこんなに開放感を覚えたことは、おそらく今までなかっただろう。
無事にCDショップに到着し、念願のCDを買った。
:11/11/16 21:38
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#156 [我輩は匿名である]
「(やっと買えたー♪)」
袋に入ったCDを大事そうに鞄に入れ、店を出る。
そこで、ふとあることを思いついた。
「(…せっかくだし、ちょっとだけ本屋にも行こうかな)」
そういえば、雑誌も買いたかったっけ。春香は迷ったが、どうせすぐそこだし、と歩を進める。
同じ大通りの、少し先に行ったところに本屋はある。
:11/11/16 21:38
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#157 [我輩は匿名である]
土曜日という事もあり、だいぶ混雑している。人をよけながらなんとか歩く。
「(あ、そういえば彩にメール送ろうと思ってたのに、すっかり忘れてた)」
ぼーっとしていると、突然全く関係の無い事を思い出すのは、よくある事である。
この間電話した時には、変な空気で終わり、ずっとそのままだった。
あの時、何て答えればいいのかわからなくて、黙り込んでしまった。きっと、彩は少なからず気にしているだろう。
「(帰ったらメール送ろう)」
そんな事を思っていると、向こうから歩いてきた男性にぶつかりそうになった。
「あっ…すみません」
目の前で止まったため、ぶつかりはしなかった。
:11/11/16 21:38
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#158 [我輩は匿名である]
「こちらこそ」
愛想よく、目の前の黒髪の男性が笑う。
ホッとして、春香も小さく笑い返す。
その直後。
胸元に鈍い痛みを感じた。
春香はどうしたんだろうかと視線を落とす。
そして、自分の目を疑った。
目の前の男性の手が見える。そしてそれに握られているナイフも、それが自分に突き刺さっているのも、そこから溢れ出る赤い液体も。
:11/11/16 21:39
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:1VbN4.DY
#159 [我輩は匿名である]
「心配しなくても、心臓に刺さってるからあんまり苦しまずに死ねるよ」
男性がにっこり笑う。
「バイバイ」
そして、素早くナイフを引き抜き、ポケットに入れた。
それ以上何も言えないまま、春香はその場に倒れ込む。
そうなってやっと、周りの人が気付いた。多数の悲鳴が上がり、騒然とし始める大通り。
男性は人の流れに乗り、その場から消えた。
こんなことなら、わざわざCDを予約なんてしなければよかった。期限が切れても、月曜日の学校帰りまで待てばよかった。薄れゆく意識の中で、春香は後悔した。
:11/11/16 21:40
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#160 [我輩は匿名である]
春香ちゃああん(;_;)
:11/11/16 21:45
:W62P
:cvuFfvFM
#161 [我輩は匿名である]
彩の携帯が鳴る。ディスプレイを見ると、南里からの電話だ。
「もしもし」
「あ…突然ごめんなさい。南里です」
「こんにちは」
この間の事は水に流すとするか。彩はいつものように挨拶する。
「塩見さん…あなた、長谷部春香さんととても仲が良かったそうね」
南里の声は、どことなく暗く聞こえる。
「え?はい、いつも一緒にいましたけど」
春香がどうかしたのか。彩は首をかしげる。
:11/11/22 19:27
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:tgc3i41M
#162 [我輩は匿名である]
「どうかしたんですか?」
「………亡くなったわ」
南里のその一言に、彩は思わず息を止める。
一瞬、彼女が何を言ったのかわからなくなった。意味が分からなかった。
「…いつ…?」
「今日の昼、13時半頃です」
「どこで?どうして!?」
彩は全然信じられず、ただ何度も問いかける。
:11/11/22 19:27
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#163 [我輩は匿名である]
「…駅前の国道です。歩道で、…胸部を一突きされて」
彩は全身の力が抜け、あやうく携帯電話を落としそうになった。
また事件の被害者が増えた。1人ずつ、自分の周りの人間が消えていく。彩はもう、我慢できなくなった。
「…どこですか?」
「…何がです?」
「…春香がいるところ」
彩は南里から、春香の遺体が近くの警察病院に搬送されたことを聞いた後、すぐに電話を切って家を飛び出した。
:11/11/22 19:28
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#164 [我輩は匿名である]
外に出るのが怖いなど、今はこれっぽっちも思わなかった。
「塩見!」
マンションを出たところで声がした。向かいのマンションを見上げると、3階のベランダから誠が顔を出している。
「どこ行くんだよ?もう暗くなるぞ」
「…春香が…」
「…聞こえないから降りる。ちょっと待ってろ」
誠はそう言うと、いったん姿を消し、すぐにマンションから出てきた。
:11/11/22 19:28
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