2年A組
最新 最初 全 
#175 [我輩は匿名である]
怒り、恐怖、悲しみ…。いろいろな感情が入り混じって、彩はぼろぼろと泣きながら息を切らす。
しかし、それでも再度、南里や土谷をきつく睨みつける。
「…私はもう、警察なんか信用しない。もうあんた達なんかに頼らない!」
叫ぶように言うと、彩は土谷を突き飛ばして外へと走り出した。
誠たちもそれを追って病院を出て行った。
:11/11/22 19:33
:PC/0
:OPGn0BSU
#176 [我輩は匿名である]
壁にもたれかかったまま、南里は下を向いて黙り込む。
土谷も苛立ったように頭を掻き、ため息をつく。
「…あの子の言う通りですね」
南里は笑って言う。しかし、その目にもうっすらと涙が見えた。
「本当…私は何をしているんでしょうね…。…こんな事では…警視庁捜査一課なんてとても名乗れませんよね」
力なく話す南里に、土谷は何も言えず、ただ黙って彼女を見つめる。
:11/11/22 19:34
:PC/0
:OPGn0BSU
#177 [我輩は匿名である]
「…すみません。…今泣きたいのは、私なんかじゃないのに…」
南里はそう言いながら、何度も涙をぬぐった。
「…そう思うなら、行こうぜ。俺たちには、泣いてる暇なんかねぇよ」
「…はい」
そう言うと、2人は黙って歩き出した。
:11/11/22 19:34
:PC/0
:OPGn0BSU
#178 [我輩は匿名である]
「塩見!」
誠が追いつき、彩を止める。
彩はやっと、脱力したように足を止めた。
「もう嫌だ…」
彩は両手で顔を覆い、泣きじゃくり始めた。
「何でこんな事になっちゃったの…?何で私たちがこんな目に遭わなきゃいけないの!?私たちは何もしてないのに!」
怒りの矛先をどこにも向けることができず、彩はやるせなくなって誠の胸にもたれる。
誠は何も言わずそれを受け止め、黙って泣き続ける彼女をじっと見つめる。
2人の様子を、皐は1人、複雑な気持ちでそれを見た後、音を立てずにその場を後にした。
:11/11/22 19:34
:PC/0
:OPGn0BSU
#179 [我輩は匿名である]
次の日。いまだに何も考えられず、ベッドで膝を抱えて座っている彩のもとに、出かけるような格好をした母親がやってきた。
「彩、お母さんちょっと学校行ってくるから」
「…何で?」
どうして急に。彩は少し顔を上げる。
「緊急の保護者会でね。『いつまで授業を中止したままなのか』って抗議する親が増えてるから、話し合うらしいのよ」
「は…?」
彩は愕然とする。昨日にもあんな事件が起きたばかりなのに、授業うんぬん言っている場合か。
「だから、家から一歩も出ちゃだめよ。終わったらすぐ帰ってくるから」
母親は心配そうにそう言って出かけて行った。
:11/11/24 23:49
:PC/0
:Oj25pFvo
#180 [我輩は匿名である]
彩はその親たちの思考が理解できず、憤ったように手を握り締める。しかし、少ししてそれをほどいた。
確かに、皐や龍也のように、事件に関係しない生徒からすれば迷惑な話だろう。その親たちだって、授業が進まないことに怒り出すのも無理はない。
どんどん狂っていく。自分の周りの環境も、人間たちも、自分も。彩はまた、膝を抱える。
どうすればこの事件が終わるのだろう。
ボーっとそればかり考えていると、彩はふと、ある事を思い出した。
『次は誰だと思う?』
いつしか、誠が司と話している時に聞こえた言葉。
:11/11/24 23:49
:PC/0
:Oj25pFvo
#181 [我輩は匿名である]
もしかしたら誠は、この事件について何か知っているのかもしれない。
彩は誠に電話を掛ける。
「もしもし」
いつもの声で、誠が電話に出る。
「…うっちーさぁ」
彩は暗い声のまま、単刀直入に言う。
「この事件の事、何か知ってるよね」
「…は?」
急によくわからない質問をされ、誠が思わず聞き返す。
:11/11/24 23:49
:PC/0
:Oj25pFvo
#182 [我輩は匿名である]
「どういう意味?」
「ちょっと前、梶浦君と事件の事話してたでしょ?…何か知ってそうだったから」
「別に…何も知らねぇよ」
「『次は誰だと思う?』って、この事件が続く事知ってたじゃない」
彩が言うと、図星だったのか、誠が黙り込んだ。
やっぱり。彩は確信し、彼の返事を待つ。
「…何となく、続きそうな気がしただけだよ」
「“気がした”だけで、あんな真面目そうな顔で喋る?うっちーはともかく、梶浦君があんなに真面目そうに話すのって初めて見たよ?」
:11/11/24 23:50
:PC/0
:Oj25pFvo
#183 [我輩は匿名である]
「お前が初めてなだけだろ」
「…何で教えてくれないの?」
彩はより低い声で問い詰める。
「私だって…私だってこんな事件、さっさと終わってほしい…!終わらせれるなら終わらせたい!警察が信用できないなら、私たちが自分でどうにかしなきゃ!私たち、いつ死んじゃうかわからないんだよ!?」
「わかったから、ちょっと落ち着けよ」
焦りからか、どんどん止まらなくなり始めた彩を誠が止める。
誠に言われ、彩はやっと口を閉じる。ここまで口に初めて、自分がここまで追い詰められていたことに気が付く。
以前から恐怖は抱いていたが、春香が亡くなったことで、さらにそれが膨らんできている。
:11/11/24 23:50
:PC/0
:tI5MkzOk
#184 [我輩は匿名である]
「…もう一回言うけど、俺も司も、事件の事は何も知らない。ただ調べてるだけで」
「…何を調べてるの?」
「…誰にも言うなよ。下手すると狙われるかもしれないから」
『狙われるかもしれない』。その一言に、彩は躊躇する。
誰かに言うつもりはないが、どんな情報なのかと思うと、自然と心拍数が上がる。
「…うん」
彩は決心して、大きく頷く。
「…何年か前、この辺で殺人事件があったの覚えてるか?刃物で刺されて十何人かが殺されたやつ」
:11/11/24 23:51
:PC/0
:tI5MkzOk
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194