2年A組
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#212 [我輩は匿名である]
張り切ったように、龍也が言った直後。2人の背後からパチパチと拍手が聞こえた。

2人は同時に振り返る。そこにいたのは、1人の知らない男性。

黒い短髪で、笑顔で立っている。

「いやぁ〜頼もしいなぁ。かっこいいね、お兄さん」

「え、そう…かなぁ?」

「うんうん。じゃあ」

男性はポケットに手を入れ、何かを取り出す。それを見た瞬間、2人は動きを止めた。

⏰:11/11/28 21:54 📱:PC/0 🆔:gxp/Dz5.


#213 [我輩は匿名である]
彼が手に持っているのは、折り畳みの小型ナイフ。

「僕の事“とっつかまえて”見せてよ」

男性はにっこり笑った後、それを構えて2人に向かって来た。

「青山、ごめん!」

龍也はとっさに、美穂を強く突き飛ばした。

美穂は受け身をとる暇もなく、少し離れた地面に倒れ込む。

起き上がると同時に、今度は龍也の携帯電話が飛んできた。

「それで『土谷』って刑事に電話して!さっさと逮捕しに来いって!!」

⏰:11/11/28 21:54 📱:PC/0 🆔:gxp/Dz5.


#214 [我輩は匿名である]
「でも…!」

「早く!!」

龍也は言いながら、肩にかけていた鞄を手に持つ。

美穂は戸惑いながらも、言われたとおりに震える手で電話を掛ける。

「これは面白い」

男性は笑う。まるで、この時間を楽しんでいるかのように。

あの様子では、きっと自分も殺される。そう直感した龍也は、自分から飛び込んでいく。

「何だ?今忙しいんだが」

「刑事さん!?助けて!!私も寺田くんも殺されちゃう!!」

「…何?」

⏰:11/11/28 21:56 📱:PC/0 🆔:gxp/Dz5.


#215 [我輩は匿名である]
「この野郎!!」

男性のナイフに向かって、龍也が鞄を振り回す。

男性はそのすぐ手前で足を止め、当たらないように後ずさる。

「残念だったね!バット持ってたら勝てたかもしれないのに!」

「うるせえ!誰が負けたなんて言った!?」

言い返しながら、龍也は追い払うように鞄を振り回す。

これではナイフを出せないと思ったのか、男性はしばらく鞄を目で追う。

⏰:11/11/28 21:56 📱:PC/0 🆔:gxp/Dz5.


#216 [我輩は匿名である]
そして、何度か龍也の攻撃をかわした後、ナイフを持っていない方の手を出した。目の前に来たところで、その手は鞄を掴む。

「ワンパターンだと読まれちゃうよ?」

男性の言葉にぎょっとして、龍也は素早く手を離す。

男性は邪魔だと言わんばかりに鞄を遠くに放り投げ、再びナイフを構える。

「(やべぇ…手で止めるしかない!)」

野球で鍛えた自分の反射神経を頼りに、龍也は身構える。

⏰:11/11/28 21:56 📱:PC/0 🆔:gxp/Dz5.


#217 [我輩は匿名である]
「高校生2人がナイフ男に襲われてる!!おそらく例の連続殺人だ!!」

一方、美穂から通報を受けた土谷が、警察署内で声を張り上げる。その声に、南里を含めた捜査員たちが動きを止めて土谷を見る。

「行くぞ!今度こそ捕まえる!!」

「はい!!」

全捜査員が、一斉に部屋を出ていく。

南里は土谷に駆け寄ってくる。

「“襲われてる”って…?」

⏰:11/11/28 21:57 📱:PC/0 🆔:AQY0ejrw


#218 [我輩は匿名である]
「青山美穂と寺田龍也が帰ってたところに、奴が出てきたってよ!今龍也が止めてるらしい!」

自分たちも走りながら話す。

「犯人は!?」

「“黒い髪の男”らしい!おそらく…」

「葛城…!?」

南里が信じられないという顔をする。これでは誠の推測どおりではないか。

「絶対に止めるぞ!関係ない奴まで死なせてたまるか!!」

怒りと苛立ちのこもった表情で、土谷はパトカーの運転席に乗り込み、ドアを閉めた。

⏰:11/11/28 21:57 📱:PC/0 🆔:AQY0ejrw


#219 [我輩は匿名である]
電話を終えた美穂は、龍也の背中を見て震えていた。

龍也と男性が接触したように見え、龍也の足の間からぽたぽたと血液が滴り落ちてきているのが見える。

「寺田くん!!」

「…ってぇなあ!!!」

美穂が叫んだのとほぼ同時に、龍也も怒鳴り声をあげて男性を蹴り飛ばした。

怯んでいたのか、男性はよろけて倒れ込む。そのうちに、彼の手から離れたナイフを公園の溝めがけて蹴る。

ナイフは狙い通り、公園の端にある溝に落ちた。

それを確認してから、龍也が美穂に駆け寄る。見ると、ナイフは龍也の体に刺さったわけではなさそうだ。

⏰:11/11/28 21:58 📱:PC/0 🆔:AQY0ejrw


#220 [我輩は匿名である]
その代わり、龍也の両手が血に染まっている。

「寺田くん!その手…」

「手なんかどうだっていいから!早く逃げろ!!」

「無理だよ!!」

完全に腰が抜けてしまっているのと、龍也を置いていけない気持ちで、とても逃げれるような状態ではない。

その美穂の視界の端に、起き上がって立っている男性の姿が映る。

「寺田くん!後ろ!!」

美穂の声に、龍也が振り向く。

⏰:11/11/28 21:58 📱:PC/0 🆔:AQY0ejrw


#221 [我輩は匿名である]
しかしすでに、男性は龍也の目の前まで迫っていた。その手には、さっきの物は別のナイフ。

もうだめだ。龍也は腹をくくり、血だらけの両手を構える。

その直後。さっきよりもぴったりと接触する龍也と男性をみて、美穂は息を止めた。

男性が小さく笑う。

「余計なことするから、変なところに刺さっちゃったじゃないか。一息で死なせてあげようと思ったのに」

「…あんまり調子乗んじゃねぇぞ…」

自分の左下腹部に突き刺さったナイフを見てから、龍也は男性をにらみつける。

⏰:11/11/28 21:59 📱:PC/0 🆔:AQY0ejrw


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