2年A組
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#225 [我輩は匿名である]
今まで余裕の笑みを見せていた男性の顔から、笑顔が消える。
そして、諦めたようにため息をついた。
「…そうだね、僕の負けだ。…格好良かったよ、君」
負けを認めた男性を見て、龍也は笑って、男性から手を離した。
男性は龍也の服を掴み、彼の体からナイフを抜いて、ゆっくり地面に座らせる。
しかし、もう龍也の体には力が入らず、糸が切れた操り人形のようにその場に倒れ込んだ。
それを見てやっと、美穂はハッと我に返り、龍也のそばに来て彼を抱きかかえる。
:11/11/28 22:00
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#226 [我輩は匿名である]
大きくなっていたサイレンの音が一斉に止まる。
目の前の道から、土谷や南里たちがピストルを手に走ってきた。
「寺田くん!刑事さん来てくれたよ!!」
目を閉じて息を切らす龍也に、美穂が必死に呼びかける。
すると、龍也がうっすらと目を開けた。
「……遅かったじゃねぇか…おっさん…」
:11/11/28 22:01
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:AQY0ejrw
#227 [我輩は匿名である]
土谷たちは現場に到着し、その状況を目にして呆然とした。
葛城の手に握られた、真っ赤なナイフ。シャツを真っ赤に染めてぐったりしている龍也。それを抱きかかえ、泣いている美穂。
何が起きたのか、誰でもわかった。
「遅かったね。もうちょっと早ければ、この子助かったかもしれないのに」
「葛城…貴様ああああ!!」
土谷は目を血走らせ、持っていたピストルを構える。
しかし、引き金に手をかけたところで葛城が口を開いた。
:11/11/28 22:01
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#228 [我輩は匿名である]
「僕を撃っていいの?」
違う道からも挟み撃ちにするように走ってきた刑事たちにも聞こえるように、葛城が言う。
「僕をここで撃ち殺せば、唯一の“捜査資料”が無くなるよ?何も掴んでないあんた達にとって、僕の自供には重要な意味があるよね?それでもいいのかな?」
それを聞いて、土谷は歯を食いしばり、手を震わせる。
「土谷警部、…銃を下ろしてください」
悔しそうな顔で、南里が土谷に言う。
土谷が銃を下ろしてから、葛城が笑みを浮かべながら話を始めた。
:11/11/28 22:02
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#229 [我輩は匿名である]
「この子が頑張ったから、あんた達にも教えてあげるよ。1回しか言わないからよく聞きなよ。
まず言っとくけど、僕を捕まえてもこの事件は終わらない。わかってるだろうけど、僕の他にもいるからね、犯人」
「…それは、3件目の犯人の事?」
南里が険しい顔で口をはさむ。
「そうだよ。でも、あいつ以外にもう1人いる。この事件の犯人は全部で3人だ」
「3人…!?2人じゃなかったの!?」
「違うよ。僕があんなヘタレに従うと思う?僕が従ってたのは、“3人目”さ」
:11/11/28 22:02
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#230 [我輩は匿名である]
「じゃあ、そいつが首謀者って事ね?」
「そうなるね。僕もあのヘタレも、その子のただのコマ」
葛城の話を信じるなら、葛城と銃殺犯は、首謀者に付き従って事件を起こしている事になる。
要は、その首謀者を捕まえなければ、この事件は終わらない。
「でも、僕が逮捕されれば、死ぬ子は減るだろうね。あいつはまだ人を殺すことを躊躇ってる。やりたくなかったら、やらなきゃいいのにね」
「…他の犯人2人は誰?」
「そこまでは言わないよ。あんた達警察でしょ?推理するのが仕事なんだから、ちゃんと仕事しなよ」
呆れたように言い放たれ、南里たちは顔をしかめる。
:11/11/28 22:03
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#231 [我輩は匿名である]
「さぁ、僕を逮捕して」
葛城は観念したように、ナイフを持ったまま両手を差し出す。
「…土谷警部。…手錠を」
「…わかってる」
土谷がピストルをしまい、代わりに手錠を握る。
葛城は土谷の手からピストルが離れたのを見届けてから、また笑った。
「…本当馬鹿だね、警察って」
その声は、土谷にしっかり届いた。
:11/11/28 22:03
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#232 [我輩は匿名である]
「僕が素直に捕まると思う?」
葛城の言葉に、土谷は素早くピストルを構え直す。それを見て、南里たちも葛城に狙いを定める。
しかし、葛城の方が数秒速かった。
「バイバイ」。そう言い残して、葛城は持っていたナイフで自分の首を切り裂いた。
頸動脈が切れた葛城の体は、周囲を赤く染めながら仰向けに倒れる。
:11/11/28 22:04
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#233 [我輩は匿名である]
土谷の頭の中が真っ白になる。その後ろで、南里が部下に救急車の要請を命令し、美穂たちに駆け寄る。
他の刑事たちも、葛城に駆け寄ったり、話し合ったりしている。
葛城は倒れ込んだまま、ボーっと青空を見上げる。
「(ごめんね…、僕はここまでだ…。…楽しかったよ…)」
誰かにあててそう思いながら、ゆっくりと目を閉じた。
:11/11/28 22:05
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#234 [我輩は匿名である]
南里が美穂のそばにしゃがみ込み、龍也の首元に触れる。
しかし、南里の指先にはもう、何の感触も返ってこない。
美穂は生気のない表情でぼんやりと、ほとんど息をしていない龍也の寝顔を見つめている。
「そんなわけねぇだろ…」
南里の後ろで立ち尽くしている土谷が呟く。
「こいつはそんなに簡単に死なねぇ…!そんな奴じゃねぇんだよ!!」
:11/11/28 22:09
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