2年A組
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#301 [我輩は匿名である]
まるで心の内側を見透かされたような感じがして、岡本は言い返せず、また黙る。

「でも、その“あの子”は…あんたの事何とも思ってないと思うよ?」

美穂はまるで挑発するような笑みを浮かべて続ける。

「何…!?」

「だって本当にあんたの事を大事に思ってるなら、こんな事させないでしょ?普通の人なら逆に止めるはず。でもあんた達は違う。

その人にとってのあんたは……ただの“捨て駒”だよ」

「黙れ!!」

岡本はキレたように叫び、自分の腰に手を当てる。

⏰:11/12/14 21:40 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#302 [我輩は匿名である]
しかし、そこには持ってきていたはずのピストルはない。

「どうしたの?大事な“道具”、忘れてきちゃった?」

頭が真っ白になっている彼をあざ笑うかのように、近くの通りを救急車が大きなサイレンを鳴らして通り過ぎて行った。

「あいつ…俺のピストル持ったまま…!」

岡本が苛立ったように言った。

この様子だと、今通った救急車で運ばれている人物が、彼のピストルを持っているように思える。

しかし、一体誰がどんな事を…?

⏰:11/12/14 21:41 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#303 [我輩は匿名である]
「本当に大事だと思うんなら、その子止めなよ。じゃないと、その子が可哀相なだけだよ?」

「“可哀相”…?ははっ、何が!?僕がお前たちを殺せば、あの子は喜んでくれる!それを見て僕はまた他の奴を殺す…最高じゃないか!!」

「“喜ぶ”…」

美穂は彼が発したその言葉に、首をかしげる。

その直後。

美穂の背後から乾いた銃声が聞こえたと同時に、岡本が仰向けに倒れた。

⏰:11/12/14 21:43 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#304 [我輩は匿名である]
何が起こったのかわからずに岡本を見てみると、額に穴が開き、どくどくと脈打ちながら出血している。

ちょっと間呆然としていたが、美穂は音を立てずに鞄のチャックを開け、中に入れている包丁の柄を握る。

もし撃ったのが警察なら、何か言うはず。しかし、警察官がこんな中途半端なタイミングで発砲するはずがない。

会話の途中で発砲したのは、岡本がこれ以上余計な事を口走らないため…そう考えるのが、1番つじつまが合う。

そうなれば、背後にいる人物は…。

「(終わらせてやる…。これ以上…誰も殺させない…!)」

美穂は恐れることなく、素早く包丁を取り出し、振り返る。

⏰:11/12/14 21:44 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#305 [我輩は匿名である]
それを振り上げた瞬間。

そこにいた人物を見て、美穂は思わず動きを止めた。

「…何で…?」

美穂が「何かの間違いだ」と自分の目を疑っていると、その胸に銃口があてられた。

目の前の人物が笑う。

そして…。

⏰:11/12/14 21:44 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#306 [我輩は匿名である]
銃声とともに、美穂の体は、撃たれた反動でその場に倒れ込んだ。

握っていたはずの包丁も、その衝撃でどこかに落としてしまった。

もう1発、美穂の服のポケットに向かって銃弾が飛んできた。

「(…私は…ここまで、だね…)」

自分を撃った犯人が立ち去って行く足音が聞こえる。

美穂は静かに目を閉じる。

死ぬのは怖くない。向こうで彼

⏰:11/12/14 21:45 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#307 [我輩は匿名である]
※PCの調子が悪く、途中送信になりました。何度もすみません。↓続きです。

死ぬのは怖くない。向こうで彼に会えるから。

ただこの手で仇を討てなかったことだけが、心残りだった。

意識がなくなるのを待っていると、ふと、自分のそばに誰かがいる気配がして、美穂は再び目を開ける。

美穂が倒れているすぐ傍にたたずむ、1人の男性。

それを見て、美穂は嬉しそうに小さく笑う。

⏰:11/12/14 21:47 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#308 [我輩は匿名である]
そこにいたのは、龍也だった。

龍也はしゃがみこみ、口を開く。

大丈夫?

聞こえるはずのない声が聞こえて、美穂は彼に向かって答える。

「…うん…」

今までのように優しく笑いかけてくれる彼を見て、美穂の目から、自然に涙が零れ落ちる。

⏰:11/12/14 21:47 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#309 [我輩は匿名である]
「…ごめんね…。…仇…、…討てなかった…」

美穂の言葉に、龍也は首を振る。

一緒に行こう。

そう言って、美穂に手を差し伸べた。

美穂はもう1度笑って、残った力を振り絞って血まみれの右手を上げ、龍也の手に重ねる。

その瞬間、美穂は意識を失い、その右手は静かに、冷たい地面の上に落ちた。

⏰:11/12/14 21:48 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#310 [我輩は匿名である]
美穂の最期を知り、彩は両手で顔を覆って泣いた。

その隣で、誠は呆然としながら、雑音しか聞こえないスピーカーを見つめている。

録音されていたのは、美穂が南里に電話したところから、美穂が倒れたと思う部分まで。

「…発見されたとき、彼女の携帯電話は銃で撃たれて粉々になっていたわ。おそらく彼女たちを撃った犯人は、電話が繋がっているのに気づいたんでしょう」

スピーカーを止め、南里が静かに言う。

「…こんな結果になっても、あの子は満足だったのかもしれない」

⏰:11/12/14 21:49 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#311 [我輩は匿名である]
「…どういう事ですか」

話せる状態じゃない彩の代わりに、誠が尋ねる。

「…青山さんの顔、…笑ってるように見えた」

南里は言いながら俯く。まるで、自分も涙を隠すかのように。

「…電話の内容から考えたら、岡本は青山と会う前に梶浦を襲った。でも何があったか、梶浦を撃った後にピストルを奪われて、仕方なく逃げてきた…ってところじゃないか。

梶浦が持ってたピストルの弾、この間2人を撃ったものと同じだったし…岡本のピストルで間違いないだろう」

腕を組んだまま、土谷が言う。

⏰:11/12/14 21:52 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#312 [我輩は匿名である]
2人は黙って、彼の話に耳を傾ける。

しばらくして、誠が言った。

「…あいつ、『犯人が分かったかもしれない』って言ってました」

「誰?」

「それを聞く前に、あいつが電話を切って…それっきりです」

誠の話に、南里と土谷が肩を落とす。

⏰:11/12/14 21:52 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#313 [我輩は匿名である]
司や美穂がわかるという事は、きっと彼らが知っている人物。

「梶浦君と青山さんが知っている人…って事になるのかしら」

南里は資料をめくりながら言う。

まだ被害に遭っていない元2年A組の生徒は何人かいる。

もしかしたら、この中の誰か…?

警察2人がそれを見ながら考え込んでいると、今まで黙っていた彩が口を開いた。

⏰:11/12/14 21:54 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#314 [我輩は匿名である]
「…南里さん」

彩の声に、南里と土谷が彼女に目を向ける。

「どうしたの?」

「……ありがとうございました」

震える声で言う彩に、誠も目をやる。

「…美穂ちゃんの死…無駄にしないでくれて」

⏰:11/12/14 21:55 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#315 [我輩は匿名である]
もしも南里が電話を切っていたら…もしもその会話が録音されていなかったら。

美穂と岡本のやり取りを誰も知らないまま、犯人も絞れずにいただろう。

「…お礼なんて言わないで」

南里が少し、膝の上で手を握る。

「私たちがしっかりしていれば、死なずに済んだ子だっていたはずなの。…私たちは…お礼を言われるに値しないわ」

悔しそうに、南里は答える。

それでも、彩は彼女たちに感謝した。

今まで頼りにならず、事件が起きる度にイライラさせられたが、初めて警察らしいことをしてくれた。

美穂が亡くなり、司も意識不明状態だが、彩はほんの少しだけ救われたような気がした。

⏰:11/12/14 21:56 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#316 [我輩は匿名である]
1週間後。

凛はじっと、ベッドに寝転がって天井を見上げる。

南里に聞かせてもらった、美穂の最期の会話が忘れられない。

まさか、美穂があんな行動に出るなんて思わなかった。

狂ってしまった。仲の良かった友人たちも、自分も。

誰かが死んでも、「あぁまたか」くらいにしか感じられなくなってきている自分に怖くなる。

そんな時、彩の携帯電話に、1通のメールが届いた。

差出人は、凛からだ。

⏰:11/12/17 00:39 📱:PC/0 🆔:OuT9dSuI


#317 [我輩は匿名である]
「(どうしたんだろ?)」

メールを開き、彩は思わず飛び起きる。

『小山凛を誘拐した。助けたければ、17時までに○○倉庫まで来い。
警察に通報したら、その時点でこいつの命はない。

忘れるな。お前たちはいつも見張られている。』

そう書かれた文章に、1枚の画像が添付されていた。

手足をロープのようなもので縛られ、こちらに背中を向けて転がっている少女。

⏰:11/12/17 00:40 📱:PC/0 🆔:OuT9dSuI


#318 [我輩は匿名である]
どうして自分の元にこんなメールが届くのか。

「…お前“たち”…?」

よく見てみると、送信先に誠のアドレスも書いてある。

彩は慌てて誠に電話する。

「うっちー!?メール来た!?」

「…あぁ、来たよ」

焦っている彩とは反対に、誠の声は落ち着いている。

⏰:11/12/17 00:40 📱:PC/0 🆔:OuT9dSuI


#319 [我輩は匿名である]
「…次は、多分俺たちだ」

薄々気づいていた事を誠に言われ、彩は沈黙する。

「…南里さんたちには…」

「…言わない方がいいだろうな。今はばれなくても、もしばれたら小山が殺される」

「そうだよね…。…うっちー、ちょっとそっちに行っていい?」

「あぁ、気を付けて」

彩はそれを聞いた後、電話を切って着替える。

⏰:11/12/17 00:41 📱:PC/0 🆔:OuT9dSuI


#320 [我輩は匿名である]
その途中、ふとある事に気が付いた。

「(…なんで凛ちゃんが、うっちーのアドレス知ってるんだろ?)」

中学時代から、誠と凛はたまに話すくらいの仲だった。それも、彩が知る限り、必要なこと以外はあまり口もきいていなかったはず。

なのに、なぜ…?

そしてもう1つ。彩は再び、メールの添付画像を見る。

凛が拘束されたこの画像。彩には自分でもわからない違和感を覚えた。

しかし、ゆっくり考えている場合じゃない。

携帯電話と財布を鞄に入れて、彩は家を飛び出した。

⏰:11/12/17 00:41 📱:PC/0 🆔:OuT9dSuI


#321 [我輩は匿名である]
彩がドアの前まで来ると、誠が待ち構えていたのか、ベルを押す前に鍵が開いた。

ドアが開き、彩は中に入る。

「…どう思う?」

玄関から動かず、誠が言う。電話を終えてずっとここで待っていたのか、手には携帯電話が握られたままだ。

「…うっちーはどう思うの?」

彩は先に誠の意見を聞こうと思い、聞き返す。

「俺は…俺たちが小山を助けに行ったところで殺されて、小山もそのまま殺されると思ってる」

誠は腕を組み、壁にもたれて言った。

⏰:11/12/17 00:42 📱:PC/0 🆔:OuT9dSuI


#322 [我輩は匿名である]
普通に考えれば、きっとそうなるのだろう。

彩は少し考え込む。自分の考えていることは、本当に合っているのか。それによって、おそらく自分たちが死ぬのか死なないのかが決まる。

「…どうかしたのか?」

珍しく考え込んでいる彩を不思議に思い、誠が声をかける。

メールの画像。誠のアドレス。司と美穂の知る人物。

「…ねぇ、うっちー」

「何」

「…今から私が言う話、笑わずに真面目に聞いてね」

彩は顔を上げ、そう前置きして話し始める。

⏰:11/12/17 00:42 📱:PC/0 🆔:OuT9dSuI


#323 [我輩は匿名である]
彩が家を出るのと同じ頃。警察署に一本の電話がかかってきた。

他の刑事が電話をとったため、南里と土谷は構わず資料を見つめる。

「犯人と名乗る者から電話です!!」

電話をとった刑事が、慌てたように声を上げる。

それを聞いて、その場にいた全員が振り返る。

「スピーカーに回せ」

南里ともに本庁から来た男の警視が素早く指示を出す。

室内に、電話をかけてきた人物の声が響き渡る。

⏰:11/12/17 00:43 📱:PC/0 🆔:OuT9dSuI


#324 [我輩は匿名である]
「無能な警察のみなさん、こんにちは」

そう言った声は、普通の人間の声ではない。

「…変声機ですね」

南里が呟く。

これでは、誰が話しているのか全く分からない。

「…君が、この連続殺人の首謀者か?」

犯人との交渉術を持った刑事が変わって話をする。

⏰:11/12/17 00:43 📱:PC/0 🆔:OuT9dSuI


#325 [我輩は匿名である]
「はい。早くしないとまた死ぬよ」

「どうして、今回は電話でわざわざ教えてくれるんだ?」

「俺は他の2人とは違う。いろいろ試してみようと思ってね」

「(男…?)」

南里が眉間にしわを寄せる。

「“また死ぬよ”って、誰の事?」

「誰かは、死体を見てのお楽しみ」

「こいつ…バカにしてんのか…!?」

余裕をうかがわせる電話の相手に、土谷がしびれを切らしたように言う。

⏰:11/12/17 00:43 📱:PC/0 🆔:OuT9dSuI


#326 [我輩は匿名である]
「今日17時までに、すぐ裏の山にある、廃棄された変電所までおいで。間に合わなかった場合はここにいる子を殺すよ」

「廃棄された変電所…?」

すると、一方的に電話が切られてしまった。

「逆探知は!?」

「できません!」

騒然としている室内を見ながら、南里は黙り込む。

どうして今回は電話なんてしてきたのか。それも、内容がまるで犯罪予告だ。

考えているうちに、他の刑事たちは大慌てで署を出て行っている。17時までというと、あと2時間。

⏰:11/12/17 00:44 📱:PC/0 🆔:OuT9dSuI


#327 [我輩は匿名である]
しかし、指定された場所までは、車で1時間半ほどかかる。

「おい、行くぞ!」

土谷も急ぎながら、南里に声をかける。

「…私は…ここに残ります」

「何で!?」

「全員がいなくなったら、何かあった時に困るでしょう?」

「まぁ…そうだけど…」

南里のもっともな発言に、土谷はちょっと迷っている。

⏰:11/12/17 00:45 📱:PC/0 🆔:OuT9dSuI


#328 [我輩は匿名である]
そして、ため息をついて机に腰を下ろした。

「土谷さん?行かれないんですか?」

「お前が行かねぇんなら、俺も行かねぇよ」

「どうして?」

「俺たちコンビだろ?別行動とってどうすんだよ」

早くも諦めたように言う土谷に、南里は小さく笑った。

⏰:11/12/17 00:45 📱:PC/0 🆔:OuT9dSuI


#329 [葵]
あげ(・д・)

⏰:12/01/09 02:16 📱:SH06A3 🆔:☆☆☆


#330 [我輩は匿名である]
更新楽しみにしてます(^o^)/

⏰:12/01/13 23:55 📱:Android 🆔:O/KE3sig


#331 [我輩は匿名である]
あげ(>_<)

⏰:12/02/08 00:22 📱:S005 🆔:EE05aXOs


#332 [・v・]
めっちゃはまりました(・x・`)

完成させてくださいっ!

⏰:12/02/10 17:14 📱:F01B 🆔:JdYfvtYw


#333 [葵]
ずっと待ってます(^^)

⏰:12/02/10 21:18 📱:SH06A3 🆔:☆☆☆


#334 [我輩は匿名である]
午後4時。彩と誠は2人、メールで呼び出されたとおり、タクシーで町はずれの倉庫までやってきた。

最近はほとんど使われていないらしく、人の気配がない。

「…うっちー」

「…何だよ」

「…死んだりしたら許さないからね」

「……お前こそ」

2人は息をのみ、倉庫に踏み入る。

⏰:12/02/14 22:49 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#335 [我輩は匿名である]
「…じゃあ、後で」

「あぁ」

しかし、2人はそこで別れ、別々の入り口から倉庫に入っていく。

彩は自分を落ち着けるように大きく息を吐き、ゆっくりと倉庫の重いドアを開ける。

中は暗く、窓からの光しか明かりがない。早く見つけないと、真っ暗になってしまう。

彩は足音をあまり立てないように、中に入って探索を始める。

場所を特定するために、あの画像を見ながら。

⏰:12/02/14 22:49 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#336 [我輩は匿名である]
探し回っている間、彩は自分の予想が当たらない事を願っていた。

彩の考えが行き着いた犯人は、彩もよく知る人物だからだ。

うろうろしていると、すぐそばで物音がした。

彩は一瞬びくっとしつつも、その方向へと足を向ける。

そして。彩は自分の願いがかなわない事を知る。

「…探したよ」

目の前にいる、手足を縛られた女子に声をかける。

「…皐ちゃん」

名前を呼ばれて、その女子はゆっくりと顔を上げた。

⏰:12/02/14 22:49 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#337 [我輩は匿名である]
誠は中に入ってしばらくして、足を止めた。

背後に感じる誰かの気配。

「(塩見の言った通りだな…)」

このまま殺されるのか、それとも…。

後ろにいる誰かが何もしてこないため、誠は思い切って後ろを振り返る。

そして、そこに立っていた人物を見てやっと理解した。自分が今まで感じていた違和感がなんだったのかを。

「…やっぱり、お前が犯人だったんだな。小山」

誠にピストルを向けたまま、凛は鼻で笑った。

⏰:12/02/14 22:50 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#338 [我輩は匿名である]
皐は驚いたように彩を見上げる。

「…何で…ここにいるのが私だってわかったの?」

「メールの画像だよ」

彩は言う。

「あの画像は凛ちゃんだって書いてあったけど、何かおかしいって思った。何回か見るうちに、何がおかしいのかやっとわかったよ。

…映ってる人の首元に、大きなほくろがあったから」

「ほくろ…?」

皐はハッと、両手を縛っていた縄を自分で解いて自分の首元に手をやる。

⏰:12/02/14 22:50 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#339 [我輩は匿名である]
「凛ちゃんには、その大きなほくろはない。それで大体わかったよ。

…凛ちゃんがどうしてうっちーのアドレスを知ってたのか…皐ちゃんが教えたんでしょ?あの子が私たちを一緒に殺せるよう、おびき出すために」

彩は悔しそうに続ける。

「何で…?何でこんなことしたの!?」

「邪魔だったからだよ!!」

皐は悲鳴のように叫んで、隠し持っていたピストルを彩に向ける。

⏰:12/02/14 23:04 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#340 [我輩は匿名である]
まさかピストルを持っていると思っていなかったため、彩は驚いて一歩後ずさる。

「私はねぇ…高校入って、野球部のマネージャーになってすぐ、内村の事が好きになった…。別に理由なんかない、ただかっこよかったから。

でも…あいつは私の事なんか見てくれない…あんたが生きてる限りね!」

皐の話を聞いても、彩は彼女が何を言っているのか理解できない。

「…何言ってるの?何で私が生きてると、うっちーが皐ちゃんを見ないの?」

⏰:12/02/14 23:04 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#341 [我輩は匿名である]
「…寺田が死んだ次の日、たまたまあいつが屋上に行くのが見えたから声をかけに行ったんだ。でも、あいつは私に見向きもしない。『ほっといてくれ』の一点張りで、邪魔者扱い。

だけどその後に来たあんたには、コロッと態度変えちゃってさ。何で自分はこんな男が好きだったんだろって思った。

そして、彩がいなければ私にも心を開いてくれるかもしれない、ともね」

皐は彩を睨んだままそう言った。

今まで、彼女のこんな表情は見た事がない。

しかし、彩も黙っていられなかった。

「じゃあさっさと撃ちなよ」

⏰:12/02/14 23:05 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#342 [我輩は匿名である]
「は…?」

「私を撃てば、私を殺せば満足なんでしょ?だったら撃てばいい。でもその後、うっちーがあんたにとる態度がもっと冷たくなることぐらい、わかって言ってるんだよね?」

彩は溢れてくる感情を押し殺しながら言い返す。

言い返されて、皐は何も言えず黙る。

「バカじゃないの?私を殺せば、うっちーとくっつけるとでも思ったの?それとも、自分の思い通りにならないから、私達2人とも殺せば満足?冗談じゃない!!

犯人と一緒に逮捕されて、刑務所の中で頭冷やして来たら!?」

⏰:12/02/14 23:06 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#343 [我輩は匿名である]
彩は皐を怒鳴りつけ、その場を後にする。

仲良しだった友達に背を向けられ、皐はピストルを持つ手をおろし、座り込んだまま泣いた。

ただの嫉妬がどうしてこんな事になってしまったのか。皐はこうなってやっと、自分のした愚かさに肩を落とした。

彩が皐と別れてすぐ、離れた場所から銃声が聞こえた。

彩は驚き、足を止める。

「…うっちー…?」

まさか。そんな考えを振り払うように首を振って、彩はその音がした方へと急ぐ。

⏰:12/02/14 23:06 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#344 [我輩は匿名である]
誠は撃たれた反動で壁にぶつかり、その場にしゃがみ込む。

出血する左肩を押さえ、凛を見上げる。

「…下手なのか?これじゃ死ねないぞ」

「わざと外したの。彩に、あんたが死ぬとこ見せてあげようと思って」

凛は怪しく笑いながら答える。

「撃たれた音がすれば、彩は必ずこっちに向かってくる。そこで一緒に逝かせてあげるわ」

「さぁ…?あいつはあいつで、永井のとこ行ってるからな。すぐ来るかどうか…」

誠も負けじと、凛に言い返す。

⏰:12/02/14 23:19 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#345 [我輩は匿名である]
「じゃあ、それまでお喋りタイムにしよ。…何で私が犯人だってわかったの?」

凛もしゃがみこんで、誠に尋ねる。

「塩見があの画像を永井だって言い張るから、よく考えてみたんだ。

お前が関係しないなら、あの画像をお前だって嘘つく必要はない。なのにそんな回りくどい事をするのは、“被害者であるはずの”お前が何かしら関係してるから。

そこでやっと、今までこの事件がおかしいと思っていた理由がわかった。

今まで相手が男でも女でも1発で仕留めてきた葛城が、お前が抵抗したぐらいで刺し違えて逃げるなんて、どう考えてもおかしい。

だから、お前は葛城とグルなんじゃないか…そう思った。

わざと刺されたのは、被害者になったふりして、警察からの疑いの目を晴らすためか?」

⏰:12/02/14 23:19 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#346 [我輩は匿名である]
誠の話を、凛は笑いながら聞いていた。

「へぇ〜、すごいね。バカな警察とは大違い!…そこまでわかってるんなら、なおさら死んでもらわないとね。もう1発撃ってあげようか?」

「塩見が来るのを待たなくていいのか?」

「どうせ警察は来ないし、いつ殺してもいいんだけどね」

凛の言葉に、誠は首をかしげる。

「俺たちが呼べば来るだろ」

「無理無理。あんたたちにメール送ってすぐ、警察に電話したの。山にある、廃棄された変電所で事件起こすよって。あそこからここまではだいぶ時間かかるからね。

それに、私が犯人だってばれないように『俺』って言っといたから、誰も私が犯人だなんて思わないだろうし」

⏰:12/02/14 23:20 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#347 [我輩は匿名である]
勝ち誇った笑みを浮かべる凛に、誠は内心焦っていた。

もし彩と誠2人の推測が間違っていなかったら、それがわかった時点でどちらかが通報しようという計画だった。

しかし、南里たちが全員凛に騙されているとしたら、おそらく間に合わない。

そう思っていると、凛の背後に人影が見えた。

その直後。その人影が凛に覆いかぶさるように襲いかかってきた。

「ちょっ…誰よ!?」

凛が驚いて振り返ると、そこには彩がいた。

⏰:12/02/14 23:20 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#348 [我輩は匿名である]
彩はピストルを持つ凛の手を掴み、銃口を何もない方向に向ける。

「悪いけど、私達死ぬ気ないから!!」

彩は凛に抵抗されながら、ピストルの引き金を引く。

全て使い切ってしまえば、もう怖くない。

何発入っているのかわからないが、彩は大きな銃声をとどろかせながら、その一心で指を動かす。

すると、抵抗する凛の左ひじが、彩の顔面に当たった。

それに怯み、うっかり手を離してしまった。

⏰:12/02/14 23:20 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#349 [我輩は匿名である]
「うざいんだよ!どいつもこいつも!!」

凛がとっさに、そのピストルを振り回す。

痛がっている彩にそれを当てることなど、何も難しくない。

ピストルの角が、今度は彩の頭にヒットし、よろけた彩は誠のそばで倒れ込んだ。

「おい、大丈夫か!?」

誠が呼びかけると、彩はすぐに起き上がった。

ちょうどこめかみに当たったらしく、裂傷ができて血が出てきている。

「うん…大丈夫」

笑って答えながら、凛に向き直る。

⏰:12/02/14 23:21 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#350 [我輩は匿名である]
凛は立ち上がり、ピストルの弾の残数を確認する。

中にはもう、残り1発しか入っていない。こんなに手こずると思っていなかったため、呼びも持っていない。

「あーあ…あんたのせいで、あと1発しかないじゃん。傷は痛いし、もう最悪」

凛は苛立ったように吐き捨てる。

「あんたがここに来たって事は、あいつは役に立たなかったんだね。せっかくチャンス上げたのに、弱いヤツ」

「…どういう事?」

流れてくる血を拭きながら、彩が聞き返す。

⏰:12/02/14 23:21 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#351 [我輩は匿名である]
「この間、たまたまあいつを見かけてね。声をかけたら、あんた達といるのが嫌になったっていうからさ。『じゃあ手伝ってあげる』って誘ってあげたの。

その時は乗り気だったけど、いざとなると何もできなかったみたいだね。…何もしゃべらないように、後で始末しとかないと」

服装を整えながら、凛は淡々と答える。

「じゃあ、岡本君は?あの子も仲間だったって事でしょ?」

ふと思い出して、彩がまた尋ねる。

「あぁ…ははっ。あいつも馬鹿な男よね。私の事が好きだって言うから、『じゃあ私がこれからやる事手伝って』って頼んだら、ホイホイやってくれちゃってさ。

…まぁ、いざ殺るとなったら、怖くて殺り損ねたりしてたみたいだけど。

おまけにうっかり口滑らせそうになるし、あんまり役に立たなかったわね」

⏰:12/02/14 23:22 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#352 [我輩は匿名である]
呆れたように笑う凛に、彩は苛立ったように両手を握りしめて彼女を睨む。

「…お前…何のためにこんな事してるんだ?」

今度は誠が凛に尋ねる。

おそらくこの事件にかかわった、全ての人が聞きたかったこと。

「…何のため…?はははっ!…復讐のために決まってるじゃない」

凛は笑い声をあげる。

しかし、彩も誠も何の復讐かわからず、顔を見合わせる。

⏰:12/02/14 23:22 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#353 [我輩は匿名である]
「復讐って…何の事?」

「『何の事』?ふざけないでよ!中学2年の時、私が何されてたか、覚えてないっていうの!?」

「…2年って、小松たちのいじめの事か?」

思い当たることはそれしかない。しかし、当事者である小松たちならまだしも、自分たちが狙われる理由はない。

「でも、それなら何で私たちまで殺されなきゃならないの?」

彩のその質問に、凛は幻滅したような表情でしばらく黙り込んだ。

「……私が毎日いじめられてるのを見ても、あんた達は何にもしてくれなかった…」

彩達が返事を待っていると、凛がうつむいて口を開いた。

⏰:12/02/14 23:22 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#354 [我輩は匿名である]
「ただ遠くの方から見てるだけ…。見ながらコソコソ何か話して、まるで腫れ物に触るような態度で接してくる。

私が悪いんじゃないのに…ただあの男が飲酒運転で事故起こして、人死なせただけなのに!

廊下に机が出されてても、誰も手伝ってくれない。上靴が無くなっても、誰も探してくれない…!誰も話を聞いてくれない!

いじめの事には触れずに、適当な話をしてごまかして、仲良いフリしてれば私が喜ぶと思ってたんでしょ!?」

「違う…!」

「何が違うの!?確かにあんた達は、あいつがいない時は私と一緒にいた!でも、あいつが来ると私から離れたじゃない!うわべだけにこにこして近づいて来て、都合が悪くなればさっさと離れていく!」

「違うよ!」

「何が違うのよ!?」

⏰:12/02/14 23:24 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#355 [我輩は匿名である]
凛は大声で叫び、今度は彩に銃口を向ける。

興奮している凛の目が、少しうるんでいる。

「私はねぇ…、あいつらにいじめられてたのと同じぐらい、あんたたちのその目が怖かったの!ただ黙って私を哀れそうに見る、その目が!!

だからあんた達がどれだけ私に楽しそうに話しかけてきても、全部嘘なんじゃないかって、信じられる人なんかいないんだって思った!」

彩達が何か言う暇もなく、凛は今までため込んできたものを吐き出すかのように話した。

「…そんな時に…あの人に会った」

凛は少し声を落ち着かせて続ける。

⏰:12/02/14 23:24 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#356 [我輩は匿名である]
「家に帰っても、あの男が逮捕されて帰ってこないのを良い事に、お母さんは違う男を家に連れ込むようになった。私より…その人の方が大事だった。

そんな家にいたくなかったから、私は夜に家を飛び出した。行くあてなんてどこにもない。ただふらふら歩いてた。そしたら…」

⏰:12/02/14 23:27 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#357 [我輩は匿名である]
『お嬢さん♪』

暗い街を歩いていた凛の肩を、後ろから知らない中年男性がポンとたたいた。

『こんな時間に何してるのかな?』

『…別に』

うっとうしかったので、凛は相手にせずに立ち去ろうとする。

しかし、今度は腕を掴まれた。

『…こんな所うろうろしてると、危ないよ?おじさんの家においで』

その言葉に、凛の背筋に寒気が走る。

⏰:12/02/14 23:27 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#358 [我輩は匿名である]
『い、嫌』

『いいからいいから』

『離してよ!』

『大きな声出すなよ!ほら、さっさと…』

どこかに連れて行かれそうになった時、急に男性の動きが止まった。

凛が戸惑っていると、男性の体は力が抜けたようにその場に倒れた。

⏰:12/02/14 23:28 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#359 [我輩は匿名である]
目の前には、若い、どこかで見た事がある1人の別の男性。

その手には血の付いた1本のナイフが握られている。

『…大丈夫?』

呆然としていると、若い男性が話しかけてきた。

不思議と、その男性に対して警戒心がわいてこない。

凛は黙ってうなずき、その男性をどこで見たのか思い出した。

⏰:12/02/14 23:28 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#360 [我輩は匿名である]
『…テレビで見た事ある…』

『そう?僕ってそんなに有名人なのかな?まぁ、こんだけ人殺してたら、有名人にもなっちゃうよね』

若い男性はくったくのない笑みを浮かべて答える。

そうだ。思い出した。この近辺で起こっている連続殺人事件の容疑者として指名手配されている、葛城歩だ。

しかし、見たところ全くそんな雰囲気は持ち合わせていない。

どこにでもいるような、平凡な男性。

⏰:12/02/14 23:31 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#361 [我輩は匿名である]
『じゃ、さっさと家に帰りなよ。また変な人につかまっちゃうよ』

葛城はそう言って背を向ける。その彼の腕を、凛はとっさに掴んだ。

『…何?』

『…あの…』

『悪いけど、警察呼ぶなら君も殺すよ?』

『違うんです!そうじゃ、なくて…』

凛はそのまま俯く。

⏰:12/02/14 23:31 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#362 [我輩は匿名である]
自分を助けてくれたのは、彼が初めてだ。

『…私…帰る場所がないんです』

凛は声を震わせながら、初対面の連続殺人犯に、自分の境遇を話した。

学校の事、家庭の事…。なぜこんなことを彼に話しているのか自分でもわからなかったが、話すうちに涙がこみ上げてきた。

『…そう。…辛いね』

葛城は、ぽつりとそう呟いた。

⏰:12/02/14 23:32 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#363 [我輩は匿名である]
『…いつまでもここにいたら見つかっちゃうから、とりあえずうちにおいで。このオッサンと違って、何もしないから』

『…いいんですか?』

『だって、泣いてる女の子をこのままほっとけないじゃん』

葛城はそう言って、凛を自分の家に連れ帰った。

家と言っても、ぼろぼろのアパートの狭い一室。

一軒家に住んでいる凛には、少し耐え難い環境であったが、あの家に帰る事を考えれば我慢できた。

⏰:12/02/14 23:33 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#364 [我輩は匿名である]
『僕にはね、親がいないんだ』

家に帰って少しすると、今度は葛城が話し始めた。

『…どうして?』

『僕が殺したんだ。2人とも』

葛城は平気そうに言うが、凛には少し悲しそうに見える。

話しながら、葛城は袖口をまくり、自分の片腕を凛に見せる。

いくつかアザのような、やけどのような跡が残っている。

『それは…?』

⏰:12/02/14 23:33 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#365 [我輩は匿名である]
『煙草の跡。よく押し付けられてね』

少し苦笑して、葛城が答える。

どうしてそれを笑いながら言えるのか、凛は不思議で仕方がない。

『僕、小さい時からよく父親に虐待されてたんだ。母親は怖がって、助けてくれようとしない。

4年前…15歳の時かな。本当に殺されそうになったから、とっさに包丁で父親を刺して殺した。警察に通報した母親も一緒に』

話している葛城の表情が、少し暗い。

⏰:12/02/14 23:33 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#366 [我輩は匿名である]
『正当防衛だっていう声もあったらしいけど、ちょっと刺しすぎちゃってね。過剰防衛って事になって、少年院に入ってたんだ。

出てきてからは親戚に引き取られて、まぁ適当に育てられてこうなったわけ』

『…でも、なんで殺人犯なんかに…』

話を聞く限り、そんなに悪い人には思えない。凛は真剣に尋ねる。

⏰:12/02/14 23:34 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#367 [我輩は匿名である]
『たまたま外歩いてたら、さっきの君みたいに襲われかかってる女の人を見つけてね。

それ見た瞬間、何だか父親に殴られてる自分を思い出して、“殺さないと”って思った。気づけば襲ってた奴が血まみれになって倒れてたよ。

…でも、被害に遭ってた女の人が僕に言ったんだ。“ありがとう”って。…人を殺して感謝されたのは初めてだった。

だからたまーに家を出て散歩しては、生きてても害にしかならない奴を殺してまわってるのさ』

『…そうなんですか…』

不思議な、複雑な人間のようだが、凛はなぜか彼に惹かれた。

⏰:12/02/14 23:34 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#368 [我輩は匿名である]
『家に居場所がないんなら、たまにはここに来ていいよ。誰にも言わないなら』

葛城は笑って言った。

『…いいんですか…?』

『君がいいんなら、僕は別にかまわないよ。こんな汚い家でよかったらいつでもおいでよ』

その言葉は、凛の心に響いた。

今まで、こんな言葉をかけてくれたのはこの人が初めてだ。

しかし、どうして初対面の相手にここまで優しくしてくれるのか。

⏰:12/02/14 23:35 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#369 [我輩は匿名である]
『…あの』

凛は思い切って聞いてみる。

『どうして、そんなに優しくしてくれるんですか?…会ったばっかりなのに』

そう聞かれて、葛城は少し考えるそぶりを見せる。

そして、10秒ほど黙った後、小さく笑って答えた。

『…君は…僕に似てるから』

⏰:12/02/14 23:35 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#370 [我輩は匿名である]
「…それから…私は毎日のようにあの人の所に通った。あの人の所にいる時だけ、私が私でいられたから。

だから…あの人が殺人犯だって、もうどうでも良くなって……下手すれば私も逮捕されるんじゃないかとも思ったけど、それでも良かった。

私もあの人も、もうそんな風にしか生きられないのよ」

「そんな事ない!どんな理由があっても、その人を殺せば、それで全部解決するの!?」

凛の話に、黙って聞いていた彩は反論する。

⏰:12/02/15 22:59 📱:PC/0 🆔:2Wja4oSk


#371 [我輩は匿名である]
「確かに、“死んでくれればいいのに”とか思う人はいるかもしれない。でもそんな事でいちいち殺してたらキリないじゃん!

たかが腹立つ奴の為に、人生棒に振るなんてもったいないと思わないの!?」

「言ったでしょ?“私たちはそんな風にしか生きられない”って。もったいないと思えるような人生じゃない。

あんた達みたいに、普通に愛されて育った人には、私たちの気持ちなんてわかるはずない!」

「わかりたくねぇな、そんなもん」

誠もまた、彩に加勢し首を振る。

⏰:12/02/15 22:59 📱:PC/0 🆔:2Wja4oSk


#372 [我輩は匿名である]
「虐待されても、いじめられても、それを乗り越えて生きてる人はたくさんいる。お前が言ってる事は、自分を正しいと思わせるためのただの言い訳だ」

「じゃあ青山美穂はどうなのよ?あの子、私たちを殺すために包丁持ってたじゃない。あの子だって私たちと同じよ。好きな男が死んだ悲しみを、乗り越えられなかった。違う?」

凛の言う事も、一理ある。

彼女の言葉に、2人とも返す言葉を見つけられず黙り込む。

しかし、彩が再び口を開いた。

⏰:12/02/15 22:59 📱:PC/0 🆔:2Wja4oSk


#373 [我輩は匿名である]
「…確かに、美穂ちゃんがやろうとしたことは間違ってたと思う。もっと別の方法があったんじゃないかって、今も悔しくて仕方ないよ。…あんた達だって一緒だよ」

「“別の方法”?そんなのあるわけないじゃん。あの人はあの時父親を殺してなかったら、自分が殺されてたかもしれない。私だって、いじめに耐えられなくて自殺してたかもしれない。

私達には、あいつらを殺す以外に何も道はなかった」

「そうか?3年になってクラスが変われば、いじめはなくなったって聞いたぞ」

「そんなに簡単に人が変われると思ってるの?1年間ずっといじめられて、誰も信じられなくなって、それですぐ『いじめがなくなった、良かったね』って元気になる?ならないでしょ」

「人によるだろ。お前たちが弱かっただけで」

⏰:12/02/15 23:00 📱:PC/0 🆔:2Wja4oSk


#374 [我輩は匿名である]
「弱い?私が?バカ言わないで!私がこうなったのは誰のせいだと思ってるのよ!?」

「じゃあ逆に聞くけど、自分は誰のせいだと思ってるの?」

「みんなよ!親も、あいつらも、黙って見てるだけだったあんた達みんな!!」

凛はピストルを握り締めて怒鳴る。

しかし、彼女の話を聞いているうちに、彩は考えていた。

⏰:12/02/15 23:00 📱:PC/0 🆔:2Wja4oSk


#375 [我輩は匿名である]
「…かわいそう」

凛とは反対に、彩は落ち着いた声で言う。

「…何?」

「だってそうじゃない。誰かのせいにしなきゃ、自分を守れないなんて」

「…何言ってるの?だってそうでしょ?私は何も」

「“悪くない”?なら何で、直接声に出して『助けて』って言わなかったの?」

「言えば助けてくれたの?…ううん、そんなはずない。あんた達は何を言っても助けてなんてくれない。誰も…」

⏰:12/02/15 23:01 📱:PC/0 🆔:2Wja4oSk


#376 [我輩は匿名である]
「そう思ってるのが可哀相だって言ってるの」

彩は強い口調で言い返す。

「勝手に“助けてくれるはずない”とか考えて、自分から心閉ざしちゃってさ。それで『助けてくれなかった』って、都合よすぎじゃん。

じゃあ自分は何かしたの?何もしなかったでしょ?ただ黙っていじめられるだけで、立ち向かう事も、自分の口で助けを求めることもしなかった。

それでこっちが殺されるなんて、本当いい迷惑!」

「うるさい…!」

⏰:12/02/15 23:01 📱:PC/0 🆔:2Wja4oSk


#377 [我輩は匿名である]
「どうしたの?さっきまでの余裕どこ行っちゃったの?私の言ってる事の方が正しいから、言い返せない?」

今度は彩が余裕の笑みを浮かべる。

何も言い返せず、凛が黙る。しかし、すぐに小さく笑った。

「…余裕ない人は、もう1人いるよ。あんたのすぐ後ろにね」

その言葉に、彩はちらっと自分の背後に目をやる。

「…誰の事だ?」

⏰:12/02/15 23:02 📱:PC/0 🆔:2Wja4oSk


#378 [我輩は匿名である]
「あんたよ。さっきより顔色悪いけど、大丈夫?早く病院行かないと、本当に死んじゃうよ」

「…殺す気でいたんだろ。…何をいまさら」

彩の背後で誠が鼻で笑う。

しかし凛の言う通り、誠の声が少し弱々しくなっている。呼吸も大きくなっている気がする。

「いいの?これ以上無駄な事言ってると、また大事な友達が1人死んじゃうよ?」

「…そう言えば、私がおとなしく殺されると思ったの?」

彩はあえて、強がる言い方をする。

⏰:12/02/15 23:02 📱:PC/0 🆔:2Wja4oSk


#379 [我輩は匿名である]
誠は心配だが、ここで折れたら2人ともやられる。どうにかして言い負かすことができれば、2人とも助かるかもしれない。

彩は一か八か、それに賭ける。

「私たちは死なないよ。あんたみたいに弱い奴に、絶対殺されたりしない」

「黙れ!絶対ここで殺してやる…!私をここまで怒らせた事、後悔させてやるよ!!!」

凛は狂ったように叫び、引き金に指をかける。

⏰:12/02/15 23:03 📱:PC/0 🆔:2Wja4oSk


#380 [我輩は匿名である]
そして…

ドン!と、重苦しい銃声が1発、倉庫内に響き渡る。

ピストルを持っていた凛の手の甲から、血が噴き出す。

どこかから飛んできた銃弾は凛の手を貫通し、持っていたピストルも砕いた。

⏰:12/02/19 22:35 📱:PC/0 🆔:qbNJL2rk


#381 [我輩は匿名である]
「ああああああ!!」

悲鳴を上げながら、凛が獣のように目を見開いて睨んだ先には、煙の上がる拳銃を構えた南里の姿。

いるはずのない彼女を見て、凛は自分の目を疑い、一瞬動きを止める。

その直後、今度は背後から誰かに両腕を掴まれ、完全に動きが取れなくなってしまった。

「やっと捕まえたぜ、くそガキ」

⏰:12/02/19 22:35 📱:PC/0 🆔:qbNJL2rk


#382 [我輩は匿名である]
凛を確保し、土谷が勝ち誇ったような笑みを見せる。

「何で!?何であんた達がここに…!?」

「私が呼んだの」

凛が捕まる姿を見ながら、彩が言った。

「うっちーが誰かに撃たれた音がしたから、私たちの考えた通りだと思った。だから聞こえないように南里さんに電話して、すぐ来てもらうように頼んでたんだ」

⏰:12/02/19 22:35 📱:PC/0 🆔:qbNJL2rk


#383 [我輩は匿名である]
「残念だったわね。たまたま私たちは署に残ってたのよ。“何かあった時に困るから”って。…本当に何かあるなんて思ってなかったけど」

拳銃をおろし、南里が笑う。

「じゃあ、じゃあそいつが死んでたらどうしたのよ!?」

「死んで無い事を祈るしかなかった。でもその後すぐにうっちーの声がしたから、見てみたら肩撃たれてるだけだったから、大丈夫かなと思って」

「…おい…それはさすがに可哀相だろうよ。結構ぐったりしてるぞ」

土谷に言われて、彩は初めて後ろを向いた。

⏰:12/02/19 22:36 📱:PC/0 🆔:qbNJL2rk


#384 [我輩は匿名である]
確かに彼の言う通り、誠は下を向いて黙っている。

「…大丈夫。うっちーも私も死なないよ」

彩は曇りのない目でそう断言した。

「何で…何で言い切れるのよ」

「約束したもん。ここに入る前に、『絶対死なないで』って」

「たったそれだけ?そんなの…」

⏰:12/02/19 22:36 📱:PC/0 🆔:qbNJL2rk


#385 [我輩は匿名である]
「あんたにはわかんないよ。お互いを信じ合う気持ちなんて」

彩に言われ、凛は下を向く。

「…殺して」

「あ?」

小さな声で凛が言ったのを聞き取れず、土谷が耳を傾ける。

「殺してって言ってるの!あんた達に逮捕されるぐらいなら、死んだ方がマシ!!あの男を殺されて、私の事恨んでるんでしょ!?早く殺しなさいよ!ほら!!」

焦るように言う凛に、土谷は憐れむような視線を向ける。

⏰:12/02/19 22:36 📱:PC/0 🆔:qbNJL2rk


#386 [我輩は匿名である]
「…てめぇと一緒にすんな」

土谷は真剣な顔で答える。

「そりゃてめぇの事は殺したいぐらい恨んでるよ。顔が腫れあがるぐらいまでぶん殴ってやりてぇ。

でもなぁ、そんな事したって、あいつらは喜ばねぇんだよ。あいつらが望んでるのは、お前を逮捕する事だけだ。

…生きて償え」

そう言って、土谷は凛の両手に、静かに手錠をかけた。

⏰:12/02/19 22:37 📱:PC/0 🆔:qbNJL2rk


#387 [我輩は匿名である]
自分の手首にかけられたそれを見て、凛は呆然と立ち尽くす。

ちょうど、南里たちが呼んでいたらしい応援の警官たちが到着し、続々と中に入ってきた。

それを確認し、南里が拳銃をしまって彩達に駆け寄る。

「大丈夫!?外に救急車呼んであるから、すぐに運んでもらいましょう」

「はい…」

ホッとすると同時に、突然彩の頭を激しい痛みが襲った。

直後に吐き気とめまいもして、彩はそのままその場に倒れ込んだ。

⏰:12/02/19 22:37 📱:PC/0 🆔:qbNJL2rk


#388 [我輩は匿名である]
目が覚めると、彩は知らない天井を見上げていた。

すぐ近くから、ピッピッと機械の音がする。

ゆっくりと周りを見渡してみると、点滴や心電図モニターが置いてある。

「…病院…?」

「目が覚めた?」

声がした方を向くと、そばに南里がいた。

「…南里さん…」

「軽い脳震盪だそうよ。大したことないって」

南里はそう言って、優しい笑顔を見せる。

⏰:12/03/05 21:43 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#389 [我輩は匿名である]
あぁ、そういえば凛に殴られたときに頭をぶつけた気がする。

彩はボーっとそう思った後、「あ!」と声を上げて飛び起きた。

「どうしたの?」

「うっちーは!?」

「あぁ、内村君なら肩手術して違う病棟に送られたわよ。さっき土谷さんが見に行ったら、先に目を覚ましてたそうよ。問題ないって」

「…良かった〜…」

最後に見た誠はぐったりしていたため、彩はホッと胸をなでおろす。

「あと、もう1人」

南里が笑ったまま補足する。

⏰:12/03/05 21:43 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#390 [我輩は匿名である]
「梶浦君も、意識が戻ったそうよ」

「本当!?そっかぁ…良かった…」

彩は笑って、安堵のため息を漏らす。

「…ありがとう。捜査に協力してくれて」

南里は優しく笑い、彩に礼を言った。

「いえ、そんな…」

「そして、ごめんなさい。あなた達の事…守ってあげられなかった。それに、あなた達がいなかったら、きっと事件はまだ解決できてなかったと思う。…本当にありがとう」

そう言って、南里は深く頭を下げる。

⏰:12/03/05 21:43 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#391 [我輩は匿名である]
「…こちらこそ、ありがとうございました。…犯人…捕まえてくれて」

彩は苦笑して言葉を返す。

「…きっと、春香たちも喜んでると思います」

「…そうね」

窓の外に目を向ける彩に、南里は頭を上げ、頷く。

「……凛達は…どうなるんですか?」

少し間をおいて、彩が南里に尋ねる。

彼女の質問に、南里は表情を暗くして答える。

⏰:12/03/05 21:44 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#392 [我輩は匿名である]
「主犯の小山凛は、殺人罪、銃刀法違反等で、少年法に基づいて罰せられるでしょうね。永井皐は、おそらく殺人幇助(ほうじょ)で同じように罰せられると思うわ」

「…そうですか…」

彩は少しうつむいて、それだけ答えた。

やっと終わった。何もかも。

でも、何だか終わった気がしない。

中学時代、私がもっと凛の力になれていたなら、こんな事にはならなかっただろう。

そう思うと、なんだかやるせない気持ちになる。

⏰:12/03/05 21:44 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#393 [我輩は匿名である]
「…それじゃあ、私たちは署に戻るわね。今日は、ゆっくりお休みなさい」

南里はそう言って、鞄を手に立ち上がる。

「また何度か話を聞きに来たりするかもしれないけど、その時はよろしくね」

「はい。じゃあ、また」

彩が笑って答えると、南里も笑って、病室を後にした。

1人になり、彩はまたベッドに横になる。

今度、彼らの墓参りに行こう。彩はそう決めて、また目を閉じ、静かに寝息を立てた。

⏰:12/03/05 21:45 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#394 [我輩は匿名である]
2週間後。事件はさらに、最悪の形で終わりを迎えた。

警視庁に戻ったばかりの南里は、今度はある留置所にいた。

留置所からの1本の通報。「勾留中の被疑者が死んでいる」。

それは、自分が逮捕した、あの少女だった。

横たわる彼女の遺体の首には、彼女が勾留中に着ていた着衣の上着が巻き付いていた。

おそらく、脱いだものを自分の首に巻いて絞めたのだろう。

呆然と立ち尽くす南里の視界の端に、ふと、ペンと紙が置いてあるのが映る。

⏰:12/03/05 21:46 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#395 [我輩は匿名である]
「…これは…?」

南里は手袋をしたままそれを拾い上げる。

「それは昨日、『母に手紙を書きたい』と申し出があったので、渡したものです」

その対応をしたのだろう担当者が、南里に答える。

しかし、手紙の内容は明らかに、残された母親にあてられたものではない。

南里は黙って、その全てに目を走らせる。

⏰:12/03/05 21:46 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#396 [我輩は匿名である]
『どうして私ばかりこんな目に遭うの?

悪いのは私だけ?そんなはずない。

でもみんな、私だけを責める。

もう疲れた。早く葛城さんに会いたい。

葛城さんの隣だけが私の居場所。

葛城さんのいないこの世界に、生きてる価値なんかない。

冷たい世界よ、さようなら。』

⏰:12/03/05 21:47 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#397 [我輩は匿名である]
手紙は、そこで終わっていた。

手紙というよりは、遺書という方がいいような気もする。

「…どこから…狂ってしまったんでしょうね」

南里はぽつりと、その1枚の紙に視線を落としながらつぶやく。

父親が事故を起こしてから?いじめが始まってから?葛城と出会ってから?

それはきっと、凛本人にもわからないだろう。

もしも生まれ変われたら、彼女は何を望むのだろうか。

そう考えると何だか胸が痛くなって、南里は目を背けた。

⏰:12/03/05 21:47 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#398 [我輩は匿名である]
同じ頃。彩はやっと退院できた誠と2人で、春香、龍也、美穂の墓参りに来ていた。

まだ入院中の司は退屈そうにぶつぶつ文句を言っていたが、誠がなだめるとしぶしぶ納得して昼寝をしていた。

「今頃…みんなどうしてるんだろうね」

墓に向かって手を合わせた後、彩がふとつぶやく。

「…誰?」

まだ三角巾で左腕を肩からつりさげた誠が、首をかしげて聞き返す。

⏰:12/03/05 21:48 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#399 [我輩は匿名である]
「春香たち。天国でどうしてるんだろうなーって思って」

「あぁ…。長谷部はわからねぇけど、龍也は相変わらず青山にもうアタックしてるんじゃねぇの」

「ははっ、当たってそう」

適当ながらももっともな答えを出す誠に、彩は笑う。

「でも…本当に終わったんだね」

「…あぁ…」

「…これで、みんな安心して眠れるね」

「…あぁ、俺たちか?」

⏰:12/03/05 21:49 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#400 [我輩は匿名である]
「違う!春香たち!」

「あぁ、そっち」

彩に大声で起こられ、誠は顔をしかめて返事する。

「ったくもう…」

「さぁ、みんなの墓もまわったし、飯食いに行くぞ。腹減った」

誠はそう言ってさっさと歩き出す。

⏰:12/03/05 21:49 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#401 [我輩は匿名である]
その背中を、彩はむすっとした顔で見つめる。

でも、いつも通りの彼を見ていて、自然と顔がほころんだ。

「おい、置いて帰るぞ」

足音が追いかけてこないのに気付いたのか、誠が振り向く。

「待ってよ」

「何笑ってんだよ、気持ち悪い」

「ほっといて!」

2人は喧嘩しながらも、並んで歩いて、暖かい風が吹くこの場所を後にした。

⏰:12/03/05 21:49 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


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