2年A組
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#311 [我輩は匿名である]
「…どういう事ですか」
話せる状態じゃない彩の代わりに、誠が尋ねる。
「…青山さんの顔、…笑ってるように見えた」
南里は言いながら俯く。まるで、自分も涙を隠すかのように。
「…電話の内容から考えたら、岡本は青山と会う前に梶浦を襲った。でも何があったか、梶浦を撃った後にピストルを奪われて、仕方なく逃げてきた…ってところじゃないか。
梶浦が持ってたピストルの弾、この間2人を撃ったものと同じだったし…岡本のピストルで間違いないだろう」
腕を組んだまま、土谷が言う。
:11/12/14 21:52
:PC/0
:MqhoO8ew
#312 [我輩は匿名である]
2人は黙って、彼の話に耳を傾ける。
しばらくして、誠が言った。
「…あいつ、『犯人が分かったかもしれない』って言ってました」
「誰?」
「それを聞く前に、あいつが電話を切って…それっきりです」
誠の話に、南里と土谷が肩を落とす。
:11/12/14 21:52
:PC/0
:MqhoO8ew
#313 [我輩は匿名である]
司や美穂がわかるという事は、きっと彼らが知っている人物。
「梶浦君と青山さんが知っている人…って事になるのかしら」
南里は資料をめくりながら言う。
まだ被害に遭っていない元2年A組の生徒は何人かいる。
もしかしたら、この中の誰か…?
警察2人がそれを見ながら考え込んでいると、今まで黙っていた彩が口を開いた。
:11/12/14 21:54
:PC/0
:MqhoO8ew
#314 [我輩は匿名である]
「…南里さん」
彩の声に、南里と土谷が彼女に目を向ける。
「どうしたの?」
「……ありがとうございました」
震える声で言う彩に、誠も目をやる。
「…美穂ちゃんの死…無駄にしないでくれて」
:11/12/14 21:55
:PC/0
:MqhoO8ew
#315 [我輩は匿名である]
もしも南里が電話を切っていたら…もしもその会話が録音されていなかったら。
美穂と岡本のやり取りを誰も知らないまま、犯人も絞れずにいただろう。
「…お礼なんて言わないで」
南里が少し、膝の上で手を握る。
「私たちがしっかりしていれば、死なずに済んだ子だっていたはずなの。…私たちは…お礼を言われるに値しないわ」
悔しそうに、南里は答える。
それでも、彩は彼女たちに感謝した。
今まで頼りにならず、事件が起きる度にイライラさせられたが、初めて警察らしいことをしてくれた。
美穂が亡くなり、司も意識不明状態だが、彩はほんの少しだけ救われたような気がした。
:11/12/14 21:56
:PC/0
:MqhoO8ew
#316 [我輩は匿名である]
1週間後。
凛はじっと、ベッドに寝転がって天井を見上げる。
南里に聞かせてもらった、美穂の最期の会話が忘れられない。
まさか、美穂があんな行動に出るなんて思わなかった。
狂ってしまった。仲の良かった友人たちも、自分も。
誰かが死んでも、「あぁまたか」くらいにしか感じられなくなってきている自分に怖くなる。
そんな時、彩の携帯電話に、1通のメールが届いた。
差出人は、凛からだ。
:11/12/17 00:39
:PC/0
:OuT9dSuI
#317 [我輩は匿名である]
「(どうしたんだろ?)」
メールを開き、彩は思わず飛び起きる。
『小山凛を誘拐した。助けたければ、17時までに○○倉庫まで来い。
警察に通報したら、その時点でこいつの命はない。
忘れるな。お前たちはいつも見張られている。』
そう書かれた文章に、1枚の画像が添付されていた。
手足をロープのようなもので縛られ、こちらに背中を向けて転がっている少女。
:11/12/17 00:40
:PC/0
:OuT9dSuI
#318 [我輩は匿名である]
どうして自分の元にこんなメールが届くのか。
「…お前“たち”…?」
よく見てみると、送信先に誠のアドレスも書いてある。
彩は慌てて誠に電話する。
「うっちー!?メール来た!?」
「…あぁ、来たよ」
焦っている彩とは反対に、誠の声は落ち着いている。
:11/12/17 00:40
:PC/0
:OuT9dSuI
#319 [我輩は匿名である]
「…次は、多分俺たちだ」
薄々気づいていた事を誠に言われ、彩は沈黙する。
「…南里さんたちには…」
「…言わない方がいいだろうな。今はばれなくても、もしばれたら小山が殺される」
「そうだよね…。…うっちー、ちょっとそっちに行っていい?」
「あぁ、気を付けて」
彩はそれを聞いた後、電話を切って着替える。
:11/12/17 00:41
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:OuT9dSuI
#320 [我輩は匿名である]
その途中、ふとある事に気が付いた。
「(…なんで凛ちゃんが、うっちーのアドレス知ってるんだろ?)」
中学時代から、誠と凛はたまに話すくらいの仲だった。それも、彩が知る限り、必要なこと以外はあまり口もきいていなかったはず。
なのに、なぜ…?
そしてもう1つ。彩は再び、メールの添付画像を見る。
凛が拘束されたこの画像。彩には自分でもわからない違和感を覚えた。
しかし、ゆっくり考えている場合じゃない。
携帯電話と財布を鞄に入れて、彩は家を飛び出した。
:11/12/17 00:41
:PC/0
:OuT9dSuI
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