2年A組
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#387 [我輩は匿名である]
自分の手首にかけられたそれを見て、凛は呆然と立ち尽くす。

ちょうど、南里たちが呼んでいたらしい応援の警官たちが到着し、続々と中に入ってきた。

それを確認し、南里が拳銃をしまって彩達に駆け寄る。

「大丈夫!?外に救急車呼んであるから、すぐに運んでもらいましょう」

「はい…」

ホッとすると同時に、突然彩の頭を激しい痛みが襲った。

直後に吐き気とめまいもして、彩はそのままその場に倒れ込んだ。

⏰:12/02/19 22:37 📱:PC/0 🆔:qbNJL2rk


#388 [我輩は匿名である]
目が覚めると、彩は知らない天井を見上げていた。

すぐ近くから、ピッピッと機械の音がする。

ゆっくりと周りを見渡してみると、点滴や心電図モニターが置いてある。

「…病院…?」

「目が覚めた?」

声がした方を向くと、そばに南里がいた。

「…南里さん…」

「軽い脳震盪だそうよ。大したことないって」

南里はそう言って、優しい笑顔を見せる。

⏰:12/03/05 21:43 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#389 [我輩は匿名である]
あぁ、そういえば凛に殴られたときに頭をぶつけた気がする。

彩はボーっとそう思った後、「あ!」と声を上げて飛び起きた。

「どうしたの?」

「うっちーは!?」

「あぁ、内村君なら肩手術して違う病棟に送られたわよ。さっき土谷さんが見に行ったら、先に目を覚ましてたそうよ。問題ないって」

「…良かった〜…」

最後に見た誠はぐったりしていたため、彩はホッと胸をなでおろす。

「あと、もう1人」

南里が笑ったまま補足する。

⏰:12/03/05 21:43 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#390 [我輩は匿名である]
「梶浦君も、意識が戻ったそうよ」

「本当!?そっかぁ…良かった…」

彩は笑って、安堵のため息を漏らす。

「…ありがとう。捜査に協力してくれて」

南里は優しく笑い、彩に礼を言った。

「いえ、そんな…」

「そして、ごめんなさい。あなた達の事…守ってあげられなかった。それに、あなた達がいなかったら、きっと事件はまだ解決できてなかったと思う。…本当にありがとう」

そう言って、南里は深く頭を下げる。

⏰:12/03/05 21:43 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#391 [我輩は匿名である]
「…こちらこそ、ありがとうございました。…犯人…捕まえてくれて」

彩は苦笑して言葉を返す。

「…きっと、春香たちも喜んでると思います」

「…そうね」

窓の外に目を向ける彩に、南里は頭を上げ、頷く。

「……凛達は…どうなるんですか?」

少し間をおいて、彩が南里に尋ねる。

彼女の質問に、南里は表情を暗くして答える。

⏰:12/03/05 21:44 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#392 [我輩は匿名である]
「主犯の小山凛は、殺人罪、銃刀法違反等で、少年法に基づいて罰せられるでしょうね。永井皐は、おそらく殺人幇助(ほうじょ)で同じように罰せられると思うわ」

「…そうですか…」

彩は少しうつむいて、それだけ答えた。

やっと終わった。何もかも。

でも、何だか終わった気がしない。

中学時代、私がもっと凛の力になれていたなら、こんな事にはならなかっただろう。

そう思うと、なんだかやるせない気持ちになる。

⏰:12/03/05 21:44 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#393 [我輩は匿名である]
「…それじゃあ、私たちは署に戻るわね。今日は、ゆっくりお休みなさい」

南里はそう言って、鞄を手に立ち上がる。

「また何度か話を聞きに来たりするかもしれないけど、その時はよろしくね」

「はい。じゃあ、また」

彩が笑って答えると、南里も笑って、病室を後にした。

1人になり、彩はまたベッドに横になる。

今度、彼らの墓参りに行こう。彩はそう決めて、また目を閉じ、静かに寝息を立てた。

⏰:12/03/05 21:45 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#394 [我輩は匿名である]
2週間後。事件はさらに、最悪の形で終わりを迎えた。

警視庁に戻ったばかりの南里は、今度はある留置所にいた。

留置所からの1本の通報。「勾留中の被疑者が死んでいる」。

それは、自分が逮捕した、あの少女だった。

横たわる彼女の遺体の首には、彼女が勾留中に着ていた着衣の上着が巻き付いていた。

おそらく、脱いだものを自分の首に巻いて絞めたのだろう。

呆然と立ち尽くす南里の視界の端に、ふと、ペンと紙が置いてあるのが映る。

⏰:12/03/05 21:46 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#395 [我輩は匿名である]
「…これは…?」

南里は手袋をしたままそれを拾い上げる。

「それは昨日、『母に手紙を書きたい』と申し出があったので、渡したものです」

その対応をしたのだろう担当者が、南里に答える。

しかし、手紙の内容は明らかに、残された母親にあてられたものではない。

南里は黙って、その全てに目を走らせる。

⏰:12/03/05 21:46 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


#396 [我輩は匿名である]
『どうして私ばかりこんな目に遭うの?

悪いのは私だけ?そんなはずない。

でもみんな、私だけを責める。

もう疲れた。早く葛城さんに会いたい。

葛城さんの隣だけが私の居場所。

葛城さんのいないこの世界に、生きてる価値なんかない。

冷たい世界よ、さようなら。』

⏰:12/03/05 21:47 📱:PC/0 🆔:BntSR/HI


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