2年A組
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#47 [我輩は匿名である]
その日の放課後。

彩は凛とともに帰路についていた。授業が終わってすぐの帰り道のため、まだ外は明るく、人通りも車の通りも多い。

「凛ちゃん…あの事件、どう思う?」

歩きながら、彩は静かに凛に尋ねた。

「どう…って?」

質問の内容が読めず、凛は聞き返す。

「なんか、うまく言えないけど…、私たちも狙われるんじゃないか…とか、思っちゃって」

⏰:11/10/23 20:01 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#48 [我輩は匿名である]
彩は自分でも「ばかげている」と思いながらも、自分の不安を口にする。

凛はそれを聞いてしばし黙る。

おかしなことを言ったな。彩は少し後悔する。

「…私だけじゃなかったんだ。そう思ってるの」

凛は安心したように笑った。

「私もね、同じこと考えてたんだ。被害にあってるの、みんな中学の時の同級生じゃない?…一体何なんだろうって」

⏰:11/10/23 20:01 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#49 [我輩は匿名である]
「(やっぱり、こう思う子もいるんだ)」

凛の言葉を聞いて、彩もほっとした。

男子3人が集団で殺されているのを考えると、女子2人で一緒に帰っていても大して安全ではないのだが、それでも同じ気持ちでいる友人が一緒なら、どこか心強い。

「じゃあ、私あっちだから」

凛は立ち止まり、自分の家がある方向を指さした。

「あっ、そうだったね。じゃあ、また明日」

彩と凛は手を振りあい、それぞれ自分の家へと向かって歩き出す。

⏰:11/10/23 20:02 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#50 [我輩は匿名である]
話し相手がいなくなり、寂しさを感じながら歩いていると、彩はふと、誠と1人の男子高校生が話しているのを見つけた。

「(うっちーだ)」

誠は背中を向けているが、鞄についている熊のキーホルダーですぐにわかった。

あれは少し前に、彩が誕生日プレゼントで誠にあげたものだった。

見たところ、冗談を言い合っているような様子ではない。深刻そうな顔で、まじめな話をしているようだ。

よく見てみると、話し相手の男子高校生は彩も知っている人物だ。同じ中学の同級生だった、梶浦司だ。

思い返せば中学の時、誠と司は仲が良かった。司は別の高校に進学したが、今もちょくちょく会っているのは、彩も知っている。

彩は誠を盾にして司から見えないような位置から、足音を立てないようにそっと近づく。

⏰:11/10/23 20:02 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#51 [我輩は匿名である]
しっかりと聞き耳を立てて近寄っていくと、ある程度声が聞こえるようになってきた。

「じゃあ…次は誰だと思う?」

そう言ったのは誠だ。彩は声が聞こえる場所に来ると立ち止まった。

「さぁ?…話変わるけど……」

運悪く、司が声を小さくしてしまった。これでは何の話をしているのかすらよくわからない。

そう思ってむくれていると、誠が素早くこちらを向いた。

急に振り向かれると思っていなかったので、彩はその場に固まる。

⏰:11/10/23 20:02 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#52 [我輩は匿名である]
「…何やってんだよ、お前」

「えっ、いや…何、話してるのかなぁと思って…」

彩はあたふたしながら答える。

「なっ、何でこっち向いたの?」

「足、見えてたよ」

そう答えたのは司だった。誠と違って愛想の良い司は、彩を見て笑っている。

「盗み聞きか?ん?」

「痛い痛い!暴力反対!!」

⏰:11/10/23 20:03 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#53 [我輩は匿名である]
不機嫌そうに見下ろしながら、誠が彩の耳をつねる。

急に司が声を潜めたのは、誠に、背後に誰かがいるのを伝えるためだったのか。彩は耳をつねられながらも冷静に考えた。

「ったく、悪趣味な奴。早く帰れよ」

手を放し、誠がため息をつく。

「だって、何話してたのか気になっちゃって。珍しくまじめな話だったみたいだし…」

「『珍しく』って言われてるよ、誠」

「お前ならともかく、俺はいつもまじめだよ」

⏰:11/10/23 20:03 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#54 [我輩は匿名である]
「どういう意味よ!」

彩は誠に食って掛かるが、誠にぽんと頭をたたかれ、黙って彼を見上げる。

「別に大した話じゃないから。とりあえずもう帰れ。な?」

「ごめんな、塩見」

2人がここまで言うなら、聞かれたくない話なのだろう。彩は肩を落とし、仕方なくとぼとぼ歩きだした。

⏰:11/10/23 20:04 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#55 [我輩は匿名である]
『次は誰だと思う?』『さぁ?』

彩は2人の会話を思い出す。たったそれだけしか聞こえなかったが、彩には何となくわかった。

おそらく2人が話していたのも、おそらく事件の事だろう。

2件も同じような事件が続いたので、誠も気になりだしたようだ。

「…そうだ」

他校の友人なら、自分にだっている。彩は携帯電話を鞄から取り出し、慣れた手つきでタッチパネルをタップして電話帳を開く。

中学3年間同じクラスで、ずっと一緒にいた親友。長谷部春香。彼女は確か、最初に殺された小松千佳や、次に殺された男子3人と同じ高校に通っていたはずだ。

「帰ったら電話してみよう」

そう呟き、彩はそのまま携帯電話をポケットに入れて家路を急いだ。

⏰:11/10/23 20:04 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#56 [我輩は匿名である]
「もしもし〜?」

家に帰るなり、彩はベッドに寝転がって春香に電話を掛けた。

「彩!?久しぶり〜!元気?」

懐かしい春香の明るい声を聴いて、彩は自然と笑顔になる。

「私は元気だよー。春香は?」

「私も元気だけどさぁ…うちの高校、もう大変で…」

電話の向こうから春香のため息が聞こえてくる。

⏰:11/10/26 19:46 📱:PC/0 🆔:AqBoNxy.


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