ぼくらのみかた
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#222 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『高見。木下が呼んでるぞ』
前に数学の授業の時に喋っている事を注意された上野が俺の所に来て言った。
指さす方を見ると、ドアの所で木下先生が『来い』と言わんばかりの視線を向けている。
…まさかとは思うがさっきのカンニングがバレたのだろうか?
いや、それならその時点で注意するだろう。
:11/08/18 08:43
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:wwhjTjoQ
#223 [輪廻◆j6ceQ96kak]
嫌な予感を胸に先生の元へ。
『高見、ちょっと来なさい』
そう言って俺を連れ出して向かった先はトイレだ。
…なぜトイレなのだろう。
以前と同じような雰囲気になった。
木下は俺に背を向けてポケットに手を突っ込んでいる。
『高見。君は昨日、久保のいる病院に行ったらしいな?』
…セーフか?
どうやらカンニングの事ではないらしい。
:11/08/18 08:53
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#224 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『それがなんですか?』
わざわざトイレまで来なくても、廊下で言えばよかったんじゃないか?
『行ったなら、久保の親から聞いているのだろう?』
『え…何を…?』
この後、木下の口から出た言葉に俺は驚愕し言葉を失う事になる。
:11/08/18 09:51
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#225 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『久保は…失声症になってしまったらしい』
『……しっせい…しょう?』
呆然とした。
一瞬冗談だと思った…いや、思いたかった。
『昨日見舞いに行ったのだろう? もしかして聞いていなかったのかね?』
『…………』
こいつ…なんでこんなあっけらかんとした顔をしてるんだ?
:11/08/18 11:57
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#226 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『…なっ!』
先生が突然倒れた。
それは当然だろう。
気がついたら俺は先生を殴っていたのだから。
…でもなぜだろう。
口より先に手が出ていた。
それに不思議な事に、先生を殴ったというのに後悔が襲ってこない。
むしろ今は殴って正解だったと心の中にいるもう一人の俺に言われた気がした。
:11/08/18 12:10
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#227 [輪廻◆j6ceQ96kak]
俺に殴られた先生は頬を手で押さえながらゆっくり立ち上がり
『高見…どういうつもりだね、これは…』
と俺を睨みつけながら言った。
『久保…あいつがそうなったのは先生のせいだろ!』
『待ちなさい。一体何の話をしているのかね』
…話にならない。
:11/08/18 20:14
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#228 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『もういいです』
その場を立ち去ろうとした時、先生がとっさに俺の肩をガッと掴んだ。
『待ちなさい』
『もう話す事なんてありませんから』
俺はそう言って肩を掴む手を振りほどいてトイレのドアを開け廊下へ出た。
その際に後ろで先生が言い放った。
『あまり人を簡単に信用してはいかんよ!』
…馬鹿か。
最初から信用してないよ。
先生、アンタだけは。
:11/08/18 20:27
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#229 [輪廻◆j6ceQ96kak]
その日の放課後、俺と雪乃ちゃんと野村の三人で花屋で花束を買ってから久保のいる病院へ向かった。
『久保くん大丈夫かな…』
病室へ向かう途中の廊下で雪乃ちゃんがやけに心配そうに呟く。
もしかすると雪乃ちゃんは久保の事が…
いやいや、まさかね。
それよりも、木下先生が言っていた事がまだ信じられなかった。
:11/08/18 20:38
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#230 [輪廻◆j6ceQ96kak]
久保が、声を失う病…
つまり…失声症だなんて。
この二人にはもちろん、クラスの皆にも言えなかった。
もし知ったら大騒ぎになる事はわかりきっていたから。
『あった、ここだ』
雪乃ちゃんが病室を見つけ、俺達三人は中に足を踏み入れた。
:11/08/18 20:44
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#231 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『あれ、久保くんだけなんだ…』
今日は母親は来ていないようだ。
昨日と同じく奥のベッドで仰向けに寝ている久保の姿があり、傍へ行く。
『久保!』
俺が、目をつぶっている久保に大きな声で呼びかけると、ゆっくりと目を開けた。
『久保くん!』
雪乃ちゃんも嬉しそうに呼びかける。
:11/08/18 20:57
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