ぼくらのみかた
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#262 [輪廻◆j6ceQ96kak]
メールはまだある。
「うん 照れちゃった」
「あはは そういえばどこの高校に通ってるの?」
「あ 知ってるよ」
「学校近いね あたしも彼氏いないので付き合っちゃいます?」
「やったぁ じゃあ太一って呼ぶね あたしは茜でいいよ」
「今度会おうよ」
「もう私の彼氏だもん 会いたいよ」
「じゃあ来週の日曜日で 楽しみにしてるね」
…メールはおおむねここで終わりだ。
:11/08/21 07:28
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:eIzae13s
#263 [輪廻◆j6ceQ96kak]
でも…
なんだろうこの違和感。
このメールの中に何か違和感を感じる。
その違和感の正体に気づくのにそれほど時間はかからなかった。
それは受信メールの一つにあった。
「もう私の彼氏だもん 会いたいよ」
…今までのメールでは彼女の一人称は『あたし』だったのに、この文章だけはなぜか『私』だ。
:11/08/21 07:34
:T005
:eIzae13s
#264 [輪廻◆j6ceQ96kak]
別にそれほど気になるような事ではないのだが、俺からしてみればちょっとおかしいなとは思う。
まあ単なる俺の気にしすぎだろうと自分に言い聞かせて久保の携帯電話を閉じて鞄にしまった。
俺の今日のやるべき事はこのメールを放課後、木下先生につきつける。
向こうからアピールしてきた文章を見せれば、さすがの木下も自分のやった事を自覚するだろう。
:11/08/21 07:44
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:eIzae13s
#265 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『高見くん、今持ってた携帯って久保くんの?』
『うわっ! あ、うん…ちょっとね』
雪乃ちゃんはいきなり俺の背後から話しかけてきたので驚いてしまった。
気配を感じなかったから、怖くてチビりそうになった事は内緒だ。
『もしかして、メールとかチェックしてたの?』
『えっ?』
さすが雪乃ちゃん…鋭い。
でも彼女はもう知っているから変に驚く必要はないな。
誰が知ってて誰が知らないのか、ちょっと混乱してきた。
:11/08/21 07:58
:T005
:eIzae13s
#266 [輪廻◆j6ceQ96kak]
もし茜さんが木下の娘じゃなかったら、久保は謹慎になる事も自殺未遂をする事もなかったかもしれない。
単純に考えれば、偶然携帯サイトで知りあった人が自分の通っている学校の教師の娘だったという事だが、それはそれで後から複雑になる。
そういった色々な事が久保を精神的に追い詰めたのかもしれない。
結果、俺は久保の気持ちをわかってなかった。
それどころか、わかろうともせずに『やめといた方がいい』とか適当な事言ってた。
:11/08/21 08:19
:T005
:eIzae13s
#267 [輪廻◆j6ceQ96kak]
俺は最低な奴だ。
人の気持ちを知った気でいて、全く知らなかった。
いつか本当に人の気持ちをわかってやれる男になれるだろうか。
いや、なりたい。
笑い合いながら、時には悲しみを分かち合いながら『お前の気持ち、わかるよ』と言える男に―
その日の放課後、俺は屋上に木下先生を呼び出す事に成功した。
今度ばかりはトイレなんかでする話ではないからな。
:11/08/21 08:30
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:eIzae13s
#268 [輪廻◆j6ceQ96kak]
制服の右ポケットには、久保の携帯電話もしっかりと入っている。
『高見…ワタシは試験問題の最終チェックなどで忙しいんだよ。話なら、なるべく早く済ませて欲しいね』
『ちゃんと答えてくれるなら時間は取らせねーよ』
『で…なんだね?』
俺はポケットから強力な武器…携帯電話を取り出した。
メール画面を開く。
『…え?』
『どうしたのかね』
そんなまさか…
茜さんからの受信メールが全て…
消えている―
:11/08/21 08:49
:T005
:eIzae13s
#269 [輪廻◆j6ceQ96kak]
消した覚えもないし、消すはずもない。
一気に血の気が引いた。
『話がないなら戻らせてもらうよ』
いや、まだ帰すわけにはいかない!
でもあのメールがないと追い詰める事はできない。
…それなら最終手段だ。
上からがダメなら下からだ。
:11/08/21 08:57
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:eIzae13s
#270 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『今日これから、先生の娘さんの茜さんに会わせてくれませんか?』
一か八か聞いてみた。
『…断る』
即答だった。
久保の受信メールがない以上、今のところ強力な武器は娘のメール送信内容が書かれた携帯電話しかない。
向こうでも消されている可能性は否定できないが、少しの可能性を信じるのであれば見てみる価値はある。
:11/08/21 09:08
:T005
:eIzae13s
#271 [輪廻◆j6ceQ96kak]
でもこの先生を通さないと娘に会う事はできない。
…いや、そうでもないかもしれない。
たった一人だけ、いるではないか。
木下の娘と交流がある人が。
そう…吉田の妹だ―
木下の娘と吉田の妹は友達なんだ。
吉田の話によると、木下の娘は吉田の家によく遊びに来るという事だ。
:11/08/21 23:28
:T005
:eIzae13s
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