こえをきかせて
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#1 [SAKURA]
ねぇ、知ってる?


あなたのその声が、どれだけ私の心を惑わせるか。


もう聞きたくない。


なんてね、嘘なんだよ??


声が聞きたい。

⏰:11/08/15 01:12 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#2 [SAKURA]
ガチャガチャうるさい現場で、息をつく間もないほど忙しく働く。


親の会社に入社して、気楽に仕事をこなし、安定した収入と立場で適当にやり過ごす。


なんていうゆとり教育の賜物、他力本願な思想を180度覆された毎日。

⏰:11/08/15 01:20 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#3 [SAKURA]
社長の娘だからと言って甘やかすようなスタッフなんてほとんどいない。


むしろいずれ経営陣に就くだろう私を、今のうちに鍛え上げようなんていうアツい人間ばかり。


まぁ、みんな幼い頃から家族の様に接してきたから、仕事意外は上も下もないんだけどね。

⏰:11/08/15 14:55 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#4 [SAKURA]
「お前、向こうであれ合わせてこい。」


「あれってなに!?」


「見やわかんだろ!!!」


そういいながら指をさす方にギター二本とベースが一本。


「あぁ…うぃー。」


合わせてこいってのは、チューニングでいいのか??

⏰:11/08/15 15:00 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#5 [SAKURA]
最近は慣れたけど、みんな主語が足りない。
そして忙しいからか、怖い。


分かって来たから聞き返せるしいちいちビビんないけど、最初はなかなかしんどかった。


ギターを手に持ち、チューナーを繋いでポロポロ音を出す。


不思議と気持ちが高鳴る。

⏰:11/08/15 15:04 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#6 [SAKURA]
「あっれ…音合ってんじゃん。」


ギターもベースも音を出してみるが、チューニングはバッチリだ。
現場が騒がしいからチューナーで確かめるけど、いちいち繋がなくても耳で聞いてすぐわかる。


昔から周りに音楽が溢れていた環境で育ったから絶対音感なんてものが身についている。


あとは…遺伝、かな。

⏰:11/08/15 15:10 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#7 [SAKURA]
「おい!ゆめ!!」


「あぁ、みつさんこれ音合ってるよ。」


ゆめというのは私の名前でみつさんはさっきのおっさん。


「馬鹿か!チューニングなんてやってあるに決まってんだろ!!」


…言えよ!!!!


「アンプに繋いで音出せよ!!
エフェクターとか返しとか、とにかく全部お前やれ!!」

⏰:11/08/15 15:17 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#8 [SAKURA]
「…は??私が???」


「おうやれ!!いいからやれ!!!すぐやれ!!!
周り見てみろ!人足りてねえだろ!!ちゃんとそこまで気回せ!言われたこと以上の仕事しろ!!!」


確かに今日はスタッフが少ない上に機材を触れる人がみつさんと私と、PAさんしかいない。
PAの人は、私の音出し待ちしてるのかすでにスタンバイしている。


急いでステージに上がりギターを繋ぐ。

⏰:11/08/15 15:25 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#9 [SAKURA]
今日はうちが経営するライブハウスで、うちに所属する歌手のレコ発イベントがある。


大きくはないけど、実力は確かな歌手やバンド、そしてアイドルまで、音楽に関するアーティストが所属するレコード会社。


親父のこだわりで、全ての仕事を自分の事務所でこなす。


ヘアメイク、スタイリング、音響、アーティストの食事を"作る"ところからとにかく全て。
TV出演の時もライブでも、雑誌の取材でも全部。

⏰:11/08/15 15:35 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#10 [SAKURA]
今日はCDを買ってくれた人から抽選で選ばれた人を招待してのミニライブがあって、全国3ヶ所回るうちの初日。
だから周りもピリピリしている。


ほんと、自分の親父ながら変なこだわりを持つ社長を恨むよ。


全ては所属するアーティストのため。


アーティストが仕事しやすいように、周りを身内で固めているらしい。


だったらもっと人員増やせ。(笑)

⏰:11/08/15 15:41 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#11 [SAKURA]
演奏するスタジオアーティストの人と、CDを出した女性歌手が現場入りしたときにすぐに音を合わせられるようにセットしておかなくてはいけない。


ギターを繋ぎPAさんに合図を出すと向こうからも合図が返ってきた。


ジャカジャカ音を出して、エフェクターも確認。
こっちのギターはメインだからどーのこーの、専門用語とか知識はわからないけど経験上の知識や感覚でなんとか進める。


ザ・ドンブリ勘定(笑)


PAさんからOKの合図がきたところでもう一本のギター。

⏰:11/08/15 15:52 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#12 [SAKURA]
エフェクターをカチカチ踏みながらちょっと楽しくなった私は、誰もが知ってる曲を弾いてみる。


アンパン○ンマーチ@ROCKver.(笑)


みつさんからふざけるなとでも言いたそうな視線を感じ、すぐに終了。(笑)


ベースも済ませ、ひょっとしてと思いドラムを指差すとPAさんが頷く。


言われたこと以上の仕事、こういう事ですね。

⏰:11/08/15 16:03 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#13 [SAKURA]
ドラムは一カ所ずつトコトコシャンシャン音を出してから、まんべんなく音を出せるリズムを叩く。


実はドラム、好きだったりする。
得意だったりする。


楽器はだいたいどれも人並み以上に触れる教育を受けてきた。
というより、自然に身についたというか兄貴のまねっこしてきたというか、とにかくなんでもある程度出来る。


ちょっと自慢出来るのが、兄貴には弾けないピアノが弾けること。(笑)


出来ることの全てが感覚で身についたこと。
私にとっては普通な事だけど、周りの人はそんな私を天才と呼んでいる(らしい)。どや。

⏰:11/08/15 16:10 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#14 [SAKURA]
周りもようやく落ち着いてきた頃にマイクがセットされた。
PAさんからドラムOKの合図が来て、まさかと思った時に「次マイクお願いしまーす。」とのこと。


いや、むり。


こればかりは無理。


周りのスタッフさん達は、なかなか始めない私にどうしたんだ?という視線を送る。


うだうだしているとみつさんの声が聞こえた。


「ゆめ!!!あとはこっちやれ!!」


座席を作るためにパイプ椅子が用意された。
みつさんがステージに上がり、私の肩をポンっと叩くと少しだけ微笑んで代わってくれた。

⏰:11/08/15 16:24 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#15 [SAKURA]
みつさんは私が歌えないことを知ってる。


バンドを組んでて、ギターでもベースでもドラムでも、キーボードでもなくボーカルだったこの私が歌えないだなんて、周りの人は思いもしないだろう。


ステージから降りると、椅子を並べながら一人スタッフさんに「お前ボーカルだったんだろ??ちょっと聞きたかったよ。」なんて言われた。


私だって、出来ることなら歌いたい。
でも、歌いたいのに歌えないんだ。


怖くて、寂しくて、涙が流れて。

⏰:11/08/15 16:31 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#16 [SAKURA]
「いいとこは先輩に譲らなきゃね。(笑)」
なんて冗談でかわした。


みつさんはあうあう声を出してある程度音を合わせたあと、ギターを手にとり弾きながら軽く歌いだした。


ちょっと楽しそうに。


いや、別に歌うことまでしなくてもいいんだけど、歌った方がPAさん的に楽らしい。


正直、うらやましい。


私にだって出来るはずなのに。

⏰:11/08/15 16:37 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#17 [SAKURA]
小さめのライブハウスだから、100席しかないプレミアイベント。
すぐに座席もセットし終わり、あとは歌手とスタジオアーティストがリハ入りするのを待つだけだった。


朝早くから始まって昼過ぎ、2時半頃ようやく休憩出来る時間が取れた。


事務所の料理班が作ったカレーが控室に並んでいる。


食べる気力もないくらい疲れた私は、真っ先に喫煙所に向かった。


今食べ損ねると次いつ食べれるかわからないけど、とにかくタバコ。

⏰:11/08/15 16:44 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#18 [SAKURA]
コーヒーを買って、喫煙所に行くと既にみつさんが数人と来ていた。


「お前、飯食ったか?」


「や、まだ。
なんか疲れてスプーン持つのもしんどい。(笑)」


「なにいってんだ、若いモンが。
お前また痩せたろ。
飯だけはちゃんと食え!!」


「みつさんいくつだよ(笑)
私はコーヒーとタバコがあれば生きて行ける気がする。」


「またんな事言って。
お前がそれ以上痩せると俺が親父に怒られんだからな!!(笑)
だいたいこんなきっついタバコ吸いやがって。」


私の愛し相方、セブンスターを持ちながら言った。

⏰:11/08/15 16:51 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#19 [SAKURA]
事務所の人間は、社長のことをみんな親父と呼ぶ。
これも親父のこだわり。


たまに現場に現れるママの事は、おかんと呼ぶ。(笑)


とにかく、会社の社員は家族のように。
これが絶対だ。


そんなんだからさほど大きくない事務所でありながら人望も厚く、素晴らしいアーティストがうちの事務所を選ぶんだと思う。


うちで育てたアーティストも、うちから移籍することはまずない。

⏰:11/08/15 16:58 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#20 [SAKURA]
他の人が食事に向かい、喫煙所にはみつさんと二人になった。


「みつさん、さっきありがとね、マイクチェック代わってくれて。」


「ん?あー…おぅ。
まだ、ダメか。」


「うん、前よりはマシだと思う。
なにより、歌いたいとは思えるようになったし。
多分お酒引っ掛けたあととかならいけんじゃない?(笑)」


「なんだそりゃ。(笑)
一応、もうそろそろ大丈夫かなとは思って今日任せたんだけどな、悪かった。」


いやいや、みつさんは謝る必要ないっしょ。
悪いのは私だ。
私がダメな奴だから。

⏰:11/08/15 17:05 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#21 [SAKURA]
「仕事なんだから割り切ってやんないとね!!
頑張るから、またチャンスちょうだい!!!」


「おう!親父にも、歌えるように様子見てくれって頼まれてんだ、俺。」


「うーわ、初耳!!!(笑)」


「親父多分まだ諦めてねーよ、お前の事。」


短くなったタバコを、最後の一口大きく吸って消した。


「んで、やっぱりお前の音いいわ。
アンパン○ンめちゃかっこいくてビビったわ(笑)」


「どーも(笑)
怒られるかと思ったけどね。
」

⏰:11/08/15 17:10 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#22 [SAKURA]
飯行くわ、と一言残して、今度は私の頭をポンっとしてから行ってしまった。


仕事は厳しいけど、昔から近い存在だったからなんだかんだで優しいみつさん。


バンドで成功を夢見るも、上手く行かずに諦めてしまった人。
昔からうちのスタジオに通い親父も可愛がっていたから、スタッフとして事務所に引っ張った。


30そこそこの歳で親父もスタッフも信頼してる、努力人間。


そんな人に褒められた。


うん、気分がいい。
メシ食うか。(笑)

⏰:11/08/15 17:17 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#23 [SAKURA]
本番は6時から。
その前に通しリハで一時間。


人数が少ないながらも頑張ったおかげで割とゆっくり食事も出来て、穏やかな時間が過ごせた。


あとはイベントの流し方のチェックやらなんやらと細かい仕事があるけど、スタッフ全員もう手慣れた事なのでほぼ空き時間だ。


するとどこからともなく挨拶する声が聞こえてきた。


親父が来たらしい。
どうやら兄貴も一緒だ。

⏰:11/08/15 17:24 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#24 [SAKURA]
「お疲れ!!
みんな、今日は久しぶりにあいつのCD発売イベントだから、気合い入れて頑張ってくれよー!!」


なんて、ある程度頑張り終わった後に激励のお言葉。(笑)
それでもスタッフみんな笑顔で答える。


「次のイベントはあさってだから明日は特に大きな仕事はないし、今日の夜はみんなで飲みにでも行くか!!」


なんて言うと、大盛り上がり。


忙しく働いた後、タダで飲む酒ほど美味いもんはない。(笑)

⏰:11/08/15 17:30 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#25 [SAKURA]
「ゆめ、どうだ??」


兄貴が声をかけてきた。


「うん、まぁまぁかな。」


私が言う"まぁまぁ"は結構調子がいいときらしく、兄貴は納得していた。


「今日はお前も飲めよ??
いっつも運転〜とか、明日早い〜とか、理由つけて逃げるし。
兄ちゃん寂しいし。(笑)」


「兄ちゃんとかかわいくねえし。(笑)
うん、今日は気分がいいから飲もうかな。」


「なんかあったのか??」


「ROCKなアンパン○ンが舞い降りてきてちょっとね。」

⏰:11/08/15 17:36 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#26 [SAKURA]
近くにいたみつさんが思わず吹き出す。
意味のわからない兄貴がみつさんに聞いて、さっきのやり取りを説明していた。


私は本番前忙しくなる前に、またタバコを吸っとこうと思い、喫煙所に向かった。


すると今度は、リハまでまだちょっと時間もあるのにCDを出す歌手の方が来ていた。


RIKAさん。


会ったらいつも声をかけてくれる気さくな方。

⏰:11/08/15 17:41 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#27 [SAKURA]
「こんにちは!!」


「あーゆめちゃん!!
こんにちはー!
相変わらず色っぽい子ねー。」


いやいや、意味がわからない。(笑)


「こんなビリビリジーパンにテロテロTシャツにボサボサ頭のどこがっすか。(笑)」


仕事の時はだいたいこんな格好だ。
現場の人も、ほとんど男と扱いが変わらない。
背もでかいしね。


「あはは、最近また大人っぽくなって、そんな格好じゃ隠せないくらい滲み出てる。(笑)」


相変わらず不思議系RIKAさん。(笑)
そんな可愛らしい人柄に似つかないパワフルな歌唱力が人気。

⏰:11/08/15 17:48 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#28 [SAKURA]
「それよりRIKAさん、新曲めっちゃいいですね!!
私も客席で聞きたいです!(笑)」


「わぁー、ありがとう!!
ゆめちゃんにそう言われたら自信つくわっ!!」


細長い指に似合う、細長いタバコ片手に他愛のない会話をする。


すると、通り掛かったベテランスタッフさんがうちらに声をかけてきた。


「おうお前ら!!
女がんな人目につくとこでタバコ吸ってたら、男出来ねーぞ!!!」


出た。
差別。(笑)

⏰:11/08/15 17:53 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#29 [SAKURA]
「大丈夫!タバコ吸う女が嫌い何て言う男、嫌いだから(笑)」


「そんな器の小さい男、興味ないっす(笑)」


RIKAさんに続いて私も言った。


「おい!なんか俺が小さい奴って言いてえのか!(笑)
だいたい二人ともボーカリストだろー。
肺と喉にわりぃぞー。」


「私もう歌ってないし、歌ってる時はタバコで喉の調子整えるくらいハスキーボイスなボーカリストなので(笑)」


「あらゆめちゃん、気が合うわねー、私もよ(笑)」

⏰:11/08/15 17:59 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#30 [SAKURA]
「んな馬鹿な話があるかー!
…あるのか。そうか。
そいつはおぃちゃんが悪かった。(笑)
ちょっと若いねぇちゃんと喋りたかっただけだから、おぃちゃん泣く前にもう行くわー。(笑)」


思わずRIKAさんと笑った。


「ゆめちゃんの歌、一回聞いたことあるけど、ほんと喋ってる声からは想像つかないくらいハスキーよね、声!!
私すっかりファンよー。」


「おぉ!恐れ多い!!
ありがとうございます!!
タバコとお酒が秘密兵器です(笑)」


「若いのに酒やけ?(笑)
東京戻ってきたって聞いた時はてっきりデビューかと思ったのに、辞めたんだー。」

⏰:11/08/15 18:06 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#31 [SAKURA]
「あー…私もそのつもりだったというか…。
元々戻ってくる時期は決まってて、やってたバンドもそのまま上京のはすだったんですけどねー。
いろいろ…あって。」


「そっかー。
またバンド組んだりは??
私みたいに一人とか、さ。」


「それはないです。
あいつら以外とは…ないです。
多分、ずっと無理です。
歌…好きなんですけどね…どうも気持ち的に。」


「…もったいないねー、好きなら尚更。
ひとついいこと…かわかんないけど、教えてあげる。
私もね、10代でバンド組んでて解散して、20代前半、同じこと言ってた!!!
ま、解散した理由とかいろいろ違うこともあるけどさ、時間が解決してくれるのよね」

⏰:11/08/15 18:14 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#32 [SAKURA]
「一人で歌う今でも、あの頃の私の方が勢いあってよかったなーとか、やっぱりあいつらとの音楽一番楽しかったなーとか思うこともある。」


内緒ね、というように人差し指を口に当てて微笑む。


「それでも私、歌しかなかったからね。
ゆめちゃんはほかにも色々あると思うし、これから見つかるかもしんないし!!」


「ひとつ聞いていいですか??」


「なあに?」


「その…歌辞めてた時に、"歌えない"ことはありました??
ちょっとした…例えばカラオケとかでさえ、怖くて歌えないこととか…。
あの頃とは違う自分の歌、怖くないですか??
寂しくないですか??」


「うーん…確かに怖かった。
でも、それ以上に応援してもらったり、今のお前の歌が聞きたいって言ってくれる人もいて、乗り越えたよ。」

⏰:11/08/15 18:23 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#33 [SAKURA]
「ゆめちゃんにも応援してくれる人、いるでしょ??
応えたいと思うときがくると思うんだー。
ちなみに、私ゆめちゃんと一緒のステージで歌うのちょっと楽しみにしてたの。
うちらの声、相性良さそう!!(笑)」


「…ありがとうございます。
なんか、最近歌いたいと思う事は増えてきて…。
あ、デビューとかそんな大それたことではなく。
でもいざマイク持つと、涙が…(笑)
ちょっと自分なりに頑張ってみます!!」


「ふふふ、頑張れ若者!!!
じゃあ、私カレー食べに来たから行くね!!!
うちのカレー、すっごい美味しいでしょ!!(笑)」


そういってウキウキしながら控室に向かっていくRIKAさん。


似た境遇…。
RIKAさんも、メンバーの中で恋したりとかあったのかなー。
女の子バンドかな。


あいつの事…考えても苦しくならなくなったら…私も歌えるのかな。

⏰:11/08/15 18:33 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#34 [SAKURA]
上京してもう3ヶ月くらい??
確かに歌いたいのはある。
デビューもしてないのに、歌を聞きたいとか、RIKAさんみたいに一緒に歌いたいと思ってくれてる人もいるんだ。


でも、私にこの声をくれたあいつがいない。
歌を教えてくれたあいつが、私の後ろでギターを弾いてくれないと、あいつらの音じゃないと、あの頃のように歌える気がしない。


"俺のギター意外では歌うなよ。"


ねぇ、そんなこと言っといて、無責任なんだね。


"お前ならどこ行っても歌えるだろ。"


歌うなっていったのあんたじゃないか。


あいつがいない所でなんて、歌い方がわからないよ。

⏰:11/08/15 20:12 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#35 [SAKURA]
楽器は誰に習うわけでもなく扱えたけど、幼い頃から触れてきたから当然と言えば当然。


でも、歌うきっかけをくれたのはあいつだったんだよね。


そりゃまぁ、中学の文化祭でボーカルやったこともあるし、カラオケ行ったりしたら"上手いねー"なんて言われた事もある。


でもそれは、昔からステージに立つことに慣れてるおかげで照れることもなく楽しそうな自分がそう見えるだけであって、まぁ確かに音感的なことで言ったら正確さはあるのかもだけど。


楽器を差し置いて、自分が歌うなんて事は全く想像もしてなかった。


ましてや歌ってくれなんて、言われるなんて思いもしなかった。

⏰:11/08/15 20:20 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#36 [SAKURA]
"お前と一緒じゃ俺達の先がねぇよ"

"お前のおまけにはなりたくねぇ"

"俺達がデビュー出来たとしても、それは俺達が認められたわけじゃない。全部お前の、お前の親父さんの力だ"




"お前ならどこ行っても歌える"

"お前なら一人でも大丈夫だ"


東京に戻る前に、あいつらに言われた事。


つまり、私はいたらいけない子だったんだね。

⏰:11/08/15 20:27 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#37 [SAKURA]
あいつに出会ったのは、高校卒業してすぐ。


勉強が嫌いで、頭も悪かった私は音楽の勉強をしながら高卒の資格も取れる学校に通っていた。


でも、東京の学校じゃ親父の名前が知れててちょっとした厄介事もあるだろうからと、地方の学校に通っていた。


高校生の身分で一人暮らし。
といっても、地方にあるうちの所有している寮みたいなところで、寮母さん的な人もいた。


ツアーで回るときにも、クルーがホテル代わりに利用したりもする。

⏰:11/08/15 20:35 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#38 [SAKURA]
音楽なら、勉強なんてしなくてももう出来ると親父に言ったら、親父にこう言われた。


「確かにもうどの楽器も扱えるし、楽譜も読める。
読めなかったにしろ、必要もないな?(笑)
でも、小さい頃から周りの大人達に混ざってやってきたお前は、逆に夢を叶えるために頑張る同世代をしらんだろ。」


「お兄ちゃんがいる。」


「あいつはお前みたいに、もう将来進むべき道が用意されてる。
強制はしないが、俺の元で働くだろうし、お前もだろ??」


親父の元で働くことになんの疑問も不満も持ってなかった私は、確かに…なんて思った。

⏰:11/08/15 20:43 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#39 [SAKURA]
「お前と同世代の奴らが、バンドや音楽の為にどれだけ頑張ってるのか見てみろ。
お前はなんもしなくても、楽器を与えられて好きなときに好きなだけ触れて、もちろんお金だってなんの心配もなく楽器を触れる。

でもだいたいの人は、バイトと学校の合間の限られた時間しか練習出来なくて、練習するための楽器も場所も、頑張って働いたお金で賄ってる。


努力しまくってこの学校に入って、高い学費も自分で頑張って稼いで。
それでも夢が叶わない奴がいるんだ。」

⏰:11/08/15 20:50 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#40 [SAKURA]
「お前の名前は"ゆめ"だろ。
自分の夢の為に、人の夢の為に、一生懸命頑張れる子になって欲しいからつけた名前だ。
お兄ちゃんは司。
いずれこの会社のトップになる男だからな。
お前らには、自分で頑張れる力をつけてほしい。」


普段ふざけるか仕事かしかしてない親父の、真面目な話に正直戸惑った。


そうか、自分でも頑張れる人にならなきゃいけないんだ。


私は親父の期待に応えられるように頑張ろうと思った。


勉強は嫌いだけど、大好きな音楽は頑張れる気がした。

⏰:11/08/15 20:57 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#41 [SAKURA]
入試試験は、めちゃくちゃ簡単な筆記と楽器の実技。


偏差値は低いけど評判はわりといい専門学校だ。


地方といっても東京、大阪に次ぐ都市だからなんの不便もないし。


わりと楽にいけると思った矢先、問題がひとつあった。


専攻する分野だ。


ギターなのかドラムなのかピアノなのか。
何故かベースは選択肢に含まれなかった。(笑)


ジャンルだっていろいろあるし。
なんでも出来てしまうが為の悩みだった。


管楽器だって、あまり触ったことはないにしても、興味はあるし。


親父は好きにしろ、としか言わない。

⏰:11/08/15 21:05 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#42 [SAKURA]
裏方系、作曲や機材の勉強でも良さそうだしな。


でもピアノが捨て難い。
いや、ドラムかな。


なんて悩んでいるうちに、願書提出の期限が迫ってきた。


兄貴に相談しようと、兄貴のいるスタジオに顔を出した。


兄貴はもう裏方業に進むことが決まってるらしく、完全趣味でやってるバンド。


6つ年上だから、兄貴は私に甘い。(笑)
きっと助けてくれる。
さっそく話をすると、何故か周りのメンバーが親身に聞いてくれていた。

⏰:11/08/15 21:14 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#43 [SAKURA]
そのうちの一人、めちゃくちゃイケメンで心のなかで密かに憧れている人がいた。


ケンちゃんと呼ばれていたから私もそう呼んだ。


ケンちゃんはギターだった。


「ケンちゃんはどう思う??」


「俺??わかんねー(笑)
適当なこと言うとお兄ちゃんに叱られっからなー。」


「当たり前だ。
ゆめ、お前に懐いてるからすぐに影響受けるんだよ。
兄ちゃんの言う事はあんまり聞かないのに。(笑)」


あ、心密かのはずがばれてる。(笑)


「だってケンちゃんイケメンだもん。(笑)」

⏰:11/08/15 21:20 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#44 [SAKURA]
兄貴と、他のメンバーからブーイングが起きた。


「おぉ、ゆめちゃん見る目あるね、嫁に来る??(笑)」


「お前みたいなチャラ男にはやらん!!」


たまに見せるシスコンの兄貴。(笑)


「じゃあさ、もうジャンケンで決めようよ。」


ドラムのゆうくんが言い出した。


「俺が勝ったらドラム、司ならギター、ケンちゃんならベース、ゆめちゃんならその他って。」


「俺は?俺もギター?あ、ボーカルか。」
ギタボの仁くん。


「いいねそれ!!!それで決めるー!!!」
って事で、ジャンケンポン。

⏰:11/08/15 21:26 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#45 [SAKURA]
何度かあいこが続き、ケンちゃんとゆうくんが残った。


これで決まる。


ベースかドラムか。


「勝った方がゆめちゃんの彼氏な!!」


「おう!!!」


「ちげえだろ!!!!やらん!!!」


なんて言ってるうちに、勝負は決まりドラムに。


「ゆめちゃん、カモン!!」


手を広げるゆうくん。(笑)


それをサラっとシカトして、願書にはドラムと書き込む。


「お前の妹、つめてーよ。(笑)」

⏰:11/08/15 21:31 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#46 [SAKURA]
あーぁ、ケンちゃんだったらレッスン受けたのに。なんて失礼極まりないことを考えつつ、ひょっとしたら将来の職業になるかもしれない大事なことをジャンケンで決めた私。


このジャンケンでの結果が、この先大きな変化をもたらすなんて、思いもよらなかった。


この時にもしギターを、ベースを、なんならボーカルをやっていたら、あいつとバンドを組むことはなかったかもしれない。


ううん、なにをやっててもきっといつか私はあいつに目を奪われるんだろうけど。


あいつは私に興味を持つことはなかっただろうね。

⏰:11/08/15 21:38 📱:SH05A3 🆔:xmCmD9zQ


#47 [SAKURA]
それからは、一応ドラム専攻ということで毎日必ずドラムを触ることにした。


リズムキープや細かい音なんかはキレイだけど、力強さがイマイチ足りないという課題が見えて、なんだかやる気も出てきた。


そこからはいろんなジャンルに合わせて練習したり、とりあえず受験勉強は楽しいドラム練習。


筆記は…まぁ適当に??(笑)


そして受験。
見事合格。
そしてお引越し。

⏰:11/08/16 00:19 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#48 [SAKURA]
一人暮らしというか、寮暮らし??には全く不安もなく、すんなり慣れた。


バイトして、学校の友達とバンド組んでライブして、毎日充実した生活。


たまに兄貴や親父も顔見に来るし、寮の住民や寮母さんも愉快で楽しかった。


寮にはスタジオもあるし、メンバーを呼んで練習したり。


もちろん実家のことは深くは話してないけど。


恋もして、彼氏も出来て、遊び回って、普通に高校生を楽しんだ。

⏰:11/08/16 01:31 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#49 [SAKURA]
高校3年になる頃、周りが進路で悩みだす時期。


音楽系の会社に就職する子、就職せずにバンドで頑張る子、大学や専門に進む子、みんな色々頑張るらしい。


私は、普通科目はまぁ下から何番目とかいう悲惨な成績だったけど、ドラムに関してはクラスでもトップだった。


先生はこのまま続けろとは言うし、私もバンドは続けたかった。


でも、東京に戻る事も含めどうするか悩んだ。


他にもやりたいことはあったし。

⏰:11/08/16 01:37 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#50 [SAKURA]
ママはヘアメイクとして事務所で働いている。


親父との出会いも現場で一緒に仕事してて、親父が恋に落ちたらしい。


うちの事務所で働くなら一応なんでもできるようになりたいし、美容学校に行こうかとも思った。


ちょうどタイミングよく親父と兄貴がこっちにくるらしく、話し合って決める事にした。


とりあえずバンドは続けたいのと、美容学校にも行きたいのと、東京に戻るか…これを決めなくては。

⏰:11/08/16 01:42 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#51 [SAKURA]
親父達が来て、話し合った結果は美容学校は賛成、バンドも賛成、とのこと。


ただし美容学校についても、今度はママの名前が東京では知れてるらしく、行くならここにとどまった方がいいと言われた。


バンドは、やるなら真剣にやれと言われた。
中途半端な趣味にせず、デビューしてやろうくらいの気でやれってのが条件。
美容学校に通う二年である程度結果を残し、ダメなら東京に戻って事務所で働く。


意外とあっさり決まった。


一つ問題は、今のバンドではただのお遊びに過ぎない事。
所詮コピーバンドだから。

⏰:11/08/16 01:51 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#52 [SAKURA]
一度スタジオに集まった時、他のメンバーからこんな話が出た。


このバンドは夏までにしよう、と。


メンバーの中には受験勉強が必要な子も、就活が必要な子もいる。


バンドでプロを目指すにも、コピーバンドでは続かないという事は全員が承知していた。


夏のライブで最後。


寂しいけど、割りと仲良く続けられたしケンカ別れではないからよかった。


私も本気で続けたいバンドを組まなくては、と思ってたからちょうどよかった。

⏰:11/08/16 01:56 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#53 [SAKURA]
夏のライブは自分達で企画した。
クラスの子らに声をかければ、すぐにバンドも集まるし。


そこそこ集まった時に隣のクラスの男の子に声をかけられた。


「ゆめって子、どの子??」


「私だけど。」


「あぁ!君だったの??
ドラムくっそ上手いよね!!」


なんか…パッと見チャラいし苦手だ。(笑)


「どーも。
…用件は??」


ちょっと無愛想に接するも、怯まずガンガンくる男の子。

⏰:11/08/16 02:03 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#54 [SAKURA]
「ライブ企画してるって聞いてさ!!
俺もバンド組んでんだけど、もう夏で解散すんだわ。
だからそのライブ出してくんない??
俺らもほんとは企画したかったんだけど、みんなに声かけたら君達のライブに出るって言うで人集まらんのだ。」


「あぁー。
もう結構バンド集まったからねー。
ちょっと相談しとくわ。」


うちらと同じ境遇だし、第一印象は良くないが出してやってもいいなと思った。


でも勝手には決められないから、相談。

⏰:11/08/16 02:09 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#55 [SAKURA]
「ちなみに君、名前は??」


「え、ゆめちゃん俺の事知らんの!?
ちょっとショックだわー。」


「隣のクラスの人までいちいち覚えないよ。
いいから名前!!!」


「はいっ!!!
俊介!!!シュン君て呼んでくれて構わんよ!!」


「シュンね。
また声かけるわ。」


「呼び捨てかーい!!
ま、いいや、俺もゆめって呼ぼう。」


何故すでに名前を呼び合う前提なんだ。
ライブ出るかもわかんないのに。


騒がしくてうっとうしいから、足早にその場を去った。

⏰:11/08/16 02:14 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#56 [SAKURA]
「ねねね、ゆめ、ほんとにあの人知らんの!?」


シュンに声をかけられた時一緒にいた子に言われた。


「え、知らない。
有名なの?あいつ。」


「うん!!!文化祭のライブでもすっごい目立ってたじゃん!!
ギターめちゃくちゃ上手いんだよ!!!」


しかもイケメン!!!
なんて言うから思わず吹いた。(笑)


こんなこと言ったらあれだけど、私兄貴よりギター上手い人あんま見たことないし、顔も確かに悪くはないけど、タイプでもない。


なんて言うとまた騒がしくなりそうだから、へぇと流しておいた。


放課後、バンド練習の為集まった時にシュンの話をしたら、みんなもあいつの事を知っていた。


「出てもらおう!!
あの人のバンド、確かに上手いしきっと客もたくさん集まるでさ!!!」


なんてあっさり決定。


まぁ、いいけどさ、別に。

⏰:11/08/16 02:22 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#57 [SAKURA]
次の日、隣のクラスを覗くと向こうから声をかけてきた。


「おーいっゆめー!!
こっちこっちー!!!」


「お前が来いよ!!!」


なんて言いつつも素直に向かう私。
どうやらモテるらしいこいつ。
周りに女の子が多く、視線が痛い。


「わりぃ(笑)
どーだった?俺ら出れる??」

「うん、いいって。
ちなみにシュンのバンドの詳細は??」


「おっ!!俺に興味出てきた??」


「いや、特には、全然。
ライブ企画すんのに必要だから。」


「これまたずばり否定(笑)」

⏰:11/08/16 02:42 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#58 [SAKURA]
「んと、俺らのバンドは4ピースツインギター野郎バンドで、一応オリジナル!!
って言っても10曲ないくらいだけど(笑)
あ、ジャンルはオルタナティブ…かなぁ??」


「(笑)。
聞かれてもねぇ。
結構がっつり系じゃん。
りょーかーい。
またライブ詳細決まったら連絡するわー。」


「おう!!
よろしくねー!!!」


教室を後にして、メンバーにも軽く伝えるとみんもう知っていた。


そんなに有名か!?(笑)


私だけ知らないなんてなんか悔しい。

⏰:11/08/16 02:49 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#59 [SAKURA]
数日後、打ち合わせの為出演バンドを集めた。


全員来れないにしても、代表者と付き人的な感じで15人ほどかな。


うちの寮にあるレッスン室的なとこに集めた。
知り合いに借りたことにしてある。


6バンド集まって、出る順番や一バンドの時間、その他もろもろ話し合った。


「箱はもう押さえてあるし、知り合いが経営してるから箱代もいらないし、チケットノルマもありません。
でもそれぞれのバンドある程度お客は呼んで下さい。」

⏰:11/08/16 03:01 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#60 [SAKURA]
「んで、うちのバンド以外にコピーバンドっているかな??
コピーするバンドや曲が被ってたら出演順とか考えなきゃだから、一応コピーバンドはセトリも提出してね。」


必要事項を簡潔に説明していると、他バンドの人から質問が上がった。


「ゆめちゃん、こんな場所借りれたりライブハウス借りれたり、詳細もテキパキ説明してなんか慣れてるね!!
ナニモノ!?(笑)」


「いやぁー…兄貴いるし、慣れてるってかまねっこ…かな??
場所とかもたまたまだよ。」


「ゆめのおかげでうちのバンド、スタジオもタダなんだ!!
この隣の部屋!!」

⏰:11/08/16 16:33 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#61 [SAKURA]
また余計なことを…。
そんなこと言ったら当然…


「マジで!?見てぇし!!
スタジオ見たい!!見せて!!」


ほーら、騒がしくなるっしょ。
ま、こういうのは見せるのが一番手っ取り早いし、いいけどさ。
実はみんなで騒ぐのも嫌いじゃない。(笑)


「じゃあ、まぁ打ち合わせはこんなとこにしといて、スタジオで遊びましょうか。
ついでにみんな、飯も食ってけーい!!!(笑)」


久しぶりに大勢でワイワイするから楽しくなってきた。
東京いるときは、こんなことよくあったしね。


あ、寮母のきよさんに連絡しとこ。

⏰:11/08/16 16:38 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#62 [SAKURA]
「実は私、ここで下宿?みたいな感じで住んでてね。
寮みたいなもんなんだけど規律もないし、ゆっくりしてってよ。」


今日初めてしゃべった人もいるけど、なんか普通に打ち明けてしまった。
一番驚いてんのはもちろんメンバー。


黙ってたから、住んでること。


「ゆめちゃん、やっぱりただ者ではなかったか!!」


なんてぎゃーぎゃー言いながらもスタジオに。


「楽器もあるし、空いてるから好きに遊んでー。」

⏰:11/08/16 16:42 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#63 [SAKURA]
みんな楽器やってるし、扱いなら心配なさそうだし、レッスン用の安い機材だから問題もない。


すると、シュンからこんな提案が出てきた。


「俺のバンドオリジナルだから、たまには人の曲やりたい!!
ちょっと誰か、他の楽器やって!!!」


うん、いいねこういう雰囲気。
兄貴のスタジオ遊びに行ってたの思い出す。


しかし、全員が出来る曲がない。
この曲無理、あの曲無理、ベースいない、ギター足りない、みたいな。(笑)


「私、ギター弾くからこの曲でいいじゃん。」

⏰:11/08/16 16:47 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#64 [SAKURA]
「え、ゆめちゃんギターも弾けんの!?!?」


「うん、基礎程度なら。
久しぶりだから私バッキングでいい??」


「おう!!!」


またも驚くメンバー。(笑)
スタジオでもたまーに弾いたりするけど、一曲まるっとはやったことがなくて。


演奏曲はバンドマンなら誰もが聞いたことあるだろうオーソドックスな曲。


やっぱりどの楽器も楽しくて、ついガチで弾いてしまった。

⏰:11/08/16 16:51 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#65 [SAKURA]
「…あのさ。」


一曲終えたところでベース弾いてた子が言った。


「基礎程度って…どこが!?(笑)
めちゃくちゃ合わせやすいし、基礎どころかもう完璧っしょ!!!」


「いやまぁ、そこそこではあるのかな。(笑)
誰かに評価とか比較されたことないからわかんない。(笑)」


「だからゆめ、うちらのバンドでもギターはこう弾こうとかこっちのが簡単とか、教えてくれるんだ!!」


ま、その時点で気づかない君達もねっていう。(笑)


「あとは!?
他の楽器は!?」

⏰:11/08/16 16:55 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#66 [SAKURA]
「じゃあ、次あの曲で…。
ベース貸して??」


さっきこの子が弾けないと言ってた曲を合わせる。


シュンが、ちょっと挑発するかのようにアレンジするから、負けじと私もアレンジ。


ドラムの子はテンポキープでいっぱいのようだった。


ボーカルちゃんはアレンジについてこれず歌いだし失敗するし。


しかしシュン、ほんとに上手いな。
やっぱ兄貴ほどではないけど、うん、上手い。

⏰:11/08/16 16:59 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#67 [SAKURA]
一曲終わり、みんな私に驚いているようだった。


「ゆめちゃんてドラムだよね??
他の楽器もこれだけ弾けてなんでドラムやってんの??」


「いやぁー…その辺はトップシークレットかな(笑)
しいて言うなら神の思し召すままに…。」


じゃんけんで決めたなんて言えない。(笑)


「じゃあ、他にもなんか出来るの??」


「前カラオケ行った時歌めっちゃ上手かった!!」


「確か前授業でピアノも弾いてた!!!」


「…(笑)。
一応一通り…??
どれも半端だし、極めたものがないからね、適当なんだけどね。」


「俺いいこと思いついたー!!!!」

⏰:11/08/16 17:05 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#68 [SAKURA]
いきなりシュンが大きな声で騒ぎ出す。


「夏のライブ、なんか遊ぼうぜ!!
メンバーごちゃまぜにしたり、担当変えたり、そういうのって自分達で企画したやつじゃねーと出来んでさ!!」


「おぉ!!楽しそう!!!!!」


みんな思いの外乗り気でこっちの方言の"やろまい"が連発する。(笑)


「うん、いいね!!
自由にいこうじゃないか!!」

⏰:11/08/16 17:09 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#69 [SAKURA]
そのあと何人か帰りつつもスタジオで遊んでいると、きよさんが食事の用意が出来たと呼びに来てくれたので、食べながらいろいろ話し合った。


「ゆめちゃん、ギター一番上手いね!!
あ、ドラムやってる子にこんなこと言うのもあれだけど。」


「ギター一番やってたからねー。
あとは張り合う相手がギターしかいなくて。
ま、全く敵いもしなかったけど。」


「だからドラムに逃げたのか。(笑)」


シュンに言われた。
逃げ??
まさか、じゃんけんだし。(笑)
迷わずギターを選ばなかったのは逃げかもしれんけど。

⏰:11/08/16 18:46 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#70 [SAKURA]
「足元にも及ばなすぎて逃げたいなんて感情すらなかった。
ただ憧れるだけの大きな存在。
おかげでギター上達したし、逃げだとしともドラムにも出会えたし。」


私の中では兄貴が1番。


追いつける隙なんてなかった。


「敵わないにしても、なんでギターにしなかったのー??
もしかしたら、めっちゃ凄いギタリストになったかも。」

⏰:11/08/16 23:10 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#71 [SAKURA]
「うーん…なんて言うかなー…。
あんまり深く説明出来ないんだけど。
簡単に言うと、例えば一つを極めてそのプロになりたいわけではない。
逆に、極めることよりどれもある程度って方が都合がいいって言うか…。」


「へぇ、なんか複雑!!
でもうらやましいよ!!
そんなになんでもこなせるのに。
努力だけじゃどーにもならないもの、全部持ってんじゃん??
感性とか、環境とか、才能とか!!」


「ふふ、私はみんながうらやましいよ。」


「えーなんでー!?
頑張るしか能がないのに!(笑)」

⏰:11/08/16 23:56 📱:SH05A3 🆔:6WZG7Ops


#72 [SAKURA]
「みんなには、夢がある。
頑張るものがある。
私には…ない。」


親父が言ってた、同世代の子達の努力を見て思った。


私はなんの疑問も持たず、用意されてる道を歩くことしかしなかった。


幼い頃から、普通じゃなかなか出来ないような体験はいっぱいした。
どこかで私は、自分は普通の子とは違うとか、普通の子には見られない世界を見てきたっていう変な自信があった。


でも逆に、当たり前の事をなにも知らない。


親父はこういう事が言いたかったんだなって、最近思っていた。


だからといって今さら変わる勇気もないし、今まで通りでいいと思ってしまう。

⏰:11/08/17 00:03 📱:SH05A3 🆔:dCjMpBoM


#73 [SAKURA]
広いと思っていた自分の世界が、思いの外狭いことに気づかされた。


「夢なんて、名前だけなんだよねー。(笑)
シュンさっき、ドラムに逃げたって言ったけど、例えギターを極めてたとしても、それは逃げなんだろうなって思う。
1番得意だからこそ1番の逃げ道。(笑)」


「難しいのな、なんか。
でも進学するんだら??
何に進むの??」


「逃げ道を増やす為に美容学校に。(笑)
あ、もちろんバンドは好きだから続けたいけど…。
逃げではなく、武器になるといいなと思って。
ま、私の話はいいよ。
それよりどうやってライブで遊ぶか!!!決めよ!!!」

⏰:11/08/17 00:09 📱:SH05A3 🆔:dCjMpBoM


#74 [SAKURA]
親父達とはバンドも頑張るって、遊びじゃなくて結果出せるくらいやり切るって約束した。


なんか出来そうなんて思ってたから。


でも今、今さら、思い知った。


私なんにも出来ない。


言えなかった。


バンド頑張って、結果出すなんて。


頑張ってないのに、頑張ってる子達の前で恥ずかしかった。


無力だった。

⏰:11/08/17 00:40 📱:SH05A3 🆔:dCjMpBoM


#75 [SAKURA]
今日来れなかった子達の中にも、いろんな楽器が触れる子、やりたい子がいるかもしれないから、担当は特に決めずにどう進めるかだけ明確にさせた。


混合バンド、担当を入れ換えるバンドは2つ作り、なるべくメンバーが偏らないように。


曲やメンバーはまた後日という事で決まった。


一日掛かりのライブになりそうだけど、絶対成功させてみせる。


みんなやる気に溢れていた。

⏰:11/08/18 01:49 📱:SH05A3 🆔:N1uuE.Qo


#76 [SAKURA]
ご飯も終わり、バイトや予定があって帰っていった子を除いて、予定のない子達4人がまだ残っていた。


うちのボーカルの沙織とシュンと、クラスの他のバンドの哲。


「なんか話でかくしちゃったけど、よかったかなー。」


シュンが心配そうに言う。


「大丈夫っしょ。
うちらこんな学校に通ってるけどまだ高校生だし、ましてやコピーバンドとかだとさ、ライブ出来る機会自体少ないじゃん??
やれる時にやりたい事やって場数増やして、経験積んだ方が絶対いい。」

⏰:11/08/19 16:13 📱:SH05A3 🆔:boCC1pV6


#77 [SAKURA]
「でも出来るかなー。
すんげ中途半端になったらどうしよう。(笑)」


「シュン君って意外と心配性なんだね!!
ライブとかだとあんな堂々としてるし、普段も結構勢い任せなイメージだけど。」


「おう、めちゃくちゃ小心者だ。(笑)
だから人が大勢いるところで勢い任せであとから後悔するタイプ。」


「ま、今から心配してもしょうがないし、責任は私取るからとにかくやれるだけやろうよ。」


私の部屋で、ベッドにもたれてダラッとしたまま答えた。

⏰:11/08/19 16:21 📱:SH05A3 🆔:boCC1pV6


#78 [SAKURA]
「お前はいったい何者なんだ。(笑)
3年間同じクラスでただ者ではないとは思ってたけど、謎が多過ぎる!
責任とれるなんて!!!何故だ!!(笑)」


哲がほんとに不思議そうに聞いてきた。


「(笑)。
まぁ、何者かと聞かれたら、シュンと同じ小心者なんだけどね。(笑)
さっきも言ったように場数と経験でしょ。
んで、経験上このライブは成功する。
気がする!!!(笑)」


おどけて見せると、腑に落ちない顔の哲がまぁいっかと呟く。


「みんないたから我慢してたんだけど、タバコ吸っていい??」

⏰:11/08/19 16:28 📱:SH05A3 🆔:boCC1pV6


#79 [SAKURA]
「いいよー。
ほれ、灰皿。」


沙織がタバコに火をつける。
私も我慢してたからタバコを取り出して火をつけた。


「お前ら喫煙者か!!!
悪い奴らめ!!!!


早く言えよ俺も我慢しとったのに!!(笑)」


哲もタバコを吸い出した。


黙ってシュンまで。


なんだ、みんな我慢なんかして意外と真面目なんだから。(笑)

⏰:11/08/19 16:32 📱:SH05A3 🆔:boCC1pV6


#80 [SAKURA]
タバコは兄貴の影響ってか、兄貴のスタジオに遊びに行くとみんな吸っていたから楽器同様自然と身についた。(笑)


最初のうちはこっそり吸ってたけど、今ではもう親父も兄貴も諦めて公認となった。


「ほんとになんでもありなんだなー、ここ。
居心地いいな!!!
ゆめ、俺ここ通うから!!
たまり場決定な!!(笑)」


「…初対面の時から思ってたんだけど、シュンって結構ぐいぐいくるタイプよね。」


哲と沙織が笑ってる。


「え、もしかして俺、ウザい??
ウザかった??
ねぇゆめ、ウザい??」

⏰:11/08/29 21:48 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#81 [SAKURA]
「いや、悪くはないよ、その感じ。(笑)
私顔キツいし人見知りだし、図体も態度もでかいから最初からあんなぐいぐいくるやつ初めてでさ。
まぁ、チャラい奴だとは思ってるけど。(笑)」


「はぁー!?
チャラくねぇし!一途だし!!!
辞めてくれるかな、変な目で見るの!!」


「うんまぁ今後の行い次第だよね、その辺は。(笑)
でも、思ったより絡みやすそうで安心した!!」


「ゆめ、顔キツいかなー??
美人だと思う!!」


沙織が言った。


いや、あんま美人とか言われたことないし。

⏰:11/08/29 21:54 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#82 [SAKURA]
「目付き悪いじゃんね。
キツネみたいで嫌だ。」


「思ったけど、ゆめって楽器にしてもそうだけど、謙虚過ぎ??
図体でかいってのも、スラッと長身で、態度でかいってのも、いい意味で落ち着いてんじゃん??」


哲はプカプカと煙を吐きながらしゃべる。


「いやいや、私が地元にいた頃なんて素敵な人いっぱいいてさ、私なんてずっと残念な子扱いだったんだから。(笑)」


「どんな世界に住んでたんだマジで!!
あーわからん!!
聞けば聞くほどわからん!!」


「じゃあもう聞かないで。(笑)
自分の事話すの苦手で…。」


困った様に笑うと、哲もシュンも黙った。

⏰:11/08/29 22:01 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#83 [SAKURA]
他愛のない話をしながら、わりと遅くまで部屋でしゃべっていたけど、沙織が電車の時間がヤバいと言い出したので、解散した。


次の日学校で、昨日来れなかった子や最後までいられなかった子達に説明をして回った。


だいたいどのバンドもひとつ返事で快諾してくれたので、またうちに集まって今度は楽器の担当やメンバーを決める事になった。


5月になる前のこと。


本番は、夏休み入って少し経った7月30日。


約3ヶ月。


やることもいっぱいあるし、もちろんバイトや進路も同時進行であるから、余裕はない。


でも、こんな心地のいい緊張感は久しぶりだった。


毎日がさらに楽しくなった。

⏰:11/08/29 22:09 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#84 [SAKURA]
自分達のバンド、混合バンド、担当楽器の入れ替わりバンド、それぞれで練習を重ねある程度まとまって来た頃。


本番一ヶ月前。


私は担当楽器の入れ替わりバンドで、ギターをやることになっていた。


シュンがドラムをやる事になり、よくお互い誘い合って練習していた。


ある、暇だからとドラムを触りにうちに来た日。


ほんとにうちをたまり場にしていたシュンは、もうきよさんとも仲良し。


「きよさんこんちはー!!
今日のご飯なに!?」


私の許可も取らずにご飯の献立を聞いているシュン。


「あ、シュン。
今日私予定あるから、夕方までしか無理なんだけど。」


「いやゆめいなくても飯は食えるし、出かけて構わんよ。」

⏰:11/08/29 22:17 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#85 [SAKURA]
「…あっそぉー。(笑)
きよさん、ごめんね??
こいつ食ったらすぐに追い出してやってね??」


「ふふふ、大丈夫ですよ。
どうせたくさん作りますからね。」


優しく微笑むきよさん。


今の時間、スタジオが使われていて仕方ないので部屋で過ごす事にした。


「スタジオ、なんかいつもと雰囲気違くね??」


「あぁー、東京のバンドさんがツアーの最中でだね。
いつもの練習とかではなく、あれでお仕事中なんだよ。」


「へぇー…そんな事にも使うんだなここ!!」


「あんた、飯食ってる時出くわすかもよ??
失礼のないようにね。(笑)」

⏰:11/08/29 22:23 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#86 [SAKURA]
実は、夕方からの予定ってのがそのバンドさんのスタッフでバイトをする為の、事前の打ち合わせだった。


バンドの人達とは当日しか会わないけど、顔見知り。


うちの事務所のバンドで、まだまだ知名度こそ低いけど、着実にライブでも客を掴んできている。
ツアー回るくらいだし。


「大人しく飯食わなきゃな。」


「あんた一人でも騒がしいからねー。」


部屋に置いてあるアコギを手に取り、ジャカジャカと弾く。


「今日はドラム諦めだなー。
ギターよこせっ!!」」

⏰:11/08/29 22:37 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#87 [SAKURA]
私が弾こうとチューニングしたそばから奪われる。


「はぁ…。」


ため息も気にせず弾きはじめる。


シュンのバンドのオリジナル曲。


うちのスタジオでも何度か練習してて、私も覚えてる曲だった。


「あんたのバンドの曲作り、誰がしてんの??」


「俺の兄貴。」

⏰:11/08/29 22:50 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#88 [SAKURA]
「兄貴が作って、自分のバンドでボツった曲を俺らにくれてる。
ボツってない曲も使わせてくれてる。」


「あ、そうだったんだー。
てか兄貴いたんだ。
私もねー、兄貴がいて、ギターやっててねー。」


「へぇ、わりと仲良くなってから結構経つのに、お互い初耳ですな。」


なんて言いながら、アップテンポな曲をアコギでゆったりとアレンジしてしまうシュン。

⏰:11/08/29 22:53 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#89 [SAKURA]
学校でも上手いと有名なだけあって、アレンジもいい感じだった。


「ギター始めたの、お兄さんの影響??」


「ん?まぁそんなとこかな。
昔から無駄に張り合って、4つ上だし敵わないことも多かったけど、ギターだけは絶対敵わないと思った。」


あ、私と一緒だ。


「俺は努力型で、めちゃくちゃ練習して。
兄貴は…お前と同じタイプだな。
才能というか、感性型??
頭ん中どーなってんのか、全く理解出来ねぇ。(笑)
さらっとなんでもこなすタイプ。」

⏰:11/08/29 22:59 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#90 [SAKURA]
「私も結構な努力型なんだけどな。(笑)
私の兄貴は6つ上で、ほら、前言ってた張り合う気にもならなかったギタリスト、あれ兄貴のことね。
あんたにドラムに逃げたとか言われた。(笑)」


「そんなこと言ったか??(笑)
」


「言った!!(笑)
いつか見せてやりたいよ、私と兄貴の実力の差を。
逃げじゃないのはほんとだって。(笑)」


「お前だって相当な実力なのにな。
それは怖いなー。
俺、お前がギターじゃなくドラム専攻しててよかったと思うもん。(笑)」

⏰:11/08/29 23:06 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#91 [SAKURA]
またまたぁーなんて言うと、また曲調を変えて弾きだした。


「兄貴の曲、不思議なんだ。
どんな曲調に変えても、演り手次第でいいものになる。
最近ようやく俺も扱えるようになって、今のバンドが終わったら兄貴と新しくバンド組むんだ。」


ちょっとだけワクワクした顔を見せた。


「私もバンド、新しいの組まなきゃなー。」

⏰:11/08/29 23:14 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#92 [SAKURA]
そう言って、シュンのギターに合わせて歌を口ずさんだ。


歌詞も何となく覚えてたし、なにより何故か耳にめっちゃ残る。


気分よく歌っていると、ギターを弾く手が止まった。


「あ、いい感じだったのに。」


「お前、ちょ…。
マジか。」


凄く驚いた顔をしていた。


訳が分からず、何がと聞き返す。

⏰:11/08/29 23:18 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#93 [SAKURA]
すると黙ったまま、またアレンジを変えて弾きだした。


とりあえず歌ってみた。


うん、やっぱり歌いやすいしどんな曲調にしてもスーッと馴染む。


サビになるとまた曲調が変わり、また合わせて歌う。


1番を歌い終えると、ものすごく真顔で言われた。


「お前、とんでもねぇ奴だな。」

⏰:11/08/29 23:22 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#94 [SAKURA]
「この曲、俺のバンドでやる時は1番歌いやすいアレンジにしてやってんだけど、初めて合わせてそれだけ歌えるやつ、今までいなかった。」


お兄さんのバンドのボーカルですらいきなりいろんなアレンジは無理だったらしい。


「しかもお前、しゃべってる声と歌の声、全然イメージ違う。
うわー、なんだこれ、うわー。」

⏰:11/08/29 23:25 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#95 [SAKURA]
「意味わかんないけど、とりあえず私褒められたととらえていいのかな?(笑)」


「いやもう既に尊敬に値する。(笑)
うわぁー!!!
ちょ、CD渡すしお前歌覚えて!!!
俺またギター弾きたい!!!」


「あぁうん。(笑)
そこまで言われたらこっちも調子乗って覚えますよ。(笑)」


なんだかとても気分がよかった。

⏰:11/08/29 23:29 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#96 [SAKURA]
そのあと、オリジナル曲以外にも有名な曲なんかをシュンが弾いて、私が歌って。


二人で盛り上がっていた。


「ちょっと貸して?
今スタジオにいる人達の歌、これなんだけど…。」


そう言い弾き語りをした。


歌いながら弾くのもなかなか難しい。


すると、静かに聞いていたシュンがいきなり叫びだした。


「えぇぇぇー!?」


ほんっと、騒がしい奴。

⏰:11/08/29 23:34 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#97 [SAKURA]
「どした。(笑)」


「いや、弾き語りもビックリなんだけど、俺今の曲知ってる。
そのバンド知ってる。
その人達好き。
明日のライブ行く!!」


「うおっ!!マジで!?」


…ありがとうございます。(笑)


「結構マニアックだし、まさかだわー。」


「前イベントに出てんの見てから好きでさ!!
うわぁー、今ここにいると思ったらテンション上がる!!
…え、なんでここに??」


「話すと長くなるし、そろそろ時間ないからまた機会あったら話すわ。(笑)
ほら、あんたご飯食べてきなよ!!」

⏰:11/08/29 23:41 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#98 [SAKURA]
「お前ほんとはぐらかすなー!!!
今度絶対言えよ!?」


簡単に身支度を済ませ、部屋を出る。


「はいはい。
ほら、きよさん準備してくれてる!!」


食堂に入り、迎えが来るまで私も軽く摘もうとしてた。


「お前も食うのか。」


後ろから声がして振り向くと、兄貴がいた。


「あ、迎え来るまでと思って。
まだいい??」


「うん、食っとけ。」

⏰:11/08/29 23:47 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#99 [SAKURA]
兄貴が私のお迎え役で、テーブルの向かいの席に座った。


「こんにちはー!!」


初対面であろう兄貴に、めちゃくちゃ愛想よく挨拶をするシュン。
そして自然と私の隣に座る。


「こんにちは。(笑)」


「こいつシュン。
今度のライブに出るんだけど、なんか懐かれた。
こっち、私の兄貴。
こう見えてまだ24歳。(笑)」


私同様背が高く、細マッチョで態度もデカい兄貴はとても24歳には見えなかった。


「懐いてねーし。」


構わずご飯を頬張る。

⏰:11/08/29 23:54 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#100 [SAKURA]
「なんだゆめ、彼氏出来たのか??」


ちょっとマジな顔でいきなり聞かれ、私もシュンも思わず口から箸を落とす。


「ないないない、こんな騒がしい奴、ないない。」


「はぁ??
俺だって結構モテるし、わざわざお前みたいな謎だらけな奴、ないない!!」


「ほぉ、兄貴の前で言うね、君。(笑)」


兄貴自ら突っ込んでいた。


「兄貴、私にベッタリだから毒吐くと殺られるよ。(笑)」


エヘッと笑いごまかすシュンに、笑ううちら。

⏰:11/08/29 23:59 📱:SH05A3 🆔:UEvAnfFo


#101 [SAKURA]
「さっき、お兄さんの話聞いたんです!!
めちゃくちゃギター上手いとか!
俺もギターやってるんですけど、いつか聞かせて下さい!!」


「そんなことないけどね。
うん、ちょくちょくここくるし、いつかスタジオで音でも合わそう。」


シュンの人懐っこさはほんとに驚く。


「ゆめ、自分の話すんの苦手とか言ってなんも教えてくれないんすけど、お兄さんもやっぱりただ者ではなさげですね。」


さっきから寮生とかが、兄貴に挨拶をしてく。

⏰:11/08/30 00:04 📱:SH05A3 🆔:oQWoJx7g


#102 [SAKURA]
「お前話してないんだ。(笑)」


「なんて言うのよ。」


確かに、と笑う兄貴。


「ドラム専攻のくせにギター、ベース、ピアノは弾ける、こんないい場所住んでスタジオやライブハウスは借り放題、そんな奴なかなかいないっす。」


シュンってちょっと天然なのかな?


普通に考えて、この場所のことを調べれば私が何者なのかはだいたい予想つくはずなのに。


天然じゃなければ、バカなのか?やっぱり。(笑)

⏰:11/08/30 00:08 📱:SH05A3 🆔:oQWoJx7g


#103 [SAKURA]
「んで、さっき新事実。
こいつ歌もすげぇっすね!!」


「へぇ、歌はあんまりやってるとこ知らないんだよな。」


「楽器のが面白いし。
あ、でもシュンのギター歌いやすいし、歌も楽しいと思えた。」


そう言うとシュンは、嬉しそうにどや顔をした。


兄貴や親父の前ではあまり歌ったことがない。


というか、人前で歌うのなんてカラオケ以外でめちゃくちゃ久しぶりだった。

⏰:11/08/30 00:12 📱:SH05A3 🆔:oQWoJx7g


#104 [SAKURA]
三人でワイワイしゃべっていると、スタジオから出てきたバンドの人達が出てきた。


「おー!!司ー!!!」


「おぉ。」


軽く手を挙げ挨拶を交わす。


「ケンチャーン!!!」


私が手を振ると、ケンチャンが驚いた。


「ゆめちゃん!!!
マジで!?
久しぶりー!!!」


「久しぶりー!!!」


ケンチャンは、前兄貴とバンドを組んでた人。


掛け持ちで、兄貴が仕事を本格的に始めた頃本命一本に専念し、うちの事務所に所属した。

⏰:11/08/30 00:17 📱:SH05A3 🆔:oQWoJx7g


#105 [SAKURA]
「ちょっと会ってない間にめちゃくちゃ可愛くなってー!!」


と言われ頭をくしゃくしゃ撫でられた。


「おい、ゆめに触れるな。(笑)」


「出た妹愛。(笑)」


ケンチャン以外のメンバーは、兄貴にきちんと挨拶をした。
私にも。


次期社長とその妹ともなれば、ただの若僧だろうと立場上そうなる。


「おい、ゆめ…。
どうなってんだ…??」

⏰:11/08/30 00:20 📱:SH05A3 🆔:oQWoJx7g


#106 [SAKURA]
少しの間置いてきぼりを喰らったシュンは、自分が憧れるバンドメンバーと顔見知り、しかも挨拶されてる私をさらに疑問視した。


「ゆめちゃんライブ手伝ってくれるんでしょー??
俺、ゆめちゃんの為に歌うね。」


「ケンチャンベースだけどね。(笑)
よろしくお願いします。」


一応きちんと挨拶しといた。


「あの!!!」


シュンがケンチャン達に声をかけだした。

⏰:11/08/30 00:25 📱:SH05A3 🆔:oQWoJx7g


#107 [SAKURA]
「uppermostさんですよね!?
なんでここに!?」


「わぁーお、俺らの事知ってくれてる!!
嬉しいねー!!!」


ケンちゃんがほんとに嬉しそうに言った。


「前、色んなバンドが出るイベント行った時に見てから、俺upper大好きなんです!!
明日もライブ行きます!!」


「あー!!去年やったあのイベントかな?
あんな数のバンドいて俺ら目に留めてくれるなんて、君見る目あるねー。(笑)」


「ケンちゃん自画自賛。(笑)」


Uppermostとは、ケンちゃんのバンドの名前。


(位置・地位・階級が)最高の,最上の;最も重要な;最も高い所に[で];まっ先に


やんて意味がある。

⏰:11/09/02 12:07 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#108 [SAKURA]
「すげぇー!!!
俺upperと喋ってるー!!」


無邪気に喜ぶシュンが面白くて、記念にその風景を写メ。
すると、記念撮影の様に並びだすupperとシュン。(笑)


あとで送ってやるか。


どんな曲がいい、とかこういうプレイが好き、とかまで話し出す。


「ギターやドラムの刻みとかどらキレイなのに、いきなりヘビーなベースぶち込んだり、ファンキーっす!!!」


おぉ、バンドの特徴もちゃんと分かってる。

⏰:11/09/02 12:12 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#109 [SAKURA]
「おいゆめ!
なんでお前こんなすげぇ人達と知り合いなんだ??」


「あー…。
兄貴、昔ケンちゃんとずっとバンド組んでたからだよね。」


「おぅ。
んで、俺と一緒にこの会社に入社。
俺は社員、こいつはアーティストとしてね。」


「そのバンドも知ってる!!
見たことはないけど、凄いバンドだったってなんかで読みました!!
ゆめお前…すげぇー。」


「(笑)。
私が凄いことなんて、一つもないじゃん。(笑)
upperと、兄貴が凄いんでしょ??」


私なんて、シュンと同じファンみたいなもんだし。

⏰:11/09/02 12:21 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#110 [SAKURA]
「ところで…なんとか君、キミゆめちゃんの彼氏かなんか??」


「違う違う!!」


シュンよりも先に私が否定。


「俊介っていいます!!
ゆめと同じ学校で、今度のライブに出してもらうんですけど、なんか仲良くなって。(笑)」


「あ、そっかそっか。
仲よさ気だし、彼氏かと。(笑)
ゆめちゃんに彼氏出来たら司ボロ泣きだねぇ〜。(笑)」


「いや大丈夫だったよ??
何度か会わせたけど。」

⏰:11/09/02 12:26 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#111 [SAKURA]
「お前はチャラいから、ゆめに近付けたくないだけ。(笑)」


そう言いながら、兄貴は着信の鳴ってる携帯に出るとその場を離れた。


仕事の電話だろうか。


「飯食って、またスタジオ入るか。」


その前にタバコ、と喫煙室に向かうケンちゃん達に、私とシュンもついていく。


喫煙室には、LARKが置いてあった。
多分兄貴ので、いつも置き忘れてよくタバコを無くす。

⏰:11/09/02 12:32 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#112 [SAKURA]
「あ、これ司のじゃね??」


LARKを手にとり、一本取り出して吸うケンちゃん。


ケンちゃんは赤マルだった。


「よくこんなまずいタバコ吸うよね、兄貴。
臭いとか後味無理だこれ。」


「フィルターがどーの、とか言ってたなー。
ゆめちゃんは相変わらずセッタだね!!」


「うん、なんか馴染んじゃって。
飽きないし。」


「一途だねぇ〜。」


なんて、ちょっとやらしく笑うケンちゃん。
そんな意味ありげな顔されても…ね。

⏰:11/09/02 12:39 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#113 [SAKURA]
しゃがんでるケンちゃんの隣に私もしゃがみ、その隣にシュン。


「ケンちゃん最近調子いいね、バンド!!」


「うん、まぁね。
ゆめちゃんも続けるんでしょ??
なにやんの??やっぱドラム??」


「うーん、今のバンドコピーだし、解散するし、まだわかんないけど…多分。」


「そうなんだー。
今からまた決める?(笑)」


なんて言いながら拳でグーを出す。


「しーっ。(笑)
やるって決めた以上頑張らなきゃなんだけど、とりあえず今はライブに集中しなきゃね。」

⏰:11/09/02 12:46 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#114 [SAKURA]
「楽しみだけど、俺まだ不安だなぁ。」


なんてボソッと呟くシュン。


「だーかーら、大丈夫だって!!
絶対成功!!私に任せとけって!!
責任は私が取る!!!」


そう言い切ると、ケンちゃんが笑い出した。


「やっぱ兄妹だわー!!
今のニヤッと強気な顔も発言も、司そっくり!!
ほら見てみ!!!
電話中のあいつも同じ顔してる!!(笑)」


「(笑)。
ほんとっすね!!」


確かに。(笑)
なんとなく想像はつく。

⏰:11/09/02 12:50 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#115 [SAKURA]
「司のあの顔見ると、やる気出るし昔思い出すなー。」


兄貴は今回のケンちゃんのツアーの、総責任者らしい。


さっきから電話に出たりかけたり、時計を見たりといきなり忙しそう。


なんかあったかな。


「ケンちゃんがLARK吸いながらこうしてると、ほんと昔戻ったみたい!!(笑)」


よく置き忘れてた兄貴のタバコを、ケンちゃん達は勝手に吸っていた。
私も初めて吸った時は兄貴のタバコだった。


「ふっ…。(笑)
ゆめちゃんも吸う??」

⏰:11/09/02 12:55 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#116 [SAKURA]
ケンちゃんは、自分の吸いかけのタバコを私に差し出す。
口元がちょっと緩んでいる。


昔、こう差し出されて恥ずかしそうにすると、よく間接キスー!なんてからかわれた。
あの頃、ケンちゃんは憧れだったし、凄い照れた記憶がある。


「どーも。」


でも今は、そんなことに照れたりする歳でもない。


吸いかけのタバコを持ってるケンちゃんの手ごと口に運ぶ。


口にくわえると、ケンちゃんが驚きながらタバコから手を離した。

⏰:11/09/02 12:59 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#117 [SAKURA]
「やっぱまずいわー。」


と言いながら、手に持ったタバコを今度は私からケンちゃんの口元に差し出すと、ケンちゃんはそっと受けとった。


「ケンちゃん。
今またからかう気だったでしょ。」


顔の角度をちょっとあげ、見下ろすようにケンちゃんに微笑む。


「口元笑ってたもん。(笑)
今さらそんなことに照れたりする歳じゃないんでね。(笑)」


立ち上がり、ケンちゃんとシュンの向かい合うように立つ。


「あーぁ、ゆめちゃんもいつの間にか大人になってー。
俺今逆に照れちゃったんだけどー!!
シュン君見た!?あの上からのやーらしい笑顔!
色っぽくなったなー。」

⏰:11/09/02 13:06 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#118 [SAKURA]
「こいつたまにほんとに同い年か!?って思うくらい大人なんですよねー。
うんうん、確かに色っぽい。」


なんてシュンにまで言われた。


「なに、シュン。
珍しくそんなこと言って。(笑)」


「俺、自分で言うのもあれなんですけどね?
結構女の子に、キャーキャー言われて調子乗ってたんですけど。(笑)」


「あー、そんな感じするわシュン君。(笑)」


「わかります??(笑)
だから、調子乗ってゆめにもぐいぐい絡みにいったら、"あんただれ?"くらいの対応されて。(笑)
撃沈しましたねー。」


私もケンちゃんも大爆笑した。


そうだったんだー。
やっぱり調子乗ってたんだこいつ。(笑)


「いやでも、ゆめちゃん昔から大人っぽかったもんなー。
司が心配性なのもわかる気がする。」

⏰:11/09/02 13:13 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#119 [SAKURA]
「昔じゃゆめちゃん俺の事、カッコイイとか言ってたのに、今じゃただの近所の兄ちゃん扱いだしなー。(笑)」


そんなくだらない話をしていると、話し中の兄貴がこっちに向かってくる。


「うん、そう。
それでいいよ。
…いや、無理はするな。
とにかく安全で確実な方法をとってくれ。
こっちは大丈夫だ、なんとでもなる。
俺に任せとけ。
おう、じゃあまた連絡くれ。」


俺に任せとけ。
ほんとに言ってたのを聞いてまた三人で笑う。
しかも、あの顔。(笑)


「さぁ、参ったな。」

⏰:11/09/02 13:18 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#120 [SAKURA]
自信満々な発言と、顔をしておいて何やら困っている兄貴。


顔は心なしか楽しそうなんだけど。


「どうした??」


ケンちゃんが聞くと、兄貴がサラっととんでもない事を言い出した。


「もう東京を出て、そろそろ着いてもおかしくないツアークルーからさ、電話でさ。」


「あぁ、もうそんな時間だね。」


私がいうと、兄貴はニッコニコな顔で言い切った。


「天候の影響で新幹線動かなくて、今日中には着けないらしい!!」


「ぶっ。(笑)
やべぇお前ー。
なにその笑顔!!
楽しそうー!!!(笑)」


結構大変な事をこの笑顔で。


あぁ、そうか。
兄貴にしてみたら、どう乗り切るかが楽しくてしょうがないんだ。


仕事人間だからね。(笑)

⏰:11/09/02 13:24 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#121 [SAKURA]
ケンちゃんは兄貴の事をよく知ってるし、信頼してるみたいで慌ててはいないんだけど、他のメンバーさんが少し不安げな表情をしていた。


「明日になったら絶対新幹線が動くっていう保証もないしなー。」


タバコをふかしながら兄貴がいう。


「今から車走らせるとか言うんだけど、なにせこの天候っしょ。
危ねぇから明日まで待てとは言っといたんだけど。」


確かに、気づけば雨が降っていた。


「俺ら前乗りしといてよかったなー。」


ケンちゃんが呑気に言った。

⏰:11/09/02 20:23 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#122 [SAKURA]
「最低、俺らだけいりゃライブは出来るしな!!」


「でも、物販のスタッフとかいないねー。」


「あの人いないけど、音作りどうしようか。
他の人でスムーズに行く??」


メンバーさんが口々に言った。


機材は最低限ライブハウスにあるし、物販用の売り物も既に届いてる。


ただ、Uppermostとずっと回ってきたスタッフさんがいないのと、明らかに人手が足りない。


私も、予定ならそろそろここを出る時間だった。

⏰:11/09/02 20:32 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#123 [SAKURA]
「こっちの現地スタッフと、箱に常駐してるスタッフの他に何人いる予定だったの??」


私が聞くと、兄貴が答えた。


「箱にいるスタッフがいればまぁ最低間に合わなくてもライブは出来るけどな。」


ちらっとメンバーみんなを見渡す兄貴。


「こいつらの客、元気っつうか激しいだろ。
無法地帯になるのは間違いないな。(笑)」


あっはっは、と大きく声を上げて笑うケンちゃん。

⏰:11/09/02 20:35 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#124 [SAKURA]
「今日のうちに機材出して、明日すぐにリハ出来る予定だったから今からのスタッフが既に足りないけどな。(笑)」


当日の物販や客入れの流れの打ち合わせやセッティングもあるし、オープニングでこっちのバンドが一組演奏する予定だから、その人達とクルーの打ち合わせもいる。


「ま、明日にならないとどうにもならない事ばっかだし、とりあえずセッティングやらだなー。」


ケンちゃんがメンバーに言うと、やべぇーな、とかどうする、としか言わない。


うん、不安そう。

⏰:11/09/02 20:42 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#125 [SAKURA]
「大丈夫だ。
俺がなんとかする。
任せとけって!!!」


と言いながら、メンバーさんの肩やら腰やらにバシッと気合いを入れる。


不思議と大丈夫だろ、なんて呑気な気分になる。


「ところでシュン君さ、さっき飯食ってたろ??
どう??ここの飯、美味い??」


逆に怖いほど満面の笑みで兄貴が聞く。


「あっはい!
いつもきよさんにはお世話になってます!!
めっちゃ美味いっす!!」


まさか、と思った私はケンちゃんを見ると、ケンちゃんも思ったらしく二人でクスクスと笑った。

⏰:11/09/02 20:49 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#126 [SAKURA]
「そっか、お家の方にはご飯済ませた連絡、したか??」


「うち、休みはほとんど自由なんで問題ないっす!!」


「あぁそっか、それ聞いて安心したよ。」


と兄貴が微笑むと、シュンに近付きシュンの肩に腕を回す。


「帰りが遅くなるって連絡はしといてね。」


「え??」


「働かざる者??」


シュンもようやく気付いたのか、気まずそうに笑うと兄貴に続いて言った。


「食う可からず…すね。(笑)
わかりました。
役に立つかわからないけど、頑張りまーす。(笑)」


周りは大爆笑、シュンは苦笑い。
兄貴も初対面の妹のツレを使うなんて、なかなかだ。(笑)

⏰:11/09/02 20:55 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#127 [SAKURA]
「もちろんタダなんて言わないからさ。
これからもどんどん食えばいいしバイト代も出すから、今日だけ頑張って。(笑)」


「まじっすか!!
てか全然upperさんのお手伝い出来るなんて、逆に嬉しいっす!!」


ほんとに嬉しそうに笑うシュン。


「悪いねシュン。(笑)」


「おう、余裕だて!!」


「よっし、じゃあ俺らもやるか!!
自分らのライブだしな!!」


ケンちゃんが言うと、さっきの不安げな表情はなくなりやる気に満ちたメンバーさん達も頷く。

⏰:11/09/02 21:01 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#128 [SAKURA]
「スタジオはいいのか?」


「今詰めたところで、上手くなるわけじゃないしな。
それよりライブだろ。」


と話もまとまり、ケンちゃん達は急いで食事をとった。


兄貴は寮にいるバンドマン達に、明日スタッフが間に合わなかった時の為に声を駆け出した。
バイトやらで無理な人がほとんどだけど、5人程集まった。


今からはハウスの駐在スタッフとうちらで乗り切るらしい。
ま、時間はかかるけど大丈夫っしょ。


シュンの様子を伺うと、ケンちゃん達とまたご飯を食べていた。(笑)

⏰:11/09/02 21:08 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#129 [SAKURA]
ほんと、人懐っこい。
もうケンちゃん達と仲良しだ。


「あんた、また食べてんの??」


「腹減ったもん。」


細いのによく食べんなーなんて感心しながら、コーヒー片手に隣に座った。


「お前逆に食わなさ過ぎ!!
いっつもコーヒーじゃねえか!!」


なんて言われると、後ろから懐かしい声がした。


「そーだぞお前、そんなんじゃ乳でかくなんねぇかんな!!」

⏰:11/09/02 21:12 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#130 [SAKURA]
周りから驚く声が上がる。


「みつさん!!タケ!!」


兄貴も気付いて寄ってきた。


「健志!!!うるさいよバーカ!!」


「はっ。
ペチャパイが。(笑)」


「小さくないし!!ムカつく!!
んでお前ら見んな!!!(笑)」


ケンちゃんとシュンがコソコソと私の胸元を確認していた。

⏰:11/09/02 21:15 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#131 [SAKURA]
二人が兄貴と挨拶を交わす。


「二人とも、新幹線動かないのにどうやって??」


兄貴が聞くと、みつさんが答えた。


みつさんは、普段はライブなんかがあると一緒にツアーに回る重要人物。


「俺もタケも今日仕事休みだったから、夕方クルーと合流してこっち来る予定だったんだけどさ。」


年上だし、昔からうちの事務所にいるから兄貴とは気楽に話す。


「なんか二人とも珍しく事務所いてさ、やることないし先に行くかってなって。」

⏰:11/09/02 21:22 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#132 [SAKURA]
「みつさんがなんか雨降りそうとか言って、濡れたくねぇしもう行くかっつて、ね。」


「おう、したら予想外に大雨で、俺らの新幹線も到着時刻遅れてなー。」


「結局ここ来るまでに濡れたしね。(笑)」


健志は私の二歳上で、中学生の頃からなぜかうちに入り浸っていた野良猫みたいなやつ。


なんかちょっと…家庭が複雑だとかで、親父も可愛がっていて、高校中退後自然とうちに就職。


ギターをやってて実力もあったけど、特にバンドを組む訳でもなくみつさんのサポート的な立場で仕事をしていた。


「二人がいたらもう問題ねーな!!」


ケンちゃんが安心したように言った。

⏰:11/09/02 21:30 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#133 [SAKURA]
「実は、他のスタッフ明日到着で人手足りなくて困ってたんだよ。
ほんっと助かった!!
二人ともナイスだわ。」


任せとけ、なんて余裕かましてた兄貴も、内心焦ってたみたいで二人に感謝していた。


「ゆめ、お前また男出来たのか。」


シュンを見て健志が言った。
みんなは健志を"タケ"と呼ぶけど、私は健志と呼び捨てにしていた。


健志とは、兄妹の様に過ごして来たから仲良し、というよりは家族に近い、少し特別な存在だった。

⏰:11/09/02 21:37 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#134 [SAKURA]
「彼氏じゃなくてツレ!!
同じ学校のシュン。
これ健志。
見た目怖いけど、中身も結構きつい。(笑)」


「かぁー、相変わらず可愛くねぇなお前っ!!」


シュンとは反対側の私の隣に座ると、頭をガシガシやられた。


「こんにちは!!
シュンって言います!!
今日俺もバイトするんで、よろしくお願いします!!」


「へぇ、そうか。
よろしくー。
元気いいなお前。(笑)」


既にお前呼ばわり。(笑)

ケンちゃんとも挨拶を交わす。

⏰:11/09/02 21:43 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#135 [SAKURA]
「今日あんた、3回も彼氏に間違われてんね。(笑)」


「そだなー、ゆめ、俺の事好きっぽいもんなー。」


なんてふざけた顔をしながら言うシュン。


「でも初対面、"あんた誰"だったんでしょ?(笑)」


ケンちゃんに突っ込まれる。


「ゆめ、初恋俺だもんなー。」


「いやタケ、俺っしょ。」


「今はきっと俺っすよ??」


「さっきから好き勝手言いやがって。(笑)
言っておくけど私、あなた達みたいな子供っぽい人好きじゃないわ。(笑)」

⏰:11/09/02 21:50 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#136 [SAKURA]
三人一気に片付けると、はぁー!?なんて反論された。


「男はやっぱりああいう頼れる人じゃなきゃね。」


とみつさんを指差すと、ケンちゃんも健志も何も言えなくなり、シュンは感心していた。


「その割にゆめ、前の彼氏もやしくんだったじゃん。
しかもすぐにバイバイで。(笑)」


私の肩に腕を回しながら嫌みを言う健志。


「あー、あいつねー。
いいやつだったんだけど束縛酷くてねー。
健志といるとこ見て、でも健志こんなんだから私にキレてね。(笑)
ウザくてその場でバイバイよね。(笑)」

⏰:11/09/02 21:56 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#137 [SAKURA]
回されてる健志の腕を指差して言った。


両腕にタトゥーが入ってる。


片方にはグルッと巻かれた様に描かれているトライバルの龍の絵で、もう片方は棘みたいなトライバルで英字を囲む様に描かれていた。


「偏見だよな、それ。
俺別にそんなんじゃねぇのに。(笑)」


「まぁタトゥーより、顔が怖いってのもありゅっ…ぶぇっ」


言い切る前に回されてる手で頬を掴まれた。

⏰:11/09/02 22:03 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#138 [SAKURA]
「お前久しぶりに会ったからって生意気言い過ぎ。」


痛がると、すぐに離した。
しかし腕はそのまま肩にある。


「いいなぁタトゥー。
私もいつか入れたいなー。」


「いや、ゆめはダメだ!!」


みつさんとの話が終わったのか、兄貴が寄ってきて言った。


「なんでぇ!!
ケンちゃんだって、みつさんだって、入ってんじゃん!!」


みんな健志ほど目立たないけど、背中やふくらはぎに入れていた。

⏰:11/09/02 22:08 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#139 [SAKURA]
「俺だって入れたい。
けど痛いから無理だ。
なのにお前が入れたら俺の兄貴としての立場がない。」


みんな笑っていた。


「いーや、私もいつか入れる!!
健志、タトゥーだけはカッコイイじゃ…んんっ。」


だけ??と言いながらまた頬を掴まれる。


「確かにカッコイイ!!
なんて書いてあるんですか??」


シュンが聞いた。

⏰:11/09/02 22:23 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#140 [SAKURA]
「A song will outlive sermons in the memory。
よい歌はよい教えより心に残る。」


回された腕がちょうどシュン側にあるから、見えるように腕を差し出す。


「意味までかっこいいー!!」


だろう!!なんてどや顔をする健志。


よく見ると、手首にグルッと巻くようにまた増えていた。


Hope the end…?


「これは??
新しいよね。」


「死ぬまで望む。
先月入れた!!」


健志は、音楽に対する気持ちが人一倍強い。
離婚して離れて暮らすお父さんがギターを教えてくれた事と関係があるのか、体に刻むほどだ。

⏰:11/09/02 22:35 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#141 [SAKURA]
「龍にもトライバルにも、よーく見ると音符とか描いてあるしオシャレだよなーお前の。」


みつさんもうらやましそうに言う。


「ゆめちゃん、俺が連れてってあげるね、入れる時!!」


「ケンにはついてくなよ、ゆめ。(笑)」


「またそうやってー。
タケのその腕は許されて、俺は発言さえNG??(笑)」


確かに、健志はよくこうやって触れてくるし、さっきもペチャパイとか言うのに兄貴はなにも言わない。

⏰:11/09/02 22:40 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#142 [SAKURA]
「ケンの素性は俺がよく知ってるからな。(笑)」


「司、シュン君も多分俺タイプだよ??
いいの??モテるから調子乗ってるらしいよ??(笑)」


「なに??
そいつはいかんな。」


ニヤッと笑いながらシュンを見る二人。


「いやいや、女の子が寄ってきた場合だけっす!!
ゆめなんて、ほら、さっき言ってたじゃないですかケンさん!!
"あんた誰"っすよ!?」


「でも、ゆめ俺の事好きっぽいもんなーって言ってたしなー。(笑)」


「ちょちょ、待って下さい!!
冗談!!冗談だから!!(笑)」


既にいじられキャラが確立したシュン。(笑)
そんな姿を微笑ましく眺めていた。

⏰:11/09/02 22:46 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#143 [SAKURA]
「ははっ(笑)
シュン、今日散々だね。」


「おまっフォローしろよ!!(笑)」


「んー、学校じゃいつも常に女の子がいるから、私なんて相手にしてないよね。(笑)」


フォローになってねぇとぼやくシュンに、今度は生意気だとかいじりだす兄貴達。


「ま、タケだけは変な心配はいらないからな。
よし、そろそろ現場向かうから準備してくれ!!」


兄貴が言うと、upperとみつさんと健志が動いた。

⏰:11/09/02 22:52 📱:SH05A3 🆔:ZEvkwsF2


#144 [SAKURA]
「シュン、かばん私の部屋じゃん??
持ってこなきゃ。」


「あぁそうだな。」


二人で部屋に向かう途中、シュンが言った。


「みんなどら面白い人だなー。
最後俺、なんかめっちゃいじられたけど。(笑)」


「でしょー。
みんなね、あんたみたいな若くて元気な奴好きだからさ。
あれで可愛がってんだよ。(笑)」


「ケンさんとか無茶苦茶だけどなー。(笑)」


「でも、会ったばかりの人にあれだけ懐けるシュンもすごい。」


私人見知り出るからなー、と部屋の鍵を開けながら言った。

⏰:11/09/03 00:26 📱:SH05A3 🆔:zO3LjsRU


#145 [SAKURA]
「俺、兄貴の周り年上ばっかだから慣れたんだろうなー。」


かばんと、ちゃっかりCDやらお菓子やらも勝手にかばんに詰める。


「私のポッキー!!」


「ケチケチすんなっ!!(笑)
CDしばらく借りるぜっ!!」


この図々しさも今ではすっかり慣れて、シュンの隣に居心地の良さも感じる。


「もぉー、ポッキーは半分ずっこだかんね!!」


へいへーいと気の抜けた返事が返ってくる。

⏰:11/09/03 00:32 📱:SH05A3 🆔:zO3LjsRU


#146 [SAKURA]
「upperの人達…特にケンさんと仲良かったり、かっこいいお兄さん達いたり、今日お前の初めていっぱい知ったなー。」


「あんま学校とかで言わないでよ??
聞かれても困るしー。」


「自分の事話すの苦手、だろ??
でもお前、話す苦手な割に結構自分を見せることはすんのな。(笑)
わかりやすいしー。」


…初めてそんなことを言われた。
今まではよくわかんないやつみたいな事言われて来たし。


「いや、多分シュンだから見せたんじゃない??
あんたもあんま裏とかなくて、わかりやすいし。」

⏰:11/09/03 00:39 📱:SH05A3 🆔:zO3LjsRU


#147 [SAKURA]
「こんな環境だし、結構利用しようとかいいように使ってやろうみたいなやつがたまにいてさ。
あんたもスタジオ来たりご飯食べたり結構図々しいけどね。(笑)
純粋に楽しそうにしてるし、嫌味も変な態度もないからね。」


「…そうだったのか。
そりゃ言えんくなるわな、自分のこと!!
俺、今度からもうなんも聞かんで。」


「見ればいいもんね、あんたは。(笑)」


そういいながら、かばんの中からポッキーを取り出した。


「あ、おい!!
今食うな!!俺腹いっぱいなんだよ!!」

⏰:11/09/03 00:46 📱:SH05A3 🆔:zO3LjsRU


#148 [SAKURA]
取り返すと、手を高くあげて私が届かない位置に上げる。


シュンは背の高い私よりもさらに高い。


180ちょいはあるんじゃないかと思う。


「いやだー!!
今食べるー!!
返せぇー!!」


まるで小学生が取り合っているかのような会話。(笑)


「あとで!!!
お前一人で食うだろ絶対!!」

⏰:11/09/03 00:50 📱:SH05A3 🆔:zO3LjsRU


#149 [SAKURA]
私のだし!!なんてやり取りを、私達を待っていた兄貴達が見て笑う。


「おいお前ら!
コンビニ寄って菓子買ってやるからケンカすんな!!
早くこいって!!(笑)」


「「はーい!!(笑)」」


二人とも顔を見合わせてよっしゃ!!とガッツポーズ。(笑)


ケンちゃん達が楽器を乗せ、みんなで9人だから会社のバスで出発した。


運転は健志。

⏰:11/09/03 00:57 📱:SH05A3 🆔:zO3LjsRU


#150 [SAKURA]
少人数用の小さなバスだけど、多分普通の免許じゃ無理なはず。


「健志、いつの間にでかい車運転出来るようになったのー!?」


遠足気分の私が運転席の後ろから聞いた。


「この前。
だからほぼ初心者。
みんな、保険入ってるー??(笑)」


一人あははっと笑う健志に、シャレにならんと黙るうちら。
誰だよ運転させたの、とケンちゃん。


「ま、まぁ…練習もいりますからね。」


フォローのつもりなのか、自分に言い聞かせたいのかシュンが言うと、そういうことー、と健志が呑気に言う。

⏰:11/09/03 01:04 📱:SH05A3 🆔:zO3LjsRU


#151 [SAKURA]
途中、コンビニに立ち寄りお菓子や飲み物を買った。
支払いは兄貴だったから好きなだけかごに入れ、珍しく遠慮気味なシュンの変わりに私がいろいろ入れた。


すると、レジで健志がタバコを買っていた。


「セブンスター2つ。」


「3つで!!」


横から自分の分を勝手に頼む。


「…3つで。」


横目で私を睨みながらもちゃんと買ってくれた。


「サンキュー健志!!(笑)」


「んっとに…。
俺犯罪者じゃねーか。」


頭をコツンとタバコで小突かれた。

⏰:11/09/03 01:12 📱:SH05A3 🆔:zO3LjsRU


#152 [SAKURA]
「なに言ってんの。
私にタバコ教えたの健志じゃん。(笑)」


「人聞き悪いこと言うな。
どうやって吸うの?って聞かれたから、煙り口に含んで、息吸って吐くって言っただけ。(笑)」


「タケさん、それじゅーぶん教えてます。(笑)」


まだ買い物中の兄貴達を待つ為に外に出て三人で灰皿を囲む。


「しかも、ほら。
二人ともセッタだしやっぱりタケさんの影響じゃないですか。(笑)」


「兄貴は怒るけど、一本ちょーだいって言うと健志はなんだかんだでくれてたんだよね。
文句は言われたけど。(笑)」

⏰:11/09/03 21:38 📱:SH05A3 🆔:zO3LjsRU


#153 [SAKURA]
「今だってなんだかんだで買ってくれたしねー。(笑)」


新品の箱を開けて一本取り出す。


「一本くれ。」


そう言いながらシュンに一本とられた。


シュンはマイセンだった。


「シュンもセッタにすればいいのにー。
なんでマイセン??美味い??」


「なんでかなー、忘れたけど、兄貴とは揃えたくねぇと思って。(笑)
セッタきっつー。」


「それがそのうち癖になんだなー。」


「ズッシリ感がね、いいよね。(笑)」

⏰:11/09/03 21:48 📱:SH05A3 🆔:zO3LjsRU


#154 [SAKURA]
兄貴がレジに向かうと、ケンちゃんが外に出て来た。


「司さん、自腹でお買い上げでーす。(笑)」


「ポッキーじゃ経費は落ちないからなー。(笑)」


「お、なんだお前ら揃ってセッタなんか吸って。」


ケンちゃんにも一本差し出すと、素直に吸い出した。


「セッタ、後味いいし吸った感半端ねぇし、いいタバコだよなー。」


「でしょ??
みんななんでセッタにしないか、ほんと不思議。」


「なんでか知りたい??」


意味深に微笑むケンちゃんに、なんでなんでと聞くうちら。

⏰:11/09/03 21:57 📱:SH05A3 🆔:zO3LjsRU


#155 [SAKURA]
「後味いいからさ、チュウしてもタバコの味って感じしかしないじゃんね。
赤マルさ、クセ強いから、相手に俺の味って残せるじゃん??(笑)」


「さすがケンちゃん!!(笑)
俺、そこまで考えてタバコ吸ったことねぇー!!(笑)」


まさかの答えに大爆笑のうちら。


「匂いって1番記憶に残るって言うじゃんね??
タバコ吸った後のチュウなんて、それはもう…ね??(笑)」


「勉強になります!ケンさん!!(笑)」

⏰:11/09/03 22:05 📱:SH05A3 🆔:zO3LjsRU


#156 [SAKURA]
「ケン君またあの話してるよー。(笑)
ゆめちゃんにそんな話したら司さんに怒られるよー??」


upperのドラムさんと、ギターさんが出てきて笑いながら言った。


「確かに、セッタのチュウは味気になんない!!
自分もだから??
私メンソールのチュウ1番きらーい!!」


「あ、じゃあ俺アウト??(笑)」


KOOLを吸ってるギターさんが言った。

⏰:11/09/03 22:10 📱:SH05A3 🆔:zO3LjsRU


#157 [SAKURA]
「ゆめちゃーん。(笑)

そのチュウの相手、タケとだれよ。(笑)
メンソールはどこのどいつだ??」


ニヤッとケンちゃんが言うと、焦ったようにむせる健志。


「えっお、俺??」


「うん、お前だ。
それは間違いないな。
俺の感がそう言ってる。(笑)」


「か、感!?
適当なこと言わないでよっケンちゃん!!」


そういいながらケンちゃんの肩を叩く。


「ほら、否定はしない。(笑)」


「そんなことっ…
ね!健志!?」


「お、おう!!
まさか俺らが、なぁ!?」

⏰:11/09/03 22:18 📱:SH05A3 🆔:zO3LjsRU


#158 [SAKURA]
「ふーん。(笑)
ま、司に聞かれたら、タケの信用に関わるしもうやめとくね。(笑)
タケ車開けてー。
乗って待っとくー。」


「今日ケン君やたらいじってんね、みんなを。(笑)」


ドラムさんが言った。


タバコをくわえたまま車に向かうケンちゃんと、後に続く健志とシュン。


「ちっくしょーケンちゃん…まじ怖えぇな。(笑)」


健志が厄介そうに言った。


余計なこと聞かれたくないし、私は外で兄貴達を待った。


健志が上手いこと交わしてくれるならいいけど。

⏰:11/09/04 02:16 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#159 [SAKURA]
「でもゆめちゃん、実際そうだったの??」


ギターさんが言った。


「健志には私は女として認識されてないよ。(笑)
見たでしょ??食堂のやり取り。」


そう言い残して兄貴の元に向かった。


二人は車に乗り込んだ。


ボーカルさんと、みつさんと、兄貴が両腕に買い物袋を持っていた。


「そんなに買ったの!?」


「おう、俺らのだけじゃ悪いだろ。」


「自腹で…お気の毒に。(笑)」


ボーカルさんが若干申し訳なさそうに言った。

⏰:11/09/04 02:22 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#160 [SAKURA]
「ほらゆめ、その袋持て。」


アイスが詰められた1番小さな袋を持たされた。


「お会計、2万1050円になります。」


「ぶっ。(笑)
コンビニで二万!!(笑)」


「おう、気にならんこのくらい!!」


半ばやけくそで言う兄貴。


「「あざーっす。(笑)」」


ボーカルさんと私が言うと、みつさんは半分出すとかなんとかで兄貴と言い合った。

⏰:11/09/04 19:19 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#161 [SAKURA]
バスの中では、こんな会話がされていた。


「ケンちゃん、マジ勘弁さっきの。」


座席にだらーんと座り込む健志。


反対側の席で、雨に濡れた腕を擦りながらケンちゃんが言った。


「感っつうか、カマ賭けた。(笑)
お前ら二人あれだけ一緒にいてなんもないわけねぇーし。(笑)」


「はぁ!?
うーわ、ありえねぇー。」


「てことは、ほんとにゆめとチュウしたんですか??(笑)」

⏰:11/09/04 19:24 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#162 [SAKURA]
「トドメを刺すなシュン!!
はぁー…。
もう何年も前の事だし、一回や二回の話だけど…あーぁ。
一生胸の中にしまっておくはずが。(笑)」


「もうねー、タケ。
俺お前見てると心が痛い。(笑)
ゆめちゃん気付かないのか気付いてないふりなのか、なんであんなに一緒にいてその先へ行かないのか、俺不思議でしょうがねぇ。(笑)」


吸っていたタバコを携帯灰皿に捨てながら言うケンちゃん。

⏰:11/09/04 19:29 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#163 [SAKURA]
「俺なら絶対言ってる。
うん、間違いなくおイタはしてるなー。(笑)」


「ケンちゃんねぇー…。
はぁ…、別に俺、ゆめとの先を望んでる訳じゃないからね。
好きとか付き合いたいとかじゃなくて、なに??
今でいいのよ、俺らは。」


「ゆめちゃんも結構お前の事好きそうだったじゃん。
お前がさっき言ってた初恋も、わりとほんとなんじゃないの??」


「でも昔過ぎてなー。
今は違うだろー。
俺も女いたし、あいつも男作るし。」


「タケさん、さっきのゆめが男と別れた話聞いて、なんにも思わなかったんすか??
普通に聞いてると、彼氏よりタケさん取った風な言い方でしたよ??」

⏰:11/09/04 19:38 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#164 [SAKURA]
「それね、意味が違うんだ、あいつの場合。
こんな話聞かれたらまずいし、もう辞めとくけど、とにかく俺らはそういう好きとか付き合うとかって関係じゃないし、そんな気もない。
ほんとに兄妹みたいな…ね。」


「そこまで言っといてなんだよお前!!
お前はどーしたいかだ!!
それだけ言え!!!
じゃないとまたいじるぞ!!」


「マジで今日タチ悪いねケン君。(笑)」


ドラムさんと、ギターさんも車に乗り込む。


「ほんとに。
まぁ、これ以上あいつの前で言われんの困るし言うけど…。」

⏰:11/09/04 19:51 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#165 [SAKURA]
「兄妹みたいなもんだけど、確かに"妹として"みた事はない。
だからって、好きだとも言わない。
俺はあいつと向き合うつもりはない。」


「おい、あんないい女になってんだ。
悠長なこと言ってると取られるぞ!!」


「うん、構わんよ。
それでも、向き合うつもりはないけど、あいつの"隣"にいられるのは俺だけだから。
あいつの中では、彼氏はいつか終わるものとしてとらえてる。
俺はいつまでも一緒って。
そんだけ思われりゃじゅーぶんなんじゃねえの。」


「タケさん、ほんとかっこいいっすね。
向き合うんじゃなくて、寄り添う…てことですよね??」

⏰:11/09/04 19:58 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#166 [SAKURA]
「おい、そんな改まって言われると恥ずかしいだろ。(笑)
しかしまぁ、その立場も今回で危ういと思ったけどな。(笑)」


「おぉ、確かに、隣と言っても両側あるからな。(笑)」


そういうと、二人してシュンをみた。


「右隣りは俺、左隣はシュン。(笑)」


「東京はタケ、こっちはシュン。(笑)」


「え??俺!?
いやいや、俺なんて全くですって!!
ようやく今日初めて知ったって事、めっちゃありますからね!!
兄貴がいんのだって今日聞いたくらいだし!!」

⏰:11/09/04 20:02 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#167 [SAKURA]
「多分あいつ、適当なツレには兄貴いることすら言ってねえと思う。」


「会わせる事は確実にないね。
ましてや、こうやって連れ回すなんてこと絶対ないわ。」


「…そうなんすか!?
へぇー、驚きだ。(笑)」


「あいつ多分俺を男と思ってねぇーし。
食堂で肩に腕回しても、全然平気だったっしょ??(笑)
彼氏の話だってするし。」


「あ、それさっきゆめちゃんも言ってたぞ。
"健志は私を女として認識してない"とかって。
食堂でのやり取り、聞いてたでしょ?って。(笑)」

⏰:11/09/04 20:09 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#168 [SAKURA]
「ちょっとタケ、夜また話な!!」


「いいって!!
もうほっといてくれ!!(笑)
シュン坊!!お前代わりに聞けー!!(笑)」


「俺関係ないっす!!(笑)」


「いいやむしろ三人でだ。(笑)
俺がどんな思いで我慢…っ。
おっと。(笑)」


「…。
はっはーん。(笑)
ケンちゃん、ぜひ話そうか、夜。
そういうことかーそうかそうかー。(笑)
我慢、ねー。なにをかなー。(笑)」


「ケン君しまったねー。(笑)」


「俺としたことがぁー!!
いやでも俺は司に対する遠慮だかんな!!(笑)
ほれ、戻ってきた!!
やめやめ!!この話!!」

⏰:11/09/04 20:14 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#169 [SAKURA]
決着が付かないみつさんと兄貴に、アイスが溶ける!!と急かすと結局二人で出していた。


「気使わせちゃって、すいませんみつさん。」


「いいや全然!!
俺金使うとこねぇしたまにゃいいんだ。」


「二人とも、ありがとーう。」


にこっとしながら言うと、二人も微笑んだ。


アイスも気になるけど、車の中。
早く行かないと変な会話で盛り上がりそうで。


「あ、ちょっと待った忘れ物!!」


散々時間があったのに、買い忘れを取りに行く兄貴。

⏰:11/09/04 20:24 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#170 [SAKURA]
「もぉー。
鈍臭いなぁ!!」


「悪い悪い!!
レッドブル飲んで、翼を授かろうかと思って。(笑)」


「あぁ、司そういや徹夜明けですぐこっち飛んだからなー。
大丈夫か!!」


車に向かいながら話す二人。
私はボーカルさんとアイスを分け合う。


「兄貴、寝てないの??」


「いや、こっち来るまでの新幹線と、着いてから一時間ほど寝たぞ。」

⏰:11/09/04 20:27 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#171 [SAKURA]
3時間も寝れてないじゃん、と言うと、人間一時間の睡眠とレッドブルがあれば充分だと兄貴が言った。


「無理すんなよ、お前倒れたら、後がない。(笑)」


「うぃっす。(笑)」


買ったばかりのレッドブルを一気飲みし、車に乗り込んだ。


「タケ、鍵貸せ!!
俺が運転する!!」


みつさんが言うと、健志はすんませーんと鍵を放り、私の隣に座った。


「健志のアイスこれ??」

⏰:11/09/04 20:32 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#172 [SAKURA]
チョコがかかったコーンのアイス。
いつもこれ。
ちなみに私もこれが一番好き。


「みんなアイスはー??
溶けちゃうよー。」


「俺白くまアイスのバーのやつ!!」


ケンちゃんに放ると、他の人は取りに来た。
兄貴とみつさんは甘いモノは苦手だからなし。


「シュン、それ美味い??」


シュンはクッキーサンドのアイスだった。


「どら美味いよ。」


なぜかニヤッとどや顔。(笑)

⏰:11/09/04 20:37 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#173 [SAKURA]
私達の後ろに座るシュンに話しかけるために、背もたれに寄り掛かって顔を出した。


「ちょっとちょーだい。」


あーんと口を開けると、アイスを差し出してくれた。


「あぁ!!シュンの美味い!!
交換しよ!!」


「やだよ、いいじゃんお前のチョコかかってるし!!
お前チョコ好きじゃん!!」


「だってほら、チョコの部分もうほとんどないし!!」


「知るか!!(笑)」


「けちぃー。」


ふて腐れてちゃんと座ると、兄貴に叱られた。

⏰:11/09/04 20:45 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#174 [SAKURA]
「おっ前らはほんと、菓子でケンカしてアイスでケンカして。
騒がしいわ!!」


「だってシュンいっつも私のお菓子取るもん!!」


「取ってねぇし。
半分ずっこだし。(笑)」


「ゆめちゃん、大人になったのは見た目だけだなー。(笑)」


ボソッとボーカルさんが言うと、みんな笑っていた。


「ったく。
ほれ、もうちょっとやるで泣くなよー。」


「泣いてない!!」

⏰:11/09/04 20:50 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#175 [SAKURA]
そういいながら、今度はシュンが前を覗き込み、私は口を開けた。


「アホっぽいなーその顔。(笑)」


横から健志に頬を突かれる。


「もう、うるへっ!!」


口いっぱいにアイスが入ってて、ちゃんとしゃべれない。


「微笑ましいねぇー、そこの三人のやり取り。(笑)」


ケンちゃんがクスクス笑いながら言った。


さっきの話を思いだし、ちょっと気まずい気分になった私は前を向いて静かに自分のアイスを食べた。

⏰:11/09/04 20:57 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#176 [SAKURA]
「おま、わかりやす過ぎる。(笑)
もうちょっと普通にしろよ。(笑)」


くくっと笑いを堪えながら、小声で健志が言う。


「あれから変な話になってない!?」


また小声で聞くと、大丈夫だ、と頭をぽんぽんされた。


昔から健志のこの"大丈夫だ"の一言は、不思議と安心させられる。


「ま、健志がそう言うなら大丈夫だな。」


同じアイスが、同じペースで無くなっていく。


兄貴より歳が近いから、健志との方が好みや行動が似ている。


いつも一緒だったし、これからも一緒。


きっと隣には健志がいる。

⏰:11/09/04 21:08 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#177 [SAKURA]
時計を見ると、もう7時半だった。


「まだ外明るいねー。
雨は酷くなってきたけど。」


「あ、もうこんな時間かー。
そういやゆめちゃん達、今日学校は??」


「2時半に終わったー。」


「早っ!!
なんで??普通そんなもん??」


「俺高校まともに行ってないからわかんね。(笑)」


「(笑)。
うちの学校、午前中に普通科目の授業で午後からは専門科目なんだけど、専門は出席取ったらあとは適当なんだよねー。
勉強や練習したい人は残るし、大丈夫だったら帰る、みたいな。(笑)」


「だいたい最初の座学とか課題出たら帰るもんな。」


「高い学費が、泣けるねぇー。」


兄貴がぼやく。(笑)


「いやいや、高いだけあって、ちゃんと勉強になるよ??」

⏰:11/09/04 21:21 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#178 [SAKURA]
「それに楽器は定期的に課題テストあるから、真面目にやんなきゃ進級も卒業も無理だし。」


普通科目は適当だけどね、と言うと、周りからため息が聞こえた。


「ゆめ、学年でどら有名っす。
両極端って。(笑)」


「余計な事は言わなくてよろしい。」


「俺、高校行く意味全っ然わかんなかったなー。
もう仕事出来る図体して親に世話になりながら一日中机に向かう意味!!
楽しかったけど、無駄も多い。(笑)」

⏰:11/09/04 23:31 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#179 [SAKURA]
「すごいあっさり辞めたもんね、学校。(笑)」


「おう!!
俺にはあの空間は向いてねぇ。」


「仕事はよくやるけど、お前も勉強出来ないしな。(笑)」


みつさんが突っ込む。


「タケよかったなー!!
みつさんに認められたらうちの会社、怖いもん無しだ!!(笑)」


やれることしてるだけだとか言いながら、ちょっと嬉しそうに笑う健志。


「よし、着いたぞー。」

⏰:11/09/04 23:44 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#180 [SAKURA]
楽器を濡らさないように降ろし、足早に中に入ると既に準備が進められていた。


「みんな、遅くなって悪かった。
事情は電話で話した通りだから、とりあえず今日と明日午前中、無理せずにやれる範囲で頑張ってくれ。
あと差し入れ買ってきたから、休憩してくれー。」


兄貴が挨拶。
みんなにこやかにあいづちをうつと仕事にキリを付けて休憩した。


兄貴は何人かで打ち合わせみたいなのをしている。

⏰:11/09/04 23:53 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#181 [SAKURA]
休憩してる全体に聞こえる様に話した。


「今日急遽、upperのメンバーも手伝いに参加してくれることになった。
それから、毎度ながらゆめと、友達のシュン君。
ゆめの友達って事で、いつもの様になにかとよろしくなー。」


適当な返事が聞こえ、シュンもよろしくお願いしますと挨拶。


いつもの様に、というのは私がメンバーとかをバイトに誘う時に、実家の事は内密にとお願いしてあるから、そういう意味を込めて。


upperに限らずこっちでライブがあるときは私もバイトで入るから、みんな顔見知り。

⏰:11/09/04 23:58 📱:SH05A3 🆔:AO3YpurY


#182 [SAKURA]
それでも、やっぱり東京のスタッフに比べると仲良くはない。


「なんか緊張してきた。」


シュンが私にぼそっと言う。


「大丈夫、言われた事やってたら誰もなにも言わないから。(笑)
兄貴やみつさんの近くにいたら間違いない。」


スタッフさんの中には、女性の方もいる。
主に受付の仕事をしている人で、健志と同い年。

⏰:11/09/05 00:09 📱:SH05A3 🆔:RzxDhnjQ


#183 [SAKURA]
あとはバイトで何人かいるみたいだけど、ツアーや大きなイベントの時は休みが多い。


「ゆめ、ちょっと来い。」


兄貴に呼ばれたので健志、みつさん、常駐スタッフの主任の元へ向かう。


「なに??」


「シュン君はなるべくお前と同じ仕事してもらって、健志と一緒に機材の出し入れとか物販の準備頼むわ。
あとはこっちのスタッフさんを、主任にお任せします。」


わかりました、とスタッフの元へ行く主任。

⏰:11/09/05 22:54 📱:SH05A3 🆔:RzxDhnjQ


#184 [SAKURA]
「まずはステージの設置だなー。」


「シュン、こっちー!!」


常駐スタッフさんがまだゆっくりしてる中、私はもう始める事にした。


「なになに、俺なにやんの!?」


「とりあえずあれをこっちに…」


普段は隅の方にまとめられてる機材を、ステージのだいたいの場所に配置する。

⏰:11/09/05 22:58 📱:SH05A3 🆔:RzxDhnjQ


#185 [SAKURA]
みつさんとケンちゃん、スタッフさん数人はPAの機材の準備で、兄貴は他のupperメンバーと全体のチェックや、明日のライブでのスタッフの配置などを考える。


ここにいたスタッフさんは5人。


全部で14人。


時間はかかるけど、大丈夫そうだ。

⏰:11/09/05 23:06 📱:SH05A3 🆔:RzxDhnjQ


#186 [SAKURA]
ツアーといっても300人入るかどうかの箱だから、ステージは狭い。


そして機材は重いので、コードを機材の下に挟まないように私が持ちながら、シュンと健志が動かす。


「こんばんはー!!」


主任に指示されたのか、受付の女性の方が合流した。

⏰:11/09/05 23:07 📱:SH05A3 🆔:RzxDhnjQ


#187 [SAKURA]
「こんばんはー。
久しぶりですね静香さん!!」


小柄で可愛らしい人。


「初めまして、シュンです。」


「初めましてー。
よろしくね、二人とも。
なんかこんな小さいやつが、スラッとした三人に混ざると余計小さくなるね。(笑)」


シュンほどではないけど、健志も一応背は高い。


「よう、おシズ。」


健志は静香さんを変な呼び方で呼んでいた。

⏰:11/09/05 23:14 📱:SH05A3 🆔:RzxDhnjQ


#188 [SAKURA]
「またその呼び方!!」


「小さいお前にピッタリじゃねぇか。
おチビのおシズ。(笑)」


「はぁ!?
そんならタケは、たぁけのおタケだかんね!!」


シュンと二人で爆笑すると、健志は意味のわからない顔をしていた。


「たわけ!!(笑)
こっちの人、たぁけって伸ばして発音するの。
よく使うから、覚えておきなさい。(笑)」

⏰:11/09/06 22:13 📱:SH05A3 🆔:SVvo0T8A


#189 [SAKURA]
私が小ばかにして言うと、ようやく意味が分かったのか、静香さんにうるせぇなんて言っていた。


「ふんっ!!
早く仕事しなさいよ、おタケ!!(笑)」


「黙れおシズ!!(笑)
ほれ、お前そっち持て!!」


と言い合いながら作業を始める二人。


私達も、とシュンに言い、だいたいの場所に置いた。


「おタケ。(笑)
タケさんには悪いけど、ちょっと面白い。(笑)」

⏰:11/09/06 22:17 📱:SH05A3 🆔:SVvo0T8A


#190 [SAKURA]
二人でクスクス笑っていると、わざとらしい健志の咳ばらいが聞こえた。


ある程度出し終えて、健志が指示しながらシュンと調整していった。


「配線とか音響とかは私とタケがやるから、二人は物販の準備頼める??」


「ほぉ、シズ、そんなんも出来るようになったか!!」


「まぁね。
同い年のあんたには負けとれんでね。」

⏰:11/09/06 22:21 📱:SH05A3 🆔:SVvo0T8A


#191 [SAKURA]
よいしょっと、重たそうなコードの束を持ち上げながら静香さんが言った。


「え??同い年??
お前まだ中学生くらいかと思ってたー。(笑)」


「もぉー!!
あんたほんと失礼!!」


静香さんが大変そうに持つコードを、健志がさらっと代わりに持つ。


憎まれ口を叩きながら、ああやってちゃんと優しい健志。


「じゃあ、あっちやってきます。」

⏰:11/09/06 22:25 📱:SH05A3 🆔:SVvo0T8A


#192 [SAKURA]
フロアから出ると、ロッカーや灰皿なんかがある小さなホールがある。


そこに長机を出していく。


「こっちだとロッカーの邪魔だし、こっちだと入口、向こうは階段の邪魔になる…。
どう置こう??」


「ほんとだな。
置き場ねぇじゃん。」


Tシャツやタオル、ステッカーなどライブお馴染みのグッズの他にCDなんかも置いたりするから、結構なスペースがいる。


オープニングバンドさんのスペースもいるし、いきなりどうしたらいいかわからなかった。

⏰:11/09/06 22:31 📱:SH05A3 🆔:SVvo0T8A


#193 [SAKURA]
タイミングよくケンちゃんが通りかかったので、ケンちゃんに聞いた。


「あぁ、階段の前だね多分。
2階は関係者しか上がらないし、物置にもしてるから人が通れるスペースをあけて、机並べればいいよ。」


「はーいっ。」


ケンちゃんも一緒に机を並べる。


「ところでゆめちゃん、あの女の子、なに??」


「え??
受付の静香さんじゃん。(笑)」


何回か顔を合わせてるはずの静香さんの事を聞かれた。

⏰:11/09/06 22:36 📱:SH05A3 🆔:SVvo0T8A


#194 [SAKURA]
「うん、受付でしょ??
さっき聞こえたんだけどさ、私なんもできないからタケと動きますって主任に言ってて。
でも実際、タケに指示されるわけでもなく二人で動いてて。
二人にも指示してるしさー。
受付嬢がなぜタケと??って。(笑)」


「へぇ…。
あ、でも二人とも同い年で仲良いし、やりやすいんじゃない??
静香さんもバンドやってるし、素人ではないはず。」


「ふーん。
なんかあの子、俺苦手なんだなー。」

⏰:11/09/06 22:41 📱:SH05A3 🆔:SVvo0T8A


#195 [SAKURA]
「ケンちゃんが女の子を!?(笑)」


「うん。(笑)
俺をチヤホヤしてくれない女の子は嫌だ。(笑)」


そんな理由かよ、と突っ込むと、ケンちゃんが続けて言った。


「いやでも普通さ、慣れてない者同士の二人を一緒にしてやってこいとか変じゃん??
実際わからなかった訳だし。
向こう力仕事だし、こっちは女、向こうは男ってわけるよね、ほんとなら。」


「確かに。
俺も思いました。」

⏰:11/09/06 22:47 📱:SH05A3 🆔:SVvo0T8A


#196 [SAKURA]
机を並べ終え、グッズなどを出す準備をしながらシュンも言った。


「ゆめちゃんもたまにバイトしてるし、バンドやってるからって思ったかもしれないさ。」


なんとなくケンちゃんの言いたい事が分かった私は、はぐらかす為に気づかなかったふりをした。


「ふーん。
私なんにも思わなかったー。
ま、その辺は私達、バイトだし従うしかないからなんでもいいよ。」


にこっとして言うと、せっかく分からないふりをしたのを無駄にするかのようにシュンが言った。

⏰:11/09/06 22:53 📱:SH05A3 🆔:SVvo0T8A


#197 [SAKURA]
「なんも出来んふりして実は出来て、タケさんにひっついて仕事…。
こりゃあの人、タケさんに惚れてますな。(笑)」


「ビンゴっ!!(笑)
しかも、タケだけにロックオンならまだしも、俺やメンバーや、まさかの司にも猫撫で声でね…。(笑)」


「え?ケンちゃんさっきチヤホヤされないからとか言ってたじゃん。(笑)」


「だーかーら、俺らにもにゃんにゃんしといてタケの周りごと自分のもんにしたいんじゃん??
見え見えで嫌なの。(笑)」

⏰:11/09/06 23:02 📱:SH05A3 🆔:SVvo0T8A


#198 [SAKURA]
「そうなのかー。
まぁ私には支障ないからいいけどね。(笑)」


「俺も、関係ないし準備進めばそれでいいし、大人だから黙っとくけどね。(笑)」


「俺なんて猫撫で声すら対象外ですしね。(笑)」


クスクス笑いながら、グッズを並べた。


でも、"今は支障ない"ってだけで、私がバイトで来て健志もいると、静香さんは必ずと言っていいほど私の仕事を奪っていた。


私と健志はいつもセットだったから。

⏰:11/09/06 23:09 📱:SH05A3 🆔:SVvo0T8A


#199 [SAKURA]
静香さんがどういうタイプの人かは、もう随分前から気付いていた。


健志を好きなんじゃないかって事も。


たまに態度にもだしてくる。
イラッとした事だってある。


でも、バイトと言えど仕事中。


我慢して、やれる事をやっていた。


それに、もうだいぶ慣れてきた。
静香さんが初めてでもないし。

⏰:11/09/06 23:22 📱:SH05A3 🆔:SVvo0T8A


#200 [SAKURA]
「それにしても、健志は気づかないのかね。(笑)」


「あぁ、絶対気づかないね。
健志そういうのほんっと鈍感で。(笑)
今までだってそうだったし、健志が気づかないから静香さんもだんだんエスカレートしてる。」


「ふーん、なんだゆめちゃん、気付いてたんじゃん。(笑)」


「あ、しまった。(笑)
いやね?私、昔から健志と仲良いからよくあるんだこういう事。
面倒だし、私もああいう女の子全開な人が苦手で。
なるべく穏便に済ませたいからスルーで。(笑)」


「俺も学校で女の子といる時にゆめに声かけると、すんげー嫌な顔されます。(笑)」

⏰:11/09/06 23:31 📱:SH05A3 🆔:SVvo0T8A


#201 [SAKURA]
「出た!!シュン君のちょいちょいモテる自慢!!(笑)」


「(笑)。
こいつもねー、なんでこんなのがモテるのかねー。
おかげで私、こいつの教室の前通る度に女子の視線怖くてプチダッシュする。(笑)」


「ま、顔も性格もいいからな俺。
バンドも人気あるし。」


「あぁ、俺の学生時代と同じだね。(笑)」


なんてバカみたいな会話をしながら、地味に多い物販の準備を続ける。
並べる分と、在庫の整理。


Tシャツなんかはサイズや色別にすぐ出せるようにしとかなきゃだし。


「俺明日これ買おう!!
Tシャツもかっこいいっすね!!」


「自分達でしたデザインだぜ!!
んなもん、買わなくてもやるさ、ほれ持ってけ。(笑)」


そう言われると、シュンは嬉しそうにサイズを選び出した。

⏰:11/09/06 23:40 📱:SH05A3 🆔:SVvo0T8A


#202 [SAKURA]
机と階段の間に掲示板ボードを出して、関係者は裏を通ってもらって掲示板にはTシャツのサイズ別やらグッズ見本やらを貼り付けた。


「ケンちゃんそういえばPAの方よかったの??」


「うん、みつさんいるからね。
だいたいはみつさんが把握してるし。
マジいてよかったー!!」


「明日スタッフさん間に合わなかったらここ私一人で切り盛りすんのかな。(笑)
ライブ全然見れなさそう。」


「そうだよなー。
明日間に合わなかったらなー。」


「俺、明日ライブ前も手伝いますね!!
どのみち来るし、兄貴と兄貴のツレと来るんですけど、現地集合だし。」

⏰:11/09/06 23:47 📱:SH05A3 🆔:SVvo0T8A


#203 [SAKURA]
「マジで!?
助かるよー!!
ゆめちゃん、いいダチ持ったな!!」


「ありがとね、シュン。」


「あれ??
なんだ、ゆめちゃんその子友達なの??」


中の準備が終わったのか、健志と静香さんが出てきた。


「あ、はい。
学校の友達です。」


「なんだぁー。
仲よさげだし、彼氏かと思ってたー。
気使って二人にしたのに、意味なかったかー。(笑)」

⏰:11/09/06 23:53 📱:SH05A3 🆔:SVvo0T8A


#204 [SAKURA]
あぁ、そうきたかこの人。


「でも、二人とも長身同士お似合いじゃんっ!
付き合っちゃえばいいのにー。
ねぇ??タケー。」


「ん??おぉ…。」


おぉじゃねーよ。


「もう何回も否定すんのめんどくせーし、そうするかゆめ!!
よし、ならこのまま俺ら二人きりで向こうやりまーす。(笑)
行くぜハニー。」


「は!?
なに、どしたいきなっ…」


言い切る前に腕を引っ張られ連れてかれた。


「あ、シュン君俺はばにすんの??(笑)
まぁいいや、PA戻ろ。」

⏰:11/09/07 00:03 📱:SH05A3 🆔:I01qG0jQ


#205 [SAKURA]
シュンが私の肩を抱くように連れていく。


「ちょっとシュン。
なに言い出すの??(笑)」


どうせ冗談に決まってるし、おとなしくついていく。


「あぁ??
お前、学校で俺が声かけた時と同じ顔したから。(笑)
もういっそこの方がやりやすいだら。(笑)」


「うーん、確かに。(笑)
ま、なんでもいーや。
しょうがないから彼女やるか。(笑)」


「ほんとにやる??彼女。(笑)
あ、チュウでもしとく??(笑)」


そういうと、チュウする真似をしてきたのでシュンのおでこを小突いた。

⏰:11/09/07 00:09 📱:SH05A3 🆔:I01qG0jQ


#206 [SAKURA]
「行っちゃったー。
私、キューピッド??(笑)」


「はは。(笑)
シュン君やっぱり左隣りだわ。(笑)」


「ケンちゃん、なに??どういう意味??
なんかあった??」


健志がケンちゃんに聞くと、なんでもねぇーよと行ってしまった。


「ほらタケ、こっち終わらそう??」
受付やチケットチェックのスペースも作る。


「あぁ、机出すか。
シズそっち持て。」

⏰:11/09/07 00:14 📱:SH05A3 🆔:I01qG0jQ


#207 [SAKURA]
「タケ、寂しい??
ゆめちゃんほんとに付き合っちゃったかもよー??
ほら、楽しそうだし。」


「別に寂しくはねーだろ。(笑)
なに言ってんだちびすけが。」


「ふーん、ほんとならやっと兄離れしたから楽になるねー。(笑)」


静香さんは、私達にも聞こえる声で言った。
でも、私達は聞こえないふり。


「そーだな。」


なんて言う健志の声も聞こえてきた。

⏰:11/09/07 00:19 📱:SH05A3 🆔:I01qG0jQ


#208 [SAKURA]
健志が言うならわかる。


何故あの人に"兄離れして楽になる"なんて言われなきゃいけないのか。


健志達に背を向けていた私は、見えないようにシュンを見て、心境を顔に出した。


むっとした顔をしたつもりだったんだけど、シュンのリアクションが予想外でびっくりした。


「おいゆめ…タケさんなら本音じゃないだろうし、気にすんなって。
そんな泣きそうな顔すんな。」


そう言って私の頬をぷにっと掴んできた。

⏰:11/09/07 01:42 📱:SH05A3 🆔:I01qG0jQ


#209 [SAKURA]
「え??
ほんな顔??
ムカつくって顔ひはんはけほなぁ。(笑)」


ちゃんと発音出来てない。

「(笑)。
とりあえず不細工だった。」


会話が聞こえないようにこそこそ話しながら少しじゃれあった。


「うるふぁい!!
離ふぇ!!」


「はっは(笑)
なにいってんのかわかんねー。」

⏰:11/09/07 01:47 📱:SH05A3 🆔:I01qG0jQ


#210 [SAKURA]
頬を離し今度は髪をぐちゃぐちゃとしてきた。


健志にもよくされる。


「てゆかあんた、勢いでこっち来たはいいけど何すんのか分かってる??」


「いや…特に。(笑)」


バカ過ぎる、と二人で爆笑してると、健志に声をかけられた。


「おいお前ら、じゃれあうのもいいけど仕事しろって。」

⏰:11/09/07 01:51 📱:SH05A3 🆔:I01qG0jQ


#211 [SAKURA]
「入り口で案内とアンケート配るから、それ準備。
そこに長机じゃないもうちょい小さい机あるからそれ出して。」


「「はーいっ!!」」


「ふふ、結局兄離れ出来てないわね。(笑)」


屈託のない笑顔で言われると逆に清々しい。(笑)


「俺がちゃんと一人前の人間にするんでご心配なく!!
お兄さん、お姉さん!!(笑)」


お姉さんをやたら強調して言うと、ちょっとだけ嬉しそうにする静香さん。
シュン、もう扱い慣れてきてる。(笑)


「お姉さんだって。(笑)
小さい私より、ゆめちゃんの方が大人っぽいのに。
ね、うちらもいっそ付き合う??」

⏰:11/09/07 02:02 📱:SH05A3 🆔:I01qG0jQ


#212 [SAKURA]
この人なにかと自分小さい、私がデカイ、って事をアピールしてくる。


小さい女の子のがかわいいってか?


「なに言ってんだバカが。
シュンも、本気で菓子取り合う奴が出来るか!!(笑)」


そう言って仕事に戻る健志。


核心を突かれたシュンは、自分の口でしょんぼりなんて言いながら仕事しだした。


私も後に続く。

⏰:11/09/07 02:09 📱:SH05A3 🆔:I01qG0jQ


#213 [でりーと]
でりーと

⏰:11/09/07 16:48 📱: 🆔:�・�・�・


#214 [でりーと]
でりーと

⏰:11/09/07 16:49 📱: 🆔:�・�・�・


#215 [でりーと]
でりーと

⏰:11/09/07 16:49 📱: 🆔:�・�・�・


#216 [でりーと]
でりーと

⏰:11/09/07 16:49 📱: 🆔:�・�・�・


#217 [でりーと]
でりーと

⏰:11/09/07 16:50 📱: 🆔:�・�・�・


#218 [でりーと]
でりーと

⏰:11/09/07 16:50 📱: 🆔:�・�・�・


#219 [SAKURA]
「おいっしょ。」


机を出して小さく折ってある案内とアンケートを並べる。
ライブの邪魔にならないポケットに入るサイズ。


客数分用意しても、記入して出してくれる数なんてほんと知れてるのに。


えんぴつと回収BOXも近くに置く。


「これ、どれだけ回収出来るんだろ。」

⏰:11/09/09 19:52 📱:SH05A3 🆔:HphrIe46


#220 [SAKURA]
「さぁーな。
5分の1出来たら良い方だろうなー。
無駄は多いけど、それでもやる価値は充分あるし。」


「俺絶対書くっす!!」


満面の笑みで言うシュン。


「シュン君って、いい子ねー。
ゆめちゃんいい彼氏出来たね。」


「あはは…(苦笑)」


複雑な顔で笑うと健志が言う。

⏰:11/09/09 19:56 📱:SH05A3 🆔:HphrIe46


#221 [SAKURA]
「人懐こいし、愛想もいいし、自称モテモテだしなー。(笑)
歴代のゆめの彼氏の中じゃ断トツいいなー。(笑)
マジで付き合うのもありだぞ、ゆめ。」


あぁ、やっぱり本気で付き合ってるとは思ってないのか。


「ゆめちゃんの彼氏まで把握してるの?(笑)
ゆめちゃん、タケから卒業してあげなよー。(笑)
タケも付き合えってー。」


「別に私、そこまでタケに執着してませんよ?(笑)
ただの妹ですしね。
だいたい彼氏作るのにタケの許可もいりません。」

⏰:11/09/09 20:04 📱:SH05A3 🆔:HphrIe46


#222 [SAKURA]
自分でも分かるほど、張り付けたような笑顔で返す。


「えー、そうなんだー。
タケもうずっと彼女いないし、ゆめちゃんが離さないのかと思ってたー。(笑)」


「シズ、お前今日やたらその辺突っつくな。
そんなにかまって欲しいか俺に。(笑)」


ニヤッと笑いながら静香さんを肩で小突く。


「別にぃー!
でも私、タケの事好きだけどね。(笑)」


「わぁーお!!
大胆ねぇさんっ!!(笑)」


思わずシュンが声に出すほどはっきり言い切った。


タケは、は??と驚いたまま固まる。

⏰:11/09/09 20:11 📱:SH05A3 🆔:HphrIe46


#223 [SAKURA]
「タケ、全然気付かないんだもーん、言っちゃった。(笑)
私がここでバイト始めて、タケが仕事で来て初めて会った時からずぅーっと好き。」


タケを見つめ、サラッと言ったあとちょっと恥ずかしそうに微笑む。


「…は!?
え、マジで??」


状況がよく分かってない健志。
ちなみに私も軽く動揺している。


「ははっ!
そんな困った顔しないでよータケ!!
でも私、諦めないからね。」

⏰:11/09/09 20:16 📱:SH05A3 🆔:HphrIe46


#224 [SAKURA]
最後は私を見て言い切った。


この人ここまでくると怖い。
敵に回したら厄介だ絶対。


「健志、私にシュン勧める前に自分静香さんと付き合っちゃいなよ。(笑)」


「な、なに言ってんだ。
お前らそんなこと言ってねぇーで仕事しろ!!
ほら、次行くぞ次っ!!」


足早に次の準備に向かう健志。
後に続こうとする私に、小声で静香さんが言った。

⏰:11/09/09 20:22 📱:SH05A3 🆔:HphrIe46


#225 [SAKURA]
「そういう事だからゆめちゃん、邪魔しないでね。」


自信があるのか、勝ち気溢れる笑顔。


「だから、私関係ないです。」


「僕がいますから、ゆめには。」


いつもふざけてお調子者のシュンが、珍しく真顔だった。


静香さんも健志の所へ向かい、シュンは後ろ姿を見つめながら言う。


「あの人、なんか腹立つな。
なんでか知らんし、俺関係ないけど無性に腹立つ!!
ゆめ、気にすんなよ!!」

⏰:11/09/09 20:27 📱:SH05A3 🆔:HphrIe46


#226 [SAKURA]
「ふふ、今日シュンいてよかったよー。
じゃなきゃ私、あの人のせいで仕事になんない。(笑)」


「タケさんもタケさんだ。
明らかにゆめに敵対心剥き出しなんだから、はぐらかしてないではっきりさせりゃいいのに。」


そうなんだよね。
でも健志、ほんと鈍感だから多分そこまで気回ってないんだよね。


「気付いてないよそこまで。
もうなんでもいいやー。
仕事しよ、仕事!!
たとえバイトでも、プロ精神で!!(笑)
兄貴によく言われるからさ!!(笑)」

⏰:11/09/09 20:31 📱:SH05A3 🆔:HphrIe46


#227 [SAKURA]
イライラを発散させるように、私もシュンも張り切って仕事した。


静香さんは健志にべったりだし、そのあとは普通に進んだ。


いつもなら当日に済ませられる準備も明日スタッフが来れなかった事を考え、今日のうちにやってしまうらしく結構時間が経っていた。


思いの外シュンがよく働き、兄貴やみつさんも感心するほどだった。


「結構忙しいのな、準備も!!」


「今日は特別ねー!!
私いつも前日は打ち合わせと自分の持ち場の準備程度だもん!!」


ちらっと横目で健志達の様子を伺う。

⏰:11/09/09 20:45 📱:SH05A3 🆔:HphrIe46


#228 [SAKURA]
健志はあまり気にしてないのか、いつも通りに接している。
静香さんもしっかり働いていて、たまに二人の間に笑みが混じる。


全く無関心と言えば嘘になるし、静香さんが言った通り健志にはしばらく彼女もいなかったから、久しぶりに感じる寂しさも少しある。


だからと言って、私がなにか言うのもおかしな話。


自分でただの妹だなんて言っといて、妹なんかじゃないもんなんて思ってしまう。


でも、だったら私はなんなの??と自問したところで結局妹だよねってなる。


健志のことを好きなのかと聞かれたら、答えはNOだし。


自分でもよくわからない感情がぐるぐるまわる。

⏰:11/09/09 20:59 📱:SH05A3 🆔:HphrIe46


#229 [SAKURA]
キリのいいところまで仕事が片付くと、休憩しようと兄貴が言った。


フロアにブルーシートやらを広げ、みんな地べたに座りこむ。


コンビニで買ったお菓子や飲み物を広げたり、タバコを吸ったり。


私とシュンが座っていると、私の隣に健志が座った。


「ふぅ〜。
結構疲れたなー。」


私の肩にもたれるように座り言う健志に、そうだね、と返す私。

⏰:11/09/10 00:32 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#230 [SAKURA]
いつもの様に、ごく自然なやり取り。


健志はよく私の肩に腕を回したり、後ろからハグするようにもたれ掛かったり、こうやって隣に座って寄り掛かったりする。


"お前の身長、もたれるのに調度いいな。"


昔そう言われたことがある。


「タケ、こっちー。」


「ん?…おぉ。」


そんな私達を見てイラっとしたのか、半ば無理矢理私達に背を向けるように健志を引っ張り、自分の隣に座らせた。

⏰:11/09/10 00:37 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#231 [SAKURA]
私の真後ろに座り直した健志。


「タケ、なに飲む??」


「コーヒー。あ、ブラックある??」


健志はいつもコーヒーのブラック。


冷やしてあった缶コーヒーがいくつか置かれていて、それを静香さんが渡す。


「もう一個取って。」


そう言って一つ余分に受け取ると、私の頬に冷たい缶を当ててきた。


「ひゃっ…冷たー!!」


驚いてまぬけな声を出した私を笑う健志。

⏰:11/09/10 00:42 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#232 [SAKURA]
「お前もこれだろ??」


「うん、ありがと。」


くくく、と笑いながら前に向き直して、私の背中にもたれる。


笑った時の振動が伝わってくる。


そして、静香さんの視線も。


「へぇゆめちゃんブラック飲めるんだー。
私苦いから無理っ。」


静香さんはミルクティーを手に持ちながら言った。

⏰:11/09/10 00:45 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#233 [SAKURA]
「チビスケにはブラックは似合わねぇからな。(笑)」


小ばかにするように言うと、別にいいもーんと頬を膨らませる静香さん。


飲む物はかわいいし、背は小さいし、そういう仕草がよく似合う。


私なんて、タバコ片手にブラックコーヒー。


可愛らしさのかけらもない。


「ゆめちゃんも昔はコーヒーなんて飲まなかったじゃん??」

⏰:11/09/10 00:49 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#234 [SAKURA]
隣にケンちゃんが座り、私に言った。


「あー、タバコ吸い出してから…かな??(笑)
セブンスターにはブラックが一番合う気がする!!
チョコにも!!」


「どっちも俺の真似だろ。(笑)」


「だって、健志の部屋コーヒーしかなかったじゃん。(笑)」


正反対の方を向きながら、お互い体重をかけるように背中にもたれながら話した。


「タバコも吸い放題だったし。」


「おいゆめ!!
俺は微糖派だから、これからは部屋に微糖を常備しとけ!!」

⏰:11/09/10 00:54 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#235 [SAKURA]
「はぁ??(笑)
自分で買って置いとけ!!
つか、なんならチョコも買って来いっ!!(笑)」


「お、早速仲良しだな二人とも。(笑)」


「ゆめのしつけは任せて下さい!!(笑)
だからゆめ、微糖常備な!!」


「それしつけじゃなくてただの命令だし!!(笑)」


「二人が付き合ったら相当騒がしそうだね。(笑)」


「ガキだかんなー、二人とも。(笑)」


「健志二歳しかかわんない!!
それにすぐムキになるじゃん、健志だって。(笑)」


うるせっ!と頭を後ろに振り、コツンとされる。


痛いっ、と言うと、急に背中の重みがなくなり後ろに倒れそうになった。

⏰:11/09/10 01:11 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#236 [SAKURA]
「ねぇタケ!!
私もタケの部屋遊び行きたい!!
私も東京行きたい!!」


健志の腕を引っ張り、自分に引き寄せていた静香さん。


体を起こされた健志の背中が私から離れて、後ろに倒れかけた拍子にコーヒーがこぼれた。


それをお構いなしに話し続ける静香さんにイラっとし、その場にいるのも嫌になった私はこぼれたコーヒーを拭きにいくためにトイレに向かった。

⏰:11/09/10 01:17 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#237 [SAKURA]
「なんなのマジで。
ごめんも無しか!?
つうか気付いてねぇーし。」


白いTシャツにコーヒーの染みがついた。


健志がくれた、お気に入りのTシャツ。


健志がこっちに来たり私が東京に帰るかするときによくもらう。


健志は奪われたと言うけど、いつもしょうがねーな、なんていいながらくれるんだ。


健志は自分にピッタリめなTシャツが好きで、私は少し大きめが好きだからサイズも調度いい。


「洗ってとれるかなー。
着替えないから洗えないー。」

⏰:11/09/10 01:37 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#238 [SAKURA]
いつからか女らしい格好はあまりしなくなった。


体が大きいから中学の時に男みたいって、いじめとまでは言わないけどよく女の子達に聞こえる様に陰口を言われてたから。


私に聞こえてる時点で陰口になってないけど。


その時も、好きな人を取られたとか因縁つけられたんだっけ…。


クラスの女の子が好きだった人が、私を好きとかで。


もちろん私はそんなつもりないし、なんならその男の子の名前だって知らなかった。


それから私は制服以外のスカートははかないし、持ってない。

⏰:11/09/10 01:53 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#239 [SAKURA]
元々そんなに女らしくもないし、そこまで言われるならいっそのこと女らしくするのは辞めようって。


だからああいう女の人は苦手。
周りだってサバサバしてる子が多い。


もちろん彼氏だって出来たけど、二人で会う時以外はジーパンにTシャツばかり着てた。


好きな人を取られる。


相手はそんなつもりなくても、好きな人に好きな相手や彼女がいたら誰だってそう思いたいのは、私だってわかる。


健志に彼女が出来た時…。
私が小学生くらいの頃で、健志の事を兄のように慕う前は私は健志が好きだったから。


その気持ちは、幼いながらもあった。

⏰:11/09/10 02:00 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#240 [SAKURA]
イライラをごまかす様に小さな声で独り言を続ける。


「誰か着替え持ってないかなー。
あ、シュンがツアーT貰ってたなー。
それ借りようかなー。
でも明日着るんだろうなー。
ケンちゃん私にもくれないかなー。
なんなら買おうかなー、カッコイイから欲しいしなー。」


ペーパーに水を含ませ擦ってみるけど、ペーパーがすぐにボロボロになって意味がない。


「あーぁ、パジャマとして着るしかないかなー。」

⏰:11/09/10 02:02 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#241 [SAKURA]
このTシャツはちょっと無理矢理もらった。


私が女らしい格好しなくなった理由を知ってる健志は文句を言いながらもちゃんとくれてた。


"ま、お前なら似合うだろうからくれてやる。"


なんてぶっきらぼうにいつも言ってた。


"自分に似合うモン分かってるしな、センスいいからなお前も俺も。"


俺みたいだからというつもりではなく、ただ似合うと褒めてくれてた。

⏰:11/09/10 02:07 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#242 [SAKURA]
<<241
俺みたいではなく男みたいです。すみません。


染みを落とすのを諦め、みんなの所に戻ろうかと思ったけど何故か気が進まない。


「外の空気でも吸いに行くか。」


タバコに火をつけながら外に出た。


ビルの地下にあるハウスだから、階段を上がった所に灰皿が置いてあった。


時計を見ると深夜0時を回っていた。


夜遅いのに、飲み屋が多いせいか人通りも結構あった。


相変わらず雨は降っていた。

⏰:11/09/10 02:14 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#243 [SAKURA]
じめっとした空気のせいで、そんなに気分も晴れない。


私が戻らないとみんな気にするだろうか。


コーヒーがかかってフロアを出たのを知ってるのはシュンとケンちゃんくらいだし、まぁいっか。


兄貴は主任と話し込んでたしなー。


健志は…背を向けてたから見えないはず。


ふぅー、とため息と共に煙を吐くと、誰かが一人出てきた。

⏰:11/09/10 02:17 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#244 [SAKURA]
upperのドラムさんだ。


「あれ、ゆめちゃん。
ここにいたんだ。」


「うん、外の空気吸いたくなって。」


「タバコ吸ってたら中も外も同じー。(笑)」


「スカシ、鍵…あれ。」


ギターさんもいた。


「いつも気になってたんですけど、ケンちゃん以外のupperのあだ名は何故そんな不思議なの??(笑)」


ドラムさんはスカシ、ギターさんはピョン太、ボーカルさんはズレ。

⏰:11/09/10 21:23 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#245 [SAKURA]
「ケン君が決めたんだ。(笑)
初めて会った時の印象らしいよ??
スカシはクラッシュシンバル空振りして、俺はピョンピョン跳ねながらギター弾いてて、ズレは音程ズレてたから。(笑)」


「なんか、その…。
バンドマンにとって結構致命的な由来なんだね。(笑)」


「みんなケン君目の前に、緊張しちゃって。(笑)
高校の時の先輩じゃん??
んであの頃から司さんとケン君はすごい有名だったから。」


「俺らよくあんな人達に声かけたよなー!!(笑)
軽音部見に来て下さいって。」

⏰:11/09/10 21:28 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#246 [SAKURA]
「ベース抜けたあとで探してたけどまさかOK出るなんてな!!(笑)
ほんと、よく誘ったよあんな偉大な人。」


うんうん、なんて二人で納得していた。


兄貴とケンちゃんは高校からバンドを組んでて、でも兄貴は大学を出るまでしかやらないと決めていたからメンバーそれぞれ他にもバンドを組んでたらしい。


「そのあと"俺がお前らを育てる!!"とか言って、メンバー入ってくれて、今ではこんなツアー回れるようになってなー。」


「ケンちゃんよく言ってたよ??
"技術はまだまだだけど、あいつらやる気もすげーしほかっとくには勿体ねぇ!!
絶対いいものになる!"って。
いつも楽しそうに言ってた。」

⏰:11/09/10 21:34 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#247 [SAKURA]
私が言うと、嬉しそうにうへへ、と笑う二人。


「そういえば、二人はなんで外に??」


「あぁそうだ。
車に置き忘れして、怖いからスカシについてきてもらったんだ。(笑)」


「ビビりだかんな、ピョン太は。(笑)」


ライブじゃ激しい二人だけど、普段はとても穏やかで優しい人達。


upperは人柄もいいし、面白いし、そんなとこも人気。


「てかゆめちゃんも戻った方がいいかもよ??
シュン君、なんかキレかけてた。(笑)
ケン君がなだめてたけど、あれじゃー二人揃ってキレるのも時間の問題!!(笑)」

⏰:11/09/10 21:38 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#248 [SAKURA]
「えぇ!?
なんで二人とも、誰に??なにに??」


「静香ちゃんと…タケにも??」


「タケにも??
なんでタケまで??」


「なんか、鈍感過ぎるとかなんとか…。
てか静香ちゃんが暴走気味!!
俺らも空気変えようと思って車に取りに行くかって。(笑)」


「持って急いで戻るから、ゆめちゃんも早く!!」


「わ、わかった。
ありがと、二人とも。」


なにやってんだよ二人とも、なんて思いながら相変わらず気が進まないフロアに戻る事にした。

⏰:11/09/10 21:43 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#249 [SAKURA]
戻ると、不自然な笑顔でケンちゃんが出迎えてくれた。


「大丈夫??ゆめちゃん。」


「あぁ、うん全然平気!!
二人は大丈夫??
スカシさん達に聞いて戻ってきたんだけど。」


小声で聞き返した。


いつもあまり態度や顔には出さないシュンの顔が無表情。


二人とも、明らかに苛立っていた。


「俺、大人だから。」


またにこっと不自然に微笑むケンちゃん。

⏰:11/09/10 21:48 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#250 [SAKURA]
「俺はガキでもいいから我慢無理っす。」


笑えないほどのシュン。


どんなにイラついても、いつも笑顔でかわせるシュンだから相当な様だ。


「ねぇっタケっ!!
東京行くってばぁー。」


「いやいや、だからな??
それは俺じゃなくて自分のバンドと決めろって。(笑)」


まだその話してたんだ。


でも、なぜバンドの話までいったんだ??


「静香さん、東京でタケさんとバンド組みたいって。」


まさか。


健志はバンド、組まないよ??


「もう今のバンドいやだ。
私合わないあいつらと。」

⏰:11/09/10 21:54 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#251 [SAKURA]
「だからさ、何がそんなに合わないんだ??」


「歌。
こんな歌、歌えないって言っても聞いてくれないんだよね。」


そんな理由で…。


「苦手って言ってんのに英語歌わされたり、成長してないとか声出てないとか文句ばっかり。」


…なるほど、イラつくわけだ。


「何回も言うけど、だったら努力しろって。(笑)
練習すりゃいいだろー。」


「するだけ無駄!!
合わないなら、合わせなきゃいいんだもん。
合う人とやればいい。
だからタケ、バンド組もうよー!!」

⏰:11/09/10 22:00 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#252 [SAKURA]
「俺と合わなかったらどーすんだよ。(笑)」


「合うもん!!
てゆか、タケとだったら頑張れるー。」


甘えるように健志に引っ付く静香さん。


「二人の思ってる事はだいたい分かったよ。(笑)」


「タケさんも、はっきり否定すりゃいいんだよ。
鈍感にも程があるっしょ。」


「まぁ…鈍感ってのもあるけど、あの場合健志の優しさが出ちゃってるね。
いざという時に冷たく出来ないんだよ、あいつ。」


その優しさに、勘違いしちゃう女の子が多いんだけどね。

⏰:11/09/10 22:06 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#253 [SAKURA]
しかし静香さん、バンド舐めすぎだよね。


まぁ…。


私も人のこと…言えないんだけど。


ドラムはじゃんけんだし、楽器だったらなんでもいいとか言っちゃうし。


最近になってようやく自分の甘さに気が付いた。


「まぁ、ほかっとけばいーじゃん。(笑)
もう聞かないどこうよ。
ほら二人とも、向こう行くよ!!」


私はステージに向かって行った。

⏰:11/09/10 22:09 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#254 [SAKURA]
煩わしそうな健志には悪いけど、私達には二人の間に割って入る理由がない。


ステージには明日使う楽器が既に出ていた。


「ケンちゃん、ベース弾いて弾いて弾いてー!!」


「えっ!!!
聞きたい聞きたい!!
めっちゃ聞きたい!!!」


シュンの顔が一気に明るくなる。


「ね?聞きたいよね!!
あ、そういえばさっきあっちに…。」


そういってステージそでに入る私。

⏰:11/09/10 22:13 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#255 [SAKURA]
「これこれ。
シュン、ちょっと手伝ってー!!」


「なんだ?
…おぉ!!これはいいな!!」


なんであるのかはわからないけど、カクテルドラムが置いてあった。


普通のドラムじゃ音も大き過ぎるし、セットしてあるのを触るのはちょっと気が引ける。


これなら普通のより音も小さいしすぐにしまえる。


立ったまま演奏出来る、面白さのある小さなドラム。


「そういやあったねそんなんも!!
へぇ!!ゆめちゃん叩けるの!?」


ちょっと乗り気になったケンちゃん。

⏰:11/09/10 22:44 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#256 [SAKURA]
「うん、触ったことない。(笑)
学校で習ったけど、扱い方を座学でやった程度。」


ま、そんなに難しいものではないと思う。


「よし、じゃあ遊びますか。(笑)」


周りの人はちょっと気にする程度で誰も何も言わない。


みつさんは兄貴と主任とずっと打ち合わせしてるし。


慣らし程度に軽く音を出してみる。


思った通りすぐ把握出来た。

⏰:11/09/10 22:48 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#257 [SAKURA]
ベースをアンプに繋いで、音を小さめにして出した。


「軽くジャムってみようぜ!!」


そういうと、ケンちゃんが軽快にベースを弾き出した。


いつもヘビーなベースのイメージだけど、やっぱりなんでもいけるねケンちゃんは。


「くぁっこいーなー、ケンさん。」


尊敬の眼差しで見るシュン。

⏰:11/09/10 22:53 📱:SH05A3 🆔:vCcY4Egc


#258 [SAKURA]
リムショットのように淵を叩いてみたり、リズムを跳ねさせたり、小さいけど充分遊べる。


これ、欲しい。(笑)


レゲエのようにゆったり、でも軽快なリズムを合わせていると、戻ってきたピョン太さん達も混ざった。


手にはアコギ。
それを取りに戻ったんだ、と納得した。


「いいねぇ、こういうノリも!!」


演奏を聞きながらソワソワいうスカシさん。

⏰:11/09/11 02:11 📱:SH05A3 🆔:7SFxhJhI


#259 [SAKURA]
ズレさんも混ざった。
即興のめちゃくちゃな英語で歌う。


「ぶぶっ。(笑)
意味わかんねー。(笑)」


笑いがこらえられないケンちゃんが弾きながら言った。


シュンもスカシさんも演りたくて仕方ないような顔をしている。


代わろうかな、と思いリズムを切り替え、シメに入る合図を目で送る。


さすがみんなプロなだけあって、すぐに合わせてくれた。


最後はパシっと決まり、自分達でおぉー!と声を上げた。

⏰:11/09/11 02:15 📱:SH05A3 🆔:7SFxhJhI


#260 [SAKURA]
「俺らゆめちゃんに主導権握られちゃったね。(笑)
遊びでこのクオリティー!!
ゆめちゃんさすがだわ!!」


「いやいや、みんなが合わせてくれたからだよー。
はい!!スカシさん交代っ!!」


よしきた!!とすぐに位置につくスカシさん。


「シュン君はギターだよね。」


「えっ、いいんですか!?
やべーゆめ!!
俺upperと合わせるんだって!!」


「ふふ、よかったじゃんっ!!」

⏰:11/09/11 02:19 📱:SH05A3 🆔:7SFxhJhI


#261 [SAKURA]
楽しそうにギターを弾くシュン。


遊びとはいえ堂々と弾いていて、度胸もあるんだなと感心した。


「シュン、あれ弾いて!!
今日の昼のやつ!!!」


シュンのお兄さんが作った曲。
ケンちゃんにはコード進行を伝え、スカシさんにはだいたいのテンポを。


「無茶ぶりだなゆめー。
いきますよー。」


ゆっくりめのアレンジで弾きだす。


曲の感じを掴めた二人も混ざる。
さすが。
完璧とまではいかないにしても、違和感なく馴染んだ。

⏰:11/09/11 02:25 📱:SH05A3 🆔:7SFxhJhI


#262 [SAKURA]
「よし、ゆめ歌えー。」


言われなくとも、歌いたくてリクエストしたんだから。


それに、いい歌だからみんなにも聞いてもらいたい。


緩く歌いだすと、ケンちゃんとスカシさんがこっちを見た。
するとちょっとだけ音が変わった。


なんか、挑発されたような。


ドラムにも力がこもり、声を消されないように私も張り切る。


やっぱりこの歌いい。
スーっと馴染む。
歌はほとんどやったことない私が、久しぶりに楽しく歌えた。

⏰:11/09/11 02:30 📱:SH05A3 🆔:7SFxhJhI


#263 [SAKURA]
シュンが終わりの合図を出して、またキレイに合った。


「ゆめちゃんの歌、久しぶりに聞いたなー。
カラオケ以外では初だ。
なんか…鳥肌たったわー。」


「はは、ケンちゃんおおげさっ!!(笑)
これねー、シュンのお兄さんが作った歌でね、いろんなアレンジ効いてすごいいい曲なんだよね!!」


「なんかゆめ、やっぱりお前の歌俺ギター弾きやすい。
お前、歌やりゃいーじゃん。」


「そう??
でも私、みんなだから歌ったけどほんとは歌苦手なんだよねー。」

⏰:11/09/11 02:39 📱:SH05A3 🆔:7SFxhJhI


#264 [SAKURA]
これまた中学生の時。
ちょうど男みたいとか言われてた時に文化祭でバンドのボーカルをやった時に、声まで変なんて言われて。


それまでは歌うのも大好きだったけど、怖くなって歌わなくなってしまった。


今でこそ、過去を知る人も少ないしハスキーな声でいいね、なんて言われるけど、あの頃はほんとに自分の声が嫌いになった。


人の言うことばかり気にして、自分を殺してしまっていた。


トラウマだらけだった。

⏰:11/09/11 02:45 📱:SH05A3 🆔:7SFxhJhI


#265 [SAKURA]
周りを気にしてばかりいたけど、こっちに来て過去や人の目もあまり気にならなくなった。


というより、気にしなくてもいいように隠しながら過ごしていた。


「声も低いし、ガラガラだしね。」


少し小さな声で言うと、健志が近寄ってきた。


「おいゆめ、お前歌もやんの??次のライブ。」


「え??
やんないよ!!(笑)
やるわけないじゃん、分かるでしょ??」


健志はなんでも知ってる。
だから分かるはず。

⏰:11/09/27 15:52 📱:SH05A3 🆔:VmDdPZ2Q


#266 [SAKURA]
「そうか…。
シュン、ちょっと来て。」


「うぇ?
あ、はい。」


いきなり声をかけられたシュンが間抜けな返事をした。


シュンがギターをピョン太さんに渡すと、またみんなで合わしだした。


健志はシュンを連れて兄貴の所へ向かった。


「ねぇ、ゆめちゃん。」


健志が行ってしまい、一人になった静さんが声を掛けてきた。

⏰:11/09/27 15:56 📱:SH05A3 🆔:VmDdPZ2Q


#267 [SAKURA]
特に返事もせず顔だけ向けると、またあの屈託のない笑顔で言われた。


「ゆめちゃんって、声まで私と正反対なんだね。
背も高くて、服装も!!」


「そうですね。」


なにが言いたいか分かる私は、それだけ返した。


ケンちゃん達には聞こえてないし、すき放題言われそう。


「タケ昔、私が身長低いし丸っこいのが嫌だって言ったらね、"女はそれが可愛いんじゃね?"って言ってくれて、"俺は好きだぞ、そういう奴"って…言ってくれたの。」


ちょっと照れながらもはっきり言った。

⏰:11/09/27 16:03 📱:SH05A3 🆔:VmDdPZ2Q


#268 [SAKURA]
「それからずっとタケが好きなの。
なのに、私と正反対のゆめちゃんがタケと1番仲良くて、周りも二人セットが当たり前みたいな感じで、すっごいムカつく。」


静さんの顔は相変わらず笑顔。
きっと周りから見れば、楽しげに話してるように見えるだろう。


「だから、私達は…」


「兄妹みたいなもん、でしょ??
聞き飽きたっつーの。
妹とか言っとけば周りも納得すると思ってんのか知らないけどね、だったら妹らしくしとけって。
あんなべったりな兄妹みたことねーよ。」

⏰:11/09/27 16:08 📱:SH05A3 🆔:VmDdPZ2Q


#269 [SAKURA]
私の言葉を遮るように話し出すと、今までとは全く別人のような声のトーン、口調で話した。


唖然としてなにも言えない私を、鼻で笑って最後に言われた。


「今までは兄妹って言うならと思って黙ってたけど、もう私、大人しくしてないから。
私ゆめちゃんだいっきらい。」


えへっと笑うと、今度はケンちゃん達に混ざるように近寄って行った。


私だって。


私だってあんたみたいなやつだいっきらい。


言えなかった事が悔しいけど、なによりその静さんに言われたのに意外とショックだった自分が悔しい。

⏰:11/09/27 16:14 📱:SH05A3 🆔:VmDdPZ2Q


#270 [SAKURA]
健志には言えない。
いくら腹立つと言っても、健志に言ったところで…。

言い返すにしても。
変な空気になってしまう。


ここでさ、もし言い返すとするじゃん。


明日ケンちゃん達ライブなのに、変な気分にさせたら申し訳ない。


大丈夫、慣れてる。
我慢すればいい話。
ほら、混ざればいいじゃん私も。
楽器触って、気分晴らせばいいじゃん。


全然平気、だからなに?って笑顔で静さんに微笑んでやるくらいすればいいじゃん。


今こうやって立ち尽くしてる自分が惨めでしょうがない。

⏰:11/10/01 01:59 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#271 [SAKURA]
そっとケンちゃん達に近づくと、静さんが言った。


「私もなにか歌いたいー。」


ケンちゃんは微妙な笑顔のまま応え、指定された曲を弾いていた。


確かに可愛い声。
ボーカルって、上手い下手も大事だけど客受けも必要だもんね。


静さんは、めちゃくちゃ上手い訳ではないけどそういう意味ではボーカル向きだと思った。


自信ありげな顔で私を見ながら微笑む。


コンプレックスの塊の私には出来ない、あの顔。


一曲歌い終わる前にその場を離れた。
携帯を触りながら、なにか用事でもあるかのようにして。

⏰:11/10/01 02:05 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#272 [SAKURA]
「シュンちょっと!!
話終わった!?」


勢いよくシュンに問い掛けると、あぁ、とだけ返ってきた。


なにを話してたのかは知らないけど、そんなことを気にする余裕もなくシュンの腕を引っ張った。


「うぉっ…どうした、ゆめ。」


「ちょっとライブの話!!
沙織から連絡来てて!!」


ほんとは来てなんかない。
ケンちゃん達に聞こえたかはわからないけど、とにかく話があるふりをした。


そのまま外に出る。

⏰:11/10/01 02:09 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#273 [SAKURA]
健志達とシュンは、こんな話をしていた。


「兄貴、今の聞いてた??」


健志が司に聞いた。


「あぁ。
ゆめって、よくあぁやって歌うのか!?」


「え??
いや、今日あいつの部屋で初めて歌聞きましたね!
スタジオでたまに遊んでも歌わないっす!!」


「そうか…。」


「やっぱり歌わないんだな、あいつ。
カラオケ行ってもモノマネとかしてふざけて歌うしなー。」

⏰:11/10/01 02:13 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#274 [SAKURA]
「ライブの打ち合わせした時にクラスの子達が初めていろんな楽器触れる事知ったくらいですからね。
歌はきっとみんな知らないっすね。」


「昔はよく歌ったんだよ、あいつ。
でも今は、健志と二人の時くらいしか歌わないんだ。
さっき普通に歌いだして驚いた。」


「へぇ、今日俺がギター弾いてたら自然に歌いだしたし、意外っすね。」


「あいつ、自分の声とか気にしてるっぽくてね。
あんま人前じゃ歌わねんだ。
ハスキーだけど、実は色んな声出せて、声域もバカ広いし…。
とにかくあいつ、ほんとなら楽器じゃなく歌が1番向いてるんだよな。」

⏰:11/10/01 02:19 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#275 [SAKURA]
「夕方、俺あいつの歌は知らないみたいな言い方しただろ。」


「あ、はい!!
実際知らないんですか??」


「いや、めちゃくちゃ知ってる。(笑)
自分の妹褒めんのも変だけど、今まで色んなアーティスト見てきたけど、その誰にも真似は出来ないくらいの歌だ。
唯一無二と言うか…初めて聞いた時あいつも俺もまだまだガキだったし気づかなかったけど、すでに相当なもんだった。」

⏰:11/10/01 02:24 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#276 [SAKURA]
「じゃあ、なんで知らないふりを??」


「ゆめ、楽器は自然に身についたっつうか、兄貴や周り見て触れるのが当たり前で来ただろ。
自然じゃなくて、練習も結構したんだけど、その練習自体が当たり前過ぎて自覚ねぇと思うんだわ。」


「誰もあいつに楽器を勧めた訳じゃないしもちろん強制もしてない。
自ら始めた事で、まだほんと小さいガキの頃から、同じ様にピアノ弾きながらとかで歌もよく歌ってたんだ。」

⏰:11/10/01 02:32 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#277 [SAKURA]
「でも、中学辺りからめっきり歌わなくなった。
俺の前ですらだ。」


「かわりに、俺がギター弾いてる時にだけ歌ったんだ。」


「健志の前だけだったのに、さっきいきなりシュン君のギターで、人前で歌いだしたからもう声とか気にしてないのかと思ったんだけどなー。」


「楽器も自ら始めた様に、俺らは歌も自覚して始めて欲しいんだ。
なんなら歌に専念して欲しいくらい。
でも、歌わねーし声がどーのって言ってな。(笑)
俺らはあいつの凄さに気づいていながら知らないふりをして、"お前の声は普通だぞ"って、思わせなきゃいけねぇ。」

⏰:11/10/01 02:37 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#278 [SAKURA]
「もちろんいい意味で、全然普通じゃない。
でも、自分から始めないと意味がないからやれとは言えないし、声気にしてんのにお前の声は普通と違って…なんて言えねえ。」


「そういうことっすか。
俺、昼とか普通に普段のイメージと声が違うとか言っちゃったんすけど、大丈夫かな。」


「いや、それで気にするならむしろさっき歌ってないだろうし、何より人前だった。
逆にシュン君のおかげで、人前でも歌ってみたいと思ったのかもしれん。」


「そこで、シュンはこれからもあいつが歌うように振ってやって欲しい。
強制とかではなく、さっきみたいにごく自然に。」

⏰:11/10/01 02:42 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#279 [SAKURA]
「勧めるわけではなく、歌を楽しめるように…てことっすかね??」


「そう。
シュン君ほんと物分かりいいね。(笑)」


「いゃー、でも実際俺自身聞きたいっすもん!!(笑)
今度俺のバンドの曲覚えて歌うって約束してあるんで、またさりげなく歌わせたりしてみます!!」


「あぁ、頼んだ。
しかし、そんな約束出来るようにはなったってことだもんな。」


「シュン坊お前、なんかやっぱすげーわ!!」

⏰:11/10/01 02:48 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#280 [SAKURA]
「あぁ、なんか俺には素見せれるらしいっす!!
嫌味も裏もないからって。(笑)」


「(笑)。
絶大な信頼を得たな、それは。(笑)
珍しいなー、あいつがなー。」


「シュン坊、この話はあいつには…」


「わぁーってますって!!(笑)
俺も約束を守らせる為にも悟られないように、知らないふり貫きます!!(笑)
」

⏰:11/10/01 02:52 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#281 [SAKURA]
ちょうど話が終わったところで声をかけ、外にでた。


「沙織なんてー??
わざわざこんなとこで話しないかん内容なのか??
しかもこんな時間…っと
おい、ゆめ?」


私の前に立ち、背中を向ける様にしてタバコを吸い出したシュンの背中に、そっと頭を寄りかけた。


「ちょっと背中、貸して。」


おでこを当てるように寄り掛かっていた向きを変え、背中でもたれた。


「なんかあった??」

⏰:11/10/01 02:57 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#282 [SAKURA]
優しく聞いてきたシュンの声が、背中に伝わる。


「うーん。
ごめんね、沙織からは連絡来てないんだ。」


「おぉ、まぁ別になんでもいいけどなー。」


なにかあったんだと察してくれたのか、深くは聞かずに背中を貸してくれていた。


私もタバコに火をつけ、遠慮なく甘えた。


シュンになら、話しても大丈夫かな…。


でもさっき、静さんにキレかけてたし、な。

⏰:11/10/01 03:01 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#283 [SAKURA]
「静さん…か。
さっき話してたもんなー。」


「ふふ、ばれたか。(笑)
だいっきらいって、面切って言われた。(笑)
私だってだいっきらい!!
って言いたかったけど…。
意外とくるもんだね、グサッと。
相手のこと嫌いでもさ、気分悪いね。(笑)」


「なんでそんなこと…っ!!」


少し顔をこっちに向けて、さっきの優しいのとは違って強張った声で聞かれた。


「声まで私と正反対ってー。
私の声が変なのは分かってるけどさ。
静さん昔健志にいいじゃんって言われたのに、正反対の私が仲良いのすっごいムカつくって!!
知ーるーかー!!そんなことー!!」

⏰:11/10/01 03:09 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#284 [SAKURA]
「だいたいさ、健志がたまに仕事でこっち来て会う静さんと、小学生の頃からずっと一緒にいた私でさ、私のが仲良いの当たり前じゃんね!!
もう!!歌うんじゃなかった!!
だから苦手歌!!もう嫌い!!」


歌わなかったら、また改めて自分の声が変なことも静さんにあんなこと言われることもなかったよね。


「あの女っ…クソが!!」


やっぱりキレた。(笑)


「ちょっと、あんた静さんに向かってキレないでよ!?
そんなことしたら私わざわざここ逃げた意味なくなるし、upper明日ライブだし!!」

⏰:11/10/01 03:15 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#285 [SAKURA]
背中を離して言うと、シュンもこっちを見た。


「愚痴ってスッキリ!!
ありがとね、シュン!」


ほんとにスッとした私は、ニカッと笑いながら言った。


するとシュンは、私を見つめながら言った。


「俺は好きだぞ、お前!!
いや違う!!恋とか、アイラブユーとか意味じゃねぇぞ!!(笑)」


「(笑)。おぅ!!」


「お前みたいな人間臭いやつ、面白いしほんとに楽だし、んでいいやつだしなんかいろいろすげーし!!」


「あっは!!(笑)」


「とにかく、俺は、みんなも、お前が大好きだかんな!!」

⏰:11/10/01 03:20 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#286 [SAKURA]
やばい。
嬉しくて泣きそう。


「私も、シュンバカだし騒がしいし、図々しいし自意識過剰だけど、好きだぞ!!」


「ははっ。うるせー!(笑)」


ちょっと泣きながらシュンに抱き着いた。


「大好きだぞ!!(笑)」


「よしよし、両思いだな俺ら!!
うんうん、大好きだ俺もお前も!!(笑)
これからも仲良くしてやるよ!!(笑)」


全力で友情宣言した私たち。(笑)

⏰:11/10/01 03:31 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#287 [SAKURA]
「ちょい、記念に写メ!!
はい、変顔して!!」


肩を組む様にして、二人ともバカっぽい写メを撮った。


「なんの写メだよ!(笑)」


「ブログ用の!!
私最近サボり気味で、沙織に怒られるから!!(笑)
仲良し記念に書く!!」


仲よさ気にひっつきながら写メをチェックしていると後ろから声がした。

⏰:11/10/01 03:35 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#288 [SAKURA]
「はっはーん。
見たぞ見たぞーお前ら!!
大好きだなんて言いながら抱き合う!!
いいねえ、若いねえ。(笑)」


振り向くと嫌な笑顔を向けながらみつさんが立っていた。


「みつさん!!
なにしてんのそこで!!」


「いやね、コンビニにタバコ買いに行ってたんだけど…。
やっぱりお前ら、そういうことか!!(笑)」

⏰:11/10/01 03:38 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#289 [SAKURA]
「どっから見てたんだよ!!(笑)」


勘違いしてる、確実に。
全力で友情宣言してたんだから、最初からみてたなら分かるはず。(笑)


「なんか、シュンが大好きだとか言っててー、おっ??と思って、なんかあんま聞こえなかったけどゆめもなんか言って好きだとか聞こえて!!」


興奮気味にタバコをふかしながらしゃべるみつさん。
やたら楽しそう。

⏰:11/10/01 03:41 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#290 [SAKURA]
「そしたら大好きだぞーとか言いながら熱い抱擁!!」


「ぶっ(笑)」


シュンが思わず吹き出す。


「抱擁て…。(笑)」


「両思いとか、記念に写メとかなー。
いいねえ、もうラブラブか。
あいつらに報告してやらにゃ!!」


「えっ…ちょ、みつさん!!」


話す間もなく行ってしまった。

⏰:11/10/01 03:45 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#291 [SAKURA]
「あーぁ、行っちゃった。(笑)」


「すぐしゃべりそうだなー、みつさん!!」


「まさかだったわー。
説明しなきゃっ!!」


そういって後を追おうとした私をシュンが止めた。


「いやさ、もういいじゃんマジで。
あのまま勘違いさせといて、静さんにも大人しくしといて貰おうぜ。」


「全員騙すの!?」


「だってケンさん達にも言えねーだろ、静さんの暴言。(笑)」

⏰:11/10/01 03:49 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#292 [SAKURA]
「さっきだって俺彼氏宣言したし、ケンさんならちょっと不思議には思いそうだけどな。
ま、大事な静さんと、タケさん辺り騙せたらいんじゃね??(笑)」


「うーん…そう、だね。
ま、いっか。(笑)」


そういいながら、さっき撮った写メをブログにあげる。


写メを張り付け、"今日めっちゃ大変だったけど、シュンがいて助かった!!
ありがとね〜!!"


とだけ書いて。


写メの下には注意書き。


※シュンのファンの皆さん安心してください。
顔見たらわかるけどまるで男同士の様な仲なので。(笑)

⏰:11/10/01 03:57 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#293 [SAKURA]
うちのバンドでみんな同時に作ったブログで、学校のいろんな人とも繋がってるからきっとシュンのファンも見ると思うし。


もう二年になるこのブログ。


助けられた記念日ってタイトルで更新。


ありがとう、シュン。


書いてからみんなの所に戻ると、一斉にこっちを見るみんな。

⏰:11/10/01 04:01 📱:SH05A3 🆔:FKAmPCX.


#294 [SAKURA]
「(笑)。
すっげぇ視線。(笑)」


「やべ、俺司さんに挨拶するべき??(笑)」


コソコソ言いながら笑ううちら。


心なしか引き攣っている兄貴の顔と、ニヤニヤしてるみつさん、upper、その他スタッフさん。


睨む様にこっちを見る静さんと…。


なんか…微妙な顔の、健志。

⏰:11/10/02 14:27 📱:SH05A3 🆔:uTlDI.GM


#295 [SAKURA]
「来た来た!!
なっ!お前ら!!!
大好きだーつって、な!?(笑)」


「いやー恥ずかしい!!
そんな見ないで下さい!!(笑)」


さっそくちゃちゃを入れてくるみつさん。


「ゆめ、シュン君、お前ら夕方はお互いありえないって言い合ってただろ??
ちゃんと真剣なのか!?」


ガチで心配そうな兄貴に笑えた。(笑)
確かにありえないと言い合ってたのに、不自然だと思う。
すぐバレるかな。

⏰:11/10/02 14:32 📱:SH05A3 🆔:uTlDI.GM


#296 [SAKURA]
「はい!!
真剣です!!」


特に深くは話さず、ただまっすぐ兄貴を見て答えるシュン。
下手に理由をつけるより、こっちの方が説得力もあるね。


「あんっなに有り得ないって言い合ってたからなー、おかしいんだけどなー。
抱き合ってまでしたらさすがになー。」


兄貴が腑に落ちない顔で言う。


「もう、いいじゃん兄貴!!
私今気分、まぁまぁいい感じだよ??」

⏰:11/10/02 15:29 📱:SH05A3 🆔:uTlDI.GM


#297 [SAKURA]
「なら…まぁいいけど。」


するといきなり話に割って入ってきた静さん。


「ほんとに付き合ったの??
へぇ、そういう勢いもアリなんだねー。」


ちょっとトゲのある言い方に、すかさずシュンが言った。


「こいつこう見えてめちゃくちゃ女というか、俺が壁になってやんないといけないというか、でもかっこよくて可愛らしい、面白い奴なんでね、勢いじゃなく俺もうベタ惚れっす。(笑)」

⏰:11/10/02 15:35 📱:SH05A3 🆔:uTlDI.GM


#298 [SAKURA]
おぉー、と周りから声が上がり、本心ではないと分かりながらもちょっと照れてしまった。


「なるほどな、シュン君。
そういう事ならゆめちゃんは任せた!!」


シュンの肩に手を置き、うんうん、と頷くケンちゃん。


うちらを見てニヤつくと、ウインクまでしてきた。


多分分かったんだと思う。
付き合ってないこと。


「さすがケンちゃん。(笑)」

⏰:11/10/02 15:39 📱:SH05A3 🆔:uTlDI.GM


#299 [我輩は匿名である]
「っ」とか「!」とか「(笑)」を多用し過ぎ。
読んでて疲れる。

⏰:11/10/02 22:57 📱:N02C 🆔:TvueGvfw


#300 [奈々]
そう???
私は好きだよ
わかりやすいし

まぁ高校生からの意見だから
歳上とかは知らないけどね

⏰:11/10/03 00:28 📱:P08A3 🆔:MGMBufRA


#301 [隆平]
あげます!
続ききになります

⏰:11/10/10 17:20 📱:F09C 🆔:wgRdnulk


#302 [SAKURA]
匿名さん、ご意見ありがとうございます。
読み返してみたら確かに多いですね。
(笑)はほんと多いです。
気をつけます!!
!!とか「っ」は、シュンの騒がしい感じを出す為に使ったんですが、他でも使いすぎました。
こっちも気をつけます。

奈々さん、隆平さん、ありがとうございます(^O^)/

⏰:11/11/25 22:19 📱:SH05A3 🆔:nTKdhMrM


#303 [SAKURA]
>>298から


みんなが冷やかすなか、健志だけはなにも言ってこない。


信じたにしろ、バレてるにしろ、なにか言ってきてもいいはずだけど。


つまんないのか寂しいのかよく分からない気分。


「ま、まぁ…ゆめも子供じゃないからな!
もうよしとして、明日の打ち合わせして今日は終わろう。」


兄貴が皆に言うと静かになった。

⏰:12/01/11 23:33 📱:SH05A3 🆔:nxuQi1wg


#304 [SAKURA]
これからパソコンから更新します。

⏰:12/05/06 14:21 📱:SH05A3 🆔:mqGNGj3k


#305 [SAKURA]
時計を見ると深夜1時半。


結構な時間だ。


兄貴が明日の朝一の予定を連絡して、解散となった。


電車がないので数人をバスで送ることになり、静香さんは嬉しそうに健志の隣に座っていた。


みんなをおろし寮に着くと、ケンちゃんが健志とシュンを連れてUpperの部屋に消えて行く。


あぁ、きっとまた根掘り葉掘り聞かれるんだろうな、と思ったけど、私自身疲れ切ってそんなことはもうどうでもよかった。


明日も静香さんと顔を合わせることの方が気が重い。

⏰:12/05/06 15:27 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#306 [SAKURA]
どんよりした気分を、お風呂にゆっくり浸かって洗い流した。


汗も流してスッキリした気分で、お茶でも飲もうと冷蔵庫に手を伸ばすと、缶チューハイが2本、目についた。


「たまには…いっか。
お疲れ自分ってことで。」


誰に言うわけでもなく独り言をふふっと笑い混じりにつぶやいた。


わりとお酒強いし、チューハイ2本飲んだところでどーもならない。


沙織や哲や、当たり前のようにシュンが部屋に来た時、たまにお酒にも手を出すので買い置きしてあるだけで、一人じゃ滅多に飲まない。

⏰:12/05/06 15:35 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#307 [SAKURA]
熱めのお湯に浸かって、火照った体にお酒が染み込む。


熱さでタンクトップにパイル地の短パンなんて気の抜けた寝巻に着替えて、濡れた髪をタオルドライしているとコーヒーのかかったTシャツに目がつく。


「あーそういえば。
ちくしょうめ。」


お酒のせいで独り言も増す。


洗面所で手洗いしてみると、うっすらシミが残っていたので時間も気にせず洗濯機を回した。


しまった、終わって干すまで寝れないや。


早々と一本を飲み干すと、二本目を手に取る。


一人酒なんてほとんどしたことないから、なんだか楽しくなってきた。

⏰:12/05/06 15:48 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#308 [SAKURA]
結構なペースで二本目も進めると、当然汗をかいて水分の抜けた体にも浸透してくる。


鼻歌を歌いながら朝起きてからの準備を進めると、洗濯が終わったので干した。


チューハイも残りわずか。


「…つまんない。
急につまんない。」


よし、寝るかとベッドに腰を下ろすも、程よく酔いが回ってきて寝るに寝れなくなってきた。


もういっそのこと酔い潰れて眠ってしまおうかとも思ったけど、チューハイがない。


食堂にあるかな、なんて思った私は部屋を出て見に行った。

⏰:12/05/06 15:54 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#309 [SAKURA]
食堂に行く途中、まだにぎやかな声が聞こえてくる部屋があった。


ケンちゃん達だ。


明日ライブなのに、余裕だなーなんて通り過ぎると、シュンの声。


自分たちだけ楽しそうにしてて、ずるい。


食堂につき、冷蔵庫を開けるとやはり置いてあった誰のものでもないお酒の数々。


ほんとにいい環境。


缶チューハイを3本抱えるように持った後、スミノフが目につく。
瓶のお酒。
その場で開けて、飲みながら部屋に戻るとまたも楽しそうな声が聞こえてくる。


疲れ切っていた体が嘘かのように、混ざりたくて疼いた。


「誘ってくれてもいいじゃんか…。」
といじけるように呟くと、シュンからメールが届いた。

⏰:12/05/06 16:04 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#310 [SAKURA]
”まだ起きてんの?”


それだけの、短いメール。


”うん”だけ返すと、また返信。


”さっき部屋の前通ったの、やっぱお前か。(笑)
俺のパジャマないー。
どーせ寝れないなら、持ってきて><”


なんて、まるで見透かされたかのようなメール。
なんでだろ、いつもは自分のことを見透かされるのはあまりいい気分はしないのに、なんだかその時はうれしかった。


”へっしょーがないから行ってやろう-o-”


そう返すと、たまに寝泊まりしていくシュンの着替えと、さっき持ってきたお酒を抱えてみんなのところに向かった。

⏰:12/05/06 16:13 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#311 [SAKURA]
コンコン、とノックすると、はぁーい!と元気よく返事が返ってきたのでドアを開ける。


すると、みんなが驚いたようにこっちを見る。


「ゆめちゃん!起しちゃった!?」


ケンちゃんが慌てて聞くと、シュンが答えていた。


「さっき足音聞こえたから、まだ起きてんじゃないかと思ってメールしたんですよ。
起きたんじゃなくて、寝れねんだよな?」


と、ニカっと笑いながら聞いてきた。


「うん。
なんかお酒飲んだら一人で楽しくなっちゃって。(笑)
中途半端で寝れなくて。」

⏰:12/05/06 16:17 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#312 [SAKURA]
「へぇー!足音なんか聞こえたか?」
とケンちゃんが聞くと、みんなが首を横に振る。


「シュン君、エスパーかよ!」
なんてズレさんがシュンを小突く。


「いや、お酒飲んでても飲んでなくても、こいつどーせ今日寝付き悪いっすから!」


あははと笑うシュンに、なんでわかるんだよ!なんて突っ込むと笑顔だけが返ってきた。


そっか、静香さんのことでイライラしてるの知ってたもんね。


「おいゆめ。
お前それ、哲の服じゃん。」


私が抱えてる着替えを見て、シュンが言った。


「うっそ?まあいいじゃん、変わんないよ。」

⏰:12/05/06 16:21 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#313 [SAKURA]
「いや、あいつチビだから小せぇんだよなー。
ま、いいや。あとで自分で取りに行くし。」


「…あっそ。
最初からそうしなさいよね。」


そんなやりとりをしていると、ピョン太さんが言った。


「そうか…もうパジャマまで置いておく仲だったのかー。」


ニヤニヤしながら言われたのを、笑って流す。


「それより、健志は?」


姿が見えないので聞くと、ケンちゃんが答えた。


「あぁ、今シャワー!
それよりゆめちゃんさー、なにその格好!!エロい!!」

⏰:12/05/06 16:25 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#314 [SAKURA]
「え?なにが?」


そう言われてもいまいちピンとこない私は、自分の格好を見直す。


「お風呂上りで髪の毛もビッタビタだし、普通に部屋着だし、色気もなんもないんだけど。」


自分で言ってから改めてしゃれっ気の無さに少し恥ずかしくなった。


「だぁーから!それがエロいんじゃーん!」


うんうん、とうなずくUpperのみんな。


「濡れた髪って無駄にエロいし、普段ゆったり目な服着てる子がいきなりそんな肌出してるとこ見ると…ね。(笑)」


「へぇー、男の人って、変。」


そう返すと、シュンが横から抱きつくようにひっついてきた。

⏰:12/05/06 16:31 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#315 [SAKURA]
「ちょっと、あんま見ないで下さいよ!」


ガルル、と威嚇する犬のような声を上げると、独り占めするな!とか見えない隠すな!とか騒ぐお兄さん達。


この人達ほんとに、明日大丈夫なのか心配になるほど元気なんだけど。


そんなシュンにひっつかれたタイミングで健志がシャワーから出てきた。


「うぉ、ゆめお前…なにやってんだよ。」


そう言うと、もっと言ってやれとケンちゃん達が乗っかる。


上半身裸に濡れた髪の健志を見て、さっきケンちゃんに言われたことを少し理解した。


健志ってこんな色っぽかったかな、って。

⏰:12/05/06 16:56 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#316 [SAKURA]
当然のように私の隣に腰を下ろす健志を直視できないでいると、手に持っていたお酒を奪われる。


「こんな時間に酒なんて飲みやがって。
明日顔パンパンになるぞ。」


奪ったスミノフを自分も飲みだし、横から頭を小突かれた。


「いやいやタケ、そこじゃなくてさ!
ゆめちゃんの格好みてなんとも思わないのかよ!」


スカシさんが突っ込むと、健志は不思議そうな顔でこっちを見た後あぁ!と気付いたようなリアクションを見せた。


「お前!髪!乾かせよ!!
いくら馬鹿でも風邪ひくぞー?」


そういいながら、自分のタオルで私の頭を拭きだした。

⏰:12/05/06 17:01 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#317 [SAKURA]
いつも当たり前のように横にいる健志なのに。
お風呂上りなんて見慣れてんのに。


なんだか無性に恥ずかしい。


そんな格好で近寄られたら…。


いろいろ思い出して照れる。


ほんの一年前のことだから、余計。


「だ、大丈夫!!健志こそ乾かしなよ!」


そう言いお酒を奪い返し、照れて火照った赤ら顔を一気飲みしてごまかす。


「はぁ…おいタケ。
そうじゃねえだろお前は!
ほんとに男か!!
ゆめちゃんの格好!!タンクトップに短パン!!
生足!!なにも思わないのか!!」

⏰:12/05/06 17:06 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#318 [SAKURA]
ケンちゃんが言うと、健志は笑った。


「はは、なんだそれか。
別にこいつの風呂上りなんて見慣れてるし、今更。」


そう。
そうなんだよ。


てことは、意識してんのは自分だけか。


そう思った私は悔しくて、飲み干したスミノフを放かると新しく缶を開けた。


「タケさん、その言葉聞き捨てなりませんね。
これからはそんな簡単に見せませんよ?」


笑いながら、哲の服を着るように促してくるシュン。


しょうがないから着てたモノの上からまた着る。

⏰:12/05/06 17:13 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#319 [SAKURA]
「ところでゆめちゃん、なに一人でお酒なんて飲んでんの。
俺にもちょうだいよ。」


そういうとケンちゃんもお酒に手をつけだした。


「てゆかみんな、明日ライブなのに大丈夫なの?」


横で俺にもくれと手を伸ばすシュンに寄りかかりながら聞いた。


「おう!
俺らは昼起きだからな。
スタッフの人たちだけだ、早起きは。」


自慢げにスカシさんが答えた。


「俺はもう寝たいぞ。」


健志が言うと、ケンちゃんが言った。


「ま、結局色々聞ける状況でもなくなったしお前寝ていいよ。」

⏰:12/05/06 17:18 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#320 [SAKURA]
なんだそれ!と笑いながら言い返す健志にケンちゃんはわりぃな、と軽く謝る。


「なに、なんの話?」


シュンに聞くと、さぁ?とシラを切られた。
この顔は絶対知ってんのに。


「あっそ…。」


ちょっと気に入らないけど、私に言えない話なら聞いてもめんどくさいだけだと思い、それ以上は聞かなかった。


ピョン太さんがいつの間にかたくさんのお酒を取りに行ってたので、みんなで酒盛りを始める。


なんだかんだで健志もお酒に手をつける。

⏰:12/05/06 17:31 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#321 [SAKURA]
「ケン君、弱いんだからあんま飲まないでよー?」


「うるせっ!なめんなよ?」


とか言いつつチューハイ半分のところで顔がすでに赤い。


「ゆめいつから飲んでんの?」


「さぁ?わかんないけど、このチューハイ3本目でスミノフ一本開けて…そんくらい。」


「おまっ、ここ着いてから一時間経ったか?くらいだぞ!
風呂入ってからなら、結構なペースだな!」


驚きながら私が手に持つお酒を飲むシュン。


「へへ、そうなんだよね!
今日やたらお酒美味しくて。
そのせいかさっきから若干フワフワしております。」

⏰:12/05/06 17:41 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#322 [SAKURA]
「珍しいなーゆめが酔うなんて。
ほら、こっち来い。」


あぐらをかくシュンが膝をポンポンしながら腕を引くので、無意識にシュンの足の間に座り込んだ。


シュンを背もたれにして座ると楽だった。


「私そんな酔い回ってる?」


見上げるように聞くと、シュンが顔をそらして言った。


「お?あぁ、ちょっと顔つきがな。
あんまそうやってこっち見るな。
エロいその顔。」


「ふふ、意味分かんない。」


そういうと、シュンもくくく、と喉だけで笑った。


そういえば、タバコがない。
忘れてきちゃった。

⏰:12/05/06 17:58 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#323 [SAKURA]
健志のをもらおうと斜め後ろを向くと、健志もこっちを見ていて目が合った。


「…なに。」


「ん?いや、別に。」


「あそ。
ねえ、タバコちょうだい。」


健志はこっちを見たまま返事も返ってこない。


もう酔っぱらったのかなとも思ったけど、誰よりお酒の強い健志が酔うわけないし。


「たけ…し?」


なんだか様子が変な健志に、恐る恐る声をかけると、いつもとは違う微笑みが返ってきた。

⏰:12/05/06 18:17 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#324 [SAKURA]
「お前、俺との約束ちゃんと守ってねえな。」


寂しそうにぽつりとこぼすと、タバコを差し出してくれた。


約束って…あれのこと?


でもまさかね。


健志こそそんなこと、忘れてると思うし。


だいたい、今の状況で言うなら約束も破ってない。


よくわからないままありがと、と言ってタバコを受け取る。


シュンも不思議に思ったのか、様子を伺うようにこっちを見る。


気にするな、と意味を込めて膝をポンっとすれば、すぐに向き直った。


なんだか今日は、いろんな感情が交差してて疲れるな。

⏰:12/05/06 18:24 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#325 [SAKURA]
受け取ったタバコに、シュンの隣に出てきた健志が火をつけてくれた。


「健志、いつまでその格好?」


あれから服を着てない健志にそう聞くと、ニヤッとされた。


「おうおう、照れんなって。
俺の肉体美がそんなに目に毒か。」


「はっはぁ?違うし!今更そんなもん見たところで、なんとも思わないし!」


ちょっと過剰にムキになった私を、クスッと笑うと素直に服を着た。


「今更って、一年ほどお前の前じゃ脱いでないけどなー。
いつ見慣れたんだか。」


驚いてタバコでむせる私を楽しそうにみる健志。


そんな冗談、いつもなら言わない。
二人でいるときだって、まるでなかったことのように一切触れないのに。

⏰:12/05/06 18:33 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#326 [SAKURA]
「なになに!なんの話!?
タケ、どーいう意味だ今の!」


まさか聞いてたなんて、と問い詰めるケンちゃんに顔を向ける。


「いや、いくら上半身だろうと冬に脱ぐとか着てないなんてだろ。
夏から脱いでねえじゃんて話。(笑)」


「はっなんだ。
つまんね。」


ほんとにつまらなそうな顔をしてるケンちゃん。


こっちは息が詰まりそうなのに。


「ちょっと意地悪だったな、今の。」


悪い、という顔で笑う健志に、私はもうなにも言えなかった。


「よし、俺寝るわ。
ゆめ、部屋の鍵は?」

⏰:12/05/06 18:41 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#327 [SAKURA]
「え?
私の部屋で寝るの?」


「え?」


「は?」


健志の当たり前に発された言葉に当たり前に答えると、また当たり前に健志から疑問が発され、それにシュンがまた疑問の声を出す。


なにこの連鎖。


「タケ、お前シュン君の前でなんてこと言いだすんだ!」


ズレさんが健志の肩に腕をまわし、絞め技をかけている。


「あぁ、え?
お前らマジだったの?さっきの!」


さっきのとはきっと、みつさんに見られてた熱い抱擁とか熱愛宣言のことですかね?

⏰:12/05/06 18:48 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#328 [SAKURA]
「うっそ、タケお前、さっきのみつさんの話聞いてなかったのか!?
激しく抱き合いながら写メだぞ?」


…まぁ若干脚色されてんのは置いといて、まさか騙せてないとは。


「そのあとの熱愛交際宣言と、シュン君の溺愛発言!
お前、あれ完璧スルーか!」


笑い混じりに本気で驚いているスカシさんとズレさん。


「いや、普通に冗談かと思ってたけど…、そうか。
じゃあ俺寝るとこねーなぁ。」


面倒くさそうにいう健志を見てピョン太さんが言う。


「なに、いつも二人一緒に寝てんの?」


「あ?うん…その方が楽だし、こいつ東京帰ってきても部屋になんもないとかで、俺んとこくるし。」

⏰:12/05/06 21:02 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#329 [SAKURA]
「みつさんいびきうるせーし、空き部屋だとなんも置いてない上に片づけしなきゃいけねーし、面倒。」


すると、ずっと黙っていたシュンが口を開いた。


「いいっすよ、タケさん。
気にせず好きにしてください。
夢の部屋でもここでも他でも。
どのみち一番部外者俺っすから!」


ニカっとお得意の笑顔で言うシュンに、みんな驚きだった。


「いや…俺今日ここで寝るわ。
ゆめ、俺の荷物と布団だけよこせ。」


「じゃあ俺ら、ゆめちゃんの部屋で飲もうぜ!」


そう言ってお酒を抱えるケンちゃん。


「お前らも、バイトだからって寝坊すんなよー。」

⏰:12/05/06 21:19 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#330 [SAKURA]
「はーい。
持ってくるの手伝ってよ。」


うぃーっと適当な返事をしながら健志は部屋を出ると、みんなで私の部屋に移った。


「俺らゆめちゃんの部屋入るの初めてだな!」


変に浮かれるUpperと、変に静かなシュン。


お風呂上りに勢いよく飲んだ私は酔いが回ってきてるのを自覚するほどふわふわしていて、考えるのが面倒なのでとりあえず健志の必要なものと布団を用意した。


健志が布団を持つと、他の荷物を持って元の部屋に戻った。


「よっと…ふぁ〜疲れたぁ。」


適当に布団を敷いた健志はすぐに横になった。


健志のいるものといっても、歯ブラシとかヘアー剤とか細々したものと、次の日の着替えくらいでそんなに大げさなものではなかった。

⏰:12/05/06 21:35 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#331 [SAKURA]
「ここ置いとくよー?」


と健志に背中を向けながら持ってきたものを出すと、背中に重圧がかかった。


後ろからダラッと、抱きつくわけでもなく寄りかかってくる健志。


「俺、もうお前の当たり前じゃなくなんのかー。」


なんて少し寂しげなトーンで言われて、胸がざわつく。


「なに言ってんの。」


別に、意地になって付き合ってるという嘘をつき通す必要もないけど、あまり余計なことをしゃべるとボロが出そうでそれ以上言えなかった。


「ちょっと…いや結構さ。
今までの奴らとシュン坊がさ、違いすぎて…思った以上に寂しいわ。」


はは、と笑いながら言う健志の顔を見る勇気がない私は、動くことすらできなかった。

⏰:12/05/06 21:45 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#332 [SAKURA]
今までの奴らって、元彼のことかな。


確かにシュンは元彼のどの人と比べても似つかないし、むしろ健志の存在に近いし。


でも、いつもお互い言うように。


兄妹みたいな私たちに、どんな相手が出来ようと関係に変わりはなくて。


むしろ


「そんなこと言われちゃうと、そっちのが寂しいんですけど?」


そういうと、健志はなんで?と私を向き合わせた。


健志の顔は、いつもと変わりなくて安心した。


「健志の変わりなんていないのに、そんなお役御免みたいなこと言わないでよ。
振られたら、泣きつく人がいなくなっちゃう。」


へへ、と笑ってみせると、健志も顔をくしゃっとさせて笑った。

⏰:12/05/06 21:54 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#333 [SAKURA]
「それから健志、一つだけ残念なお知らせがあります。」


「えー、なに。」


またゴロンと横になりながら面倒くさいことは言うなよ、とでも言うかのような返事。


こんなこと言ったら、嘘ってばれちゃうかな、なんて思いながらも。


「一年前の、私の最初で最後のあれは、いまだに更新されておりませんので。」


ので、を強調するように立ち上がって、ドアに向かう。


「当たり前どころか特別なんだから、まだまだ私からは逃げれませんよ。」


とんでもない捨て台詞を吐き捨て、部屋を後にした。


さっき、冗談気味に言われた時の仕返しとばかりに余裕の笑みを浮かべながら、言ったつもりなんだけど。

⏰:12/05/06 22:48 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#334 [SAKURA]
「はっずかしー。」


部屋を出てすぐ、しゃがみ込んでしまうほどとんでもないことを言ってしまった気がして一気に体温が上昇した。


余裕をかましたつもりだけど、結構いっぱいいっぱいでそれがバレてないことを願った。


お酒のせい、と言い聞かせると、一言健志に言い忘れたことを思い出しまた健志の部屋に戻った。


「そいえば健志!」


いきなりドアを開けて声をかけると、起き上って俯きながら顔に手を当てて座ってる健志が驚きながら顔を上げた。


結構仕返しも効果あったのかななんて。


「約束も、どのこと言ってんのかわかんないけど、もしお酒のこと言ってんなら破ってないからね。
健志のいないところでは、酔ったことない。」


それだけ、おやすみ、と付け加えて今度こそ部屋を出ようとドアを閉めかけた時に、呼び止められた。

⏰:12/05/06 22:58 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#335 [SAKURA]
閉めかけたドアをまた開くと、健志は歩み寄ってきてた。


「お前さ、言い逃げずりぃだろ。
言っとくけど俺…」


なにかを言いかけながら、腕をひかれお酒でふらついてる私は簡単に健志の腕の中に捕まった。


「お前のこと、妹みたいとは言ってるけど、思ったことはないからな。」


回された腕の力が強くなるのが分かった。


「ま、最初はそう思ってたけど、今は違うってとこだな。」


最後にぎゅっとされると、いつも通りけだるそうに頭をかきながら離れた健志。


「あんまこーいうことしてっと、シュンに怒られるしもう今度こそ寝るわー。」

⏰:12/05/06 23:27 📱:PC 🆔:6afKj.Nc


#336 [SAKURA]
後ろ姿を見ながら、思わず発した私。


「なんかさ、私たち…かわいそう。」


ふふ、と笑って言うと、健志も眉を八の字に下げて笑いながら言った。


「ほんと。
俺かわいそう。」


「あーたーしーが!」


あはは、と二人で笑うと、どちらからともなくおやすみと言って私は部屋を出た。


ふぅ、と一息ついて、さっきの言葉を頭の中で繰り返した。


妹…思ったことない…ない…。


お酒のせいで思考力も低下して、いまいちしっかりと理解できないでいる。

⏰:12/05/07 00:02 📱:PC 🆔:6zlauP8k


#337 [SAKURA]
「はは、両想い…じゃん。
せつなー。」


乾いた笑いを一人でこぼす。


今日静香さんのせいで、散々口にした妹みたいなもんという言葉と、その言葉とは裏腹に浮かぶ、妹なんかじゃないという気持ち。


健志も同じだったのかなー、なんて。


なんて不毛な両想い。


このとき私は、また自分に問いかけた。


健志のこと好きなのか、と。


そしてやっぱり答えは、NO。


「意味わかんね。」


ははっと自分を嘲笑い、アルコールのせいではない理由で火照った体を冷ますため、食堂にミネラルウォーターを取りに行った。


約束守るために、お酒抜かなきゃ。


「もーぶっ飛んだけどね。」

⏰:12/05/07 00:46 📱:PC 🆔:6zlauP8k


#338 [我輩は匿名である]
失礼
>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-800
>>801-1000

⏰:12/05/07 16:58 📱:F08B 🆔:x33894.M


#339 [SAKURA]
俺は…今。


とんでもねーこと、言ったんじゃないか?


今日初めて会ったシュンに、焦燥感に似たものを感じた。


元気で人懐こくて愛想がよくて礼儀正しい、いい奴だと思う。


ゆめもすっかり信頼してるっぽい。


でもそこ、俺のポジション…なんだよな。


シュンのことは嫌いじゃない。


むしろ安心してゆめのことを任せられるとさえ思った。


でも俺今、余裕ねぇ。

⏰:12/05/07 21:38 📱:PC 🆔:6zlauP8k


#340 [SAKURA]
ゆめのキスの相手が俺だとかケンちゃんにカマかけられた時、バスの中で軽くだけどちゃんと、俺の気持ちはみんなに話したよな、うん。


そんでシュンも、ゆめのことはそういう対象として見てない雰囲気だったじゃねーか。


それが、みつさんがあいつらが好きだとかいいながら抱き合ってただとか騒いで。


俺だって憎まれ口を叩きながらだろうと、ひっついたりひっつかれたり、そんなんしょっちゅうしてることだし、なんか付き合った宣言しだしたけどただの悪ノリだろって、軽く流してたんだけど。


なんだこのみんなのあいつら応援ムードは。


ちょっと、いや結構気に食わねぇ。

⏰:12/05/07 21:49 📱:PC 🆔:6zlauP8k


#341 [SAKURA]
そんでこのシュンの性格な。


ほんといい奴なんだ。


すっかり馴染んで、当たり前のようにして寮に一緒に帰ってきて、明日も手伝ってくれるとか言ってたけど自然と泊まる雰囲気で。


こういう奴好きなんだよな、俺もみんなも。


ケンちゃんなんか特に気に入ってるし。


とりあえず、まぁ深く考えずにいようと密かに決めて気分ごとさっぱりさせようとシャワーを浴びて、騒がしい部屋に戻ると。


手足丸出しで酒片手に顔を赤らめたゆめの姿。


に、隠すように抱きつくシュン。

⏰:12/05/07 22:51 📱:PC 🆔:6zlauP8k


#342 [SAKURA]
思わずこぼしたなにやってんだ、という言葉は、もちろんそんな格好でなに抱きつかれてんだよって意味。


でもそこで素直になれる俺じゃない。


当然、ゆめの隣に座る俺。
こっちを見ないゆめ。
なんだこの距離感は。


ケンちゃんが騒ぐ理由が酒でも髪を乾かしてないことでもないのなんて、そんなのすぐ理解できた。


誰でも思うだろ、その格好はだめだろって。


こいつ、また色気づいてきたな。


でも俺は、そんなゆめなんか俺にとっては当たり前だとなんでもないふりをした。


だって、そうでもしなきゃ俺の立ち位置がみんなと並ぶ。

⏰:12/05/07 23:42 📱:PC 🆔:6zlauP8k


#343 [SAKURA]
妙によそよそしいゆめにまさかと思いつつも、シュンの言葉に少し苛立つ。


おいお前いつまで彼氏気取ってんだよ。


そして俺は余裕を気取って、もう寝たいなんて言ってみると寝れば?みたいなね、ケンちゃんの返し。


今日ケンちゃん、やたら俺に冷てぇなー。


ちょっと寂しいから一本だけ酒に付き合うことにした俺は、ゆめが酔い始めていることに気付いた。


結構飲んだな、この馬鹿は。


あれだけむやみに深酒すんなって言ってあったのに。


俺がいないとこで、酒なんて飲んでるゆめを想像しただけで不安だ。

⏰:12/05/07 23:51 📱:PC 🆔:6zlauP8k


#344 [SAKURA]
言ってあったよな、俺がいないところではあんま酔うほど飲むなって。


うん、今は確かに俺がいて、こいつも酔い始めで。


いつもなら俺がゆめの面倒をみる感じなんだけど。


当たり前にゆめを引き寄せるシュンと、まるで無意識でそうしたかのように従うゆめ。


そして、なんだか初々しいやりとり。


見上げるゆめと、そらすシュン。


な?その顔、やばいだろ?


だから、あんま飲むなって言ってあったのに。


その顔、見せたくねぇんだよな、他の奴には。

⏰:12/05/07 23:58 📱:PC 🆔:6zlauP8k


#345 [SAKURA]
なんて、悶々としながら様子を後ろから見ていると、いきなりこっちを振り返るゆめ。


目が合うと、なに、なんて聞いてくる。


別に、と咄嗟に答えると、少し不思議そうにあそ、とだけ言いタバコをせびられた。


あーこいつ腹立ってきたなーなんか。


こっちの気も知らずに。


これじゃまるで





片思いの俺があせってるみたいじゃねーか。


両想いとは思ってないけど、片思いだなんてもっと思ったことない。

⏰:12/05/08 00:06 📱:PC 🆔:TYhr3M/6


#346 [SAKURA]
俺の存在が、こいつにとって当たり前で、特別。


それでよかった。


でもなんか、それすら危ういんじゃねーか?


ゆめの問いに答えずそんなことを考えていると、不安げに俺の名前を呼ぶ。


あぁ、お前がそんなとこにいるからだばーか。


なんて思ってしまった自分が馬鹿らしくて笑えた。


シュンによりゆめに苛立ちはじめた俺は、覚えてるかどうかも分からない、約束のことを口にした。


そしてやっぱり、意味分かんないとでも言いたげな顔で、聞き流すゆめ。


ちゃんと気持ちを伝えない俺が悪いことはわかってるし、この空気があまり良くないことも分かってる。

⏰:12/05/08 00:23 📱:PC 🆔:TYhr3M/6


#347 [SAKURA]
不思議そうにこっちを伺うシュンを、言葉なくなだめるゆめ。


なんかもうほんと、お前ら。


知り合ったの最近じゃなかったのか。


なんだその言葉なんていらない関係。


なんて思いながら、火を着けるために二人の横に並ぶように座った俺に、ゆめの一言。


さっきはまさか、と思ったけどこいつ。


ほんとに照れてるとか…か?


なんだ、意識してんのは俺だけかと思ってたのに、と考えると自然に顔が緩んだ。


そして茶々を入れると、焦ったように答えるゆめ。

⏰:12/05/08 00:33 📱:PC 🆔:TYhr3M/6


#348 [SAKURA]
焦ったこいつがなんだかちょっと可愛かったのと、さっきからの苛立ちと、何に対してか分からない期待感と、ほんの少しの好奇心で。


そう、つい出来心で。


簡単に触れてはいけない一年前の事を、俺は口にしていた。


ケンちゃんに突っ込まれ顔を曇らせるゆめを見て、馬鹿なことを言ったと一瞬で後悔した。


そして、俺の中で決してなかったことには出来ないあの時のことを自分の口でなかったことにする。


なにも言わないゆめに、意地悪だったな、悪い、と謝るもやっぱりなにも返ってこなくて。


これ以上ここに居てもまた自分で自分の首でも絞めるんじゃないかと思い、もう寝ると言ってゆめの部屋の鍵をせびった。

⏰:12/05/08 23:20 📱:PC 🆔:TYhr3M/6


#349 [SAKURA]
しかしその一言で、すぐに自分の首をしめてしまった。


俺にとっても、きっとゆめにとっても当たり前のそのやりとり。


なのになんで。


一瞬で理解出来ず、え?なんて間抜けな声をだすと、トーン低めのシュンのは?という返し。


シュンの前でそんなこと言ってって…。


こいつら、ほんとに付き合ったのか?


あーもうマジでうざい。
もうわかったはいはい。


このやりとりもう無理。


とことん素直になれない俺は、みつさんがどうとか片づけがどうとか理由をつけたけど。

⏰:12/05/10 00:02 📱:PC 🆔:Uqu7YPxI


#350 [SAKURA]
実際そんな理由でゆめの部屋に居座ってた訳じゃない。


当たり前だからだ、一緒なのが。


そんな理由だってつけたくねぇ。


どこまでも逃げる俺に、シュンからのトドメ。


好きにしてくださいなんて、ゆめが選んだ奴が部外者なんて、そんなこと。


「いや…俺今日ここで寝るわ。」


って言うしかねぇじゃんか。


例えばゆめの部屋でいつも通り寝たとして。


ゆめは来ないかもしれない。


シュンの隣で寝るかもしれない。


俺が今まで、気持ちも伝えず隣にいたのはなにより。


ゆめを失うのが怖かったからだ。

⏰:12/05/10 00:20 📱:PC 🆔:Uqu7YPxI


#351 [SAKURA]
失うのが怖くて逃げた結果がこれか。


でも、だって。


ゆめは好きとか恋とか、そんな感情は信用してなかったし。


なにより音楽という大切なモノがあって、そういう感情は邪魔になるからって。


俺も自分の親を見てきてるから、そんなもんにすがって壊れた事を考えると、ゆめとはそういう関係に。


なるくらいならずっと隣にいるだけでよかったのに。


他の奴より特別で、他の奴より当たり前な存在を、俺らは望んでたはず。


ゆめなら、シュンだってそういう存在でいたがると思ったけど、離れて暮らすと考え方も変わるのか。

⏰:12/05/10 00:31 📱:PC 🆔:Uqu7YPxI


#352 [SAKURA]
そう考えると、やっぱり付き合ったことに疑問を感じるけど。


ゆめを取られたとかおれのモンだとかそんなんじゃなくて、誰のものでもいいから今まで通り俺を必要としてくれ。


俺の変わりなんて作るなよ。


今までで初めて、シュンが初めて、そんな風に思わせられた。


ケンちゃんが言ってた。


隣と言っても両側あるという言葉が、頭の中に廻った。


同時にその両側を埋めてしまえば、ゆめは片側しか向けない。


ちゃんとこっちも向いてくれ。

⏰:12/05/10 01:18 📱:PC 🆔:Uqu7YPxI


#353 [SAKURA]
ゆめの部屋に荷物を取りに行き、一緒に戻ってきた。


布団を適当に広げて横になると、ゆめも荷物を取り出していた。


こいつ向こうの部屋に返すのやだなー、なんて思ったら、急にその背中が愛しくなって。


でも、抱き締めることもできずに乗りかかるように寄り添った。


当たり前じゃなくなんのか、とかシュンが今までの奴と違って、とか。


つい本音がポロっと。


寂しいなんて、言っても困らせるだけなんて分かってんのに。


そんな俺にゆめは、いつも通りのトーンで少し間をおいてさらっと言った。

⏰:12/05/20 00:37 📱:PC 🆔:ID4HVXmY


#354 [匿名]
あげるよ

⏰:12/12/28 15:17 📱:KYL21 🆔:Ur0ioJX2


#355 [SAKURA]
ゆめがどんな顔してんのか気になって、向きを直させて理由を聞き返した。


一番聞きたかったことが聞けた、気がする。


俺の代わりなんていない。


笑うゆめにつられ、俺も表情が緩む。

⏰:14/07/20 02:08 📱:SH05A3 🆔:3dxxMMYU


#356 [SAKURA]
しかし残念なお知らせなんて、今までとは違う奴が隣にいること以上に残念なことはない、と思いながら気のない返事を返すと、


"一年前の、最初で最後のあれは"


"当たり前どころか特別なんだから"


と、さっきつい悪ノリであんなこと言った時の顔からは想像もつかない、いたずらに笑いながら話すゆめ。


言い逃げするように部屋を出ていくあいつを追いかけることも出来ず、その言葉を噛み締めた。


二人の、触れることのない秘密を、一年越しに無かったことから特別な思い出に、あいつは変えてくれた。

⏰:14/07/20 02:26 📱:SH05A3 🆔:3dxxMMYU


#357 [SAKURA]
一年前の夏、ゆめが東京に戻ってきて2、3日たった頃。


ゆめの夏と冬の休みの帰省に合わせて俺も連休を取るのが毎回の流れで、兄貴や親父もゆめの面倒を見てくれと少し長めに休みをくれる。


それ以外に休みたい日もないし、他の仕事に比べれば少ない休みさえ現場に出たりするから、他の人さえ暗黙の了解としてみてくれていた。


まぁ、結局ゆめと一緒に現場に顔出したりするから、完全な休みはほんとに少ないけど。

⏰:14/07/20 02:40 📱:SH05A3 🆔:3dxxMMYU


#358 [SAKURA]
俺は社員用の3階建ての寮の最上階に数部屋ある、他より少しだけいい部屋に住んでいて、ゆめはほとんどそこで過ごす。


もちろんちゃんとした実家はあるけど、やることがないしスタジオや現場には寮の方が近いしなんて言って、実家で寝ることはほとんどない。


それでもおかんには会いに行かなきゃいけないから、滞在中は俺も一緒に夜はそっちでご飯を済ませていた。


仕事が落ち着いていて親父達も早めに現場を出たあの日、久しぶりに宴会でもするかと何人が連れて帰った。

⏰:14/07/20 02:51 📱:SH05A3 🆔:3dxxMMYU


#359 [SAKURA]
おかんが張り切って作った料理に、大量に買い込まれたアルコール。


俺とゆめ以外に10人ほど集まった。


寮に帰るのに車の運転があるから俺は飲めなかったけど、かわりにゆめが飲みはじめた。


「タケ、車置いてくかこっち泊まるかすりゃいいんだし飲めよー。」


俺に勧める親父をゆめがとめる。

⏰:14/07/20 08:22 📱:SH05A3 🆔:3dxxMMYU


#360 [SAKURA]
「健志が飲んだら私が帰れないし、明日は朝から出かけるから朝の弱い健志は我慢!」


「お前の家はここだぞ!
たまにはこっちで過ごせよなー。」


「そうだぞ。
お前のわがままでタケが飲めないなんてかわいそうだろ!」


兄貴と親父が交互に言う。


「いいよ、俺が明日出かけるって言い出したし、俺おかんの飯食いたい。飲むと飯食えん。」


「誰か一人くらいゆめに厳しい人がいてもいいのに、みんな甘いわねー?」


「かわりにママが厳しいじゃーん。」

⏰:14/07/20 08:44 📱:SH05A3 🆔:3dxxMMYU


#361 [SAKURA]
ゆめの後ろから料理を運ぶおかんがゆめに笑いながら言うと、ゆめも言い返した。


ママがうるさいから早めに寮に帰ろうなんて言う日もあるし、普段離れてて1番会えないからこそ、なにかと言われるみたいだ。


俺からしたら、構ってもらえるだけいいだろ、とも思うけど。


あなたたちが甘やかすから、なんて親父と兄貴を突くと二人とも大人しくなって、周りがそれを見て笑う。


会社の2トップもおかんには逆らえなかった。

⏰:14/07/20 08:52 📱:SH05A3 🆔:3dxxMMYU


#362 [SAKURA]
家庭が崩壊してた俺にはこの光景が珍しくて、羨ましくもある。


みんなのやり取りを見ていると、兄貴が俺を巻き込む。


「タケ!俺よりゆめの兄貴として普段過ごしてんだからお前かわりに怒られろ!」


「そうだそうだ!ついでに父親もやれ!」


「タケちゃん、あなたなんでしょ?タバコとお酒教えたの!
しっかり止めてくれないと!
だいたいあなたもまだだめなうちから始めて!」


なんて、ついに俺まで叱られた。

⏰:14/07/20 09:00 📱:SH05A3 🆔:3dxxMMYU


#363 [SAKURA]
それを見て笑うゆめの手にある缶チューハイを取り上げながら、


「ごめんなさい。」


と謝ると、


「ほらね、あなたたちにはこの素直さがないのよ!
我が家で1番可愛いのはタケちゃんね!」


っておかん。


家族のいないような俺には嬉しい一言だった。


いい子ぶるな!と親父達にどつかれながら、賑やかで楽しい時間が過ぎていく。


ゆめと目が合うと、あははっと笑った。

⏰:14/07/20 09:06 📱:SH05A3 🆔:3dxxMMYU


#364 [SAKURA]
そんなことを言いながらお開きの時間になって、チラホラと他の社員が帰っていく。


ゆめはちゃんと余った酒を抱え寮に帰る支度を始めて、7人乗りの俺の車には同じ寮の3人が乗り込んだ。


「タケが飲むと俺ら足なくなるから、ゆめちゃんがいるときは楽でいーな!」


と、二年先輩の人に言われた。


「えへへ、そうでしょー?」


結構飲んだのかヘラヘラ答えるゆめ。


手元を見ると、飲みかけの酒を持っていた。

⏰:14/07/20 09:19 📱:SH05A3 🆔:3dxxMMYU


#365 [SAKURA]
「お前まだ飲んでんの!?」


「久しぶりのお酒だから楽しくなっちゃってー。」


あぁほんとだ、酔っ払った顔してる。


完全気の抜けた表情で外の景色の目についたものに、独り言の様にぶつくさ言っている。


好奇心旺盛な小さいガキみたいだ。


「そのくらいにしとけよ?」

⏰:14/07/21 00:38 📱:SH05A3 🆔:TfmIRWmE


#366 [SAKURA]
何気なく言うと、キョトンとしながらこっちを見ていた。


「なんで。
せっかく持って帰ってきたんだし二人でも飲むよ。」


「さっきお前朝弱いから俺には飲むなって言った…おい。」


全く聞く耳をもってないゆめは、開けたばかりの缶を一気に飲み干した。


運転中だと下手に動けないし様子も見きれないし、後ろで寝始めた先輩をミラーで確認すると、声を出して叱ることも出来ない。

⏰:14/07/21 00:46 📱:SH05A3 🆔:TfmIRWmE


#367 [SAKURA]
「ったく…。
お前だって寝起きは良くねーのに。」


「はいはい、部屋につくまで次開けるの待っててあげるから、いじけないのー。」


俺の膝をポンポンと叩きながらなだめるように言われた。


ため息をつきながら、心なしかアクセルの踏み込みが強くなる。


早く帰ってこいつを寝かしつけないと、面倒な事になる。

⏰:14/07/22 22:20 📱:SH05A3 🆔:bzKS8Rvw


#368 [SAKURA]
20分程車を走らせると、ようやく寮についた。


玄関で先輩達を降ろしてから駐車場に向かい、そこからエレベーターで3階まで上がった。


呑気に鼻歌を交じえながら、俺の後ろをふらふらついてくる姿を見る。


いくら俺だからって、無防備過ぎる。


その辺こいつはなにも考えないのか。

⏰:14/07/22 22:28 📱:SH05A3 🆔:bzKS8Rvw


#369 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/10/02 02:14 📱:Android 🆔:Ltpo.xA.


#370 [わをん◇◇]
>>1-30

⏰:22/12/26 23:37 📱:Android 🆔:K0o6YEWM


#371 [わをん◇◇]
>>330-360

⏰:22/12/26 23:37 📱:Android 🆔:K0o6YEWM


#372 [わをん◇◇]
>>1-100

⏰:22/12/26 23:39 📱:Android 🆔:K0o6YEWM


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