漆黒の夜に君と。V[BL]
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#129 [ちか]
カナダ(こっち)に来た今も、
俺は離婚届(コレ)に自分の名前を書けずにいる。
あの約束が
どうしてもひっかかって。
目を閉じれば、
今でも色褪せることなく頭の中で甦る。
『先生はちゃんと素敵な人と幸せになって。』
その言葉と精一杯の笑顔が。
:11/10/15 23:29
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:GBumr9Qk
#130 [ちか]
そういう経緯で、
今俺は妻と別居状態にある。
もともと妻の父がうちの病院の院長で、俺はそのお気に入り。
紹介したのが院長本人なだけあって、院長は、形式上男を作って出ていった娘が後ろめたいのか、執拗に俺を優遇してくれた。
おかげさまで、
カナダでの研究費用もタダ。
ありがたいっちゃ、ありがたいが、
それはそれで荷が重い。
:11/10/15 23:37
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:GBumr9Qk
#131 [ちか]
そんな矢先、
研究で世話になっている病院の患者にいきなり告白された。
それも、
14歳も年下の。
しかも、
「男」に。
:11/10/15 23:55
:PC/0
:O7q2J.UE
#132 [ちか]
好きだと宣言されてから一週間、そいつはうちの研究室に毎日来てはヒトメボレだの恋だのほざきにきやがる。
まったく、うんざりだ。
もちろん、告白が2日3日と続いた頃、上の人間に助けを求めた。
男に告白されて研究が進まない、どうにかしてくれと。
:11/10/16 00:58
:Android
:5cqVBQH2
#133 [ちか]
しかし、返ってきた返事は俺の期待をあっさりと裏切った。
―――――…………
―――…………
――……
「いやー、どうにかしてやりたいのは山々なんだが、彼はうちの病院でも大事な患者で…」
「大事な患者?!なんですか、それ!!」
「だから…、その、つまりだな、うちに毎年寄付を…してくださる企業のご子息様なんだよ…。」
俺はその言いにくそうにする外科部長を見ながら悟った。
金貰ってる分、手荒な扱いが出来ないってわけか。
俺は諦めきれない気持ちを溜め息にして吐き出した。
:11/10/16 01:30
:Android
:5cqVBQH2
#134 [ちか]
そんな俺を見て、外科部長も苦笑い。
「まぁ、一時の気の迷いというやつだろ。彼はもうすぐ大きな手術があるからな。それが終わるまで、刺激しないように適度に相手してやってくれよ。」
「は、はい……。」
―――――……………
――――…………
――…………
そんな風に頼まれると俺も一室を借りて研究させてもらってる身である以上、さらにまくし立てて苦情を言うことは出来なかった。
「まったく神様っつーのは、意地悪なんだな…。」
心の声もここまで来ると、吐かずにはいられない。
:11/10/16 01:40
:Android
:5cqVBQH2
#135 [ちか]
外科部長からも適度に相手してやってくれと言われてるから、それ以来邪険に扱うことも出来ず。
心臓を患ってるみたいだから、万が一ショックで発作…なんてことがないように、遠回しに諭している。
これが一番良い方法だろう。
って…
「これじゃまるで、俺がガキの告白に本気になってるみたいじゃねえか!!!」
:11/10/16 09:30
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:5cqVBQH2
#136 [ちか]
「あ…」
イライラしすぎて、怒気の混ざった声が感情に勢いを任せて出てしまった。
思わず、頭を乱雑に掻く。
今は結婚願望の強い同僚達との昼食を終え、俺は中庭の隅で一人、一服中なのだが。
「あれ?」
もうハコが空だ。
中身の無いそれはまるで自分のようで。
力任せにソレを握り潰した。
「医者がヘビーなんて説得力ねえな。」
そう呟いて、最後の一本を大事に味わった。
:11/10/16 09:33
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:5cqVBQH2
#137 [ちか]
( げ。)
消灯時間も過ぎた頃、
用事があって隣の病棟に来た。
隣の病棟とは
「『げ、会っちまった』みたいな顔してんじゃねーよ。」
あのガキの城。
:11/10/16 10:08
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:5cqVBQH2
#138 [ちか]
ナースステーションに寄る際、必ず前を通るこの共同区画スペース。
消灯時間も過ぎていたので特に警戒もせずに来てしまったが、忘れていた。
「なんでウチに来てんだよ。」
ここはヤツにとって、無法地帯なんだということを。
区画スペースのソファに我が物顔で座り、何やら本読んでいたようだ。
カバーがかけられていて、その中身までは分からないが。
しかし、
:11/10/16 10:16
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