漆黒の夜に君と。V[BL]
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#316 [ちか]
「具合はどう?」
「別に。普通。」
「優里が部屋から出ない日は、あたし達、逆に心配になるのよ。」
「そりゃどーも。」
淡白な会話が続くと、看護婦は呆れたように笑った。
憎たらしい口調は今に始まったことではなく、すでに怒られる範囲から抜けているらしい。
「まぁ、今日は優里に話があってきたのよ。」
看護婦の声色が微妙に変わる。
何か大事な話かと思い、背を向けていた体をぐるりと回すと真面目な顔がそこにあった。
「……なに」
:11/10/31 21:57
:Android
:/uPp3Gos
#317 [ちか]
「何度か前から言ってたから分かってるかも知れないけど、オペが来週の金曜に決まったから心の準備しといてって話をしに来たのよ。」
そう言って看護婦は優里の髪を撫でる。
まるで愛しい我が子でも扱うかのように。
「来週…」
「その反応見る限り、覚えてなかったわね。」
図星をつかれ、思わず黙ると看護婦はクスリと笑った。
しかし、それとは対称的に俺の顔は曇っていく。
:11/10/31 22:09
:Android
:/uPp3Gos
#318 [ちか]
年明けに行うことは聞かされていた。
だから来週に行うと聞けば、驚きよりいよいよと言った感じの表現の方がきっと正しい。
しかし、今まで身体的リスクが伴うため適年齢に達するまで行えなかった手術が、来週にまで迫ってきたと思うと、顔を強張らさずにはいられなかった。
看護婦はそんな俺を安心させるように、落ち着いた物腰で話を続ける。
「大丈夫よ。もう十分、あなたの体は手術に耐えられるわ。先生達も成功率80%っておっしゃってたもの。自信を持ちなさい。」
そんな風に優しく話したと思えば、
「い゛て゛っ!!」
バチンと軽い音を立てて額を叩かれた。
思わず、苦痛の声が漏れる。
:11/10/31 22:22
:Android
:/uPp3Gos
#319 [ちか]
「自信持ってドーンとかまえてりゃいいのよ、優里は。わかった?」
痛みに涙目になる俺をよそに、看護婦は一方的にそう告げると病室を出ていった。
去っていった後ろ姿を見つめながら俺は毒づく。
「あの乱暴ゴリラ女…」
しかしそう呟いた瞬間、再びドアが開き隙間から看護婦の顔が覗きこんだ。
「なんか言った?」
「?!べ、べつに?!」
地獄耳乱暴ゴリラ女の間違いだったと心の中で訂正し、ベッドの布団に潜り込む。
そして小さく笑った。
元気を出さないと、な。
:11/11/01 21:01
:Android
:DjtyBHfI
#320 [ちか]
それから数日経った日のこと。
あの看護婦のおかげなんて口が裂けても言わないけど、部屋を出る程度には元気を取り戻した。
そんな深夜、眠っていた俺は喉の乾きを覚え目を覚えた。
何か飲もうと自販機を求め、部屋を出る。
が、出て暫く歩くうちにナースステーションから話し声が聞こえてきた。
:11/11/01 22:03
:Android
:DjtyBHfI
#321 [ちか]
「で、話したの?優里に」
(俺…?)
自販機に行くには次の角を曲がればいいだけなのに、名前を出されたことが気になり、気持ちとは裏腹にそのままじりじりと体はナースステーションに近づいていった。
なんとなくしか聞こえなかった会話が、よく聞こえる場所まで着きそっと角に隠れる。
やましいことなんて無いのに、なんでこんなことしてるんだ、俺。
:11/11/02 00:06
:Android
:uZUHTXvM
#322 [ちか]
>>320訂正
目を覚えた→×
目を覚ました→○
ごめんなさい!
:11/11/02 00:08
:Android
:uZUHTXvM
#323 [ちか]
耳をすませれば、なんなく会話のすべてが聞こえてくる。
「先週話したわよ、一応…」
「一応?一応ってどういう意味?」
盗み聞きと言われても言い逃れ出来ないような状況と、自分関連の話だということに自然と体は緊張し、鼓動が速くなった。
看護婦は後ろめたそうな声で話を繋げる。
「手術のことはちゃんと言ったけど、」
「けど?」
けど、の後をなかなか言おうとしない看護婦に、俺まで「けど?」と聞き返しそうになった。
高鳴る心臓の音がうるさい。
:11/11/02 00:14
:Android
:uZUHTXvM
#324 [ちか]
いい加減聞くのに疲れたと痺れを切らし、立ち去ろうとしたその時、看護婦の小さな声が俺の足を止めた。
「……成功率80%だって嘘つい ちゃったのよ…」
「え?!何2倍増しで話してんのよ!!先生達は40%前後っておっしゃってたじゃない!」
…は?
80%は嘘?本当は40%前後?
何それ、どういう意味…?
:11/11/02 00:19
:Android
:uZUHTXvM
#325 [ちか]
「だってあの子が不安そうな顔するから…」
「だからって嘘ついていいってワケじゃないでしょ?!」
ドクン、ドクンと鼓動がさらに速くなっていく。
とっさに両手で耳を塞いだ。
嫌でも声が耳にこびりついてくる。
「あんな難しい手術を…っ」
聞きたくない。
「成功したって目が覚めないこともあるのに…っ!!」
聞きたくないッ…───
:11/11/02 00:25
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:uZUHTXvM
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