漆黒の夜に君と。V[BL]
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#54 [ちか]
しかし松山は眉を八の字にして笑った。

「私はただ冥が恭弥様に似ておられると申しただけですよ。」

しらを切るつもりか。
まぁ、それもいいだろう。


「…まぁ、後始末は少し面倒ですが。」


「そんな発言、父が聞いたらきっとクビだぞ。」

いつも完璧に仕事をこなす世話係りの思わぬ本音がおかしくて、つい笑いが零れた。

そんな僕を見て、
「たまにはお許しください。今年最後の本音です。」
なんて言ったあと、つられたように笑った。

「今日だけは大目に見てやるよ。」

⏰:11/10/12 16:28 📱:Android 🆔:5fifT23Y


#55 [ちか]
時計の針は容赦なく時間を削っていく。

秒針の音が身体に伝わってくるほど、僕の神経はそこに集中していた。


早く


早く


早く…―――

⏰:11/10/12 16:30 📱:Android 🆔:5fifT23Y


#56 [ちか]
そして、
針が重なるまで残り一分のところで車が停まった。


ドアが開くのなんて待ってられない。


車を飛び出して、
迷わず冥の部屋に向かって走り出した。

⏰:11/10/12 16:32 📱:Android 🆔:5fifT23Y


#57 [ちか]
いくつもの角を曲がり、階段を登る。

そしてまた角を曲がる。


こんな切羽詰まっている時ばかり、家(ウチ)のだだっ広さを思い知らされる。


こんなところに一人にしていたなんて。

気づいてやれなかった悔しさから思わず唇を噛んだ。

⏰:11/10/12 16:35 📱:Android 🆔:5fifT23Y


#58 [ちか]
冥が、
気にしなくて良い、こういうのは慣れてるから

なんて言うから。


そんな風に言って笑うから。



気づくのに遅れてしまった。

僕にとって一番大事な相手は冥なのに。

⏰:11/10/12 16:43 📱:Android 🆔:5fifT23Y


#59 [ちか]
秒針は一定の速度で容赦なくときを刻む。

10‥‥9‥‥8‥‥7


冥、

冥、

冥…――

何度も頭の中で名前を呼んだ。


6‥‥5‥‥4‥‥

⏰:11/10/12 17:09 📱:Android 🆔:5fifT23Y


#60 [ちか]
漸く冥の部屋が見えてくる。

はやく、
はやく会いたい。


気づいてやれなくてごめん、と言って、それから、それから‥‥―――

焦る気持ち苛立って
自分を叱咤する。


もう部屋はすぐ目の前に、…――

⏰:11/10/12 17:15 📱:Android 🆔:5fifT23Y


#61 [ちか]
一人の寂しさは自分が一番よくわかっている。

3…

そのつらさは決して慣れられるようなものじゃない。

2…

それでも独りが平気なんて、

1…

そんな人間、

居るはずないのにっ……――――

⏰:11/10/12 17:16 📱:Android 🆔:5fifT23Y


#62 [ちか]
― 冥side. ―

時計の針はついに頂点をさそうとしていた。

無心でカウントを数える。

「6………5………4………、」

虚しい年越しになっちゃったな。
そんなことを時々考えながら。


「3‥‥2‥‥1‥、ぜ…」


ガチャッ‥‥――


背中越しにドアの開く音がして、
思わず振り返った。

そこに居たのは、…――

⏰:11/10/12 17:42 📱:Android 🆔:5fifT23Y


#63 [ちか]
「恭‥弥…――」


嘘。

なんで。

夢?


居るはずのない恭弥の姿がはっきりと見える。
そんなのありえないのに。

信じられずに俺は何度も目を擦った。

だけど、やっぱりそこに居る。

「冥…―――」

紛れもなく会いたかった人が。

⏰:11/10/12 18:06 📱:Android 🆔:5fifT23Y


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