漆黒の夜に君と。V[BL]
最新 最初 全 
#155 [ちか]
「隣いい?」
ケンと名乗るそいつはそう言って俺の隣にあったソファに腰をおろした。
「良いとか言ってないし。」
そう返しつつ、俺もソファに腰かける。
いつもならそんなことしないのに。
今日は一人になりたくなくて、つい…
「あのさ、」
つい口を開いてしまった。
「好きな人に好きな人が居たら、どうする?」…―――
:11/10/17 12:50
:Android
:PYlVZMCg
#156 [ちか]
― 陽平side. ―
もうここまで来れば俺の声も聞こえないだろう。
足を止めたのはもと居た七階と八階を繋ぐ階段の踊り場。
安堵の息を漏らす暇もなく、受話器から声が聞こえた。
『なにがマイハニーよ、悪いものでも食べたの?』
「相変わらずだな」
電話の主は妻で、ざっくりと切り込んでくるような口調は相変わらずだとふいに笑いが出た。
:11/10/17 16:18
:Android
:PYlVZMCg
#157 [ちか]
そんな俺とは対称に、至って真面目に淡々と話す妻。
『そんなことより離婚届、まだ届かないんだけど。』
やっぱりその電話か。
予想はしていた。
わざわざ浮気までして別れた夫に電話なんて、はじめから目的が限られている。
「ごめん、まだ書けてない。」
俺がそう返すと電話ごしでその口調から、妻は怪訝な顔が思い浮かんだ。
『それは大切な人との約束ってやつが原因?』
「勘が鋭い妻を持つといろいろキツいな。」
いつだったか一度だけした夫婦喧嘩の中で、あの約束の話をしたがさすがに覚えているとは思っていなかったから、痛いところをつかれたと声が弱った。
:11/10/17 16:26
:Android
:PYlVZMCg
#158 [ちか]
「ああ。その通りだ。」
――――………
―――……
喧嘩の原因は1つのアクセサリーだった。
「これなに?」
そう言って妻が突きつけてきたのは引き出しの名かにしまっていたはずの古いデザインをしたネックレス。
「お前、ヒトの引き出しを…」
「掃除のときにたまたまよ。あなたの仕事で使う書類が出しっぱなしになってたからしまおうと思ってあけたの。そしたら、その中にコレがあった。」
突きつけられたネックレスは紛れもなく俺のもので、俺は言い訳する気にもなれず頷いた。
「それは大切な人の形見だ。返せ。」
:11/10/17 16:44
:Android
:PYlVZMCg
#159 [なあ
]
一気によみました
読んでたら濡れちゃいました//
頑張ってください
この小説すごいすきです

:11/10/17 18:26
:P02B
:6UhE0Yw.
#160 [ちか]
>>159 なあさま.
十話のところのことですかね(*^^*)笑
ありがとうございます、頑張ります!
感想板に各キャラクターのプロフィール貼ってあるので、よかったら感想板にも遊びに来てくださいね♪
:11/10/17 21:42
:Android
:PYlVZMCg
#161 [ちか]
>>158続き
しかし、それでは妻は納得いかなかったようでそのネックレスを俺の手元に戻そうとしない。
こういう時、女の勘というやつは厄介だ。
出来るだけ説明は避けたかったのに。
「大切な人って?」
説明するほどに、あの日、あの頃の記憶がフラッシュバックする。
「…………研修医の頃、惚れてた人だよ。」
色褪せることなく、鮮明に。
:11/10/17 21:47
:Android
:PYlVZMCg
#162 [ちか]
「亡くなる直前に渡されたんだ。“これ持ってたらきっと幸せになれるから”って言って。約束したんだよ、きっと幸せになるって。」
『先生はちゃんと素敵な人と幸せになって』
その約束と共に渡されたネックレス。
見るたびに胸が苦しくなって、
何年か前に引き出しにしまったきり見ないようにしていた。
「……誤解は解けたかな?」
まさかこんな形でまた見ることになるとはな。
妻は、俯いたまま握っていたソレを俺の手の中に戻した。
それが俺達が結婚生活のうちでした最初で最後の喧嘩だった。
:11/10/17 21:57
:Android
:PYlVZMCg
#163 [ちか]
『……私、あの頃からその人に嫉妬してたわ。いつでもあなたが見てるのは、私じゃなくてその人だったもの。』
思い出に浸っている途中、妻がそんなことを言った。
きっと同じことを思い出していたのだろう。
俺は何も言えずにただ黙りこんだ。
『私が一番悲しかったのは、あなたの中にいつも私の居場所が無かったことよ。』
決して未練たらしさなんて感じさせない淡々とした口調で言うその言葉は俺の胸を痛めた。
これは罪悪感なんだろうか。
:11/10/17 22:05
:Android
:PYlVZMCg
#164 [ちか]
『でもあなたの約束とあたしの都合は関係ないわ。早く書いてこっちに送ってね。』
「ああ。」
じゃあ、と言う声が聞こえて通話は切れた。
あなたの中にいつも私の居場所が無かったことよ。…――
「それは少し違うんだけどな。」
そう呟いて俺は壁にもたれこんだ。
正確には、
居場所が無かったんじゃない。
作らなかったんだ。
もう自分の中に誰かを留めるのは、あの時からやめた。
:11/10/17 22:10
:Android
:PYlVZMCg
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194