漆黒の夜に君と。V[BL]
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#183 [ちか]
「髪になんかついてるよ」

「え、マジ?」

「とってあげるから、じっとして。」

髪に触れられる感覚に一瞬戸惑い、俺は体を縮めた。
ケンの顔がすぐ近くにある。
その近さに思わず瞬きすら忘れそうだった。

そんな俺を見て、ケンはクスリと笑う。

「はい、取れた。もう力抜いていいよ。」

やっぱり見透かされてる!!
そう思った瞬間、なんだか恥ずかしくなり、急に顔が赤くなった。

⏰:11/10/20 15:16 📱:Android 🆔:Aayw5T/s


#184 [ちか]
「顔、赤いし。可愛いな、ユーリは♪」

「なっ?!赤ねえし!!!///」

「あははは♪」

「笑うな!!!!////」


おかしそうに腹を抱えるケンを見ていると、さっきの冷淡な顔が嘘のように思えた。

俺は思い出したように、さっき目線のあった場所へ振り返ってみる。

が、何もない。

強いて言うなら、ちょうどそこにあったのは並んでいる部屋達の窓とベランダ。

しかし、誰かがいるわけでもなく、静閑な雰囲気だけがそこにあった。

気のせいか…

そう思ってもう一度、ケンの方へ向き直りその顔をまじまじと見た。

⏰:11/10/20 15:29 📱:Android 🆔:Aayw5T/s


#185 [ちか]
「ん?俺の顔、なんかついてる?」

目をぱちぱちと瞬かせ、俺に問いかけるその顔はやっぱりいつも通り。


気のせいだよな。


とくにそれ以上気にすることもなく、俺は納得したように顔を横に振った。

「いや、なんでもない。」

「そう?なら良かった。」


そうして俺は、微笑みかけるケンにつられて久しぶりに少し笑った気がした。

──────────‥‥‥‥‥
────────‥‥‥‥

⏰:11/10/20 15:35 📱:Android 🆔:Aayw5T/s


#186 [ちか]
しかし、それから何日経っても
“引く”は“引く”のままだった。

「もう我慢出来ねえっ〜…」

思わず、心の声が口をついて出る。

それもそうだ。
自らが行かなくなると、もともと自分の病棟と神崎の研究室は違う建物なため、会うことがさっぱり無くなってしまったのだから。

「でも、前なら時々こっちにも来てたのに……。」

あの夜からそれすらも無くなった。


痺れを切らした俺は、女々しいとは思いつつも偶然を装って会うために、ナースステーションに近いこの共同区画スペースに入り浸るようになった。

そんなことを始めて、3日。
ついに、
「「あ。」」

神崎と遭遇。

⏰:11/10/21 13:08 📱:Android 🆔:jLFXF6R2


#187 [ちか]
「あ………っ、の、…え、えっと…―!!」


(何か言わねえと…っ!!なんか、なんか…っ)


頭ではいつも会ったときのための言葉を考え、イメトレを繰り返していたというのに、そんなのは会ってしまえばたちまち無意味なモノとなってしまい、口は空気中の酸素を吸いこむことしか出来ない。


そんな俺を神崎は酷く冷たい目で見つめた。
“何かが違う”
本能的にそう察すると、頭はさらに空回り余計に言葉を詰まらせる。

「…ぐっ、偶然…だなっ!!」

自分を叱咤しそうになる感情を押さえ漸く出たのはそんな気のきかない台詞だった。

⏰:11/10/21 13:43 📱:Android 🆔:jLFXF6R2


#188 [ちか]
しかし、やっとの思いで出た言葉も会話にはならず、神崎は俺を初めて見るかのように、ただ冷ややかな目で見つめている。


「え……っと、…な、何しにき…、あ!」


なんとか間を繋げようと口を開いたのも束の間、神崎はおもむろに俺から目線を外し、歩き出した。

「な…っ、ちょっと、神崎!!」

そんな神崎を引き留めようと名前を呼んだが、神崎はこっちに見向きもしない。

⏰:11/10/21 18:13 📱:Android 🆔:jLFXF6R2


#189 [ちか]
「待てって…ッ!!」

咄嗟に、去ろうとする神崎の腕を掴んだ。

その瞬間、
再び冷淡な瞳と向かい合う。

そして乱暴に掴んだ手を振り払われた。

一瞬のことに戸惑い、
俺は振り払われた痛みで痺れる手を擦って、目を見開いた。

見上げた神崎はもはや俺の知っている神崎ではない。

⏰:11/10/21 19:01 📱:Android 🆔:jLFXF6R2


#190 [ちか]
一瞬が永遠のように感じる。


張りつめる空気に息が詰まりそうだ。


冷たいその目から目が離せずにいると、神崎は突き刺さるような声で言った。


「触んな。」


それは

この上なく冷酷で、俺の心を抉(エグ)った。

⏰:11/10/21 19:11 📱:Android 🆔:jLFXF6R2


#191 [ちか]
そしてそのまま神崎は振り向きもせずに俺から遠ざかっていく。


「…………ッ、……――っ。」

呼び止めたいのに、
引き留めたいのに、
声が出ない。

声もかけられずにその姿を見つめているうちに、もうその背中は見えなくなっていた。

頬を一筋の水滴が伝う。


そんなただ立ち竦む俺に残されたのは、
振り払われた手の痛みと胸に突き刺さった言葉だけだった。‥‥‥──────

⏰:11/10/21 19:23 📱:Android 🆔:jLFXF6R2


#192 [ちか]
*
少し休憩( ´`〃) 。。
読んでくれてる方いるのかな( ´`;)


*

⏰:11/10/21 19:41 📱:Android 🆔:jLFXF6R2


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