漆黒の夜に君と。V[BL]
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#208 [ちか]
脳内で何度もリピートされる昨晩のシーン。

振り払われた手の痛みなんてとっくに消えているはずなのに、その感触がイヤになるほど鮮明に残っている。

「嫌われたってこと、だよな…。」

あんな風にあからさまな“拒絶”をされたのは初めてだった。

振るなら振ればいい

少し前まではそうタカをくくっていたのに、実際あんな態度をとられると苦しくてたまらなくなった。

矛盾だとしても、
それだけアイツを好いているのだとこんな時にばかり実感する。

⏰:11/10/22 21:23 📱:Android 🆔:FmyfOmCg


#209 [ちか]
目頭が熱くなり、ため息がこぼれる。

もう今日だけで何度目だろう。
数えたらきりがないほどのため息をついた時、ふいに病室のドアが開いた。


もしかして、なんて淡い期待を抱いたがそのドアを開けたのはケンだった。

「ユーリ?今日お前どうしたんだよ?」

常に笑顔のケンが心配そうな顔でベッドに腰かけてきた。

「…や、なんでもない。」

が、さすがに口に出す気にもなれない。

⏰:11/10/22 21:48 📱:Android 🆔:FmyfOmCg


#210 [ちか]
俺が目も見ずにそう言うとケンは俺の頭を雑に撫でた。

「なっ?!?」

そんなことをされたのはガキの頃ぶりで、思わず目をパチパチと何度も瞬く。

「ったく、お前嘘つくのヘタな。いいから話してみ?」

優しい声色に俺はなんだか安心感のようなものを覚えた。

そんな安心感に甘え、俺は渋々口を開いた。

「神崎………にさ、」

名前を口にするだけで胸が締め付けられる。
そんな俺をケンはただ頬杖をついて眺めた。

⏰:11/10/22 22:35 📱:Android 🆔:FmyfOmCg


#211 [ちか]
「昨日、会ったんだけど、…その…、『触んな』って掴んだ手、払われた。」


言葉にするとどうしても重々しくなってしまう。

ダメだ、泣きそうになる。
そんなの柄じゃないのに。

泣き顔を見られたくない俺は咄嗟に俯いた。

そんな俺を背後から優しい温もりが包み込んだ。

「………泣きたいなら我慢するなよ」

⏰:11/10/22 22:44 📱:Android 🆔:FmyfOmCg


#212 [ちか]
その言葉を聞いた瞬間、ダムが決壊するように涙が溢れた。

「わー、ほらほら、ユーリ!元気出せ!な?」

俺がこんなに簡単に泣くなんて思わなかったんだろう。
ケンは慌てて、俺の頭をがさつに撫でた。
まるで子供をあやすように。


俺はそんな優しさに甘え、気が済むまで泣いた。

⏰:11/10/22 22:56 📱:Android 🆔:FmyfOmCg


#213 [ちか]
暫くそうすると、思いの外重く沈んでいた気持ちが晴れた気がした。


たしかに神崎に嫌われたかもしれない。


心当たりなんて
無いと言えばウソになる。

毎日押し掛けていたのだから、どのタイミング、どの言葉で相手を苛立たせたかなんて考えるだけ無駄だ。


でも、

どうせ嫌われるなら

最後にもう一度、

好きだって言いたい。

⏰:11/10/22 23:12 📱:Android 🆔:FmyfOmCg


#214 [ちか]
一度そう思うともう止められない。

俺は、ケンの腕をそっとほどいた。

「ユーリ?」

不安げに俺を覗きこむケンに俺は精一杯笑いかけた。

⏰:11/10/22 23:28 📱:Android 🆔:FmyfOmCg


#215 [ちか]
「ケン、俺、最後にもう一回だけ、アイツに好きだって言ってくる。」




上手く笑えているかは分からない。




だけど、
俺はそれだけ言って部屋を飛び出した。

⏰:11/10/23 00:46 📱:Android 🆔:mS2WTstg


#216 [ちか]
呼び止める声なんて耳に入らずに、消灯時間の過ぎた廊下をただひたすら走った。

必死だっていい。

カッコ悪くたっていい。


今までそんなになってまで、夢中になれることなんてなかった。

だけど、今回のコレだけは違う。
コレだけは違うから。

もう手放したくない。

⏰:11/10/23 00:49 📱:Android 🆔:mS2WTstg


#217 [ちか]
やっともうすぐ神崎の研究室に着く。

そう思うと自然に足は加速した。


もうすぐ、もうすぐ、
アイツに会える…───ッ

思いと共に心臓が強く脈打ち出したその時、


「待てよっ!!」


研究室間近で、聞き慣れた声に手を掴まれた。

⏰:11/10/23 08:55 📱:Android 🆔:mS2WTstg


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