漆黒の夜に君と。V[BL]
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#211 [ちか]
「昨日、会ったんだけど、…その…、『触んな』って掴んだ手、払われた。」


言葉にするとどうしても重々しくなってしまう。

ダメだ、泣きそうになる。
そんなの柄じゃないのに。

泣き顔を見られたくない俺は咄嗟に俯いた。

そんな俺を背後から優しい温もりが包み込んだ。

「………泣きたいなら我慢するなよ」

⏰:11/10/22 22:44 📱:Android 🆔:FmyfOmCg


#212 [ちか]
その言葉を聞いた瞬間、ダムが決壊するように涙が溢れた。

「わー、ほらほら、ユーリ!元気出せ!な?」

俺がこんなに簡単に泣くなんて思わなかったんだろう。
ケンは慌てて、俺の頭をがさつに撫でた。
まるで子供をあやすように。


俺はそんな優しさに甘え、気が済むまで泣いた。

⏰:11/10/22 22:56 📱:Android 🆔:FmyfOmCg


#213 [ちか]
暫くそうすると、思いの外重く沈んでいた気持ちが晴れた気がした。


たしかに神崎に嫌われたかもしれない。


心当たりなんて
無いと言えばウソになる。

毎日押し掛けていたのだから、どのタイミング、どの言葉で相手を苛立たせたかなんて考えるだけ無駄だ。


でも、

どうせ嫌われるなら

最後にもう一度、

好きだって言いたい。

⏰:11/10/22 23:12 📱:Android 🆔:FmyfOmCg


#214 [ちか]
一度そう思うともう止められない。

俺は、ケンの腕をそっとほどいた。

「ユーリ?」

不安げに俺を覗きこむケンに俺は精一杯笑いかけた。

⏰:11/10/22 23:28 📱:Android 🆔:FmyfOmCg


#215 [ちか]
「ケン、俺、最後にもう一回だけ、アイツに好きだって言ってくる。」




上手く笑えているかは分からない。




だけど、
俺はそれだけ言って部屋を飛び出した。

⏰:11/10/23 00:46 📱:Android 🆔:mS2WTstg


#216 [ちか]
呼び止める声なんて耳に入らずに、消灯時間の過ぎた廊下をただひたすら走った。

必死だっていい。

カッコ悪くたっていい。


今までそんなになってまで、夢中になれることなんてなかった。

だけど、今回のコレだけは違う。
コレだけは違うから。

もう手放したくない。

⏰:11/10/23 00:49 📱:Android 🆔:mS2WTstg


#217 [ちか]
やっともうすぐ神崎の研究室に着く。

そう思うと自然に足は加速した。


もうすぐ、もうすぐ、
アイツに会える…───ッ

思いと共に心臓が強く脈打ち出したその時、


「待てよっ!!」


研究室間近で、聞き慣れた声に手を掴まれた。

⏰:11/10/23 08:55 📱:Android 🆔:mS2WTstg


#218 [ちか]
振り向くと息を切らしたケンの姿が目に映った。

「ケン…っ?!」

「お前、バカ?!こんな時間に居るわけないだろ!!とっくに帰ってるって!!」

ケンは息も切れ切れにそう言って俺の手を離さない。
痛いほどに。

「でも、そんなの行ってみねえと分かんねーじゃん!!」

居るわけ無い
そう言われると意地になって言い返してしまう。

俺の噛みつくようなソレに、ケンは苛立ちの混ざった溜め息を吐いた。

そして、

⏰:11/10/23 11:52 📱:Android 🆔:mS2WTstg


#219 [ちか]
ドンッ…───!!

「……〜っ!?」

肩を掴まれ思いっきり壁に叩きつけられた。

いきなりのことに声も出ず、俺はただケンを見つめる。
ケンの表情(カオ)に笑顔は無い。

怒気の混ざった声でケンは大声をあげた。

「お前も分かんない奴だなぁ…!!なんでそんな奴が良いんだよ!?」

その言葉が何を意味するのかさっぱり分からず、俺は動揺を隠しきれない。

⏰:11/10/23 13:55 📱:Android 🆔:mS2WTstg


#220 [ちか]
「ケン…?なに言って…」

苛立ちを全面に出したその物言いはケンらしくなくて、まるで知らない誰かを見てるようだった。

ただ理解出来ずに見つめる俺にケンは痺れを切らしたように怒鳴る。

「だから!!!!あんな奴より俺の方がお前のこと大事にしてんのに、なんでアイツばっかり見るんだよ!!」

大事…?
アイツばっかり…?

訳のわからない言葉達に頭が混乱する。

「…俺はお前が好きなんだよ!!!」


⏰:11/10/23 14:01 📱:Android 🆔:mS2WTstg


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