漆黒の夜に君と。V[BL]
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#309 [ちか]
.

「分かってんだよ、んなことは…。」


だからこそ
頭に感情がついてこず、
こうも悩んでいる。



力無く漏れた独り言は
虚しく部屋で響いた。

⏰:11/10/31 16:59 📱:Android 🆔:/uPp3Gos


#310 [ちか]
― 優里side. ―

あの一件があった以来、
また神崎には会わなくなった。






いや、
会えなくなった。

⏰:11/10/31 18:40 📱:Android 🆔:/uPp3Gos


#311 [ちか]
────……死んでもいい?!簡単に言うな!!!!!
生きたくても生きれない人間がこの世界にどれだけ居ると思って…っ!!────……


何度も脳内であの時のすべてが再生される。


あの時のアイツの表情(カオ)、
あんな表情(カオ)初めて見た。


踏み込んではいけない領域に触れてしまった。
直感でそう感じてから、
怖くて会えなくなった。

⏰:11/10/31 18:48 📱:Android 🆔:/uPp3Gos


#312 [ちか]
季節も中庭の木も次第に色を変え、時間が流れていく。

気づけば年が明け、2月に差し掛かっていた。

中庭の木が桜だと気づいたのはその頃だ。
小さな黄緑とピンク色の混ざった蕾が木を染め、まるで春が近いことを告げているようだった。

何度もこの病院で春を迎えていたというのに、気づかなかったなんて今までどれほど季節に無頓着だったのだろうと、思わず苦笑が漏れる。

⏰:11/10/31 18:54 📱:Android 🆔:/uPp3Gos


#313 [ちか]
そんな俺が季節が気になりだしたのは、
神崎に出会ってから。


研究という名目で来ているアイツも来月で半年の滞在になる。

ましてや離婚届だってあるし、そうなれば奥さんとの話し合いは済んだのかとか帰国しなくていいのかとか、いつ日本に帰るか考え出せばキリがない。

季節の半分がちょうど来月、再来月で終わるのならそろそろ帰る時期かもしれない。

そう思うと、
焦らずにはいられなかった。

⏰:11/10/31 19:02 📱:Android 🆔:/uPp3Gos


#314 [ちか]
しかし、
神崎の地雷に触れてしまった今、どんな顔をして会えばいいか分からない。

でもいつ帰るか分からない分、今のような形で終わるのはイヤだ。


そんな子供染みた葛藤に振り回されているうちに季節が一つまた変わったというわけだ。

「俺の臆病者〜…」


はじめの特攻ぶりはどこに言ったのだ、と言わんばかりに自分に叱咤し、寝返りをうった。

⏰:11/10/31 21:43 📱:Android 🆔:/uPp3Gos


#315 [ちか]
枕を胸に抱き止め、ベッドの布団の中でうだうだのたうち回っていると、ふいに病室のドアからノックの音が。


「だれ。」

振り向くわけでもなく、ドアに背を向け問い掛けるとドアが開き、看護婦が入ってきた。


「なんか用?」

今、あんたらに会う気分じゃないっつーの。
てか俺、最近問題起こしてねーじゃん。

今日は検査の予定も無いし、こんな日くらいそっとしといてくれよ。うぜえ。


そんなことを心の中で毒づきながら無言を保つ。

⏰:11/10/31 21:50 📱:Android 🆔:/uPp3Gos


#316 [ちか]
「具合はどう?」

「別に。普通。」

「優里が部屋から出ない日は、あたし達、逆に心配になるのよ。」

「そりゃどーも。」


淡白な会話が続くと、看護婦は呆れたように笑った。
憎たらしい口調は今に始まったことではなく、すでに怒られる範囲から抜けているらしい。


「まぁ、今日は優里に話があってきたのよ。」

看護婦の声色が微妙に変わる。
何か大事な話かと思い、背を向けていた体をぐるりと回すと真面目な顔がそこにあった。

「……なに」

⏰:11/10/31 21:57 📱:Android 🆔:/uPp3Gos


#317 [ちか]
「何度か前から言ってたから分かってるかも知れないけど、オペが来週の金曜に決まったから心の準備しといてって話をしに来たのよ。」


そう言って看護婦は優里の髪を撫でる。
まるで愛しい我が子でも扱うかのように。


「来週…」

「その反応見る限り、覚えてなかったわね。」

図星をつかれ、思わず黙ると看護婦はクスリと笑った。
しかし、それとは対称的に俺の顔は曇っていく。

⏰:11/10/31 22:09 📱:Android 🆔:/uPp3Gos


#318 [ちか]
年明けに行うことは聞かされていた。
だから来週に行うと聞けば、驚きよりいよいよと言った感じの表現の方がきっと正しい。


しかし、今まで身体的リスクが伴うため適年齢に達するまで行えなかった手術が、来週にまで迫ってきたと思うと、顔を強張らさずにはいられなかった。


看護婦はそんな俺を安心させるように、落ち着いた物腰で話を続ける。


「大丈夫よ。もう十分、あなたの体は手術に耐えられるわ。先生達も成功率80%っておっしゃってたもの。自信を持ちなさい。」

そんな風に優しく話したと思えば、

「い゛て゛っ!!」

バチンと軽い音を立てて額を叩かれた。
思わず、苦痛の声が漏れる。

⏰:11/10/31 22:22 📱:Android 🆔:/uPp3Gos


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