漆黒の夜に君と。V[BL]
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#421 [ちか]
膨れ上がる冥を窓越しに見つめながら思う。
本当の理由(コト)を言えればどんなに楽だろうって。
本当の理由(コト)を言えば、
コイツはどんな顔をするんだろう、
って。
:11/11/12 18:26
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#422 [ちか]
俺は
この幼馴染み、日下冥が好きだ。
いつからかなんてもう分からない。
気がつけばもう遅かった。
男同士なのにそれでもコイツが
好きで、好きで、好きで、
他のヤツなんて目に入んなくて。
苦しい。
:11/11/12 18:35
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#423 [ちか]
胸が苦しい。
だって、俺が好きになったのは
紛れもない男で。
華奢で
女みたいな顔で
声もまだ少し高くて
そこらへんの女子より可愛くても
冥はレッキとした男で。
恋心を抱いたところで
どうしようもない。
叶うことはもちろん、
告げることさえもきっと出来ない。
この先も、ずっと。……──────
:11/11/12 19:28
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#424 [ちか]
中学に入った途端にモテだした俺は、もうどれくらい断ったか分からない。
俺が冥に向けるような、小さくて淡くて熱い感情を。
この感情を忘れるために
適当に彼女を作ろうとしたこともあった。
取っ替え引っ替えに彼女でも作って、
適当に愛だの恋だのぬかして、
この感情を消して、
グチャグチャに塗り潰してしまえば
きっと楽なんだろう、
って、何度も何度も思った。
でも、俺には出来なかった。
冥に幻滅されたくない。
冥の傍に居たい。
冥に、友達としてで良いから好かれていたい。
そして何より、
冥に誤解されたくない。
俺の一番が冥以外の誰かなんてそんな誤解をされたくなかった。
そう思うとどうしても、
彼女なんて作る気は到底起こらなかった。
:11/11/12 19:42
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#425 [ちか]
それと反比例するように
断れば断るほど、とにかくモテた。
それはもう、俺のモテ期はここで終わるんじゃないかってほどに。
まぁ、実際は高校になってもさほど変わり無い調子でモテているが。
なんでも、女子達はこう俺を噂する。
「クールなとこがいい」
そんな意識、した覚えがない。
「みんなの蓮見くんって感じでいい」
俺は物じゃない。
「あの爽やかな笑顔で断られると、もっと好きになっちゃう。」
作り笑顔って怖いな。
冷たくあしらってるつもりなのに、どうしても告白されると傷つけないように優しく接してしまうんだ。
きっと、自分に透過してしまっているのが原因だろう。
俺に叶わない恋をしている相手に、
冥に叶わない恋をしている自分を重ねて。
:11/11/12 21:55
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#426 [ちか]
そんな俺の葛藤を知らずに、
俺の伝言役なんか務めちゃう冥が
愛しさ故に、憎たらしい。
「あ゛ぁあ゛〜〜!!!!!もうっ〜!!!!」
「な?!透、なに急に?!そんなに頭(殴ったとこ)痛かった?!」
憎たらしいけど
それでも
大好きで。
「ちげーよ、バカ!!」
「バカ?!バカって言った方がバカだし!!」
そして
何も出来ない今に至る。
そんな頃だ。
瀬野が現れたのは。
:11/11/12 21:57
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#427 [ちか]
それは昼休みだった。
いつものように、冥と昼飯を食っていると廊下側のクラスメイトに茶化すような声で名前を呼ばれた。
「蓮見ー、お前に用事だってー!」
そう呼ばれれば、目の前のコイツは興味津々と言った顔で、廊下に立つ見えない女子の姿を覗こうと背筋を張る。
そんな姿に思わずため息をついて、俺は席を立った。
その時は、
昼休みに呼び出すなんてまためんどくさいことをしてくれるな、とかそんな風にしか考えていなかったのに。
まさかこんな事になるとは。
「えーっと、…用ってなに?」
サラサラの黒髪ショートヘア。
色白な肌にシンプルで整った目鼻立ち。
なんか、見たことあるんだけど、…誰だっけ。
少なくとも目立つグループの女子じゃないよな。
そんなことをグルグルと考えながら適当に笑いかける。
「ここじゃちょっと話しにくいから、屋上行きたいんだけど、いい?」
が、一瞬で分かる。
この子、俺の苦手なタイプだ。
だって目の奥が俺と似てる。
:11/11/12 23:11
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#428 [ちか]
言われるがままう頷いて、屋上に向かう二つの足取り。
「屋上って締め切ってなかった?」
「あたし合鍵持ってるから大丈夫だよ。」
「へえ…」
合鍵なんて、どこから手に入れたんだ?
ますます読めない人間だ。
警戒心からか眉間に皺がよる。
そうこうしているうちに屋上に着き、本当に持っていた合鍵でいとも簡単に扉を開ければ、夏だけに少し暑苦しいがきれいに晴れ渡った空が広がった。
「さっそくなんだけど、」
実のところ屋上には来たことがなく、そのインパクトの大きさに魅了されていると、よく通る凛とした声が話を切り出す。
:11/11/12 23:18
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#429 [ちか]
そこで我に返った俺は曖昧な相づちを打ち、続きを促した。
それに対してニッコリ微笑む彼女。
「あたし、E組の瀬野麻美(セノ アサミ)。分かる?」
「……や、ごめん分かんない。」
E組なら分からなくても無理は無い。
俺や冥はA組で、AとEは廊下の端同士なのだから。
俺の返事に瀬野も、だよね、と笑う。
そしてニコっと微笑み直し、続けた。
「あたし、蓮見くんのこと好きなんだ。付き合ってほしいの。」
ほら、来た。
構えていたその言葉が。
:11/11/12 23:29
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#430 [ちか]
結局はみんなそうなんだ。
特に俺を知りもしないで、そんな状態で俺を好きだの言ってくる。
簡単に。
俺が冥に言えない言葉を簡単に。
しかし、それは決して叶うこともない。
そこに自分を重ねて、同情という名のもとに優しい口調で断り続ける自分。
そんな時の優しさなんて
本当の優しさでもなんでもないのに。
それをまた勘違いするんだから、つくづく可哀想になる。自分共々。
そんなことを悶々と考えながらも、こんな状況にももう慣れたのか自動的に適当な言葉が口から滑るように出た。
最後にお決まりの言葉を添えて。
「…だから、部活以外今興味ないんだ。ごめ…」
それでいつもみたいに終わると思っていた。
「嘘はダメだよ、蓮見くん。」
のに。
:11/11/13 19:11
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