漆黒の夜に君と。V[BL]
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#437 [ちか]
なんなんだ、こいつ。

不思議と瀬野のペースに引き込まれていくのが自分でも分かった。



「あたしの蓮見くんに対する“好き”は、興味の対象って意味だから。
日下くんを愛しそうに見てる蓮見くんがあたしは好きなの。それをもっと傍で見れたら素敵だと思って!」


そこに押しの一言。



「蓮見くんの一番は日下くんのままでいいんだよ、そしたら蓮見くん的にはすごい特だと思わない?無駄に女の子に言い寄られることもないし、ね?」




気がつけば俺は小さく頷いていた。

「…わかった。でも、瀬野さん今言ったこと忘れんなよ?」



それが
俺と瀬野の付き合いの始まりだった。

⏰:11/11/15 21:58 📱:Android 🆔:3nDUr.S6


#438 [ちか]
「彼女が出来たああぁあぁ?!」

屋上で瀬野と別れ、教室に戻ると残わずかとなった昼休みのうちに冥にそのことを報告してみた。

その途端、椅子から立ち上がり、それと共に勢い良く両手を机に突っ立てる冥。


「そんなびっくりしなくても…」

「さっきまで部活しか興味ないって言ってたくせに!!そりゃびっくりするって!」


あまりのリアクションにおれ自身も驚いたが、それもそうか、と妙に納得しつつ、予想外の反応に少し面白くなってくる。

顔がにやけないようにポーカーフェイスを保つのに必死になっていると、冥が目の前であからさまなため息をついた。



「……なんか、でも寂しいなぁ。」


へ?

⏰:11/11/16 07:25 📱:Android 🆔:GxhrNHKU


#439 [ちか]
気づけば目の前のそいつの顔は驚きの表情からすっかり悲しげな表情に変わっていた。

「え、…なんで?」


訳も分からず、条件反射的にそう聞き返すと、冥はさっき勢い良く立ち上がったのとは正反対にふにゃふにゃとしゃがみこむように再び椅子に腰を落とし、チラリとこちらを上目使いで覗きこむ。



大きくて茶色い瞳、長い睫毛、
可愛いくないわけがない。


生唾を飲んで俺は自身の冷静さを取り戻そうと努めた。



こいつのこんな表情(カオ)を独り占めできたらなあ

なんて、叶いもしない願望を抱きながら。

⏰:11/11/18 06:49 📱:Android 🆔:4yjWSxQE


#440 [ちか]
冥は口を尖らして伏し目がちに呟いた。

「だってさぁ、なんか先越されちゃった感じするし。それに透に彼女出来たら今までみたいに俺としょっちゅう遊べないじゃん
?なんかすっげー寂しい…」


また伏し目がちにするとよく分かる長い睫毛と可愛い仕草が俺の心を揺さぶる。

平常心、平常心、自分に唱えつつ、考えた。


俺が彼女を作ることで、冥が俺に寂しいなんて感情を抱くなんて思ってもみなかった。

冥のその一言は本人からすれば特に深い意味を込めた言葉じゃないことくらい、分かっている。
でも、少し、ほんの少しだけ期待してしまう俺はいけないだろうか。

終始一緒だった俺が距離をとることで、分かることもあるかもしれない。お互いに。


そんな考えを巡らせてるうちに、口角が上がった。



瀬野と付き合うことは、
案外、面白いかもしれない。

⏰:11/11/18 07:09 📱:Android 🆔:4yjWSxQE


#441 [ちか]
俺がもっと瀬野と仲良くすれば、冥は俺を意識してくれるんじゃないか。

浅はかな期待がそこに生まれた。
それが後に、後悔することになるとも知らずに。



俺は、半にやけになる自分の顔を引き締め言葉を返す。

「別に今までと変わんないって。」

「えー。ほんとに?」

伏せていた目を疑うように上目使いしてくる冥。
ちくしょー、可愛い。


そんな内心を悟られないように冥の頭を雑に撫でた。

「ほんと、ほんと。寂しがんなって♪」

「…なんか透、嬉しそう。」


拗ねる冥ににやけているなんて、当の本人
は全く気づかないんだから、楽っちゃ楽だけど、なんか報われないよなあ。

なんて、少しばかりため息をつきながら頬杖をついた。


「でも、先越されたって言うけどさー、寂しいなら冥も彼女作ればいいじゃん。」

誤魔化そうとするが故に、こぼれる心と裏腹の言葉。
本当はそんなこと、これっぽっちも望んでいないのに。

⏰:11/11/18 23:21 📱:Android 🆔:4yjWSxQE


#442 [ちか]
俺の問いかけに対して冥は「んー」と唸りながら天井を仰ぐ。

「お前だってモテてんだろ?この前呼び出されてたじゃん。」

「そうだけどー…」

見た目こそ可愛らしいが、冥はモテないこともない。
人懐っこい性格やドジなところ、どこかほっとけない感じがきっと母性本能をくすぐるんだろう。

だけど、冥も俺同様今まで彼女を作ろうとしなかった。
それは前々から疑問に思っていたことで、この際聞いてみてもいいだろう、と俺は冥を覗きこんでみる。

そして、暫くしてから小難しそうな顔で冥は口を開いた。

⏰:11/11/19 23:28 📱:Android 🆔:PD4m8JoA


#443 [ちか]
「なんか、俺女子って苦手なんだよな〜…。俺のこと可愛い可愛いって言ってさ、男としてそれはなんかプライド的に傷つくし…。告白する時まで言うんだぜ?そんなんで付き合えるかっつーの!」


そう言って頬を膨らまし、むくれる冥。

そんな冥を適当にあやしながら、内心ではガッツポーズをとる俺。


女子が苦手なんて、
ラッキー以外のなんでもないじゃん。

少なくとも、当分はまだ冥を親友として独り占め出来そうだと俺は安堵に似た息をさりげなく漏らし、会話の軌道を戻した。

「ま、そのうち彼女できたら、Wデートでもしよーぜ。」

「うわー、嫌みだ…。」

いじけるような目線をよこす冥を笑いながら、そろそろいびるのもやめようと俺は思い出したように話題を変える。

⏰:11/11/25 06:51 📱:Android 🆔:gcWsrk6c


#444 [ちか]
「そういえばさ、今日ジャンプ発売日じゃん?帰りどっかコンビニ行って読んで帰ろーぜ。」

俺としては話題を変えたことはわりと気を利かせた行動だと思った。
なのに、また冥は眉を潜める。


「なに言ってんだよ、彼女と帰ったげなよ。付き合って初日なんだからさ。」

「え、あ…そっか、初日…。」

瀬野と付き合うなんて形だけで、俺の頭の中では中身なんてあってないようなものだったから、俺は意表を突かれたように言葉を詰まらせた。

だけど、
そもそも最優先は冥のままで、と提案したのは瀬野だ。
わざわざ俺が誘う義理もないし。

俺はにこやかな笑顔で返事をする。

「や、でも瀬野、今日用事あるから無理なんだってさー!だから、いいんだよ」

適当に嘘で誤魔化して。

⏰:11/11/25 21:51 📱:Android 🆔:gcWsrk6c


#445 [ちか]
なのに、
偶然とは時々すごく俺に不都合だったりする。

──────────────────………
─────────────……
────────…

「あ、あれ瀬野さんじゃん、透!」

「うわ…」

放課後。
約束通り冥と帰ろうと、玄関口まで来た俺たちの目の前をスッと通っていく凛とした姿勢。

冥の指差す方向を見て無意識に心の声を漏らした俺は、冥に脇腹を小突かれて手で口を覆った。

「うわ、ってなんだよ。おーい、瀬ー野ーさーん!」

「ちょ、お前、なに大声出してんだよ!」

「そうしなきゃ聞こえないだろ?瀬ー野ーさーん」

ところ構わず声を張り上げる冥に俺はため息をつく。
このお節介…なんて、口には出せないけど。

⏰:11/11/26 08:13 📱:Android 🆔:3ff3LCNc


#446 [ちか]
冥の大声に、凛とした後ろ姿がくるりと振り返る。

それと共に、ピンク色のぷっくりとした唇が俺たちに笑いかけた。

「あ、蓮見くん日下くん、偶然だね」

夕暮れにはえる色白の肌。
笑いかける瞳。

なぜか少し背筋がゾクリと疼く。

そんな俺をお構い無しに、お節介な少年はその笑顔に笑顔で返した。

「透が、瀬野さん用事があるから一緒に帰れないって言ってたけど、早く終わったんだねー用事!」

「え、用事?」

曇りのない澄んだ瞳がチラリと俺を見る。

マズイ…。

俺はひきつるような笑顔で瀬野をただ見つめた。

⏰:11/11/26 23:30 📱:Android 🆔:3ff3LCNc


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