心霊夜話
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#146 [怪男]
 
 
 
 
 あの時赤木から貰ったカプセルの中身が覚醒剤だとわかった今、薬は学校内では飲まなくなり、ほとんどは数学の授業がある日の放課後、公園の公衆トイレなどでペットボトルの水に混ぜて飲むようになった。


 飲んだ後の、何もかも忘れられるこの時間が勇紀には病みつきになり、やがて中毒になっていく…。



 そして約一カ月後の今に至る―
 
 
 
 

⏰:12/01/04 12:44 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#147 [怪男]
 
 
 
 
 数学の授業が終わり、その日の放課後―

 勇紀はそそくさと学校を出てある場所へと向かった。


 一カ月前、麻薬の売買屋と初めて会ったあの路地裏である。

 薬が無くなったので、再び買う為だ。


 「あ、こっちです!」

 向こうからやって来る背の高い30代前半くらいの男性に向かって手を振る勇紀。

 あの小太りの男性は仕事中との事だったので、彼の知り合いだという別の人が来た。

 あれから、この知り合いの人とは何度か会っているので勇紀はもう慣れていた。
 
 
 
 

⏰:12/01/04 12:59 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#148 [怪男]
 
 
 
 
 「四つで5000円でどう?」

 「えぇ?もうちょっとまけてくださいよ」

 「仕方ねぇな…じゃあ半額の2500円でいいよ」

 「ありがとうございます!」

 そんな手慣れたやりとりを続け、お互い貰うものを貰い、彼が去るのを見送くってから勇紀も帰ろうと後ろを振り向いた時…


 そこには、買い物袋を両手に持った母・渓子が唖然とした表情で立っていた。


 「母さん…」

 母の顔を見た勇紀の手から、白い粉が入った四つの透明の袋がするりと抜けて…地面に落ちた―
 
 
 
 

⏰:12/01/04 13:13 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#149 [怪男]
 
 
 
 
 母・渓子は勇紀の足元に落ちた袋を見てから、再び顔に視線を戻す。

 そして呆然と立ち尽くしている勇紀に近づき眉をしかめて

 「勇紀…どういう事なの?」

 と、買い物袋を持った両手を小さく震わせながら尋ねた。


 「……ご、ごめん…なさい…」

 勇紀には、ただ謝る事しかできなかった。

 当然言い訳はできず、その場にへたり込んで何度も何度も…。


 何十回目くらい『ごめんなさい』と言った所で母・渓子は片手の買い物袋を下ろして勇紀の頭にそっと手をやった。
 
 
 
 

⏰:12/01/05 12:52 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#150 [怪男]
 
 
 
 
 そして一言…

 「帰ろう。今日はすき焼きだよ」

 そんな母の言葉に、勇紀は俯いていた顔を上げ、その涙目で母を見て

 「帰ったら…全部…話すから…」

 と鼻水をズズっとすすりながら言い、立ち上がる。


 「それ…お母さんが預かっとく」

 そう言って母・渓子は地面に落ちている四つの袋をかき集めてポケットにそっとしまうと、勇紀の方を見て笑顔で言った。

 「お父さん達には言わないからね。
…それよりこの袋一つ持ってくれる?もう重くて重くて!」

 「う、うん…」

 二人はそれぞれ買い物袋を一つずつ持ち、その場を後にした。
 
 
 
 

⏰:12/01/05 12:56 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#151 [怪男]
 
 
 
 
 帰り道、母・渓子は勇紀の一歩前を歩く。


 会話もなく気まずい雰囲気の中、五分もしない内に自宅へと到着。

 家のドアを開け玄関で母・渓子が大きな声で『ただいま』と言うと、廊下の奥からお洒落な服装の長女・美緒がやってくる。

 「お母さん、勇紀、おかえり」

 「あら、これからアルバイト?」

 「うん。だから夜ご飯作る手伝いできないの。ごめんね」

 「それはいいのよ、夏美がいるし。それより久しぶりのすき焼きを一緒に食べれないのが残念だわ」

 「ほんとごめん。じゃあ私行くね」

 長女・美緒は明るくそう言うと、靴を履いて勇紀達とすれ違うように外へと出ていった。
 
 
 
 

⏰:12/01/05 12:58 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#152 [怪男]
 
 
 
 
 リビングへ行くと、制服姿の次女・夏美がソファに座り携帯電話をいじっていた。

 母・渓子はそんな夏美を見るなり

 「夏美、すき焼きの準備するから野菜切るの手伝って」

 と、少し疲れた声で言う。


 「…………」

 だが夏美は聞こえていないフリをしているのか、携帯電話の画面をじっとにらみつけている。

 すると母・渓子は勇紀の方を見て「あとはよろしく」と言わんばかりの表情をした。
 
 
 
 

⏰:12/01/05 13:01 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#153 [怪男]
 
 
 
 
 勇紀は一瞬困惑しながらも、小さく頷いてから夏美の元へと向かい声をかける。

 「えっと、夏美…母さんの手伝いしてやりなよ」

 「…………」

 だが夏美はまだ聞こえないフリを続ける。


 「夏美…!母さんの手伝い……」

 勇紀が少し強めにここまで言うと、夏美はソファからいきなり立ち上がり、舌打ちをして携帯電話を閉じて

 「るっせーな。やりゃいんだろ」

 と勇紀をにらみつけながら言うと、大きく足音をたてながら母・渓子のいるキッチンへと歩いていった。
 
 
 
 

⏰:12/01/05 13:03 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#154 [怪男]
 
 
 
 
 勇紀は一息ついてから夏美の座っていたソファに座り、テレビの電源をつける為に机の上にあるリモコンに手を伸ばした時、ふとリモコンのそばに置かれた携帯電話が目に入った。

 キラキラしたストラップがついた白い携帯電話。

 「あれ、これって…」

 その携帯電話を持って立ち上がり、キッチンにいる母・渓子の所へいく。


 「母さん…これって姉ちゃんの携帯…だよね?」

 そう言いながら携帯電話を見せると母・渓子は、それをまじまじと見つめて

 「ああ、美緒のだね。忘れていったのかねぇ」

 と、微笑みながら言った。
 
 
 
 

⏰:12/01/05 13:05 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#155 [怪男]
 
 
 
 
 「じゃあ俺ちょっと届けてくるね。まだ近くにいると思うし」

 「うん。気をつけなさいよ」

  長女・美緒の携帯電話を制服のポケットにそっとしまい、勇紀は家を出た。

 美緒のアルバイト先は勇紀も知っているので、通勤中に見つからなかった場合には職場に直接届けようと思い、勇紀は走る。


 しばらくして、駅前の交差点に出た。


 「(いない…バイト先に届けよう…)」

 結構走った為、勇紀は息切れ寸前。

 
 ―そんな時だった

 信号待ちをしている人達の中に長女・美緒と思われる人物の後ろ姿が目に入った。
 
 
 
 

⏰:12/01/05 13:08 📱:W62P 🆔:☆☆☆


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