心霊夜話
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#161 [怪男]
 
 
 
 
 「美緒は?今ね、あの子の働いてるコンビニの店長さんから電話あったの。
もう美緒のシフト始まってる時間なのに出勤してないって」

 それを聞いて、ドキッとする勇紀。


 母・渓子は更に続ける。

 「携帯にかけても、すぐ切られるっていうし…。勇紀何か知らない?」


 「えっと……」

 当然、言葉が詰まる。


 「勇紀?どうしたの?」

 と訪ねる母・渓子。
 
 
 
 

⏰:12/01/06 11:59 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#162 [怪男]
 
 
 
 
 勇紀は母が、姉が風俗店で働いているかもしれないという事を知っているのか確かめる為に質問した。

 「えっと母さん…姉ちゃんって仕事何か掛け持ちしてる」


 すると母は

 「…え?掛け持ち?いや、何も聞いてないよ」

 と答える。

 これで、母は姉の風俗店出入りの事を知らないと確信した。


 息子の自分が麻薬に関わっていたという事が母にわかった上、姉まで風俗店で働いているかもしれないなんて言うと母は腰を抜かして倒れてしまうかもしれない、と思った勇紀は姉の風俗店の事は言わず

 「実は、姉ちゃんに携帯渡そうとして追いかけてたら途中で見失なっちゃって…」

 と笑いながら言った。
 
 
 
 

⏰:12/01/06 12:31 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#163 [怪男]
 
 
 
 
 だが母・渓子は「笑っている場合じゃない」と言わんばかりに電話の向こうで大きなため息をついた。

 「とりあえず帰ってきなさい。
あと、美緒の携帯にまた店長から電話あったら出て事情を話すんだよ」

 「うん、わかった」

 そう言って電話を切り、勇紀は逃げるようにその場を後にした。


 考えてみると、姉の美緒は友達らと遊ぶという時はお洒落な格好をしていたが、アルバイトの時はどちらかというと地味系な服を着ていく事が多かった。


 母もその事は知っているはずなのに、あの時玄関で何も聞かずスルーしていた。
 
 
 
 

⏰:12/01/07 11:45 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#164 [怪男]
 
 
 
 
 ―母は姉の風俗店の事を本当に知らないのだろうか?

 ―もしかすると、知っていてあえて触れずに目をつむっている?

 帰り道でそんな事を考えながら歩いていると、また勇紀の携帯電話が鳴った。

 …母からである。


 「もしもし?」

 「勇紀?何度もごめんね。
今ね、店長から電話あって…今日美緒のシフト入ってなかったんだって。
明日の間違いだったんだって」

 「え…そうなの?」

 「うん、だから無断欠勤って訳じゃなかったの。でも…それなら美緒はどこに行ったんだろうねぇ」

 困惑しながら母・渓子がつぶやく。
 
 
 
 

⏰:12/01/07 12:03 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#165 [怪男]
 
 
 
 
 勇紀はさりげなく服の事を持ち出す。

 「姉ちゃん派手な格好してたし友達と遊びに行ったんじゃない?」

 「でもアルバイト行くの?って聞いたら、うんって言ってたじゃない。あの子は家族に嘘付くような子じゃないしねぇ」

 服の事を言っても、やはり母は風俗店の事を何も知らないようだった。


 「帰ってきたら聞いてみたら?」

 「そうだね。でもその前に勇紀…アンタからだね」

 「…………今から帰るね」

 電話を切ると、家へと小走りで急いだ。
 
 
 
 

⏰:12/01/07 12:32 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#166 [怪男]
 
 
 
 
 家に着いてリビング行くと、母・渓子がソファーに座り煙草を吸い一服していた。

 次女・夏美は自分の部屋にいるのかリビングは静まり返り、時計の針の音だけが休む事なくコチコチ鳴っている。

 「ただいま」

 背後の勇紀の声に母は煙草を加えたまま振り返る。


 「おかえり。まず着替えてきなさい」

 母は煙草を口から外して灰皿にこすりつけながら言う。


 勇紀は言われた通り、着替える為に無言で階段を上がり自分の部屋へ向かった。
 
 
 
 

⏰:12/01/09 23:49 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#167 [怪男]
 
 
 
 
 いつもの私服に着替え部屋から出てドアを閉めると、同時に後ろからドアの開く音がした。

 振り返ると、そこに次女・夏美が立っていて勇紀を凝視している。


 「…なに?」

 すき焼きの準備の手伝いの件でまだ怒っているのかと思わず身構えたが、夏美は視線を勇紀から外して下の方を見ながら

 「なんかあったの?」

 と尋ねてきた。


 「え…」

 予想外の言葉に拍子抜けする勇紀。
 
 
 
 

⏰:12/01/09 23:51 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#168 [怪男]
 
 
 
 
 「え…なにかって?」

 「ババアが電話で言ってたじゃん。
“まずはアンタから”って」

 鋭い夏美の一言に一瞬ドキっとする。


 夏美は自分の麻薬の事を知らない。

 当然言えるはずもなく、勇紀は瞬時に言い訳を考えた。

 「ああ…テストの点が悪かったから、俺が一番に説教されるって事だよ…」

 この苦し紛れの言い訳が果たして勘が鋭い夏美に通用するだろうかとドキドキしていると、夏美は勇紀に視線を戻し眉をしかめて

 「は?美緒の話してたのに、なんでいきなりテストの話とかになんの?嘘付いてんのバレバレなんだけど」 


 …案の定、通用しなかった。
 
 
 
 

⏰:12/01/10 00:04 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#169 [怪男]
 
 
 
 
 夏美は更に続ける。

 「それにババアのやつ、電話終わったらウチに“部屋に行ってなさい”ってキレたし」

 「え…そうなの?」

 「うん。だからとんでもない事でもやったんじゃないのかって思った。勇紀、なにしたの?」

 「…………」

 勇紀は下を向いたまま黙りする。


 兄が麻薬に手をつけたなんて知ったら夏美にも夏美の学校にも迷惑がかかるかもしれないと思い、言えなかった。


 「チッ!男の癖にウジウジうぜーやつだな。もういいわ」

 ついにキレた夏美は俯く勇紀にそう言い放つと、自分の部屋に戻りドアを大きくバタンと閉めた。


 「(ごめん…夏美…)」

 勇紀はゆっくりと顔を上げ夏美の部屋のドアを見つめながら心の中で謝る。
 
 
 
 

⏰:12/01/10 00:10 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#170 [怪男]
 
 
 
 
 そして重い足取りで階段を下り、母が待つリビングへ向かった。


 「…そこ座って」

 そう言う母の顔はいつもと違い、険しい。

 勇紀は緊張な面持ちで向かい側のソファーに座る。

 座るなり母はポケットから、勇紀があの時落とした覚醒剤の袋を取り出してテーブルの上に置いた。


 勇紀は母の顔を見れず、テーブルの上の覚醒剤をじっと見つめる。


 「これ…いつからなの?」

 「……い、一ヶ月前くらい…から」

 「…………」

 覚醒剤を見つめたまま答える勇紀には、母が今軽蔑しきった目で自分を見ているのだろうと思えた。

⏰:12/01/10 20:37 📱:W62P 🆔:☆☆☆


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