先生、あのね。[BL]
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#121 [うさみ。]
佐佐木先生、めんどくさいことを口添えしてくれたな。
内心そんな風に考えながら頭を掻いた。
当の本人は気づいている様子もない。
つくづく零れそうになるため息をぐっと飲み込み、自分のデスクに腰を落とした。
……―――それから約2週間、
俺は仕方なく毎日約束通り百瀬と飯を食った。
:12/03/12 17:44
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#122 [うさみ。]
はじめは、
半径何メートル以内に来るなとか、
こっから先踏み込むなとか、
なんせ過剰なほど警戒しまくった。
しかし、
境界線を引けば百瀬はそれを越えようとしなかったし、あの日以降あんな展開になることもなく、そんな習慣はごく当たり前に俺の日常に溶けていった。
ただ黙々と飯を食って、
時々会話をする。
学校のこととかクラスのこととか、
当たり障りのない会話を。
それがいつもの昼休みになっていたのだ。
:12/03/13 00:44
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#123 [うさみ。]
そんなある日のこと。
「ずっと気になってたんだけどさー、お前学校サボってた頃何してたの?」
何気なく口から出た疑問に、
百瀬はひどく目を泳がせた。
そんなに答えるに疚しいことをしていたのか?
自然と俺は百瀬に探るような視線を送る。
「バ、バイト三昧っていうか、昼夜逆転生活みたいな…。あは」
なんとも歯切れの悪い返事。
ここ何日かこいつと接しながら気づいたことが一つある。
こいつは嘘が下手だ。
:12/03/13 00:51
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#124 [うさみ。]
「へえー?」
あえて深くは聞き込まず、
しかし嘘だと言うことを見抜いている程度は分かるように相づちを打つ。
すると百瀬が珍しく必死な顔で食らいついてきた。
「ほ、ホントだって!!俺バイトかけもちしてて、深夜もシフト入れてるから朝とか時々起きれなくて…、あ、でも約束してからはちゃんと起きてるよ?」
信用されていないと思いよほど焦ったのか、激しく饒舌になった百瀬に俺は思わず吹き出した。
「んな必死になんなよ。わかったわかった、先生は百瀬くんを信じましょう?」
茶化すように返事をすると百瀬はため息にも安堵にも似た息を吐いて、
勢いであげた腰をもう一度椅子に沈ませた。
:12/03/13 00:58
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#125 [うさみ。]
なんだ、可愛いとこあるんだな百瀬も。
なんとなく自分の中で嫌いだった百瀬が
並みに昇格した頃には、
あの約束から1ヶ月ほど経っていた。
そんな5月半ばの、
程よい気温を保った夜のこと。
.
:12/03/13 01:05
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#126 [うさみ。]
独り暮らしの男の家の冷蔵庫は寂しい。
大抵が長期間保存のきくものか、
その期限すら切れているもの、
そして疎らに揃えられた安い酒だ。
その日俺は冷蔵庫を開けてため息をついた。
「げ、さいあく。」
ストックしていたはずのビールでさえも、うっかり切らしてしまったからだ。
:12/03/13 01:11
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#127 [うさみ。]
酒なしに疲れた心身を癒すことができようか。
いや出来ない。
俺は冷蔵庫を閉め、
財布をケツのポケットに入れて
早々部屋を出た。
近場に徒歩五分のコンビニがある。
寝酒と少しのアテを買いにいこう。
頭の中はそれだけだった。
それだけだった、はずだったのだ。
:12/03/13 01:15
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#128 [うさみ。]
なのにどうして見てしまったのだろう。
中に入って目に飛び込んできたのは、
もう見慣れた明るい茶髪と背中。
「も…、」
思わず見慣れた背中に声を掛けようとしたとき、それ遮ってよく通る声が鳴った。
「モモ?ちょっとこっち来てー」
咄嗟に名前を呼びかけた口を閉じ、その声を辿る。
するとそこには、百瀬に手招きをしている二十代後半と思える黒髪の女がいた。
:12/03/13 15:21
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#129 [うさみ。]
「ん?」
返事をして駆け寄る横顔はやはり百瀬だった。
疚しいことなんて何もないはずなのに、
二人が寄り添う姿を見て俺は商品棚の影に体を隠した。
辛うじて二人が見えるように頭を覗かせるように。
この女は百瀬のなんなんだろう。
なんでこんな時間に一緒にいるんだろう。
家族?
いやあいつの家族構成に姉は居なかったし、母親にしては若すぎる。
だいたい百瀬の家は俺の家とは真逆。
家族とコンビニに来てるシチュエーションなら自分の家の近辺がベターだ。
:12/03/13 15:34
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#130 [うさみ。]
と、するとつまり…
推測が確信に変わる瞬間。
それは簡単に訪れる。
二人は俺に気づかないまま、
提げていたカゴを持ってレジへと向かった。
しかし突如、
女の方がレジを目の前に踵を返したのだ。
驚いた俺の肩がビクリと跳ねた。
気づかれないように息を殺す。
BGMの流れた店内でそんな行為、まったく意味を持たないというのに。
:12/03/13 16:26
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