先生、あのね。[BL]
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#111 [うさみ。]
そして俺はふたたびかじりかけの菓子パンにかぶりついた。

そしてただ黙々と食った。

さっさと食ってしまえばあとは帰るだけだから。
俺がこいつと約束したのは『昼飯を一緒に食う』、だから。


そして
不思議なことに百瀬もそんな俺をただニコニコと見つめるだけで、止めに入るようなことはなかった。

⏰:12/03/12 01:30 📱:Android 🆔:oytJIUx2


#112 [うさみ。]
なんかそれはそれで緊張するっていうか。
なんていうか。

変な緊張に気づかないようにするたびに口の中にパンの欠片が収まっていく。

どこぞの小動物のように両頬にありったけのパンを詰め込んだその時、

「っんぐ!!!?」


案の定むせた。

⏰:12/03/12 15:54 📱:Android 🆔:oytJIUx2


#113 [うさみ。]
「うっ!?ゲホッ、っ…ゲホッ!!!!」

「え、先生?!大丈夫?!?!これ飲む?!」


慌てて差し出されたカフェオレを流し込んだ。


そして、

「し、死ぬかと思った……。」


なんとか蘇生完了。

⏰:12/03/12 15:59 📱:Android 🆔:oytJIUx2


#114 [うさみ。]
目の前で百瀬も安堵の息を漏らした。


「ったく、なんか先生ってドジだよね。」

「黙れ。」

「口は悪いけど。」

「うるさい。」

俺が仏頂面で返すと、百瀬は困ったように笑う。
そして間をあけてから

「…相変わらず、だよね。」

と続けた。

「昔から知り合いだったわけでもないのにお前に“相変わらず”なんて言われる筋合い無い。」


言うと百瀬はさらに困ったように眉を下げ、笑った。

⏰:12/03/12 16:19 📱:Android 🆔:oytJIUx2


#115 [うさみ。]
「あ」

固まった空気を解すように、
ふいに百瀬は俺を見てぽつりと呟いた。

言ってそのまま近づいてくる。
ぐんと縮まる距離。


「え、なに…」

最後まで問い掛ける間もなく、
俺は口端にかぶりつかれた。


「パン屑、ついてたよ。」


それはほんの一瞬だったのに
一気に全身が熱くなる。

⏰:12/03/12 16:36 📱:Android 🆔:oytJIUx2


#116 [うさみ。]
「ちょ、調子に乗るなっ、このド変態!!!!」

「酷い言われよう。」

俺はヘラッと笑う百瀬を横目に下唇を噛んだ。


ああ〜、俺今絶対顔赤い。絶対赤いよなぁ。
悔しい。



こんなことで動揺している自分も、

昨日を思い出す自分も。

⏰:12/03/12 16:47 📱:Android 🆔:oytJIUx2


#117 [うさみ。]
「俺、先生のそういうとこも好き」

「ッッ…〜っだから黙れって!!!!」


あっけらかんと、
しかしいたって真面目な顔でそんなことを言う百瀬を見て、
咄嗟に照れ隠しから目先の相手を殴る姿勢を取った。


が、あっさりその手首を掴まれてしまう。
所詮は照れ隠しだ。
降り下ろされるスピードなどたかが知れている。


「暴力反対。」

笑いかけられる度に俺の心拍数が上がる。
不覚ながらも。

⏰:12/03/12 17:02 📱:Android 🆔:oytJIUx2


#118 [うさみ。]
「…………帰る。」


苛立ちを必死に押し殺してやっと吐いた言葉だった。

そのまま目を合わさずに踵を返す。


百瀬もそんな俺を追うわけでもなく、
なんなく入り口に差し掛かった。

そのとき、

「俺、明日もちゃんと学校来るから、先生も約束忘れないでね。」

後方からそんな声をかけられる。
返事などせずに俺はそのまま保健室を出た。


それから、“約束”という曖昧な言葉が俺の普通だった日常を縛る一つの呪文となった。

⏰:12/03/12 17:10 📱:Android 🆔:oytJIUx2


#119 [うさみ。]
【 第五話 午後の授業は眠気との戦い 】


それから百瀬は毎朝遅刻せずに学校に来るようになった。
そして俺も律儀にあの約束を守り続けた。


なぜなら、

「最近例の問題児くんが真面目に学校に来てるそうじゃないか。」

「あぁ、まぁ…」


学年主任にそんな風にして声をかけられたからである。

⏰:12/03/12 17:31 📱:Android 🆔:oytJIUx2


#120 [うさみ。]
曖昧な返事を打つ俺に、
隣のクラスを担任する佐佐木先生が入ってきたのはそんなタイミングだった。

「間宮先生相当好かれてるみたいですね。特Aの子達から聞きましたよ、約束してるんだって。」

清楚、おしとやか、女性らしい、そんな言葉のよく似合う彼女がそう言って笑う。
俺もつられて愛想笑いをした。

学年主任は「ほおー」と唸って感心したように顎髭を触る。


「教師が生徒に、ましてや問題児に好かれるなんてこのご時世なかなかないことだよ。良いことじゃないか。その調子で頼むよ。出席率は学年の問題でもあるから。」


遠回しに、”自分の出世にも関わるからどうにかするように“と暗示されているのはさすがに分かった。

⏰:12/03/12 17:41 📱:Android 🆔:oytJIUx2


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