先生、あのね。[BL]
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#4 [うさみ。]
俺は勉強もスポーツもそれなりに出来て、顔も運良く整って生まれてきたおかげで万年女に困ることもなく、
身長こそ少し低いものの、特にこれといった苦労も不満もなしに今日まで生きてきた。

きっとこれからも、そうなはずだった。


「百瀬ー、…百瀬優人ー、」

「………………。」

「…も、」

「せんせー、モモまだ来てないよー」


あいつに会うまでは。

⏰:11/12/10 23:56 📱:Android 🆔:XHAJm/VU


#5 [うさみ。]
( またか…。)


生徒の声に返事をしつつ、手元の名簿にチェックを入れた。
一学期が始まって、はや一ヶ月。
チェックの数は日に日に増えている。



「誰か理由分かるヤツいるー?」


こんな問いかけももう何度目だろう。
答えなんて分かっているのに。

⏰:11/12/11 00:16 📱:Android 🆔:xH1.3UGc


#6 [うさみ。]
「どうせ寝坊かなんかだと思いまーす。」

………ほら、やっぱり。

「だれかアイツと連絡とれるヤツいたら、連絡してみてくれないかー?携帯出して良いから。」

そう言って持っていたボールペンをくるくると無意味に回転させて気を紛らわすも、効果はとくに無し。

席の端からは百瀬と親しい友人が優しいことにちゃんと返事をくれるから助かってはいるのだが。


「モモ今携帯止まってるって言ってたよー」

苛立ちは募るばかり。

「そっか、わかった、さんきゅー。」

俺は心の中で小さく溜め息を吐いた。

⏰:11/12/11 00:26 📱:Android 🆔:xH1.3UGc


#7 [うさみ。]
そうしているうちに名簿も読み終え、
特に変わったこともないので適当な締めの言葉を並べ俺はホームルームを終わらせる。

だらだら長ったらしいホームルームなんて、俺が生徒なら御免だから。


そして教室をあとにしようとドアに右手をかけた時、生徒たちの話し声が耳を掠めた。

「でも、モモって不思議だよなー」

「えーなんでー?」

「だってこんだけ遅刻、早退、欠席してるけど毎回テスト上位じゃん?おまけにうちの特進選抜の時は成績トップ。」

「あー、たしかに。」

「見た目もあんなチャラいしな〜」



たしかに。

そう言って頷く女子生徒と同じような相槌を内心で打ちながら、俺は教室を出た。

⏰:11/12/11 00:58 📱:Android 🆔:xH1.3UGc


#8 [うさみ。]
俺の受け持つこのクラス2年A 組は、別名“特A ”。

1年の三学期末の実力テストで上位成績優秀者のみを選抜した特進クラスのことを意味している。


そんなクラスを教師三年目の俺が任されることになった時は、心底驚いたものの、自分の実力を買われたのだと自負し、今に至る。

人数も多くないからせめて名前と備考は覚えておこうと、学期前に1年時の生徒調査書に目を通した時は俺もあの生徒たちのように、アイツを不思議に思った。


今も、だけど。

⏰:11/12/11 01:08 📱:Android 🆔:xH1.3UGc


#9 [うさみ。]
「う゛っ!!」


そんな回想に頭を使っていたためか、いつの間にか目の前を見ていなかった俺は何かに顔面をぶつけた。

ぶつけた箇所がジンジンと痺れ、痛い。


俺としたことが。

少々痛い顔を片手で庇いつつ、ぶつかった障害物に目を向けると同時に聞き覚えのある少しクセのある声が頭上で鳴った。


「わ、せんせー、大丈夫?」

この声、

「…………ももせ…。」


今日の遅刻の張本人。

⏰:11/12/11 12:28 📱:Android 🆔:xH1.3UGc


#10 [うさみ。]
俺のクラスの遅刻、早退、欠席の常習犯、
百瀬優人(ももせ ゆうと)。


脱色しているであろう明るい茶髪にキラキラと光るピアスがちらつく。
そんな百瀬は俺の目線に合わせて少し膝を曲げ、心配そうにこちらを窺う。


「あー、ちょっと赤くなってるよ?冷やす?」

「ひっ…」

自らの冷えきった手を俺の顔に当ててくるそいつは、俺の反応にイタズラっ子のような笑顔を浮かべた。


この笑顔、まじでイライラする。

⏰:11/12/11 12:52 📱:Android 🆔:xH1.3UGc


#11 [うさみ。]
「あは、先生かーわいっ」


笑うと綺麗に並んだ白い歯が見えて、長い睫毛や色形の良い薄い唇、おまけに筋の通った高い鼻が憎らしい。

「…百瀬、先生をからかうな。」

俺は自分より背の高いソイツを不本意ながら見上げ、これでもかと言うほど睨み付ける。

が、その整った笑顔がくずれることはない。

「だって先生が可愛いから。」



それがかえって俺の中で毒々しい感情を生むのだ。

⏰:11/12/11 13:35 📱:Android 🆔:xH1.3UGc


#12 [うさみ。]
「お前な、今日で遅刻何回目か分かってんのか?テストだけ受けてれば3年に上がれると思うなよ?真面目に学校来い。」


日誌を軽くペラペラと振りながらそう言うと、百瀬は特に詫びる様子もなくまたヘラっと笑った。

「えー、先生が朝にモーニングコールでもしてくれたら、毎朝ちゃんと学校来るよ。」

「バカか。」

女を口説くような口振りを冷たくあしらうと少し悲しげな顔をして百瀬は唇を尖らせた。

どうせその顔も作ってんだろ。
そんなんで俺が騙せると思うなよ。

そう言わんばかりの顔で俺は呆れた目で百瀬を見た。

⏰:11/12/11 13:57 📱:Android 🆔:xH1.3UGc


#13 [うさみ。]
「…あと、お前この前のテスト現国だけ赤点。今日補習だからサボんなよ。」

俺は斜め上の端正な顔の前にビシッと指をさし、皮肉たっぷりにそう言い放った。

「えー…、」

漸くの期待通りの反応に俺は口角を上げる。

ふっ、心底めんどくさがるがいい。
そして落ち込めばいいさ。
なんせ現国は俺の担当教科。
百瀬は俺の授業に出たことないから知らないだろうが、俺は鬼の間宮と呼ばれるほど授業は厳しいんだぞ。

半端な態度で補習から解放してやるつもりは無いからな!!

覚悟しろ、あーはっはっはっ!!


「先生、顔緩んでるよ?」

「え?!あ、いや何でもない。」


いけないいけない、ポーカーフェイスを守らねば。
咳払いをして百瀬を見上げると、やはり少し不満げな顔を浮かべる百瀬。

⏰:11/12/11 15:23 📱:Android 🆔:xH1.3UGc


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