horrorU〜二重連鎖〜
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#122 [輪廻]
そして口をゆっくりと開き中を覗いた瞬間…
『うっ!!』
ダンボールの中から突然、肉の腐ったような異臭が放たれ、思わずその場から身を引いた。
『…んだよ…これ…』
立ち上がり、鼻に手を抑えながら再びダンボールの中を見る。
中には、何かを包んでいるような新聞紙が数個入っていた。
心臓が高鳴る。
この新聞紙の中に一体何が包まれているのかー?
そして、この中から放たれる肉の腐ったような異臭ー
なぜかその新聞紙を開いてはいけないような気がしたが、中身を確認しない事には処分する際に分別のしようがないと思い、顔を遠ざけ腕だけを伸ばす形でダンボールの中の、何かを包んだ新聞紙の一つを手に取った。
:12/03/14 09:39 :iPhone :Y8b7jttI
#123 [輪廻]
手に取った感触は硬くもなく柔らかくもない。
ゴクリと息を呑み、ゆっくり手で新聞紙の包みを開けていく。
その瞬間…
『…………ッ!?』
中からチラリと覗いたそれを見て、狂也は言葉を失ったー
新聞紙の中には、薄黒く乾いた血で染まった人間の足首から下と思われる部位が入っていた。
:12/03/14 09:40 :iPhone :Y8b7jttI
#124 [輪廻]
>>121 訂正
重力 ×
重量 ○
ーーーーーーーーーー
『うわっ!!』
反射的にそれを手から離し、床に投げつけるように落とす。
想定外のものが入っていた事で、またもや思考が停止する。
『………………』
床に転がった新聞紙の包みを見て唖然呆然としていると、ふいに布団に置いてあった携帯電話のバイブが鳴った。
震えた手で携帯電話を手に取り、画面を見る。
:12/03/14 09:55 :iPhone :Y8b7jttI
#125 [輪廻]
“03-XXXX-XXXX”
デスネットの番号からの着信だった。
まさかこのダンボールを自分の部屋の前に置いた者の正体はー
そう考えると、ジワジワと頭に血が登り、狂也は迷う事なく通話ボタンを押した。
『……はい』
『大槻様でございますか? こちらデスネットの日向ですが』
出るなり不機嫌そうな声で言うと、相変わらずの紳士的な言葉が返ってくる。
その言葉遣いにも無性に腹が立ち、狂也は日向とは対照的な言葉遣いで問いただした。
:12/03/16 11:43 :iPhone :AmfSeBOM
#126 [輪廻]
『おい! アンタの仕業だろ! 俺の部屋の前に…こんなものを…!』
『……はい? 一体何のお話でしょうか?』
『とぼけんな! こんな事すんのアンタの会社くらいしかないだろうがッ!!』
ガンガン問いただすが、日向はあくまで否定する。
『それは心外ですね。身も蓋もない話でございます』
『…チッ!』
冷静な口調で否定する日向にイラ立ちを隠せず、向こうに聞こえるように大きく舌打ちをする。
『大槻様。人を疑って責める前に、まず自分のした事を悔い改める事ですね』
『……だから俺はあの仕事は最後までちゃんとやったって言ってんだろ!』
『そう言われましてもね。依頼者様が、ああ仰っていますので』
あくまで、その依頼者の話を信じ優先させるデスネットの日向。
:12/03/16 11:45 :iPhone :AmfSeBOM
#127 [輪廻]
もう話にならないと通話を切りたくなったが、この人体のパーツが入ったダンボールの送り主は絶対にデスネットに間違いはないと確信していた為、その事が解決するまでは電話を終えるわけにはいかない…そう思った。
『大槻様…このままお認めにならない場合、こちらとしてはそれそうの手段を取らざるを得ません』
『それそうの…手段?』
大体は予想できるが、なんとなくポツリとつぶやくように訊ねた。
『昨晩も申し上げました通り、デスネットにおけるお仕事の途中放棄はこちらでは立派な禁止行為となっております。
しかし大槻様はまだ一度しかそれをとっていないので、もしそれを今ここで悔い改めるのならば…まだチャンスはあると思って頂いて結構ですが?』
向こうは、こちらが認める認めない以前に、もう狂也が仕事を途中放棄しているのを決定づけているようだった。
:12/03/16 11:46 :iPhone :AmfSeBOM
#128 [狂也]
『…………』
納得できないという意味を込めて、狂也は沈黙する。
『大槻様、どう致しますか? このままですと、こちら側としてはそれそうの処置を…』
日向がそこまで口にした時、電話の向こうで女性と思われる高い声が聞こえてきた。
その女性は日向に小声で何やら話しかけているようだった。
受話器から耳を離したのか、日向と女性の声は更に小さくなる。
『……ああ………いいよ………』
『そう…………ね…』
だが小声ながらも、途切れ途切れに会話が聞こえてくる。
『…………から………あった……?』
『……いえ……です………ね』
『………かった……。ったく………くせえな』
ここで向こうが受話器を取る音が聞こえた。
:12/03/19 10:17 :iPhone :bee06Hc6
#129 [狂也]
『もしもし、失礼致しました。では大槻様、また後ほど連絡させて頂きます。それまでお待ちください、では』
急いでいるのか、そう早口で言うと、向こうから一方的に電話を切った。
ツー、ツーと通話の切れた音だけが虚しく鳴る。
狂也は携帯電話を耳から離すと、力の抜けたように電話を持った手をだらりと下ろした。
反射的にあのダンボール箱に視線をやる。
開いた口からは相変わらずの異臭が漂ってくる。
デスネットの日向はこのダンボールについて全く知らないそぶりを見せていたが、狂也には絶対の確信があった。
自分の周りには、こんな事をイタズラ感覚でするような友人、知人はいない。
自分の住所を知っていて、なおかつ人間の死体を埋めさせるようなアルバイトを行っているデスネットこそが、その実行犯であると。
:12/03/19 10:18 :iPhone :bee06Hc6
#130 [狂也]
狂也は、人間の死体を埋めるのを手伝った事よりも、どんな会社もわからない所に自分の個人情報を与えてしまった事にものすごく後悔した。
事前にネットで検索してどんな会社なのかを調べてさえいればこんな事にはならなかったとー
だがそれももう遅い。
自分はこれから、そんな会社にビクビクしながら生きていかなければならないのかー?
デスネットから逃れる一番の有効打は、向こうに住所が知られているこのアパートから引っ越す事だが、自分はただのアルバイト。
そんな金も貯金もあるはずもなく…その考えは一瞬にして蹴られた。
:12/03/19 10:19 :iPhone :bee06Hc6
#131 [輪廻]
実家へ帰ろうにも、そもそもこのアパートへは高校卒業後に一人暮らしに憧れ、親に無理を言ってお金を借り、契約・入居した為に、今さら部屋を引き払って帰るなど受け入れてくれるわけもない。
『くそ…どうしたら…!』
狂也は頭を抱えた。
その時、また携帯電話のバイブ音が鳴った。
眉間にシワを寄せながら手元の携帯電話の画面に目をやる。
“090-XXXX-XXXX”
それは覚えのない番号からの着信だった。
:12/03/19 20:39 :iPhone :wfuZmsyc
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