horrorU〜二重連鎖〜
最新 最初 🆕
#132 [輪廻]
 
 
アドレス帳に登録されていない番号からの電話。

出るのに一瞬躊躇ったが、もしかするとデスネットの日向の携帯電話の番号かもしれないと思い、恐る恐る通話ボタンを押し、電話を耳に近づけた。


『……はい』

『おう…大槻狂也か?』

電話の向こうでした低い男の声…それはまぎれもなく昨晩、死体を埋めるのを手伝わせた、あの小太り男性のものだったー


思わず息を呑む。

⏰:12/03/19 20:40 📱:iPhone 🆔:wfuZmsyc


#133 [輪廻]
 
 
『な、なんでこの番号…』

狂也は当然の疑問を男にぶつける。


『ああ? んな事どうだっていいだろ』

『(デスネットか…)』

わざわざ訊かなくてもある程度予想はできていた。


『んな事よりさ…昨日のお礼の品は受け取ってもらえたかな?』

男は唐突に優しい声で意味不明な発言をしたが、“お礼の品”と聞いて突如、全身に嫌な汗が流れ始める。

⏰:12/03/19 21:10 📱:iPhone 🆔:wfuZmsyc


#134 [輪廻]
 
 
もしかするとー

あのダンボールにチラリと視線をやる。


この男は自分の携帯番号を知っていた。

住所もデスネットから聞き出していてもおかしくはない。


『まさか…これ置いたのって…』

恐る恐る男に尋ねる。

すると、男から予想した発言が返ってきた。


『昨日手伝ってくれたお礼にと思ってよ。その声だと…中身はもう見てくれたみたいだな?』

からかうように楽しげな口調で言う男に、狂也は携帯電話を握る手をぶるぶると震わせる。

それは恐怖心からでもなんでもなく、ただ怒りが込み上げてきたからである。

⏰:12/03/20 12:19 📱:iPhone 🆔:/ksCmhCM


#135 [輪廻]
 
 
『テメェ…! ふざけんじゃねーぞ! こんな事していいと思ってんのかよ!?』

感情任せに、電話の向こうの男に向かって大声で怒鳴りつける。

だが男は怯む事はなく、半笑いしながら言葉を返してきた。


『お前もケツの青い餓鬼だな。
お前も“高収入”って言葉につられてあの会社に入会したんだろ?
ウマい話にゃ裏がつきものだってのに、んな事に疑いもせず楽して金稼ごうなんて甘いんだよクソ餓鬼が。
あの会社に入会した時点で、お前も有無言わず犯罪者の一員になったんだよ。
わかったか? クソ餓鬼』

『…………』

言い返すに言い返せなかった。

⏰:12/03/20 12:21 📱:iPhone 🆔:/ksCmhCM


#136 [輪廻]
 
 
男は、狂也が言い返せない事を確信した後、最後に言い放った。


『ま、これからは人の死体を一緒に埋めた者同士仲良くしていこうや、大槻君?』

『…………』

男の発言はただの脅しにしか聞こえず、黙りを続けていると、電話は切られた。


切る直前、男はフフッと不気味に笑ったー

⏰:12/04/11 13:04 📱:iPhone 🆔:ZoSRGg1w


#137 [輪廻]
 
 
携帯電話を耳から放し、あのダンボール箱に再び目をやる。

ダンボールの開いた口からは、相変わらず鼻をつく異臭が漂ってくる。


とにかく、それをどうにかしなければと思った狂也は行動に出た。


台所からゴム手袋を取り、それを手にはめると、さきほど驚いた拍子に床に投げつけるように落としてしまった、新聞紙に包まれた足首から下の部位を拾いあげる。


片方の手で鼻を抑え、もう片方の手でそれを持ち上げると、さっさとそのダンボールの中に入れた。


続いて箱の口を塞ぐ為、棚の中からガムテープを取り出し、顔を少し引いた状態でダンボールの口を塞ぐ。

⏰:12/04/11 13:05 📱:iPhone 🆔:ZoSRGg1w


#138 [輪廻]
 
 
最後に、部屋に漂う異臭を消す為、身体の臭いを消すのに用いる消臭スプレーを、これまでかというくらい部屋全体に吹き付けた。


5分足らずでその作業を終え、布団の上に大の字に寝転び、大きなため息をついたその時…


ーピンポーン

部屋のインターホンが一回鳴らされた。

一瞬息を止める。

もしかしたらあの男なのか…?と思い、しばらく様子を見ていると、今度はドアをノックする音と共に聞き覚えのある声が響いた。


『大槻さ〜ん! 大家だけど! 何度もごめんねぇ〜! ちょっといいか〜い?』

先ほど狂也の部屋を訪ねてきた大家の声を聞いた途端、身体の力がスーッと抜け、再び大きなため息をついた。

⏰:12/04/11 13:07 📱:iPhone 🆔:ZoSRGg1w


#139 [輪廻]
 
 
身体を起こして玄関へ向かう。


『はい、なんですか?』

ドアを開けると同時に言うと、大家はまたもや難しい顔で狂也の顔を見ていた。


『大槻さん、これ…』

大家はそう言いながら、手にしていた茶封筒を狂也に差し出した。


『これ…なんすか?』

『いやワタシにもわからんよ。さっきそこいらを掃除してたら、見知らぬ男が現れて、これアンタに渡してくれ言われてさ』

『…ちょっとそれいいですか?』

狂也は、大家からその茶封筒を受け取ると、閉じられていた上口の部分を横に破いていき、中をそっと覗いてみた。

⏰:12/04/11 13:30 📱:iPhone 🆔:ZoSRGg1w


#140 [輪廻]
 
 
中には写真のようなものが数枚入れられていた。

茶封筒の中に手を入れ、中身を引っ張り出す。


それはやはり写真だったが、その中に写った一枚を見て、思わずそれらを封筒の中に押し戻した。


『ん? どうかしたのかい?』

大家は不思議そうな顔をしながら言い、狂也の顔と茶封筒を交互に見る。


『お、大家さん…その男って…どんな人でした?』

狂也が震えた声で尋ねる。

⏰:12/04/11 13:39 📱:iPhone 🆔:ZoSRGg1w


#141 [輪廻]
 
 
『いやあ…それがなんだけどね…』

だが大家は、その質問に答えるのを躊躇うような態度を見せた。


『…なんですか?』

『いや…ね。誠に言いづらいんだけど…それ渡された時に、自分を見たことは秘密にして欲しいって言われてねぇ…』

『…口止めって事ですか?』

狂也が眉をしかめて言うと、大家は申し訳なさそうな表情をしながら黙って頷いた。

⏰:12/04/12 09:45 📱:iPhone 🆔:.cw6gBWY


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194