horrorU〜二重連鎖〜
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#42 [輪廻]
『どうせハッタリだ…とか思っていられるのでしょうが、そちらの個人情報等はすべてこちらの方で保管されていますので、調べればすぐにわかりますよ…住所くらい』
そう言われて、冷や汗をかく狂也。
そして思い出したのだ。
求人の紙を見て電話をする際に、名前や住所など向こうに完璧に教えた事に…。
1月の始めだというのに、狂也の顔や身体からは大量の汗が吹き出ていた。
『…や…やります…』
自分のやった事に後悔しつつも、声と身体を震わせながら呟くように言う。
すると男性は何事もなかったかのように再び仕事の話をし始めた。
:11/12/30 14:11 :Android :j9L9UqqY
#43 [輪廻]
仕事の内容は2つ目以降になるにつれ、狂也の思った通り、猟奇的なものであったり、残虐なものだったりと、絶対に関わりたくはないようなものばかりだった。
『お仕事の内容は以上です。ではこの中からおひとつお選び頂いたら改めて電話を頂けますでしょうか?』
『…あ、あの…今すぐ決めちゃってもいいですか?』
『はあ、構いませんが』
仕事は全部で5つ。
狂也は一つ目の“女性の遺体を山に埋める”以降の仕事はあまりにも残虐でできそうにないので、これ以外は考えられなかった。
『一つ目の…遺体を埋める仕事というのを…お願いします…』
:11/12/30 14:12 :Android :j9L9UqqY
#44 [輪廻]
『了解致しました。では早速、本日午後7時に指定された場所へご足労願いますか?』
『えっ? 今日…ですか?』
『…何かご予定でも?』
『いえ、特には…』
『では、本日午後7時にセブンイレブン南3丁目店の駐車場へお願いします。
目印は黒いワゴン車との事ですので、お忘れのないよう…』
男性が丁寧にそう言うと、電話はプツッと切られた。
『南3丁目……遠い』
真っ暗になった携帯電話の画面を見つめながら呟く…と同時に何か違和感を感じた。
:11/12/30 14:13 :Android :j9L9UqqY
#45 [輪廻]
何に対して違和感を抱いたのかは、忘れっぽい所がある狂也でもすぐにわかった。
『目印は黒いワゴン車…“との事”?』
この“との事”という部分が引っ掛かったのだ。
それというのも、指定場所へ来るのは当然デスネットの関係者だと思っていたからだった。
だが今の言葉はまるで、女性の遺体を埋めて欲しい別の何者かがいるという事を感じさせる。
狂也は違和感の正体に気づいたと同時に不安感、そして恐怖感へと変わっていった―
:11/12/30 14:14 :Android :j9L9UqqY
#46 [輪廻]
どうすればいい…?
頭を抱えて必死に考える。
しばらくして、顔をゆっくり上げ…
『(警察…。こういうのって警察に言えばなんとかしてくれるよな…)』
という安心な方法を思いついたのだが、もしも警察に通報してしまうと、通報したという事で今後、自分の命が狙われるかもしれない。
そう考えると、あまりにもリスクが高すぎて通報するのを躊躇ってしまう。
だからといって“女性の遺体を埋める”という行為をしてしまった時点で、自分は犯罪者になってしまう。
どの道、逃げ場はないと思った。
:11/12/31 23:51 :Android :z6b5A5a6
#47 [輪廻]
個人情報を向こうが握っている以上、彼らに従うしかないのか、と自分に問いかける。
いや、でもでも…と再び頭を抱える。
それの繰り返しだった。
そんな状態が30分ほど続き、考えた結果、狂也はある事を決めた。
机に置いた携帯電話をサッと手に取り、着信履歴からデスネットへ電話をかける。
数秒呼び出し音が鳴った後、ガチャッという音と共に向こうは電話に出た、と同時に聞き覚えのある声がした。
『お電話ありがとうございます。ご用件をどうぞ』
そう。あの機械で喋る女性の声である。
:11/12/31 23:53 :Android :z6b5A5a6
#48 [輪廻]
『あの…責任者の人をお願いします』
先ほど電話した男性の名前は聞いていなかったので、とりあえずデスネットの責任者の人を出して貰うよう伝える。
『かしこまりました、少々お待ちください』
向こうがそう言い、しばらく音楽が流れた後、あの男性が電話に出た。
『お電話代わりました。デスネットの日向と申します』
『あの…大槻と言いますが…』
『大槻……ああ、先ほどの。どうかされましたか?』
またいつ怒鳴られるかわからないが、狂也は息をのんでから思い切って切り出す。
『お、お金はいらないので…遺体を埋める仕事が終わったらデスネットを辞めさせてください!』
:11/12/31 23:54 :Android :z6b5A5a6
#49 [輪廻]
言ってしまった。
絶対に怒鳴られる…そう思って携帯電話を耳から少し離す。
だが、あの『オイ!』などという一喝は聞こえてこなかった。
再び携帯電話を耳に近づける。
男性は少し無言の状態を続けた後、冷静に口を開いた。
『それは……殺されても良い、という事ですね? 』
『……え?』
何かの聞き間違えだろうかと思い、聞き返す。
『ですから…殺されても良いという事ですよね? 』
やはり聞き間違いではなかった。
:12/01/01 00:03 :Android :sM1doH3s
#50 [輪廻]
なぜ、仕事を辞める=殺されるという結論になるのか理解できない狂也は、怒鳴られるのを覚悟で問う。
『なんで辞めるって言ったくらいで殺されなきゃならないんですか?』
なぜだか腹が立ってきて少し強気に言うと、男性は電話の向こうで、鼻で小さくフッと笑った。
『大槻様…あなた、お年は?』
『え……に、24歳ですけど』
『まだまだガキって事ですね。社会のルールもわからないのでは、この先苦労しますよ?』
そう語る男性に“人に遺体を埋める仕事をさせる奴が何を言っているんだ”と思った。
:12/01/01 00:10 :Android :VmOWdgJU
#51 [輪廻]
『どうなさいますか? 辞退という事であれば…さきほど申し上げた通り…』
『わ、わかりました…やります』
向こう…デスネットは自分の個人情報を握っている。
ここでその仕事を辞退すれば、後々とんでもない事になるのは火を見るより明らかだった。
『わかりました。では本日、指定の場所へよろしくお願い致します』
そう言って電話は切られた。
:12/02/16 09:29 :iPhone :fMUUjEps
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