horrorU〜二重連鎖〜
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#52 [輪廻]
狂也は持っていた携帯電話を耳から離すと、今にも潰れそうな勢いで電話をぎゅっと握りしめた。
そしてあの広告もビリビリに破き、悲鳴にも似た叫び声をあげた。
『くそおおおおおおお!!』
後悔の念がぐっと押し寄せる。
だが後悔した時にはすでに遅かったー
:12/02/16 09:48 :iPhone :fMUUjEps
#53 [輪廻]
PM6:55ー
電車を使い、指定された南3丁目のコンビニへやって来た狂也。
周りを気にしながらふと駐車場の方に目をやる。
すると、電話の男が言っていた通りの黒いワゴン車がそこに一台停車していた。
狂也は一瞬その場から今にも逃げ出したい衝動にかられたが身体が徐々に震え出し、いう事をきかず、一歩一歩ゆっくりとそのワゴン車の方に近づいて行く。
:12/02/17 11:48 :iPhone :zyEBEpdQ
#54 [輪廻]
カーテンでもかけられているのか、こちらから車内の様子は全くわからない。
それで狂也は確信した。
この車内には、これから遺棄しようとしている死体があるのだとー
その瞬間
『“今ならまだ間に合う。コンビニの店員に言って警察を呼んでもらうなら今しかない”』
心の中のもう一人の自分がそう言った気がした。
:12/02/17 12:01 :iPhone :zyEBEpdQ
#55 [輪廻]
だが身体は相変わらずいう事をきかず、ついに狂也の足は車の目の前まで来た。
車の運転席にもカーテンがかかっており、中の様子を伺う事は一切できない。
こちらから何かしら合図を示さなくては反応がなさそうである。
心の中のもう一人の自分はまだ
『“よく考えろ”』
と何度も警告している気がした。
:12/02/18 17:15 :iPhone :P0qxpD7c
#56 [輪廻]
だが、もしここで逃げてしまったら…という事を考えると、考えたくもない事が自分の身に降りかかってしまうー
狂也は意を決して、車の運転席の窓を軽くノックした。
少しして運転席にかかっているカーテンがシャッと開かれ、窓越しに年齢50代くらいと思われる小太りの男性の顔が覗いた。
どこにでもいるサラリーマンのような男の顔を見た狂也は、心なしか安心する。
:12/02/18 17:16 :iPhone :P0qxpD7c
#57 [輪廻]
やがて窓がスーッと開き、男が顔を出すと『乗れ』と手で助手席の方を示す合図をする。
狂也は言われた通り、車の後ろから回り込み助手席の方へ小走りで向かう。
ドアを開け、すぐ乗り込むと車はすぐに発車した。
走り出して数分が経った時、ようやく運転席の男が顔を前に向けたまま口を開いた。
『……名前は?』
そう冷静な口調で尋ねられた狂也は、それとは裏腹にあたふたしながら返答する。
『お…大槻狂也です』
『…電話で言ってた名前で間違いねえか』
男はそう独り言のようにつぶやいたのを最後に、車内は再び無言状態になった。
:12/02/18 19:20 :iPhone :K03n5Vow
#58 [輪廻]
こちらから聞きたい事は沢山あるのだが、このなんともいえない雰囲気に飲み込まれ、口を開くことができない。
この車内に人間の死体があるのだと思うと、余計に。
出発して小一時間ほどが経過した頃、車は街を大きく外れ、暗い山道に差し掛かった。
死体を埋めるには最適と言わんばかりの夜の山。
自分はこれから犯罪者の手伝いをしなくてはならないのかと思った矢先、車は木々で囲まれた小さな駐車場で停車した。
:12/02/19 10:02 :iPhone :SvRFADbc
#59 [輪廻]
『降りろ』
エンジンを止めて男がそう言い、狂也はドアを開けて外へと出た。
男は後部座席のドアを開け、何かゴソゴソとやっているのが聞こえる。
ついに人間の死体が出てくるのかと身体を小さく震わせていると、男は大きな頑丈そうなシャベルを狂也に渡してきた。
『それ使え』
そう言うと再び後部座席の方に戻り、またゴソゴソと始める。
:12/02/19 10:18 :iPhone :SvRFADbc
#60 [輪廻]
少しして、ガサガサとビニール袋の音がし、男はそれを車内から引っ張り出した。
それは黒く長い、所々ヒモで巻かれたビニール袋。
中に何が入っているのかは安易に想像できた。
男は引っ張り出したそれを一旦地面に置いてから再び持ち上げ、肩に担ぐ。
『こっちだ。行くぞ』
そう言って男は木々だらけの暗い林の方へ向かって歩き出した。
狂也もシャベルを片手に、男の後に続いた。
:12/02/19 23:51 :iPhone :0XqFC2nc
#61 [輪廻]
静まり返る林の中に、狂也と男の落ち葉や枝を踏みつけながら歩く音だけがやけに大きく響く。
『ここいらでいいか』
先頭を歩く男がそうつぶやいたのは、歩き出して10分ほどが経過した頃。
男は担いでいた、死体が入っていると思われるビニール袋を地面に置いて狂也の方を見ると
『ここらへんを掘ってくれ』
と、自身の足元の地面を指さして言った。
:12/02/19 23:53 :iPhone :0XqFC2nc
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