horrorU〜二重連鎖〜
最新 最初 🆕
#36 [輪廻]
 
 
 
第1話『戦慄の序章』
 

前編・狂也篇
 
 
 

⏰:11/12/29 09:52 📱:Android 🆔:fIZxwcg.


#37 [輪廻]
朝っぱらから鳴り響く携帯電話の着信音。

狂也は発信者番号を少し見つめてから、眠たい目をこすりながら通話ボタンを押して電話に出る。


『はい……もしもし……』

ダルそうな声で出ると…


『大槻様でいらっしゃいますか? こちらデスネットの者ですが』

今度は機械を通した女性の声ではなく、男性の肉声が返ってきた。


『ああ…はい、そうですけど…』

寝ぼけ眼と声で言い返すと、電話の向こうの男性は少し間を空けてから…

『おいコラ、なんじゃその態度は! ボケ!』

と、突然豹変し怒鳴り声をあげてきた。

⏰:11/12/29 09:54 📱:Android 🆔:gmdcApg.


#38 [輪廻]
 
 
その声に驚いた狂也は、携帯電話を耳に当てたまま反射的に布団からガバッと起き上がる。

その一喝で眠気が一気に吹き飛んだのは言うまでもなかった。


『ご…ごめんなさい、ごめんなさい!!』

その場で、頭を何度もペコペコと下げながら謝る。

すると男性は、また間を空けてから…

『では大槻様。今回は、いくつかご紹介できるお仕事が見つかりましたので御電話を差し上げました』

さっきまでの怒鳴り声とは一変して、再び紳士的な声に戻った。

⏰:11/12/29 09:57 📱:Android 🆔:bJyDVTGE


#39 [輪廻]
 
 
『…………』

その声の変わり様に、狂也はしばらく口をポカーンと開けたまま黙る。


『大槻様?』

『あ! は、はい! すみません!』

『では早速、いくつかのお仕事の内容を説明をさせて頂きます。メモなどに取っておいてください』

『は、はい!』

またいつ怒鳴り声が飛んでくるかわからない恐怖にすっかり縮こまりながらも、その辺にある紙とボールペンを素早く手にする。


『いいですか? では……』

どんな仕事なのかとドキドキしながら息をのむ。

そして、少し間を空けてから言った男性の言葉に、狂也の身体が一瞬にして固まる…


『一つ目。内容は簡単です。
……女性の遺体を山に埋めてください』

⏰:11/12/29 10:07 📱:Android 🆔:6yBJBiY.


#40 [輪廻]
 
 
“は? この人は何を言っているんだ?”と思った。


『……遺体を…埋める……?』

『そうです。簡単ですよね?』

この時“この会社もこの人もまともではない”と直感で思った。

しばらく無言のままでいると…


『おいコラ! …聞いてます?』

再びヤクザのような声で一喝した後、また紳士的な声に戻す。


『や…やめます…いいです!』

さすがにヤバいと感じた狂也は、パニックになりながら震えた声で断った。

⏰:11/12/29 10:10 📱:Android 🆔:sND6McsE


#41 [輪廻]
 
 
一つ目から有り得ない内容の仕事なのだから、他も同じようなものに違いないと。


しばらくして電話の男性は、怒鳴る事なく冷静にこう言い放った。

『あなた…殺しますよ?』

そのやんわりとした口調と、言った言葉の内容にどこか気味悪さを感じ、一瞬背筋が凍った狂也だったが、冷静に思い返してみる。


『(…殺しにくる? 場所もわからないのにどうやって殺しに来るっていうんだよ)』

そう考えると自然に笑みがこぼれてきたが、次の男性の一言でその笑みはすぐに引っ込む事になる。

⏰:11/12/30 14:10 📱:Android 🆔:j9L9UqqY


#42 [輪廻]
 
 
『どうせハッタリだ…とか思っていられるのでしょうが、そちらの個人情報等はすべてこちらの方で保管されていますので、調べればすぐにわかりますよ…住所くらい』

そう言われて、冷や汗をかく狂也。

そして思い出したのだ。

求人の紙を見て電話をする際に、名前や住所など向こうに完璧に教えた事に…。


1月の始めだというのに、狂也の顔や身体からは大量の汗が吹き出ていた。


『…や…やります…』

自分のやった事に後悔しつつも、声と身体を震わせながら呟くように言う。

すると男性は何事もなかったかのように再び仕事の話をし始めた。

⏰:11/12/30 14:11 📱:Android 🆔:j9L9UqqY


#43 [輪廻]
 
 
仕事の内容は2つ目以降になるにつれ、狂也の思った通り、猟奇的なものであったり、残虐なものだったりと、絶対に関わりたくはないようなものばかりだった。

『お仕事の内容は以上です。ではこの中からおひとつお選び頂いたら改めて電話を頂けますでしょうか?』

『…あ、あの…今すぐ決めちゃってもいいですか?』

『はあ、構いませんが』

仕事は全部で5つ。

狂也は一つ目の“女性の遺体を山に埋める”以降の仕事はあまりにも残虐でできそうにないので、これ以外は考えられなかった。

『一つ目の…遺体を埋める仕事というのを…お願いします…』

⏰:11/12/30 14:12 📱:Android 🆔:j9L9UqqY


#44 [輪廻]
 
 
『了解致しました。では早速、本日午後7時に指定された場所へご足労願いますか?』

『えっ? 今日…ですか?』

『…何かご予定でも?』

『いえ、特には…』

『では、本日午後7時にセブンイレブン南3丁目店の駐車場へお願いします。
目印は黒いワゴン車との事ですので、お忘れのないよう…』

男性が丁寧にそう言うと、電話はプツッと切られた。


『南3丁目……遠い』

真っ暗になった携帯電話の画面を見つめながら呟く…と同時に何か違和感を感じた。

⏰:11/12/30 14:13 📱:Android 🆔:j9L9UqqY


#45 [輪廻]
 
 
何に対して違和感を抱いたのかは、忘れっぽい所がある狂也でもすぐにわかった。

『目印は黒いワゴン車…“との事”?』

この“との事”という部分が引っ掛かったのだ。


それというのも、指定場所へ来るのは当然デスネットの関係者だと思っていたからだった。

だが今の言葉はまるで、女性の遺体を埋めて欲しい別の何者かがいるという事を感じさせる。


狂也は違和感の正体に気づいたと同時に不安感、そして恐怖感へと変わっていった―

⏰:11/12/30 14:14 📱:Android 🆔:j9L9UqqY


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194