horrorU〜二重連鎖〜
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#26 [輪廻]
『話し声が聞こえると思ったら…3人で何やってるの〜?』
ニコニコ顔でそう尋ねながら3人の方に歩いていく。
『いや、なんでもねえよ。それより墓地は見つかった?』
『ああ、バッチリ! それで、今から行くか行かないか多数決をとってるんだけど、皆はどっちがいい?』
『俺はいいけど、村井と七瀬はどうする?』
そう言いながら2人の方に目をやる蓮。
『あたしもいいよ。響歌は?』
『え…あ、うん…いいよ』
一瞬ためらう響歌だったが、どの道行く事になりそうだったので、首を縦に振って頷いた。
:11/12/27 15:10 :Android :Vqta6GbI
#27 [輪廻]
『よし! これで行きたい人が11人で、行きたくない人が8人! よって、肝試し決行!』
『行きたくない人そんなにいるんだ』
七瀬が驚いたように言う。
『そりゃ、墓地に行って霊を連れて帰っちゃうって事もあるからな』
『帰ったら塩撒けばいいだけなのにね』
蓮と七瀬の和やかそうな会話を、興奮気味の幹事が遮る。
『さあさあ! じゃあ3人共、中に入って! 肝試しの計画を立てるから!』
幹事の無駄に大きな声が廊下中に響き渡った後、3人は彼の後に続いて再び部屋の中に入った。
:11/12/27 15:12 :Android :G/gAzf86
#28 [輪廻]
『…じゃあ皆さん! これから墓地に行きます! さっき話した通り、2〜3人組で墓地の中をぐるっと一周して戻ってくるという事で!』
こうして、一同は荷物を持って墓地へと向かった。
旅館の裏にある林道から入り、10分ほど歩いた所に、墓地はあった。
『はい、じゃあここで2〜3人組を作ってください!』
到着するなり幹事に言われ、皆はしぶしぶ行動する。
『俺は安井ちゃんと組むわ』
蓮は響歌と七瀬にそう言ってから、大人数の中、安井を探しにいく。
:11/12/27 15:14 :Android :FgjiK2UE
#29 [輪廻]
『じゃあ響歌、あたしと一緒に行こうよ。男なんかいなくても、あたし達だけで大丈夫だよね?』
『…そうだね』
少しして、それぞれ組む人同士が固まり、決まったのを確認してから幹事がニヤニヤしながら言った
『はい! では…誰からいきます?』
誰も名乗り出ず、しばらくシーンと静まり返った後、一人が手を挙げる。
『じゃあ俺達からで』
皆がその声の方に目をやった先には、蓮と安井がいた。
『おお、桐谷! 君達から行っちゃう? 度胸あるね!』
『いや…さっさと終わらせて帰りたいだけ』
涼しい顔でさらっと言う蓮に、一同は『おお!』と小さな歓声をあげる。
:11/12/27 15:16 :Android :fxxBpVP2
#30 [輪廻]
『安井ちゃん、行こ』
『桐谷くんって男らしいんだね。変わってないなあ!』
『いや、男だし』
蓮と安井はそんな会話をしながら、墓地の中へと入っていった。
残された皆はそれぞれ、その場にしゃがみ込んだり、携帯電話をいじったり、雑談をし始める。
『あたし達も座ろっか』
響歌と七瀬は、近くに置かれている大きな石の上に腰を下ろした。
:11/12/27 15:17 :Android :uM9k8Kw.
#31 [輪廻]
『きゃああああっ!!』
遠くから安井の悲鳴が聞こえたのは、2人が墓地へ入って5分ほど経過した頃だった。
その場にしゃがみ込んでいる同級生らは、その悲鳴を聞いて思わず立ち上がる。
『え、なになに!? もしかして幽霊でも出てきたのかな?』
女同級生がテンション上がり気味に、墓地の奥の暗闇を見ながら言い…
『2人共〜! 何かあったの〜!?』
幹事も、ものすごい大声で暗闇に向かって叫ぶように言う。
しばらくして、奥からばたばたと走ってくる足音が聞こえ、血相を変えた安井が現れた。
:11/12/28 11:30 :Android :wxhLVm72
#32 [輪廻]
『安井、どうしたの? 桐谷は?』
男同級生が、体を震わせている安井に向かって尋ねる。
『い…いきなり…ナイフ持った男の人が…あ、現れて…』
安井は震わせた声でそう言うと、その場にいた皆の体が固まった。
『そ、それで桐谷…は?』
恐る恐る聞き返す幹事も、みっともないほど動揺している様子だった。
響歌と七瀬は同時に大きく息をのんで、安井の言葉を不安げな顔で聞く。
:11/12/28 11:31 :Android :akMYcjjE
#33 [輪廻]
すると安井は放心状態になりそうなのを抑えつつ、ゆっくり話し始める。
『あ、歩いてたら桐谷が…木の根元に誰かいるって言って…近づいたら…そこからナイフを持った人がいきなり飛び出してきて…』
『か、顔は見たの?』
『いや…顔は暗くて見えなかったけど…ナイフの刃は見えた…』
『それで桐谷は!?』
『わからない…。ただ、私に“お前は早く逃げろ”って…』
それを聞いた七瀬は『キリ!』と大声をあげると、誰も止める間もなく、一人で墓の奥へと走っていった。
:11/12/28 11:33 :Android :A8mKg7FU
#34 [輪廻]
『…ナナ!』
響歌の声も、すでに届かない…。
しばらくの沈黙の後、男同級生が幹事の目の前に行き、胸ぐらをグッと掴むと、下から幹事を睨みながら
『おい! もし桐谷に何かあったら、こんなくだらねぇ肝試しを提案したテメェの責任だかんな!』
と言って手を放すと、彼も墓の中へと走って行った。
『田中まで行っちゃった…どうすんの?』
『こ、こんな時は普通警察に電話じゃないの?』
『3人共、大丈夫かなぁ…』
次第に、皆がガヤガヤと騒ぎ始める。
:11/12/28 11:35 :Android :XXELG/RQ
#35 [輪廻]
幹事は責任を感じているのか、すっかり口を開かなくなり、その場に呆然と立ち尽くしていた。
響歌は、地面にしゃがみ込んで身体を震わせている安井の隣にしゃがみ、声をかける。
『ちょっと…いいかな?』
『…………』
安井はゆっくり響歌に視線を向けると、無言で小さく頷いた。
『襲ってきた人…顔少しでも見えたりしてない?』
『…………』
響歌の質問に、彼女は何度も首を横に振る。
すっかり怯えきった彼女にそれ以上何も言う事ができず、響歌は再び立ち上がった。
『皆…無事でいて…』
プロローグ【完】
:11/12/28 11:38 :Android :IKxaRu/6
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