砂糖が甘い理由
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#153 [花]
学校に着くまでの道のりで近所の人やすれ違う人にも挨拶をした。
時間が早いせいか,やっぱり生徒はまだ数えれるほどしか登校してない。でも俺はそんなことお構いなし♪
頭は城谷でいっぱいだった。

教室に入ると,オタク系の中西と美化委員の野田サンがいた。
野田サンは俺に気付くと,
[おはよう,柿山クン今日早いね]
って言ってくれた。
でも中西は俺なんかシカト。つーか寝てる。
[おはよう!!野田サンこそ毎日大変だな]
きっと野田サンは毎日この時間にきて,花に水あげたり机ふいたりしてたんだろう。
なんだか俺は野田サンと花たちを見て上機嫌に増して有頂天。

⏰:06/07/31 07:25 📱:F700iS 🆔:K7/IgtS.


#154 [花]
[そういえば…柿山クンって美穂子と付き合ってるんだよね]
野田サンがいきなり俺に最も答えたくない質問をしてきた。

[あっあぁ…まぁね
なんで???]
まさか城谷とのコトが好きだってバレてるのかと思って声が裏返る。

[ううん…なんでもない!仲良くやってね]
野田サンは少し様子がおかしかったけど,明るく笑ってまた花の世話をし始めた。
とにかく俺はバレてなかったコトに一安心。

そしていつのまにか,時刻はG時半過ぎ。
クラスの奴ほとんどが登校してた。
優は…たぶん今日も寝坊で遅刻だろう。

⏰:06/07/31 07:34 📱:F700iS 🆔:K7/IgtS.


#155 [花]
俺はいつもより早起きしたせいか,@限目から爆睡。話し相手の優がいないわけもある。
珍しく美穂子は俺のクラスに顔を出さなかった。

[あー暇]
あくびをしながら時間割を見る。
俺ってやっぱりバカ。
早起きして早く学校に来ても,城谷に会えるのは午後から。
今更気付いて,さらにやる気ダウン。

誰もいない隣を見る。
城谷が座ってる様子を思い浮かべながら…

そして,@限が終わる頃やっと 優が登校して来た。

⏰:06/08/01 09:04 📱:F700iS 🆔:v3uyuBOs


#156 [花]
[優!!!!おっせーよ]
俺が優に叫んだ…と同時に授業終了のチャイムが鳴った。
優に対して俺だけじゃなくて先生も激怒。優は鞄を置いてすぐ職員室に連行された。
優はいつもの調子のよさで先生と無邪気に討論していた。
そして教室を出るとき俺に振返り,ウインクをした。

[気持ち悪ッ…(笑)]

きっと戻ってくるのはA限目の後だろう。

⏰:06/08/01 09:10 📱:F700iS 🆔:v3uyuBOs


#157 [花]
それから寝たり聞いたりしながら過ごして,やっと午前の授業が終わった。遅刻してきたくせに,なぜか優はB限目からずっと寝てる。

[優!…優 起きろ]
俺は今から城谷に会うコトを話そうと思って,優を揺すった。

[何だよ〜]
優は機嫌悪そうに机に伏せたまま返事だけした。

[あのな,頼むから寝ぼけず聞けよ!
俺 今から城谷に会う。だから美穂…!?]
途中まで言いかけるといきなり優は起き上がり,寝ぼけず目を輝かせながら

[美穂子チャンなら俺に任せとけ]
と言って,俺をドアの方に向き直らせて俺の背中を押した。

⏰:06/08/01 10:17 📱:F700iS 🆔:v3uyuBOs


#158 [花]
優に
[頼んだぞ!!!!]
と念入りに言い聞かせて美穂子が来る前に教室を出た。
天気予報は当たり,空は高く 青く 初めて城谷に会った日のように,太陽が暖かく照らしていた。

第二本館の階段は埃っぽくて汚かったけど,舞い上がる埃が日に照らされて光り,微妙に綺麗に見えた。

屋上のドアにつくと,俺は焦っているせいか,緊張しているせいか 手が震えて携帯を落としてしまった。
ストラップと鍵のぶつかるジャラッと鈍い音が館内に響いた。

⏰:06/08/01 10:26 📱:F700iS 🆔:v3uyuBOs


#159 [花]
俺は携帯を拾い,ため息交じりの不器用な深呼吸をしてから 鍵をドアにさした。

ガチャンと鍵のあいた音がすると,ますます手が震えて重たい扉を開けない。もう一度深呼吸をして扉を開けようとしたとき…
向こう側から勢いよく扉が開いた。

[いてー!!!!]
俺の額と鼻に扉がぶつかって,俺は床に座り込んだ。
向こう側から扉を開けたのは…

[ごめん!達也大丈夫??]
城谷だ。

⏰:06/08/01 10:50 📱:F700iS 🆔:v3uyuBOs


#160 [花]
俺はぼけっと頷いて城谷を見上げる。
城谷はゆっくりと俺に手を差しのべてくれた。
硬直して動けない…

[立たないの?]

城谷が手を引っ込めようとしたので,俺は急いで城谷の手を掴んで立ち上がった。
城谷の長く細い指先から手の甲は柔らかくて 温かかった。

[ありがとう]

そう言って 俺達は屋上に出て,城谷はドアの鍵を締めた。

⏰:06/08/01 11:54 📱:F700iS 🆔:v3uyuBOs


#161 [花]
城谷は俺から手を簡単に解いて,いつもの倉庫の影に消えた。
俺はドアの前に少しの間立ち尽くしたまま手を見つめ,城谷を追った。

城谷は無表情で座って俺を待っていた。
俺もゆっくり城谷の隣に座った。甘い 心地いい匂いがする。久しぶりに城谷をしっかり感じた気がした。

[久しぶり…かな]

俺は沈黙がイヤだったので何気なく会話を始めるように試みた。

⏰:06/08/01 12:01 📱:F700iS 🆔:v3uyuBOs


#162 [花]
[ん〜?そうだね]
城谷はやっぱり綺麗。
今日も顔色を乱さずに笑ったりしない。

[そういえば,何で城谷って屋上の鍵持ってんの???俺は去年の先輩からもらったんだけど!]

前から気になっていたコトを聞いてみた。
城谷は俺より先に屋上の鍵を手に入れてるはずだし…

[盗った]
城谷は短く言った。

[へぇ〜…ッて,え!?ダメじゃん。誰から盗ったんだよ]

[職員室から]
淡々と話す城谷には俺みたいに緊張している様子はまったくない。

⏰:06/08/01 12:21 📱:F700iS 🆔:v3uyuBOs


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