砂糖が甘い理由
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#461 [花◆AV8KevAYKk]
[紗…邪…?]
[…見たい]
呟くように紗邪が何かを言った。
あまりに小さい声を俺は上手く聞き取れなくて,紗邪の顔を見つめた。
紗邪は屋上から一点を見つめてもう一度小さく呟いた。
[教室が見たい]
紗邪の視線の先には,第一本館の俺等の教室があった。
[行こう]
俺は紗邪の頭をなでて,早歩きで屋上を出た。
:06/10/08 10:03 :SO902i :upLnr4jE
#462 [花◆AV8KevAYKk]
階段を一段づつ降りるたび,二人の足音が響いた。
途中,何人かの生徒とすれ違ったけど,俺は紗弥の手をはなさなかった。
紗弥も気に止めていないようで,目がちらちら合うたびに小さく微笑んでくれた。
[何か…急に学校での自分の存在を確かめたくなったの]
並んで渡り廊下を歩きながら紗弥は独り言みたいにはなした。
[紗弥の席はまだ俺のとなりだよ]
:06/10/08 10:08 :SO902i :upLnr4jE
#463 [花◆AV8KevAYKk]
また階段を上がって俺たちは教室を目指した。
何人かまだ生徒は残っていて,他のクラスからも声が聞こえる。
C組の前を通った時,中を少しだけ横目でのぞいたけど,誰もいなくて電気もついていなかった。
美穂子は…帰っただろう。
安心なのか,不安なのかわからない,おかしな気持ちが俺の心を煩わせた。
:06/10/08 10:12 :SO902i :upLnr4jE
#464 [花◆AV8KevAYKk]
俺達の教室に着くと,教室から声が聞こえた。
高い大きな声。女子???
A,B人いるみたいで,みんなで騒いでる。
俺は紗弥と繋ぐ手を思わず離し,ドアを開けるのをためらっていると,紗弥は首を傾げて,教室のドアを開けようとした。
―その時
[あーもう別れよっかな]
今の美穂子…?
いつもの美穂子の声だけど,どこか違い,憎たらしい声をしている。
でも確かに…この声は美穂子。
:06/10/08 10:25 :SO902i :upLnr4jE
#465 [花◆AV8KevAYKk]
紗弥はドアを開けようとした手を止めて,ガラス張りから教室の中を背伸びで静かに覗いた。
美穂子を確認したのか,離していた俺の手を握り返し,ドアの向こう側を見透かすように見つめていた。
[え〜?
だって真奈美から盗ったばっかなんでしょ???
早いよくねー!?]
友達らしい誰かが言った。真奈美…?とった???
紗弥は黙って美穂子達の話を聞いている。
:06/10/08 10:29 :SO902i :upLnr4jE
#466 [花◆AV8KevAYKk]
[だって,何か城谷だっけ?あいつの事気になっるらしくて〜うざい。
あんたなんかただの遊びだっての!!
真奈美が好きだって言ってたし,まぁまぁ顔がいいと思って盗ったんだけど。
この前なんて,あたしのことフろうとしてんの!何様だよ!!!!]
全員が吹き出して笑っている。
俺は頭の中真っ白。
美穂子達はしゃべるのをやめない。
:06/10/08 10:32 :SO902i :upLnr4jE
#467 [花◆AV8KevAYKk]
[ね,ね!誰かD組の山田春香の好きな奴知らない???
あいつ気に入らないんだよね〜!
自分ぜってー可愛いとか思ってるってし]
美穂子は意地悪そうに笑う。
[また好きな奴盗るの???
美穂子も飽きないね!
まぁ美穂子ならイケると思うけどさ〜]
教室が大爆笑の中,俺は廊下に立ち尽くしていた。
でも…
―ガラッ
いきなり教室のドアが開いて,美穂子達の視線が一挙に俺達に集中した。
:06/10/08 10:36 :SO902i :upLnr4jE
#468 [花◆AV8KevAYKk]
開けたのは紗弥…
紗弥は黙ったまま俺の手を引いて美穂子達にどんどん近づく。
美穂子達は呆然として黙り込んでいる。
[紗弥…!]
俺は早くこの場から消えたいのに,紗弥はそれを許さない。
紗弥の手から汗を感じる。俺なのか,紗弥なのかはっきりしないけど,わかることは お互い緊張しているということ。
俺らを見て,まずいと思ったのか,美穂子の友達は美穂子を残してさっさっと教室から逃げ出した。
:06/10/08 10:39 :SO902i :upLnr4jE
#469 [花◆AV8KevAYKk]
[ちょっと!!]
美穂子は言葉を投げ掛けるけど,それも届かない。
紗弥は美穂子の友達を嫌そうに見送り,美穂子の前にに向き直した。
[あんた…どうゆうつもり???]
[違う。違うの達也…]
美穂子は紗弥の質問を無視して紗弥を避けるように俺に擦り寄った。
紗弥はため息をついて,俺と美穂子の間に割込み,強い口調で一言言うと,思い切り平手を振り上げた。
[人を馬鹿にしないで]
:06/10/08 10:43 :SO902i :upLnr4jE
#470 [花◆AV8KevAYKk]
―バシッと鋭くて痛々しい音が教室に響く。
紗弥の平手は俺の頬にクリーンヒット。
俺は美穂子の前に反射的に立っていた。
[[達也…]]
紗弥と美穂子は声を重ねて俺を呼んだ。
:06/10/08 11:31 :SO902i :upLnr4jE
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