クソガキジジイと少年」
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#14 [ザゼツポンジュ]
木田シゲル、鈴木ひとし。共に62歳。
きーさんとすーさん。
同級生であり仲良しだ。
そしてうっとうしいことに家が隣である。

だがすーさん宅を2年前、新築に改装をしたため、きーさんは少しヤキモチを妬いているのだ。
そして今だちょっと根に持っていることがある。

⏰:06/06/12 02:08 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#15 [ザゼツポンジュ]
すーさんは2年前のエイプリルフール4月1日、
きーさんに、こんな話を淋しそうにしたのだ。
『ワシには金もない。そして最近風呂で数を数えるといつも4つ目でつまづいてしまう…なんとも不吉なんだ。だからこの家を壊してワシはさくらんぼホームというかわいい名前の、シワクチャばぁさんが、わんさかのたうちまわる老人ホームへと……なぁ、きーさん。またいつの日かイタズラを一緒に考えられる日が来たならば…なぁきーさん。だまっていてごめんよ…』
『すーさん…すーさん』

⏰:06/06/12 02:14 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#16 [ザゼツポンジュ]
きーさんは涙した。
エイプリルフールだという事に気付かないまま

涙した。

すーさんは姿をくらました。
そしてすぐすーさんちは取り壊されていった。
隣の家がガシャンガシャンと音がする度
きーさんは胸を痛め
涙した。
2階のきーさんの部屋で、当時12歳の孫のトミオとあとかたもなくなったすーさんの家を見ながら、きーさんは半世紀分の思い出をトミオに語った…

⏰:06/06/12 02:19 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#17 [ザゼツポンジュ]
どっちがくしゃみを早く出せるかティッシュを細く丸めて鼻をつつき、競争した話。
わざと遠くへ行き、知らない道をさまよい、カンだけを頼りに家へ帰るという無駄な冒険をしていた話。
すーさんが好きだった女達の数のほんの少しだけではあるが50人分の話。
きーさんとすーさんが二人で川原で遊んでいるところを写真で撮られ、
“ここでは遊ばない”という注意事項のモデルにされていた話

⏰:06/06/12 02:26 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#18 [ザゼツポンジュ]
そんなこんなで5時間もしゃべり続けているうちに、またもや
涙した。
『なぁジジイ。すーさん帰ってくるんだぜ。』
すーさんとの思い出話は3分の1も聞き入れてはいないが、トミーは平然として、一言、言い放った。
『どこにだ、なぜだ。』
問い掛けたその時

⏰:06/06/12 02:35 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#19 [ザゼツポンジュ]
『トミー!!あそぼー!!』

(は!!すーさんの孫だ。ジョウジロウだ。どうしたんだ、なぜだ!!……すーさんカムバックなのか!!?そうなのか!!?いやちがう…お別れを言いにきたのだ、そうだ。)
『やぁ、きーさん生きていたのかい!!?』
ジョウは曇り一つ浮かべない晴れ晴れとした表情できーさんの目の前に現われた。
『ジョウジロウちゃん…ワシは辛くてたまらんよ。』
また、そしてまたきーさんはみっともなく
涙した。

⏰:06/06/12 02:40 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#20 [ザゼツポンジュ]
『そんなにボクんちが新しくなるのが嫌なのかい??』

『はて?ジョウジロウちゃん。ワシはボケたのかもしれんな。耳かきを持ってこないか今すぐ』

トミーもジョウもニンマリ笑った。
『すーさんはエイプリルフールにウソをついたんだよハハハハハ。』

⏰:06/06/12 02:44 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#21 [ザゼツポンジュ]
きーさんはついに気付いた。流した涙が実に無駄だったということを。
『ワシは女が好きなんじゃ!!ばーさんに内緒で、かわいこちゃんと接吻してしまった日付なら忘れもしない!!だがな!!60にもなったジジイから聞いた話の日付けまで覚えてられると思うか!!エイプリルフールにウソをつく奴ぁ、本日から刑務所行きじゃ!!
お前達!!そんな事で笑っているヒマがあるんなら二つ上のねーちゃんの乳でも揉んできてみろ!!わかったか!!』

ゴツン。

きーさんのゲンコツは痛いのだ。

⏰:06/06/12 02:50 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#22 [ザゼツポンジュ]
きーさんの孫はトミー。
すーさんの孫はジョー。

きーさんは何かと格言好きだ。すーさんは何かと流されやすく、影響されやすい。60過ぎてもミーハーだ。旬な女の要チェックはかかさない。
一方孫達はこの二人のジジイに振り回される毎日を送っており、ドリルどころではない。
そして普通の14歳ではいられなくなるのだ。

⏰:06/06/12 02:55 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#23 [ザゼツポンジュ]
クソガキジジイ二人とマセ気味少年二人の。
そしていきつけのこじゃれたカフェで、物語は色を濃くする。
少年のようなじーさんと、少し大人びた中学2年生。
プラマイはゼロだ。

え?私は誰かって!!?
後で分かりますよ。

⏰:06/06/12 02:59 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


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