クソガキジジイと少年」
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#430 [ザセツポンジュ]
トミーは壁に持たれかかって下を向いた。
「トミオ。こんな話したらお前は悲しい気持ちになるだろうが言わせてもらう。ママはお前を忘れてなんかいない。じぃちゃんが保証する。ママはキレイでいい女だ。なんてったってここらでは3本の指にはエントリーされるほどの店にしたクラブのママだよ。ただ人より少しワガママなところがあった。そして人一倍責任感が強かった。」
:06/09/06 19:50 :W41S :MSsJL6VA
#431 [ザセツポンジュ]
ポタン
ポタン━。
床には一粒一粒
トミーの中の強がりが体の外へ引越しをしている。
「ママは恋のかけひきのスペシャリストだ。だからよく分かっている。お前を愛しているから心の底から愛しているからこそお前に会わない。ワガママな自分をママ自身が許せないからだ。お前は自分勝手なママだろうと、どんな人だろうとも、いい匂いのするママが大好きだろう?許すだろう?それが申し訳なさすぎて見てられないからだよ。」
:06/09/06 20:00 :W41S :MSsJL6VA
#432 [ザセツポンジュ]
「まぁ、そこもママのワガママなところだがな。でもじぃちゃんは胸を張って言える。ママは一生お前の事が大好きで一生お前に片思いのピュアな女だと言う事だよ。お前がママを引きずる分、ママはまたとんでもない事をした自分を悔やみ、心の中は大雨だ。ママが悪いのは100も承知だよ。人間、忘れると言う都合のいい機能はポンポン使うが、許すと言う機能をなかなか使いこなせない。許すことは当たり前に難しい。」
:06/09/06 20:08 :W41S :MSsJL6VA
#433 [ザセツポンジュ]
きーさんはトミーの肩を抱いた。
「トミオ。ママが大好きならママを許そう。人を好きになろう。今すぐじゃなくていい。ゆっくりでいい。すーさんみたいになるお前を想像するとワシは天国でウカウカ遊んでられないよ。」
そうしてきーさんは、泣きじゃくるトミオの頭を撫でて部屋を出た。
すーさんをそろそろ迎えに行かなくちゃ。
:06/09/06 20:12 :W41S :MSsJL6VA
#434 [ザセツポンジュ]
感動的な時間を過ごす木田家をよそに
鈴木家では戦争が起きていた━。
「このドウテイ野郎!お前まさこの散歩をサボってタダで済むと思っているのか!」
メスだと思い込んでいる我が愛犬が散歩を忘れられてしょぼくれているところをたまたま見てしまったすーさん。
「今日ボクじゃないよ、じぃちゃんだよ。見てみてよカレンダー。」
10秒ほど1m先にあるカレンダーを見つめたすーさん。
「はぁ!?あれはウソだ!日付も西暦も全部ウソで、しいて言うなら去年のカレンダーじゃ!ワシゃ老眼で何も見えんわ!」
:06/09/06 20:26 :W41S :MSsJL6VA
#435 [ザセツポンジュ]
「言ってる事がめちゃくちゃだよ!じぃちゃん!ボクはもううんざりだよ!今日からじぃちゃんの孫を辞退するよ!さようなら!」
腹を立てたジョウは
急な階段を一気にかけあがり部屋に駆け込みバタンと戸を閉めた。
:06/09/06 20:30 :W41S :MSsJL6VA
#436 [ザセツポンジュ]
コトッッ━━
コトッッ━
コトッッ━
地味な物音が長く続いた。
「シュン……シュン…」
老人のすすり泣く声が部屋の戸のすぐそばで聞こえてきた。
ジョウは少し言い過ぎたかなと反省した。
あんな急な階段を仲直りするために一生懸命登ってきた祖父の姿を想像すると少し胸が痛かった。
:06/09/06 20:33 :W41S :MSsJL6VA
#437 [ザセツポンジュ]
ジョウはドアノブに手をかけた。
(ごめんねって謝ってボクがまさこの散歩へ行こう…。)
一方すーさんも鼻水を止めて口を開いた。
「…ジョージ。」
カチャン。
「ボクの名前はジョウジロウです。さようなら。」
鍵をしっかりと閉めたジョウジロウちゃん。
ジョウは孫の名前を間違えた自分ちのじいさんに失望し、こないだイタリア娼婦気分だった時のトミーを思い出したため、ダブルパンチをくらった。
:06/09/06 20:38 :W41S :MSsJL6VA
#438 [ザセツポンジュ]
「名前間違ったくらいでイヂけるんじゃないよ!むしろジョージの方がシャレた名前だろ!せっかく仲直りしようと思ったのに、この気持ちを踏みにじったお前は少年院行きだ!バカヤロウ!ワシはな!今日空ちゃんと言う恋人に会いに行くのだ!そんな老人に気を使う事もできないのか!そんなは絶対《ヤラハタ》だぞ!ヤラハタの意味分かるか!ヤラずにハタチを迎えるヤツの事だ!要はしょうもない童貞野郎の事だ!お前だ!」
:06/09/06 20:44 :W41S :MSsJL6VA
#439 [ザセツポンジュ]
すーさんは息切れをしながら
階段を一段一段ヒョコヒョコと降りて行った。
ジョウのストレスは一気に上昇した。
すーさんから受けるストレスは
14歳の少年にはあまりにもきつすぎるであろう。
しかしジョウはゆっくり深呼吸をし
気持ちを落ち着かせた。
(友達を大切にしよう。友達を大切にしよう。)
:06/09/06 20:48 :W41S :MSsJL6VA
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