クソガキジジイと少年」
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#441 [ザセツポンジュ]
きーさんはあきれかえってため息をついた。
「すいません運転手さん。ここで止めてください。」

「ん!?きーさん。どうしたんだ。」

「すーさん。ちょっと1件寄るところがある。降りてくれ」

すーさんは疑いもなくタクシーを降りた。

⏰:06/09/07 00:25 📱:W41S 🆔:rKVp2pas


#442 [ザセツポンジュ]
すーさんが地に両足をつけた瞬間
きーさんはおもいくそドアを閉めた。

「運転手さん。出してください。あのじぃさん頭がちょっと悪いんですよね。さぁ早く早く。あーもぅ、早く。」

きーさんはすーさんを取り残し

一人飲み屋街へと向かった。

⏰:06/09/07 00:29 📱:W41S 🆔:rKVp2pas


#443 [ザセツポンジュ]
━━カランカラン

店のドアを開けると
高級感の漂う
大理石、
ソファ。
グラス
シャンデリア━。

空ちゃんのいる
ちゃんがら屋とは
別世界のお店だ。

「いらっしゃいませ。木田様お待ちしておりました。」

⏰:06/09/07 00:33 📱:W41S 🆔:rKVp2pas


#444 [ザセツポンジュ]
「ママはおられますか今日は。」

「はい。今お呼びします。お席の方ご案内します。」

ほこりひとつない
キレイなソファに
きーさんは座った。

淡い桃色の着物を着た
背筋の真っ直ぐのびた美しい女が向こうの方から歩いてくる

「いらっしゃいませ。」

困ったようにいつも笑うママが
今日も困ったような笑顔できーさんの隣に座った。

⏰:06/09/07 00:39 📱:W41S 🆔:rKVp2pas


#445 [ザセツポンジュ]
「お前、困ってるのか嬉しいのかいつもはっきりしろと言っているだろう。キレイないでたちが台無しだぞ。」
きーさんはニッコリ笑った。

「すみません。」
きーさんの笑顔にホッとした表情を浮かべ
ママはニッコリ笑い

キレイな手で
グラスにアイスを
運び
ブランデーを注いだ。
「トミオがな、生徒会長になったぞ。」
きーさんはタバコをくわえ、ママは素早くそっとマッチをすった。
「ええ!トミオが?あの子大丈夫なんでしょうか…」

きーさんはタバコをふかした。

⏰:06/09/07 00:44 📱:W41S 🆔:rKVp2pas


#446 [ザセツポンジュ]
「服も店員並みにキレイにたためるし、目玉焼きだってうまくできる。塩コショウの加減も抜群だ。ちなみに、チャーハンの元ナシでチャーハンも作れるし、習字も習っていないのに字もキレイだ。」
ママは深くうなずきながらきーさんの話を聞いた。

「全部お父さんのおかげですね。」

「そうだ。ワシが教えた。」

⏰:06/09/07 00:49 📱:W41S 🆔:rKVp2pas


#447 [ザセツポンジュ]
きーさんは得意気な顔でニンマリ笑った。
「ワシが教えた。」


調子に乗りもう一度繰り返した。
きーさんは今までトミーと過ごした日々を思い出した。


「ワシが教えた。」

満面の笑みを浮かべ
また同じセリフを吐きやがった。

「………ありがとうございます。」

ママの声も届いてはいない。
今まさにきーさんは
トミオと過ごした日々の数あるなかの5年前の記憶をたどってニヤニヤニヤニヤしているところだ。

⏰:06/09/07 00:55 📱:W41S 🆔:rKVp2pas


#448 [ザセツポンジュ]
「そうだ。でもそれはワシのおかげではあるが、トミオがいつかあんたが帰ってきた時に誉めてもらえるようにと心の奥底からずっと思っていたから上達したに違いない。」

ママは涙を浮かべた。
でもグッとこらえた。
大好きな我が息子を捨ててまでも

この仕事だけは毎日しているのだから

泣いてはいけない。

⏰:06/09/07 01:02 📱:W41S 🆔:rKVp2pas


#449 [ザセツポンジュ]
━━━

こちらちゃんがら屋。
「空ちゃん空ちゃん、この人だーれだ!」

「すーさん☆」

「正解〜やっぱ空ちゃんはかわいいね〜」

すーさんはただの酔っ払いジジイになっていた。
空ちゃんがウソツキな事なんざどうでもいいのだ。
「第2問〜。この人だーれだぁ」

「すーさぁん!」

「あ〜空ちゃん今日は一段と可愛いねぇ…ヒック…正解でーす。」

3歳児でもあてられる質問で誉められる空ちゃんは幸せものだ。

⏰:06/09/07 01:26 📱:W41S 🆔:rKVp2pas


#450 [ザセツポンジュ]
「第3問目〜このイケてるおにいさんは誰でしょう〜」

「ぁ、きーさん!」

「はぁ!?胸くそ悪いヤツの名前を出すんじゃないよ。ブッブ〜不正解で〜す。そのきーさんてヤツは史上最強の最低最悪な歴史上人物の名前でした〜。……あ?」

すーさんは目を疑った。
前に座る見覚えのある老人を見るやいなや
頭を抱えた。
「すーさん。いやはや。やってるみたいだな。楽しそうに。」
「きーさん。ワシから映るビジョンであんただけが白黒に見えるよ。」
「勝手に殺さないでくれないかさっきから。明日眼科へ付き添ってやってもいいがな。別に。」

⏰:06/09/07 01:33 📱:W41S 🆔:rKVp2pas


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