クソガキジジイと少年」
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#488 [ザセツポンジュ]
トミーは前を歩いた。
日が暮れて、薄暗い道を二人は1列になって歩いていた。
「なぁ。」
「うん。」
最初に口を開いたのはトミーだった。
「具合悪いのか?ジョウジロウちゃん」
体操服を蹴りながら、ぶっきらぼうに前を歩くトミー。
ジョウは少し小走りしてトミーの横に並んだ。
「健康だよボクは。」
「そっか。ならいいんだよ。」
:06/09/12 05:22
:W41S
:x4l6J1Kg
#489 [ザセツポンジュ]
トミーはもう何にも言わず、体操服を蹴りながら、ぎこちない鼻歌を歌って歩いた。
ジョウは複雑な気持ちを重たいカバンの中に詰め込んで歩いた。
「ジョウ。また明日な。」
「うん。バイバイ、トミー。」
:06/09/12 05:28
:W41S
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#490 [ザセツポンジュ]
コトッッ━━。
コトッッ━━。
コトッッ━━。
翌朝、ジョウはいつもより早く目が覚めた。
(じぃちゃん、こんな朝からどこ行くんだろう…。ぅぅ…寒い…。)
ジョウは布団にくるまった。
今日はいつもより冷えているらしい。
ジョウの部屋のテレビがそう言っている。
:06/09/12 05:35
:W41S
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#491 [ザセツポンジュ]
ジョウはバサっと起き上がり支度を始めた。
こんな早くから支度をしたって、トミーが迎えに来るにはまだまだ時間がある。
ジョウは顔を洗い、制服を来てマフラーを巻き、重たいカバンを背負い、支度をすまして家を出た。
(トミー。今日は先に行くよ。)
ジョウは、隣のトミーの家を少し見つめて歩き出した。
白い息。
冷たい風。
赤い鼻先。
ジョウだけが知っている気持ち。
今日は一段と冷えているからだろうか。
歯をくいしばって
涙が込み上がってこないように
ジョウは歩いた。
:06/09/12 05:47
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#492 [ザセツポンジュ]
「あんた。おばちゃんに会いたいからってこんな早い時間に来て、一体何をしでかすつもりなのよ。スケベね。」
用務員のおばちゃんが教師用の玄関を掃き掃除しながら、一番のりしたジョウをお出迎えしてくれた。
「おはようおばちゃん。朝から言ってくれるじゃない。疲れるよボク。」
ジョウはおばちゃんに愛想笑いをして
生徒用の玄関の扉を引いた。
「ん!?」
:06/09/12 05:59
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#493 [ザセツポンジュ]
くしゃくしゃに丸まった紙くずが
3年のクツバコから
何個も転がっている。
ジョウはしゃがんで
至近距離で紙くずを見つめた。
(……あれ?これクーポン雑誌?)
トミーが毎月エリアカフェで見ているクーポン雑誌が散らばっている…。
首をかしげながらジョウはくしゃくしゃに丸まった紙を広げた。
「え……。」
そしてまだ転がっている丸まったクーポンをひとつひとつ広げていった。
(…なんだ。…なんでだ……。)
:06/09/12 06:10
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#494 [ザセツポンジュ]
その紙くず達をたどって行く━。
顔をあげたジョウは
愕然とし、地べたに座りこんだ。
━━━榎下━━
くしゃくしゃにまるまった紙くずが
ぎゅうぎゅうに押し込まれて、こぼれ落ちてしまうほどのこのクツバコは
紛れもなくエノシタさんのクツバコだった。
:06/09/12 06:14
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#495 [ザセツポンジュ]
カサッッ━━。
涙のようにひとつぶ
、エノシタさんのクツバコからこぼれ落ちた
紙くずを
ジョウは、拾って
ゆっくりと恐る恐る広げた。
《調子乗んな!ブサイク、死ね!》
エノシタさんが美容院のカットモデルをして、ニッコリ笑った顔と一緒にクーポン券になってから2ヶ月たっている。
今月のクーポン雑誌も、変わらずエノシタさんの笑顔と一緒にクーポン券は発行されているのだ。
鋭い言葉を殴り書きされ、顔には落書き━。
:06/09/12 06:38
:W41S
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#496 [ザセツポンジュ]
ジョウは
心臓にコンパスをぶっ刺したかのような痛みを
押さえて
クーポン券の紙くずを全部ゴミ箱に入れて
焼却炉へと走った。
:06/09/12 06:41
:W41S
:x4l6J1Kg
#497 [なちゅき
]
:06/09/14 18:59
:N701i
:eymO6fNw
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