クソガキジジイと少年」
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#630 [ザセツポンジュ]
『おい。おーい。ジョウジロウ。帰ってこい。どこ見てんだ、死ぬのか?』
トミーは
ジョウジロウと
至近距離まで
近づいて
確かに
目を合わせているのに
ジョウジロウの視界に
入っていない
自分に
気づかされざるを得なかった。
:08/03/25 00:03 :W51CA :WlQRdQf6
#631 [ザセツポンジュ]
『どうしたんだ。童貞だからと言って悩むなよ。快感はすぐそこだ、元気だせファイト鈴木。』
『あぁ…うん。』
2度までも
同じような対応のジョウジロウに
腹の立てたトミーは
周りを見渡し
大きく息を吸い込んだ。
:08/03/25 00:06 :W51CA :WlQRdQf6
#632 [ザセツポンジュ]
『すいませーん。どちらさんかこの鈴木ジョウジロウ(14歳)の筆おろしを手伝ってく…』
『やめろ。やーめろ。うるさいよ、お前バカか。ただのカフェだぞここは。』
目の前にいる
幼なじみのとった
最終手段で
我に返った
ジョウジロウちゃん。
だけど決して
内に秘めた悩み事は
打ち明けなかった。
:08/03/25 00:09 :W51CA :WlQRdQf6
#633 [ザセツポンジュ]
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翌朝
早く目が覚めてしまったジョウは
寒い中ベランダに
立ちすくんでいた。
ガラガラガラーー。
『おや。いつもの風景が違って見える。今日はかわいい少年が見える。おはよう、ジョウジロウちゃん。』
『おはよう、きーさん。』
:08/03/25 00:12 :W51CA :WlQRdQf6
#634 [ザセツポンジュ]
きーさんも
62年も生きていれば
分かる。
隣のおぼっちゃんが
悩ましげな
顔をしていることくらい。
『はっはーん。さては、カルピスだな。』
:08/03/25 00:13 :W51CA :WlQRdQf6
#635 [ザセツポンジュ]
『さすがするどいな、きーさん。そうだよ、カルピスさ。だけどベランダ越しには話せないよ。』
きーさんは何か
ひらめき
ちょっと待てと
合図をし、
最強アイテムを
取り出して来た。
『糸でんわ。使うか?』
得意気に
紙コップと糸でできた
ひらめきの結晶を
さも自分が
考え出した発明品のように
隣にお住まいの
鈴木さんちの
ジョウジロウちゃんに投げ渡した。
《で、だれに恋をしているんだ??》
:08/03/25 00:18 :W51CA :WlQRdQf6
#636 [ザセツポンジュ]
ジョウは紙コップに
口をあてて
返答しようとしたが
きーさんも
紙コップに口をあてたまま
目をぱちくり開けて
嬉しそうにこっちを
見ている。
:08/03/25 00:20 :W51CA :WlQRdQf6
#637 [ザセツポンジュ]
ジョウは
“耳にあてろ”と言う
ジェスチャーをして
伝えようと試みたが
きーさんは
耳かきで耳くそを
ほじっただけであった。
:08/03/25 00:21 :W51CA :WlQRdQf6
#638 [ザセツポンジュ]
ジョウは
あきらめた。
やっと
誰かに打ち明けられそうな
朝だったのに
目の前にいた
老人が
きーさんだった
自分は少し運が
悪かった。
『きーさん。また今度ゆっくり話そう。』
ジョウは軽く笑って
そっと糸でんわを
投げ返した。
:08/03/25 00:24 :W51CA :WlQRdQf6
#639 [ザセツポンジュ]
『ちょっと待てジョウジロウちゃん。お前の恋心はお前だけのものだ。でもお前の恋はお前だけのものじゃない。いいか?落ち着いてよく考え、素直に、真っ直ぐ立ち向かうんだぞ。』
その言葉を
飲み込むように
ジョウジロウは
うなずいた。
:08/03/25 00:27 :W51CA :WlQRdQf6
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